〔8〕 般A 1/2
7 2限 生 看
解
用
番
答
紙
号
32
の解答用紙に解答しなさい。
!
生
(看
物
護
学
部)
問題は1
0
0点満点で作成しています。
!
脊椎動物の発生に関する
〔1〕
および
〔2〕の文を読み,問1∼5に答えよ。(20点)
〔1〕 1個の受精卵から成体になるまでのプロセスを発生という。受精卵は発生の初期に連続し
た ア 分裂を繰り返すが,これを イ と呼ぶ。 イ で分裂した後の細胞は ウ とよばれ,
ウ の数から2細胞期,4細胞期と呼ばれる時期を経て多数の ウ からなる胚を形成する。
イ を繰り返した胚はその形が似ていることから, A 胚と呼ばれる時期に入り,胚の内部
には空所ができる。さらに イ が進むと空所が拡大して B 胚腔を形成し,この時期の胚を
B 胚という。カエルの B 胚は多くの細胞層から形成されており, B 胚腔は動物極にか
たよっている。さらに,発生が進むにつれて, B 胚の1カ所から胚の内部に表層の細胞群
が移動していくが,この現象を陥入と呼ぶ。陥入が進むにつれて,胚の内部に新たな空所であ
る C ができ,その入り口を エ という。 C ができる時期の胚を C 胚と呼ぶ。 C
の形成に伴って,胚は,外側の細胞層である外胚葉と, C を取り囲む内側の細胞層である
内胚葉,および外胚葉と内胚葉の間の中胚葉という3つの細胞層から構成されるようになる。
C の陥入が終了する頃に,胚の背側の外胚葉が厚く平たくなって オ をつくる。 オ の辺
縁部は持ち上がって,背側の中央でつながって管を形成し,この管は最外層の表皮から離れ,
神経管を形成する。この時期の胚を D 胚と呼ぶ。さらに発生が進むと, E 胚となる。
D 胚期から E 胚期へと発生が進むにつれ,3つの胚葉ではさまざまな器官が分化する。
胚の外層である外胚葉からは,体をつつむ表皮と神経管が分化し,神経管は前方が膨らんで脳
を形成し,その後方は脊髄に分化する。さらに脳の前方の左右両側には膨らみができ眼胞と
なって将来,眼を形成する。胚の背側に位置する中胚葉は脊索に分化し,のちに退化して椎骨
と椎骨の間の組織に置き換わる。また胚の側方に位置する中胚葉は背側から腹側にかけて,体
節・腎節・側板の3つの部分に区別されるようになる。体節からは骨格筋などができ,側板か
らは内臓筋などがつくられる。
―〔8〕―87 ―
問1 〔1〕の文中の ア ∼ オ にあてはまる語句はどれか。最も適当なものを1∼1
0から選ん
でマークせよ。ただし,同じものを何度選んでもよい。
1.耳胞
2.体細胞
3.耳
4.神経板
5.細胞板
6.卵割
7.生殖細胞
8.脊椎
9.原口
10.割球
問2 〔1〕の文中の A ∼ E にあてはまる語句はどれか。最も適当なものを1∼5から選ん
でマークせよ。
1.神経
問3
2.胞
3.尾芽
4.桑実
5.原腸
図1はある脊椎動物の発生過程における体の横断面である。以下のa∼eの器官や組織は
図1のどの部分から生じるか。最も適当なものを1∼7から選んでマークせよ。ただし,同
じものを何度選んでも良い。
a.肺の上皮
!
1.
b.眼の水晶体
"
2.
c.眼の網膜
#
3.
4.
$
d.脊椎骨
5.
%
⑦
①
⑥
②
③
⑤
図1
―〔8〕―88 ―
④
e.すい臓の腺上皮
6.
&
7.
