2014年度 北里大学医学部 一般 化学 解答

2014 北里大学医学部
化学
Ⅰ【解答】
1
⑤
2
①
3
③
6
④
7
⑦
8
⑨
4
⑥
5
②
【解説】
[1] a 正: イオン化傾向の差が小さくなるので起電力も小さくなる。
b 誤: マンガン乾電池の負極活物質は Zn である。
c 誤: 鉛蓄電池の放電反応は,
Pb+PbO2+2H2SO4 → 2PbSO4+2H2O
であり,放電により溶質の H2SO4 が消費され,溶媒の H2O が増加するので,
溶液の濃度や密度は小さくなる。
d 正: 陰極で次の反応が起こり OH-が生じるので,電解液の pH は大きくなる。
2H2O+2e- → H2+2OH-
e 正: Na,Al はイオン化傾向が大きく,Na+,Al3+は H2O より還元されにくいの
で,Na+,Al3+を含む水溶液を電気分解しても,陰極では H2O が還元される反
応が起こり,Na,Al は析出しない。
2H2O+2e- → H2+2OH-
融解塩電解では,電解液中に H2O は存在しないので,陰極で Na+,Al3+が還
元されて,Na,Al が析出する。
Na++e- → Na
Al3++3e- → Al
-
-
[2] ① CO32-+H2O →
← HCO3 +OH
…H2O は酸
+
② NH4++H2O →
← NH3+H3O
…H2O は塩基
③ HCl+H2O → Cl-+H3O+
…H2O は塩基
④ KCl 水溶液は中性
…K+,Cl-は H2O と反応しない。
-
+
⑤ CH3COOH+H2O →
← CH3COO +H3O …H2O は塩基
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[3] (ア) 空気中で自然発火するので,水中に保存する。 … P4
P4+5O2 → P4O10
(イ) 光で分解するので,褐色容器に保存する。 … AgBr,HNO3
2AgBr → 2Ag+Br2
4HNO3 → 2H2O+4NO2+O2
(ウ) ガラスを溶かすので,ポリエチレン製容器に保存する。 … HF
SiO2+6HF → H2SiF6+2H2O
(他) H2O,O2 と常温で速やかに反応するので,石油中に保存する。 … Na
2Na+2H2O → 2NaOH+H2
4Na+O2 → 2Na2O
[4] a 誤: 1,2 族,12~18 族の元素を典型元素,3~11 族の元素を遷移元素という。
c 誤: 15 族元素であるリンの単体には黄リン(分子式 P4)と赤リン(分子式 Pn)があ
り,これらは互いに同素体である。
d 正: 17 族元素の単体の常温・常圧での状態は,F2,Cl2 が気体,Br2 が液体,I2
が固体である。
e 誤: ラドン Rn は放射性元素である。
[5] ①正: 2NH4Cl+Ca(OH)2 → 2NH3+CaCl2+2H2O
②誤: CaO+H2O = Ca(OH)2+64 kJ(発熱反応)
CaO は駅弁などを温めるのに利用されている。
③正: 2NaHCO3 → Na2CO3+H2O+CO2
④正: CaCO3 → CaO+CO2
⑤正: NaCl+NH3+CO2+H2O → NaHCO3+NH4Cl
①~⑤の反応はすべてアンモニアソーダ法(ソルベー法)に利用されている。
[6]
反応速度 v は[N2O5]に比例するので,反応の進行とともに[N2O5]が減少すると,
v は小さくなる。
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2
2014 北里大学医学部 化学
[7] a: CH3CH2OH → CH2=CH2+H2O
b: 2CH3COOH → (CH3CO)2O+H2O …… 分子間脱水
c:
O
O
C
OH
C
O +H2O
→
C
OH
C
O
d:
H
O
H
C C
O C
OH
C O
OH
H
→
H
+H2O
C C
O C
C O
O
e: CH3CH(OH)CH2 → CH3COCH3+2H++2e- …… 酸化
[8] a:正: ベンゼンは正六角形の平面構造である。
b:正: ベンゼン C6H6 やアセチレン C2H2 など C 原子の数に対して H 原子の数が
