1月 会長定例記者会見要旨

平成27年1月8日
NHK広報局
1月
会長定例記者会見要旨
Q.新年にあたって
A.(籾井会長)私は今年72歳の年男。心機一転して「やるぞ」という気持ちで
新年を迎えた。NHK会長として初めて年末年始を過ごしたが、紅白歌合戦をは
じめ、年末年始の番組はしっかり放送できた。年頭のあいさつで、私は役職員に
対し「
『前へ』という精神を共有していこう」と呼びかけた。自らも年のはじめか
ら飛ばしていきたい。
今年は、NHKにとって節目の年だ。日本でラジオ放送が開始されてから90
年、国際放送は開始から80年、NHKオンラインは開始から20年となる。戦
後70年でもある。90年の放送の歴史を振り返りつつ、メディアと日本の未来
を見つめることをテーマとした特集番組や、
NHKスペシャルの大型シリーズ「戦
後70年」など、節目に関連した放送をする予定だ。
今年も引き続き、東日本大震災からの復興をはじめ、命と暮らしを守る放送に
全力を挙げるとともに、判断のよりどころとなる正確な報道や、豊かで多彩な番
組をお届けする。
4月からは、新しい3か年計画の取り組みがスタートする。新しい計画は、N
HKの未来をひらく「挑戦と改革のプログラム」という思いで策定を進めている。
東京オリンピック・パラリンピックが開かれる2020年には、最高水準の放送
サービスを世界の人々に体感していただきたい。
具体的には、国際放送の強化として、英語による「NHKワールドTV」で、
大型のニュース番組や世界のオピニオンリーダーによる討論番組を新設するほか、
地方局が制作した番組などを通じて日本各地の隠れた魅力を世界に紹介する。あ
わせて「NHKワールドTV」が多くの人に認知され、見られるよう努める。国
内のホテルにも協力をお願いしたところ、複数のホテルから前向きな回答をいた
だき、すでに視聴できるようになったところもある。
インターネットを活用したサービスも拡大する。試験的な提供として一定の条
件のもとでテレビ放送の同時配信の実験などを進め、放送を太い幹と位置づけな
がら、多様な伝送路でコンテンツをお届けできるようにしていきたい。
営業面では、
「プロジェクト810」など全局的な取り組みや営業改革の推進等
の結果、去年11月に発表した中間決算でもしっかりとした結果が出た。さらに
受信料の公平負担を徹底するため、新しい経営計画では、高い目標を掲げて支払
率の向上に取り組むことにしている。
女性の登用や働き方の改革も積極的に進める。例えば、女性が出産・育児のた
めに休んでもキャリアに響かないよう人事評価を徹底するとともに、男女問わず
ワーク・ライフ・バランスが実現できるようにしたい。
平成29年度までの計画でいわゆる「全体最適」の改革を進めているが、これ
にとどまらず、関連団体とも一体となって業務体制の見直しを図り、人員をシフ
トするだけでなく、仕事のやり方も変えていきたい。
私は会長就任以来、放送法の順守を繰り返し申し上げてきた。公平・公正、不
偏不党などを定めた放送法は、NHKが自主自律を貫くためのものだ。そのこと
を意識する大切さを、引き続き職員に呼び掛け、徹底を図る。
放送開始90年の今年は、100年に向かうスタートでもある。さらにNHK
が発展していくため、これまでの伝統を大切にしながら、私も先頭に立って「挑
戦と改革」に取り組む。
Q.8Kスーパーハイビジョン 今年の取り組みについて
A.(会長)3月末に衛星セーフティネットが終了し、来年から、空いたチャンネ
ルを使って4K・8Kの試験放送が始まる。準備のための大切な1年になると考
えている。
技術設備の開発やコンテンツ制作は、すでに準備を進めているが、今年は実際
の衛星を使った放送の実験を検討している。また、試験放送開始を見据え、多様
なジャンルの8Kコンテンツを制作し、ストックしていく。技術開発成果やコン
テンツは、年間を通して、国際展示会、世界会議や日本国内のイベントなどの場
を通じて、世界に向け8Kをアピールする。1月20日からアラブ首長国連邦の
ドバイで開かれるIBCの展示会で展示を行い、従来の欧米地域に加え、初めて
中東地域での8KのPRを実施する。
医療分野における8K活用の取り組みも進んでいる。4月には京都で行われる
日本医学会総会の学術展示で、8Kの映像をご覧いただき、幅広い産業分野への
8Kの可能性を積極的にアピールしていきたい。
Q.年末年始の主な番組について
A.(会長)
「第65回NHK紅白歌合戦」について、51組の出場歌手の皆さん、
5年続けて司会を務めた嵐の皆さんに感謝する。吉高由里子さんも独特の雰囲気
で盛り上げてくれた。中森明菜さんやサザンオールスターズの皆さんの特別出演
などもあり、4時間半、良い紅白をお届けできた。世帯視聴率(ビデオリサーチ)
は、前半が関東35.1%、関西36.8%。後半が関東42.2%、関西43.