'
〔2〕 動物の成体の大部分の器官は,複数の胚葉に由来する組織からできており,消化管も A
由来の上皮や B 由来の筋組織を含んでいる。ニワトリの消化系器官である胃は消化酵素を
分泌する腺胃と,入ってきた食物を細かく砕く筋胃からできている(図2)。産卵された受精
卵を一定の温度に保つことをふ卵と呼び,ニワトリではほぼ20日間ふ卵を続けると卵の中のヒ
ナが殻を破って外に出てくるが,この現象をふ化と呼ぶ。ふ卵6日目の胚(6日胚)では腺胃
と筋胃が未分化な状態であり,上皮をやがて筋肉・結合組織になる間充織が取り囲んでいるだ
けである。しかし,ふ卵1
5日目の胚(15日胚)では,すでにそれぞれの領域に特徴的な上皮が
分化し,ふ化後は成体と同様な構造が形成されている(図3)。また,ニワトリの腺胃は,ほ
乳類の胃と同様に消化酵素のペプシンという物質を分泌するが,筋胃ではこの酵素は分泌され
ないことが知られている。このしくみについて実験1∼7を行った。
【実験1】 6日胚を用いて予定腺胃領域の上皮と予定筋胃領域の上皮を組み合わせて培養すると,
ペプシンの前駆物質の遺伝子発現が見られなかった。
【実験2】 6日胚を用いて予定腺胃領域の間充織と予定筋胃領域の間充織を組み合わせて培養す
ると,ペプシンの前駆物質の遺伝子発現が見られなかった。
【実験3】 6日胚を用いて予定腺胃領域の上皮と予定腺胃領域の間充織を組み合わせて培養する
と,ペプシンの前駆物質の遺伝子発現が見られた。
【実験4】 6日胚を用いて予定筋胃領域の上皮と予定腺胃領域の間充織を組み合わせて培養する
と,ペプシンの前駆物質の遺伝子発現が見られた。
【実験5】 6日胚の予定腺胃領域の上皮と15日胚の予定腺胃領域の間充織を組み合わせて培養す
ると,ペプシンの前駆物質の遺伝子発現は見られなかった。
【実験6】 6日胚を用いて予定腺胃領域の上皮と予定筋胃領域の間充織を組み合わせて培養する
と,ペプシンの前駆物質の遺伝子発現は見られなかった。
【実験7】 6日胚を用いて予定筋胃領域の上皮と予定筋胃領域の間充織を組み合わせて培養する
と,ペプシンの前駆物質の遺伝子発現は見られなかった。
クチバシ方向
上皮
腺
腺胃
15日胚
筋胃
ふ化後
筋
組
織
間充織
(結合組織)
6日胚(縦断面)
15日胚
肛門方向
図2
図3
―〔8〕―89 ―
ふ化後
問4 〔2〕の文中の A および B に関する記述として正しいものはどれか。最も適当なもの
を1∼6から選んでマークせよ。
1. A は外胚葉で, B は内胚葉である。
2. A は外胚葉で, B は中胚葉である。
3. A は内胚葉で, B は外胚葉である。
4. A は内胚葉で, B は中胚葉である。
5. A は中胚葉で, B は外胚葉である。
6. A は中胚葉で, B は内胚葉である。
問5
a∼hのうち,実験1∼7の結果から導かれる考察としてあてはまるものはどれか。最も
適当な組み合わせを1∼1
4から選んでマークせよ。
a.ペプシンの前駆物質の遺伝子発現には,6日胚の予定腺胃領域の上皮のみが必要である。
b.ペプシンの前駆物質の遺伝子発現には,6日胚の予定筋胃領域の上皮のみが必要である。
c.ペプシンの前駆物質の遺伝子発現には,6日胚の予定胃の領域の上皮は必要でない。
d.ペプシンの前駆物質の遺伝子発現には,15日胚の予定腺胃領域の間充織が必要である。
e.ペプシンの前駆物質の遺伝子発現には,6日胚の予定腺胃領域の間充織が必要である。
f.ペプシンの前駆物質の遺伝子発現には,6日胚の予定腺胃領域と予定筋胃領域の両方の
間充織が必要である。
g.ペプシンの前駆物質の遺伝子発現には,6日胚の予定胃の領域の間充織は必要でない。
h.ペプシンの前駆物質の遺伝子発現には,15日胚の予定胃の領域の間充織は必要でない。
1.
(a,c)
2.
(a,d)
3.(b,c)
4.(b,d)
5.(c,d)
6.