少なく C の含有率が大きいものは,空気中では不完全燃焼しやすいため,す
すの多い明るい炎で燃える。炎が明るくなるのは,遊離した C の微粒子が,
炎の中で熱せられて光るためである。
c:誤: 触媒の存在下で HCl,CH3COOH,H2O,H2 などが付加する。
CH≡CH+HCl → CH2=CH-Cl(塩化ビニル)
CH≡CH+CH3COOH → CH3COO-CH=CH2(酢酸ビニル)
CH≡CH+H2O ―[CH2=CH-OH]→ CH3CHO(アセトアルデヒド)
(ビニルアルコール)
不安定
CH≡CH+H2 → CH2=CH2(エチレン)
d:正: ベンゼンの沸点は約 80℃
e:正: ベンゼンは甘い芳香をもつ液体である。
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Ⅱ【解答】
9
⑨
10
11
⑤
12
②
③
【解説】
[1] ⑴ NaOH を水に溶かすと溶解熱が放出されて溶液の温度が上昇する。測定中の最
高温度は 33℃である。これ以降,温度が直線的に徐々に下がっていくのは,熱が
外部へ逃げていくためである。33℃に達するまでに,すでに外部への熱の放出は
始まっているので,真の最高温度は,グラフの直線部を NaOH を水に溶かした時
点まで外挿して求めた 35℃と考える。したがって,NaOH(式量 40) 4.0g の溶解
による温度上昇は 35-25〔℃〕と考える。
NaOH の溶解熱を Q1〔kJ/mol〕とすると,この実験での発熱量について,
Q1×
4.0
×103=(100+4.0)×4.2×(35-25)
40
Q1=43.68〔kJ/mol〕
⑵ 中和熱を Q2〔kJ/mol〕とすると,この実験での発熱量について,
Q2×(0.50×
100
)×103=(1.0×100+1.0×100)×4.2×T1
1000
Q2=16.8T1〔kJ/mol〕
[2] ⑴ 溶媒の凝固が進行すると溶液の濃度が大きくなり凝固点が低くなるので,温度が
直線的に下がっていく。この直線部分を左に延長したときのグラフとの交点(下図
の点●)の温度(b)が,過冷却が起こらないときの凝固が始まる温度すなわち溶液の
凝固点である。
b
⑵ 求める分子量を M とすると,
w
T2=X ×
M
100
1000
より,M=
10Xw
T2
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Ⅲ【解答】
13
14
⑥
③
15
16
①
④
【解説】
[1]
酸化マンガン(Ⅳ)MnO2 に過酸化水素水を加えると,酸素 O2 が発生する。MnO2
は触媒である。
2H2O2 → O2+2H2O
ふたまた試験管は,くびれのある方(b)に固体を入れて,他方に液体を入れる。ま
た,発生した O2 は水に溶けにくいので,水上置換で捕集する。
[2]
亜鉛に希硫酸を加えると,水素 H2 が発生する。
Zn+H2SO4 → ZnSO4+H2
発生した H2 の体積は,
3.270 2.289
×22.4×103=336〔mL〕
65.4
[3]
石灰石に塩酸を加えると,二酸化炭素 CO2 が発生する。
CaCO3+2HCl → CaCl2+H2O+CO2
CO2 は,非金属元素の酸化物なので酸性酸化物であり,その水溶液は酸性を示す。
-
+
CO2+H2O →
← HCO3 +H
CO2 分子の C=O 結合には極性がある(C+=O-)が,分子の形が直線形なので分
子全体でこれを打ち消しあう。したがって,CO2 分子は無極性分子である。
[4]
銅に濃硝酸を加えると,二酸化窒素 NO2 が発生する。
Cu+4HNO3 → Cu(NO3)2+2H2O+2NO2
さらに,2 分子の NO2 が 1 分子の N2O4 に変化して,次式のような平衡状態を形成
する。
2NO2 →
← N2O4
(右向きの反応は発熱反応)
温度を上げると,吸熱反応の方向に平衡が移動するので,平衡は左に移動する。ま
た,圧力を上げると,気体の分子数が減少する方向に平衡が移動するので,平衡は右
に移動する。
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Ⅳ【解答】
