固体基板を用いない 積層自立ナノ薄膜の作製法 九州工業大学大学院 工学研究院 物質工学研究系 助教 下岡 弘和 両親媒性の部分加水分解生成物や 有機高分子 発明の概要 親水性 [-OH]>[-OR] 疎水性 [-OR]>[-OH] SA/B = γB – γA – γAB > 0 原料溶液(A) 液膜(A) 下相液(B) 原料溶液(C) 流速 気液または液液界面での拡張 ゾル-ゲル 転移 固体上 流速 液体上 γA 拡張 原料溶液(A)の液滴 ゲル膜(A) 液膜(C)→固化 γAB γB 下相液(B) 巻き取り ゲル膜や高分子膜の生成 下相液(B) ゾル-ゲル相転移 [-OH]>>[-OR] = 0 両親媒性の部分加水分解生成物 R H R RR 部分加水分解 R H H R H H R H H Ba BaTi(OEtOMe)(OEt)(OMe)4 TiO6 H 下相液/ゲル膜界面へのPLAの吸着 ポリ乳酸(PLA)溶液を下相液上に滴下 BaTiO3ゲル膜 BaTiO3ゲル/PLA積層膜 BaTiO3ゲル膜 O H O O O H O O H O O O 水素結合 液界面 PLA膜 液界面 下相液 BaTiO3ゲル/PLA積層膜の柔軟性 BaTiO3ゲル/PLA積層膜の焼成 透明、干渉による着色 RTA, 950℃, 30sec, Air 高密度、粒径 20 nm - 40 nm BaTiO3自立膜の結晶性と誘電特性 従来技術とその問題点 積層デバイスやフレキシブル電子デバイスのため の自立性のある無機化合物または無機化合物と 有機化合物の積層ナノ膜の作製は、現行では固 体基板上への成膜技術を基本としており、 ・膜の薄層化と大面積化 ・積層ナノ薄膜の固体基板からの剝離 ・積層ナノ薄膜の補強 等の問題があり、上記デバイスの高機能・高性能 化のための課題になっている。 新技術の特徴・従来技術との比較 • 完全な固体基板フリープロセスで積層自立ナ ノ薄膜の作製に成功した。 • テープキャスティング法での限界より1桁程度 薄層化。 • 平方センチの大面積でフレキシブルな積層自 立ナノ薄膜の作製が可能。 • 様々な無機化合物や有機化合物に適用でき、 汎用性が高い。 • 原料、エネルギーの無駄が極めて少ない。 想定される用途 • 本技術の特徴を生かすためには、積層セラ ミックコンデンサなどの積層デバイスの製造に 適用することで膜の薄層化とその積層の簡便 さによるメリットが大きいと考えられる。 • 上記以外に、フレキシブルで自立性を有する ことによる効果が得られることも期待される。 • また、達成された自立性に着目すると、分離 膜やセンサーといった用途に展開することも 可能と思われる。 実用化に向けた課題 • 現在、高誘電率を有するチタン酸バリウムナ ノ薄膜と柔軟性を有する有機高分子のポリ乳 酸との積層自立膜を開発済み。しかし、積層 セラミックコンデンサにおける数百層の多層化 や電極のパターニング等、積層デバイス製造 上の問題が未解決である。 • 今後、様々な無機・有機化合物について実験 データを取得し、本積層技術に適用していく場 合の条件設定を行っていく。 企業への期待 • 未解決の多層化やパターニングなどの問題に ついては、電子デバイス製造技術との融合に より克服できると考えている。 • 電子デバイスの製造技術を持つ、企業との共 同研究を希望。 • また、様々な積層デバイスや自立薄膜デバイ スを開発中の企業には、本技術の導入が有 効と思われる。 本技術に関する知的財産権 • 発明の名称 :金属酸化物膜と高分子化合物 膜の積層ナノ薄膜の製造方法および金属酸 化物ナノ薄膜の製造方法 • 出願番号 :特願2014-168124 • 出願人 :九州工業大学 • 発明者 :下岡弘和 お問い合わせ先 • 国立大学法人 九州工業大学 産学連携推進センター 知的財産部門 • TEL: 093-884-3499 • FAX: 093-884-3531 • E-mail: [email protected]
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