(c,e)
7.
(c,h)
8.(d,e)
9.(d,f)
10.(d,h)
1
1.
(e,f)
1
2.
(e,h)
13.(f,h)
14.(g,h)
―〔8〕―90 ―
!
次の文を読み,問1∼7に答えよ。
(20点)
動物の体内の細胞は外部環境に直接触れることなく,内部環境である血液,リンパ液および組
織液などの体液の中に浸されている。生物が正常な活動を常に行うためには,体内の状態や機能
を常に一定に保つ必要があり,この性質を恒常性という。恒常性の維持にはホルモンと自律神経
による調節が非常に重要である。
ホルモンは,内分泌腺から分泌される物質である。内分泌腺のひとつである甲状腺は,チョウ
a)
が羽を広げたような形をした臓器で,気管を囲むようにのどの近くに存在している。甲状腺はさ
まざまな大きさの甲状腺ろ胞が密に詰まった組織であり,ろ胞は一層の甲状腺ろ胞上皮細胞によ
りつくられている。このろ胞上皮細胞が
甲状腺ホルモンを分泌する細胞である。甲状腺ホル
b)
モンである ア はアミノ酸のチロシンが2つ結合し,さらにヨウ素が付加されたものである。
甲状腺ホルモンは イ から分泌される甲状腺刺激ホルモン(TSH)によって,その分泌が促進
される。TSH は, ウ から分泌される甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン(TRH)により分泌が
促進される。
TSH と TRH の分泌は血液中の ア 濃度が上昇すると抑制される。このような
c)
しくみは,恒常性の調節に広くみられる。
一方,自律神経は内臓の働きを適切に調節する神経系で,交感神経と副交感神経からなる。
ひとつの器官を双方で支配することが多く,一方が器官の働きを促進すれば他方は抑制するよう
d)
に作用している。
文中の ア ∼ ウ にあてはまる語句はどれか。最も適当なものを1∼9から選んでマー
問1
クせよ。
1.ノルアドレナリン
2.脳下垂体前葉
3.視床
4.チロキシン
5.バソプレシン
6.脳下垂体後葉
7.視床下部
8.オキシトシン
9.アセチルコリン
問2
下線部a)について。ホルモンに関する記述として正しいものはどれか。最も適当なもの
を1∼5から選んでマークせよ。
1.ホルモンは排出管を通って体外に分泌され作用する。
2.ホルモンは標的細胞以外にも作用する。
3.ホルモン量が多いと恒常性の維持が容易となる。
4.ホルモンが作用する細胞には受容体がない。
5.ホルモンは神経分泌細胞からも分泌される。
―〔8〕―91 ―
問3
下線部b)について。このホルモンの働きに関する記述として正しいものはどれか。最も
適当なものを1∼5から選んでマークせよ。
1.熱産生を促進する。
2.血糖量を低下させる。
3.水の再吸収を促進する。
4.血圧を低下させる。
5.タンパク質を糖化させる。
問4
下線部c)について。このようなホルモン分泌を制御するしくみを何と呼ぶか。最も適当
なものを1∼5から選んでマークせよ。
1.フィードバック
問5
2.刺激
3.興奮
4.抑制
5.促進
成熟したラットから甲状腺を除去した場合,血液中の TSH と TRH の量はどのようになる
と推定されるか。最も適当なものを1∼6から選んでマークせよ。
1.TSH も TRH も変化しない。
2.TSH は増加するが,TRH は変化しない。
3.TSH は変化しないが,TRH は増加する。
4.TSH も TRH も増加する。
5.TSH も TRH も低下する。
6.TSH は低下するが,TRH は増加する。
問6
下線部d)について。交感神経が刺激された時の反応に関する記述として正しいものはど
れか。最も適当なものを1∼5から選んでマークせよ。
1.瞳孔が縮小する。
2.血圧が低下する。
3.気管支が拡張する。
4.腸のぜん動運動が促進される。
5.排尿が促進される。
―〔8〕―92 ―
問7 1
9
2
1年にレーウィは2匹のカエルの心臓を図1のように接続しリンガー液を流した。次に,
心臓 A につながる神経を電気刺激する実験を行った結果,心臓 A の拍動数が減少した。
a∼eのうち,この実験の結果および解釈として正しい記述はどれか。最も適当な組み合わ
せを1∼1
0から選んでマークせよ。
a.刺激した神経は運動神経である。
b.心臓 B の拍動数は減少した。
c.心臓 B の拍動数は心臓 A よりやや遅れて変化した。
d.電気刺激した神経の末端からアドレナリンが分泌された。
e.電気刺激がリンガー液を通じて直接心臓 B に伝わった。
1.
