迎春 - ITU-AJ

年頭挨拶
迎春
一般財団法人 日本ITU協会
理事長
ジア・太平洋電気通信共同体(APT)におけるコンセンサ
お がさわら
みちあき
ス形成が大変重要になってきています。その意味で、昨年
小笠原
倫明
11月のAPTにおける選挙で、事務局次長職に我が国の近藤
勝則氏が当選され、アジア・太平洋地域における更なる協
新年あけましておめでとうございます。
調と連携を目指す上で、大変強力なリーダーシップが期待
本年が皆様にとって実り多き年となりますよう御祈念申
されることとなりましたのは、非常に素晴らしいことと存じ
し上げます。
ます。
昨年は、4年に一度の、国際電気通信連合(ITU)の最高
ひるがえって、近年の技術進歩、特に無線通信関連技術
意思決定機関である全権委員会議が韓国で開催され、開催
の発展は、目を見張るものがあります。経済性、利便性な
場所の釜山には、我が国を含め世界171か国、約2500名の
ど多方面に渡るワイヤレス技術の開発が進み、デジタル技
人々が集まりました。
術、電子回路の超微細化技術等の高度化に伴い、無線通信
この全権委員会議において、私どもは日本事務局の業務
システム全体の深化が急速に進んでいます。その象徴の一
を任され、日本政府をはじめ我が国から参加された皆様の
つが超小型のまま高性能化を成し遂げる携帯電話・スマー
御支援をさせていただく機会を得ることができました。
トフォンです。その他、最近の情報通信技術(ICT)に関し
ては、5G、IoT、自動車通信技術、G空間、測位、ワイヤレ
審議は夜を徹して行われ、今後4年間の方向性を示す重
ス電力伝送、センサーネットワーク、クラウドコンピューテ
要な決議が数多く採択されました。また、この全権委員会
ィング、セキュリティ技術、4K/8Kなど多数のキーワードが
議の大きな目的の一つに選挙がありましたが、日本は引き
掲げられています。
続きITU理事国に、無線通信規則委員会委員に伊藤泰彦氏
が再選されました。誠に喜ばしい限りです。
さらに、地球温暖化、大規模自然災害、感染症やエネル
ギー問題など、地球規模の課題の解決に向けても、ICTの
果たす役割は誠に大きなものがあります。
そして本年は、5月に、最も長い歴史を持つ国際機関であ
ITU・APTは、こうしたICTの進歩や地球的課題解決へ
るITUが150周年を迎えます。さらに11月には、国際的な電
の寄与に深く関わり、積極的な貢献を行うことが期待され
波秩序を規律する無線通信規則の改正等を行う世界無線通
ています。もちろん我が国もこれに協力・支援していくこと
信会議(WRC)がITU本部(スイス)で開催されます。
が求められています。
申すまでもなくITUは、①国際的な周波数の分配、②電
気通信の標準化、③途上国に対する電気通信の開発支援、
当協会としては、賛助会員の皆様の御協力を得て、グロ
を主要な任務としておりますが、世界中の人々が将来にわ
ーバルな視点を持って、我が国の情報通信分野の国際的な
たって平和的に共存し、グローバルな空間を円滑に共有し
プレゼンスの向上に向け、ITU・APTや国の取組に積極的
ていくために、ITUは、憲章・条約の下、引き続き重要な役
に協力してまいりたいと存じます。
割を果たしていくことが求められています。
本年も皆様の御健勝と御活躍を心より御祈念申し上げま
また、ITUがこうした役割を果たす上で、地域機関たるア
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ITUジャーナル Vol. 45 No. 1(2015, 1)
して、新年の御挨拶とさせていただきます。