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18
⑤
19
①
20
④
⑤
【解説】
[1] ⑴ 混合気体中の気体 X の分圧 PX〔Pa〕は,X の物質量を nX〔mol〕,混合気体の体
積を V〔L〕
,温度を T〔K〕として,
PXV=nXRT
気体 X のモル濃度を[X]とすると,[X]=
nX
であるから,
V
PX=[X]RT
よって,
KP=
PNH3 2
([NH 3 ]RT )2
[NH3 ]2
=
=
( RT )2 =KC (RT )2
3
3
3
[N 2 ]RT  ([H 2 ]RT )
[N 2 ][H 2 ]
PN 2  PH2
⑵ 容積・温度を一定に保って He を加えた場合,全圧は増加するが各気体の分圧は
不変である。また,温度一定だから KP の値も不変である。したがって,
KP=
PNH3 2
PN 2  PH2 3
が成立しているので,平衡は移動しない。
[2] ⑴ はじめの N2 を n〔mol〕
,H2 を 3 n〔mol〕として,反応した N2 の割合をとする
と,変化量は次のように整理される。
N2 + 3H2 →
← 2NH3
はじめ
n
3n
0
変化量
-n
-3n
+2n
平衡時 n(1-) 3n(1-)
2n
全物質量
4n
n(4-2)
平衡時の NH3 のモル分率が x なので,
x=

2n
=
2 
n(4  2 )
これより,
=
2x
1 x
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したがって,N2 のモル分率は,
2x
1
1 
n(1   )
1
 x =1 x
=
=
2x
4
n(4  2 )
4  2
4  2
1 x
⑵ 容積・温度が一定なので,圧力は物質量に比例する。
n(4  2 )
5.0  107
=
4n
9.0 107
5
4  2
=
9
4
これを解いて,
=
8
9
よって,NH3 のモル分率は,
x=

2 
=
8
9
2
8
9
=0.80
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2014 北里大学医学部 化学
Ⅴ【解答】
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22
⑦
23
②
24
⑤
④
【解説】
[1]
アルキンは 7 種類,それらに水素を付加して得られるアルカンは 4 種類である。
C
C
C
C
C
C
C
C
C
C
C
C
C
C
C
C
C
C
+2H2
C
C
C
C
C
+2H2
C
C
C
C
C
C
C
C
C
C
C
C
C
C
C
C
C
C
C
C
+2H2
C
C
C
C
C
C
C
C
C
C
C
C
C
C
C
+2H2
C
C
C
C
C
C
C
[2]
C
化合物 a,b,c の構造式と名称は,次の通りである。
化合物 a
CH2
CH
化合物 b
CH2
CH2
化合物 c
CH3
OH
ビニルアルコール
CH2
OH
エチレン
エタノール
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2014 北里大学医学部 化学
[3]
(反応熱)=(生成物の結合エネルギーの総和)-(反応物の結合エネルギーの総和)
であるから,
Q=(2×800×2+2×460×2)-(720+375×4+3×500)=1320〔kJ/mol〕
[4]
油脂 1 分子に含まれるリノール酸(分子量 280)の平均の個数を n〔個〕とすると,
ステアリン酸(分子量 284)の平均の個数は 3-n〔個〕である。グリセリンの分子量が
92 であるから,油脂の分子量について,
92+280n+284(3-n)-3×18=882
n=2
ステアリン酸は飽和脂肪酸であり炭素間二重結合をもたないが,リノール酸は炭素
間二重結合を 2 個もつので,この油脂 1 分子には平均(2×2=)4 個の炭素間二重結合
が含まれる。
よって,この油脂 1 mol に付加するヨウ素の物質量は,
1×4=4〔mol〕
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