(a,b)
2.
(a,c)
3.(a,d)
4.(a,e)
5.(b,c)
6.
(b,d)
7.
(b,e)
8.(c,d)
9.(c,e)
10.(d,e)
リンガー液
リンガー液
電気刺激
神経
心臓A
図1
―〔8〕―93 ―
心臓B
!
次の文を読み,問1∼6に答えよ。
(20点)
種子の発芽には,温度,水,酸素の3つが必要であり,吸水と同時に周囲の環境が整うと発芽
が始まる。レタスや ア などの種子は,上記の3つ以外に,さらに他の環境要因が整わなけれ
ば発芽しない。このように発芽しない状態を イ という。レタスや ア などの種子の発芽には,
ある波長の光照射が必要である。このような種子は ウ と呼ばれている。様々な環境が整い,
発芽が起こる際には種子の内部で様々な反応が起こっている。胚乳をもつ植物の種子では,胚乳
内に貯蔵されていた エ が オ によって カ に分解される。 オ の合成には,胚で合成され
る植物ホルモンが関与している。ある ウ の発芽に必要な条件を調べるため,下記の実験1∼
3を行った。
【実験1】 乾燥した種子を以下のA∼Dに示す条件を組み合わせて処理した。その結果,発芽率
は表1のようになった。
A.2
5℃で,3
0分間自然光を照射した。
B.2
5℃で,暗所で吸水させた。
C.4℃で,暗所に5日間放置した。
D.2
5℃で,暗所に5日間放置した。
表1
処理条件と発芽率
処
理
発芽率(%)
A→C
0
A→D
0
A→B→C
1
A→B→D
3
B→A→C
2
B→A→D
7
6
―〔8〕―94 ―
【実験2】 吸水した種子に,表2に示す異なる組み合わせの2つの処理をした。処理は表2の
A→Bの順に2
5℃でそれぞれ5分ずつ行った。その後,25℃,暗所に5日間放置して発
芽率を調べた。その結果,発芽率は表2のようになった。
表2
A→Bの順で処理した場合の発芽率(%)
B
A
暗
暗
所
緑色光
赤色光
遠赤色光
所
0
3
9
8
1
緑色光
4
2
99
0
赤色光
9
9
9
7
97
1
遠赤色光
0
3
98
0
5℃,暗所で吸水させ,そ
【実験3】 乾燥した種子を適度な濃度の X を含む水溶液に浸し,2
のまま放置した。その結果,ほとんどの種子が発芽した。一方, Y を含む水溶液に
浸し,2
5℃,暗所で吸水させた場合は,その後,どのような光条件で処理しても全く発
芽しなかった。
問1
文中の ア ∼ カ にあてはまる用語はどれか。最も適当なものを1∼14から選んでマー
クせよ。
1.静止
2.休眠
3.光発芽種子
4.デンプン
5.タンパク質
6.糖
7.タバコ
8.ペプシン
9.アミラーゼ
1
0.暗発芽種子
11.カボチャ
12.キュウリ
1
3.糊粉層
1
4.アミノ酸
問2
a∼eのうち,実験1の結果から示される発芽の条件としてあてはまる記述はどれか。最
も適当な組み合わせを1∼1
0から選んでマークせよ。
a.吸水が必要である。
b.光照射はなくても発芽する。
c.光照射があれば,吸水の有無や温度に関係なく発芽する。
d.吸水,光照射の順序に関係なく温度が25℃であれば発芽する。
e.発芽の促進には,光照射の前に吸水が必要である。
1.
(a,b)
2.