3%で、幅広い年代の方々にご覧いただいたと考えている。
大河ドラマは「花燃ゆ」が1月4日から始まった。世帯視聴率(関東)は16.
7%と、多くの方々にご覧いただいた。吉田松陰の妹・文を主演する井上真央さ
んと、子役の山田萌々香さんがとても良く似ていた。吉田松陰役の伊勢谷友介さ
んと、小田村伊之助役の大沢たかおさんが、これから先の熱い物語の一端を示し
てくれた。
Q.全豪オープンテニスの放送について
A.(会長)テニスの四大大会のひとつで、1月19日から2週間にわたって、オ
ーストラリアのメルボルンで開かれる。注目は、男子シングルスの錦織圭選手。
去年の全米オープンで、四大大会のシングルスで日本選手として初めて準優勝し、
世界ランキング現在5位。活躍に大きな期待が集まる。熱戦の模様を、大会期間
中、毎日、総合テレビで深夜の時間帯に録画放送を予定している。加えて錦織選
手の試合は、できるだけ生中継でお伝えしたい。試合のスケジュールが決まり次
第、随時、放送枠を検討していく。開幕前の1月12日には、錦織選手の特集番
組を放送する。マイケル・チャン コーチに導かれた錦織選手の成長と新たな挑戦
を、ふたりへのロングインタビューをもとに描く。
(詳細は報道資料参照)
Q.第44回番組技術展について
A.(浜田技師長)2月9日から11日の3日間、東京・渋谷の放送センターで開
催する。全国の放送現場の技術者が、放送を制作する現場ならではのノウハウや
アイデアなどをいかして開発した機材を、直接“見て、触れて、知って”いただ
ける。27項目の展示を予定。無人飛行機を利用した空撮システムや、卓球のボ
ールのように高速で移動する被写体を画面中央にとらえ続ける撮影機材、災害時
に各地の情報カメラの映像をいち早く伝送するシステムなどの展示がある。
(詳細は報道資料参照)
Q.現在のメディアのあり方について
A.(会長)私もいろいろ勉強し、皆さんの意見を聞きながら、今、実感として、
しっかり思っていることは、事実に基づき、公平・公正、不偏不党、放送法にあ
る通り、いろいろな意見について我々も言及していく。また、何人からも規律さ
れない。我々は自主・独立だと、そういうことだと思っている。
Q.国際放送の強化に対する理解について
A.(会長)2020年の東京オリンピック・パラリンピックでは、海外から20
00万人以上が日本を訪れると言われている。国内の地域発掘番組等を国際放送
で発信していくことで、東京だけでなく日本各地を訪れる外国の方々が増えれば、
各地域に大きく貢献することになる。その意味では、国際放送に対する視聴者の
皆さまのご理解をいただけるのではないかと思う。今後きちんと説明していきた
い。
(以上)