(a,c)
3.(a,d)
4.(a,e)
5.(b,c)
6.
(b,d)
7.
(b,e)
8.(c,d)
9.(c,e)
10.(d,e)
―〔8〕―95 ―
問3
a∼eのうち,実験2の結果から示される発芽の条件としてあてはまる記述はどれか。最
も適当な組み合わせを1∼1
0から選んでマークせよ。
a.遠赤色光の照射で種子の発芽は促進される。
b.緑色光の照射で種子の発芽は抑制される。
c.最後に照射した光が赤色光のとき,種子の発芽は促進される。
d.緑色光の照射で種子の発芽は促進される。
e.赤色光の照射による発芽促進効果は暗条件で抑制されない。
1.
(a,b)
2.
(a,c)
3.(a,d)
4.(a,e)
5.(b,c)
6.
(b,d)
7.
(b,e)
8.(c,d)
9.(c,e)
10.(d,e)
問4
実験3で用いた X と Y は植物ホルモンである。 X と Y にあてはまるものはど
れか。それぞれ最も適当なものを1∼6から選んでマークせよ。
1.サイトカイニン
2.ジベレリン
3.オーキシン
4.フロリゲン
5.エチレン
6.アブシシン酸
問5 a∼eのうち,実験3で用いた X の働きとしてあてはまる記述はどれか。最も適当な
組み合わせを1∼1
0から選んでマークせよ。
a.離層形成を促進する。
b.茎の伸張を促進する。
c.子房の成長を促進する。
d.気孔の開口を促進する。
e.気孔の閉口を促進する。
1.
(a,b)
2.
(a,c)
3.(a,d)
4.(a,e)
5.(b,c)
6.
(b,d)
7.
(b,e)
8.(c,d)
9.(c,e)
10.(d,e)
―〔8〕―96 ―
問6 a∼eのうち,実験3で用いた Y の働きとしてあてはまる記述はどれか。最も適当な
組み合わせを1∼1
0から選んでマークせよ。
a.頂芽優勢を解除する。
b.落葉・落果を抑制する。
c.開花を促進する。
d.気孔を閉口させる。
e.種子の休眠を維持する。
1.
(a,b)
2.
(a,c)
3.(a,d)
4.(a,e)
5.(b,c)
6.
(b,d)
7.
(b,e)
8.(c,d)
9.(c,e)
10.(d,e)
―〔8〕―97 ―
!
〔1〕
および
〔2〕
の文を読み,問1∼7に答えよ。(20点)
〔1〕 細胞は生命の基本単位である。生物は細胞構造の違いによって原核生物と真核生物に大別
される。真核細胞には核が存在するが,原核細胞には核が存在しない。その他にも原核細胞と
真核細胞の構造や働きには相違点があるが,いくつかの重要な共通点もある。地球上に最初に
登場した生物は原核生物で,ある種の原核生物が集まって真核生物が誕生したと考えられてい
る。真核細胞には核以外に DNA をもつ細胞小器官があり,それらに似た原核生物が現在も地
球上に存在していることが,この説を支持する根拠となっている。興味深いことに,DNA を
もつ細胞小器官はどれも内膜と外膜の2枚の膜で包まれている。
問1
a∼eのうち,内外2枚の膜からなる細胞小器官はどれか。最も適当な組み合わせを1∼
1
0から選んでマークせよ。
b.小胞体
1.
(a,b)
2.
(a,c)
3.(a,d)
4.(a,e)
5.(b,c)
6.
(b,d)
7.
(b,e)
8.(c,d)
9.(c,e)
10.(d,e)
問2
a.ゴルジ体
c.ミトコンドリア
d.葉緑体
e.中心体
a∼eのうち,真核細胞の核に関する記述として正しいものはどれか。最も適当な組み合
わせを1∼1
0から選んでマークせよ。
a.核膜には細胞質との間で物質が出入りする孔がある。
b.核の内部に存在する染色体は DNA と脂質からできている。
c.ヒトの白血球には核が存在する。
d.アメーバを有核片と無核片に分離してえさを与えると,無核片に新たな核がつくられる。
e.植物では体細胞分裂の後期に核膜が消失する。
1.
(a,b)
2.
(a,c)
3.(a,d)
4.(a,e)
5.(b,c)
6.
(b,d)
7.
(b,e)
8.(c,d)
9.(c,e)
10.(d,e)
―〔8〕―98 ―
問3
真核細胞の細胞小器官の特徴について。表1のA∼Eにあてはまる説明はどれか。それぞ
れ最も適当なものを1∼8から選んでマークせよ。
表1
細胞小器官の名称
特徴
ゴルジ体
A
粗面小胞体
B
中心体
C
ミトコンドリア
D
葉緑体
E
1.細胞外への物質の分泌に関与する。
2.表面にリボソームが付着し,タンパク質合成に関与する。
3.細胞の液状の部分である。
4.光エネルギーを取り込み,有機物を合成する。
5.酸素を消費しながら有機物を分解してエネルギーを取り出す呼吸を行う。
6.細胞内の有機物の分解に関与する。
7.細胞分裂時の紡錘体形成の起点となる。
8.成熟した植物細胞では大きく発達することが多い。
〔2〕 細胞が生きるためには,外から酸素・水・栄養物質などを取り入れ,取り入れた物質から
エネルギーを得たり,必要な物質を合成するなどの活動をしなければならない。また,それら
の活動に伴って生じた老廃物の排出も行っている。このような物質の出入りは細胞膜を通して
行われている。ほとんどの細胞で最も多く含まれている分子は水である。細胞質基質では水を
ア として,そこにさまざまな分子が イ として溶け込んでいる。水や一部の イ は通すが,
他の イ を通さない性質の膜を ウ 膜という。一方で, ア ・ イ ともに自由に通す膜を
エ 膜という。 ウ 膜を通して水が移動しようとして生じる力をその溶液の オ という。細
胞膜は ウ 膜に近い性質をもち,細胞壁は エ 膜に似た性質を示す。
問4
0から選
文中の ア ∼ オ にあてはまる語句はどれか。それぞれ最も適当なものを1∼1
んでマークせよ。
1.拡散
2.吸水
3.全透
4.凝集力
5.半透
6.溶媒
7.溶質
8.輸送
9.極性
10.浸透圧
―〔8〕―99 ―
問5
a∼dのうち, オ の変化によって引き起こされる現象はどれか。最も適当な組み合わ
せを1∼6から選んでマークせよ。
a.傷口で血液が凝固する。
b.肺胞に運ばれた赤血球のヘモグロビンが酸素と結合する。
c.ヒトの赤血球を蒸留水に入れると溶血する。
d.ナメクジに塩をかけると小さく縮む。
1.
(a,b)
2.
(a,c)
3.(a,d)
4.
(b,c)
5.
(b,d)
6.(c,d)
問6
ヒトの赤血球中に含まれるカリウムについて。細胞内外の濃度の違いと細胞内への移動の
しくみを正しく示すものはどれか。最も適当な組み合わせを表2の1∼8から選んでマーク
せよ。
表2
選択肢
細胞内と細胞外の濃度の違い
移動のしくみ
移動のためのエネルギーの使用
1
細胞内が高い
受動輸送
不要
2
細胞内が高い
受動輸送
必要
3
細胞内が高い
能動輸送
不要
4
細胞内が高い
能動輸送
必要
5
細胞内が低い
受動輸送
不要
6
細胞内が低い
受動輸送
必要
7
細胞内が低い
能動輸送
不要
8
細胞内が低い
能動輸送
必要
―〔8〕―100 ―
問7 動物が オ を調節するしくみについて誤っている説明はどれか。1∼8から1つ選んで
マークせよ。
1.ゾウリムシは収縮胞を使って細胞内の オ を一定に保つ。
2.ケアシガニは外部の塩分濃度の大きな変化に耐えられない。
3.汽水域に生息するゴカイやカニは,ある程度の オ の変化に耐える。
4.海水生硬骨魚の体液の浸透圧は海水とほぼ同じに保たれている。
5.サメやエイの体液には尿素が含まれており,これによって オ を調節している。
6.淡水魚は塩類が失われやすいため,えらから塩類を取り込む。
7.ウナギやサケは海水魚と淡水魚の両方の オ 調節のしくみをもつ。
8.アホウドリやウミガメは海水を飲んで水分を補給し,余分な塩類を体外にすてる。
―〔8〕―101 ―
#
〔1〕
および
〔2〕
の文を読み,問1∼8に答えよ。(20点)
〔1〕 染色体数の異常は特定の疾患と関連することが知られている。染色体には,雌雄に共通な
ア と,雌雄のどちらになるかを決定する イ がある。雌雄に共通な ア に異常をきたすヒ
トの疾患では,出生前診断で注目されているダウン症などが有名である。ダウン症では,本来
2本であるはずの2
1番染色体が3本存在することが多い。一方, イ の異常により発症する
ヒトの疾患としては,ターナー症候群が有名である。正常な女性の イ では X 染色体が2本
なのに対し,ターナー症候群では X 染色体が1本しかなく,第二次性徴の欠如や不妊が出現
する。また イ 上に存在する遺伝子によって決まる遺伝現象を ウ 遺伝という。例えば
赤
a)
緑色覚異常の原因遺伝子は X 染色体上に存在する遺伝子であり,性別の決定と深い関係を
もって遺伝する。
b)
イ による動物の性決定の様式はヒトと同じ XY 型のほか,XO 型,ZW
型,ZO 型がある。
問1 〔1〕の文中の ア ∼ ウ にあてはまる語句はどれか。最も適当なものを1∼7から選ん
でマークせよ。
1.DNA
2.タンパク質
3.常染色体
5.伴性
6.劣性
7.優性
!
問2 〔1〕の下線部a)について。下記の および
4.性染色体
"の条件にあてはまる両親の組み合わせとし
て正しいものはどれか。それぞれ最も適当な組み合わせを1∼5から選んでマークせよ。た
A
だし,同じ組み合わせを選んでもよい。なお,X と Y は染色体を示し,X は正常な遺伝子
a
をもつ X 染色体で,X は色覚異常の遺伝子をもつ X 染色体であるとする。また,「赤緑色覚
異常のない人」には,ヘテロ接合で赤緑色覚異常の遺伝子をもつ者も含めるものとする。
!
"
赤緑色覚異常のない太郎さん(男性)に,赤緑色覚異常のある姉がいる場合
赤緑色覚異常のない花子さん(女性)に,赤緑色覚異常のある姉がいる場合
a
A
A
2.父 X Y と母 X X の組み合わせ
A
A
a
4.父 X Y と母 X X の組み合わせ
A
a
a
1.父 X Y と母 X X の組み合わせ
3.父 X Y と母 X X の組み合わせ
a
A
a
a
a
a
5.父 X Y と母 X X の組み合わせ
―〔8〕―102 ―
問3 〔1〕の下線部b)について。a∼eのうち,ヒトと同様に イ が XY の組み合わせで雄と
なる生物が2種いる。1∼1
0から最も適当な組み合わせを選んでマークせよ。
a.ショウジョウバエ
b.ニワトリ
c.バッタ
d.ハツカネズミ
e.カイコガ
1.(a,b)
2.
(a,c)
3.(a,d)
4.(a,e)
5.(b,c)
6.(b,d)
7.
(b,e)
8.(c,d)
9.(c,e)
10.(d,e)
a
A
a
問4 〔1〕の下線部b)について。 ウ 遺伝する遺伝子 a が存在し,X は X に対し劣性で,Z
A
は Z に対して劣性である場合,交配実験で遺伝子 a の形質を示す雄が F1全体の2
5%の確
率で現れる組み合わせはどれか。最も適当なものを1∼6から選んでマークせよ。
1.XO 型の生物で,遺伝子 a の形質が現れている雌と,遺伝子 a の形質が現れていない雄
を交配した場合。
2.XO 型の生物で,遺伝子 a を持たない雌と,遺伝子 a の形質が現れている雄を交配した
場合。
3.ZW 型の生物で,遺伝子 a の形質が現れている雌と,遺伝子 a をヘテロ接合で持つ雄を
交配した場合。
4.ZW 型の生物で,遺伝子 a の形質が現れていない雌と,遺伝子 a の形質が現れている雄
を交配した場合。
5.ZO 型の生物で,遺伝子 a の形質が現れていない雌と,遺伝子 a をヘテロ接合で持つ雄
を交配した場合。
6.ZO 型の生物で,遺伝子 a の形質が現れていない雌と,遺伝子 a の形質が現れている雄
を交配した場合。
―〔8〕―103 ―
〔2〕 T2ファージは大腸菌に感染して増殖する ア であり,頭部と尾部から構成される。頭部
の中心には イ が存在し,その外側を ウ でできた外皮が覆っている。また尾部は ウ か
らできている。大腸菌に T2ファージが感染すると,20∼30分後に大腸菌が破壊されて,新た
!
に大腸菌内で合成されたファージが放出される。T2ファージを用いて以下の実験 および
"
を行った。
実験
!
35
32
硫黄の放射性同位元素である S,あるいはリンの放射性同位元素である P を含む液
35
32
体培地で培養した大腸菌に T2ファージを感染させ, S あるいは P で標識された T2
32
35
ファージを得た。この際,新たにつくられた T2ファージ中において P は イ に, S
は ウ に取り込まれた。
"
実験
!
実験 で得られた T2ファージを,放射性同位体を含まない培地で培養した大腸菌に感
染させた。3分後にこの大腸菌を含む培養液を
激しく撹拌し,遠心分離によって沈殿
a)
と上澄みに分けた。
"
図1は実験 の下線部a)の撹拌操作を行った場合と,行わなかった場合で上澄みに含まれ
る放射性同位体の量を比較した結果である。放射性同位体の回収率を Y(縦軸の値)
,上澄み
に含まれる放射性同位体の量を A,大腸菌と混ぜた T2ファージに含まれる放射性同位体の量
を B とした場合,Y は以下の式で表される。
Y=A÷B×1
0
0
35
32
灰色のカラムは S で標識された T2ファージを用いた実験の結果を,黒色のカラムは P
で標識された T2ファージを用いた実験の結果をそれぞれ示している。なお撹拌処理は T2
ファージの増殖にほとんど影響を与えないものとする。
1
00
撹拌なし
撹拌あり
35
35
80
放
射 60
能
回
収 40
率
︵ 20
%
︶
0
S
32
P
S
図1
―〔8〕―104 ―
32
P
問5 〔2〕の文中の ア ∼ ウ にあてはまる語句はどれか。最も適当なものを1∼7から選ん
でマークせよ。
1.DNA
2.タンパク質
3.DNA とタンパク質
5.原生生物
6.細菌
7.菌類
問6
4.ウイルス
"
実験 の下線部a)の工程の目的は何か。最も適当なものを1∼6から選んでマークせよ。
1.大腸菌内で増殖した T2ファージを,大腸菌から分離しやすくすること。
2.大腸菌内に入らなかった T2ファージを,大腸菌から分離しやすくすること。
3.大腸菌の増殖を促進すること。
4.大腸菌の増殖を抑制すること。
5.T2ファージの感染を促進すること。
6.T2ファージの感染を抑制すること。
問7
!
"
実験 および の結果から,T2ファージのどの部分が大腸菌の内部に入ったと考えられ
るか。最も適当なものを1∼5から選んでマークせよ。
1. イ のみ
2. イ と頭部の外皮
4.頭部の外皮と尾部
5.全体
3. イ と尾部
問8 〔2〕
の実験は,1
95
2年にハーシーとチェイスによっておこなわれた研究を参考にしている。
ハーシーとチェイスによる実験から導き出された結論にあてはまる記述はどれか。最も適当
なものを1∼6から選んでマークせよ。
1.大腸菌とバクテリオファージは,同じ仕組みで増殖する。
2.大腸菌とバクテリオファージは,同じ細胞構造を持つ。
3.大腸菌とバクテリオファージは,同じ仕組みでエネルギーを獲得する。
4.遺伝子の本体は イ である。
5.遺伝子の本体は ウ である。
6.遺伝子の本体は イ と ウ である。
―〔8〕―105 ―