今日の内容 電流源を用いた回路の解析方法 電気回路および演習 ホイートストンブリッジ および Y-∆・∆-Y回路変換 重ね合わせの定理 テブナンの定理 岩谷素顕 ポイント:回路解析の基本はキルヒホッフの法則 ⇒解析を容易にするための手法 3-2 3-1 電流源を用いた回路の解析 ※以下の回路においてIを求めよ 1kΩ I 1kΩ 1kΩ 1kΩ ホイートストンブリッジ回路 と回路変形 10mA 3-3 3-4 目標 合成抵抗の求め方 直列接続 a R1 R2 ホイーストンブリッジ b R R1 R2 特殊な回路 R1 並列接続 b a R2 3-5 R 1 RR 1 2 1 1 R1 R2 R1 R2 これ以外の手法を検討する 3-6 下記のような回路を考える 考え方 この回路の考え方は2種類 R1 I3 R5 I 4 I5 I2 R2 R1 R3 I1 R3 I1 この回路の解析は? I R5 I 3 4 I5 R4 I2 R2 I0 I5=0[A]となる場合 ⇒ホイーストンブリッジ(今回) I5≠0[A]となる場合 ⇒Y-Δ結線変換 R4 I0 E E 3-7 3-8 I5=0[A]となる場合 ⇒ホイーストンブリッジ R1 R3 I1 I R5 I 3 4 I5 R2 I2 考え方:キルヒホッフの法則を使う R5に電流の流れない条件 を考える R1 R3 R5 I II R4 キルヒホッフの電流則より、 I1+I2-I0=0 (4) I3+I4-I0=0 (5) I3+I5-I1=0 (6) R4 R2 I0 キルヒホッフの電圧則より -R2I2+R1I1+R5I5=0 (1) -R5I5+R3I3-R4I4=0 (2) R2I2+R4I4-E=0 (3) III E 3-9 いまR5に電流が流れない条件なのでI5=0 ⇔ I1=I3, I2=I4 が成り立つ。 また、式(1)(2)より 結論 R2I2=R1I1、R3I3=R4I4 (7) R1 が成り立つ。したがって、 I1=R2I2/R1=I3 I4=R3I3/R4=I2 R3 I1 (8) (9) I R5 I 3 4 I5 となる。したがって、(8)を(9)に代入して、 I2=R3R2I2/R4R1 ⇔ (R3R2-R4R1)I2/R4R1=0 を満たす必要がある。 すなわち、 R2 I2 I0 R3R2 = R4R1 ・・・(10) なる関係が成立しなければならない。 3-11 が成立する。 E 3-10 3-12 E R4 R 3 R 2 = R4 R 1 を満たす回路のことを ホイートストンブリッジと呼ぶ ホイーストンブリッジ回路の応用例 ホイーストンブリッジ回路の応用例 この抵抗が未知の場合 未知の抵抗がある場合 R3の抵抗は、R1、R2および R4の抵抗を変化させ、R5に 流れる電流を測定して、電 流が0になればR3の値を決 定できる。 R1 R3 I1 I2 R3 I1 I R5 I 3 4 I5 R4 I2 R2 I0 R4 I0 http://www.yokogawa.com/jpmcc/gmi/dc/gmi-2755-001-jp.htm E 3-13 R1 I R5 I 3 4 I5 R2 R3が未知の場合 ホイートストンブリッジ回路 3-14 E こういう回路をどう解析したらよいか? この回路において流れる電流は? Y-∆変換・∆-Y変換 3 回路の変形 1 s a b 1 1 t 3 並列でも直列でもない ホイートストンブリッジ回路でもない 3-20 キルヒホッフの法則でも解けるが面倒 3-19 -Y変換 等価回路と変換 結線方式; Y結線、結線 a相 b相 c相 3-21 Y結線 :電源または負荷 a相 等価的な変換または等価回路とは、回路の中身 は異なっても電圧-電流の関係が同じもの a相 結線 3-22 a相 b相 ブラック ボックスA ブラック ボックスB Y or ? Y or ? c相 c相 b相 b相 c相 同じ電源を接続したとき、電流の大きさは同じ Y結線と結線の変換 等価回路の例 a 1 1 R1 R2 b この考え方を結線およびY結線の回路に適用して、相 左の回路はabから見れば等価 4 R1 等価回路の定義 電圧-電流の関係が同じもの b a R2 4 3-23 3-24 →Y変換 rab b a rca rbc r r r 1 ab bc ca (1) 1 1 r ab rbc rca rab rbc rca r r r 1 bc ca ab (2) 端子b-c間: Rb R c rbc //( rca rab ) 1 1 r bc rca rab rbc rca rab r r r 1 ca ab bc (3) 端子c-a間: Rc R a rca //( rab rbc ) 1 1 r ca rab rbc rca rab rbc 端子a-b間: Ra R b rab //( rbc rca ) a b Ra Rc 等価的に 変換 c Rb c 端子a-b間: rab//(rbc+rca)=Ra+Rb 端子b-c間: rbc//(rca+rab)=Rb+Rc //は並列であることの意味 端子c-a間: rca//(rab+rbc)=Rc+Ra この変換の考え方は、図のように任意の2つの端子間の抵抗を両結 線で等しいようにすることである。導出の仕方としては上のような式 を満たすように抵抗を選べばよいので、計算すると、 3-26 3-25 Y→変換 下の図のように、Y結線の回路を結線回路で等価的に 表現する変換を考える。この変換の考え方は、先の行っ た→Y変換と全く同様の方法で解けるが、ここではいろ いろなとき方を学んでおくために、違う方法について考え てみる。 a b Ra rab a b Rb rca Rc 3-27 互に変換する関係式を求める。この求め方はいくつかあ るが、ここでは単純に合成抵抗の値を比較するという手 法で求めてみる。 c 等価的に 変換 式(1)+式(3)-式(2) Ra rab rca rab rbc rca 式(1)+式(2)-式(3) Rb rbc rab rab rbc rca 式(2)+式(3)-式(1) Rc rca rbc rab rbc rca 右の図のように例えば端子bc a R rab a b a を短絡し、この新たな端子aと Rb の間の抵抗値が等しくなること rca rbc Rc を考えればよい。この短絡する c c 考え方の利点は、結線の一 つの抵抗を短絡することができ、 このため計算式を簡単化でき 短絡する るという点にある。 1 1 1 (4) 端子ab: rca rab Ra Rb // Rc 同様に 1 1 1 (5) 端子bc: rab rbc c 3-28 端子ca: rbc Rb Rc // Ra 1 1 1 rbc rca Rc Ra // Rb (6) b {式(4)+式(5)+式(6)}×1/2より Ra Rb Rc 1 1 1 (7) rab rbc rca Ra Rb Rb Rc Rc Ra 変換式の見方と対称の場合 Rc RR 1 rab Ra Rb a b (7)-(6)より rab Ra Rb Rb Rc Rc Ra Rc (7)-(4)より Ra RR 1 rbc Rb Rc b c rbc Ra Rb Rb Rc Rc Ra Ra (7)-(5)より Rb RR 1 rca Rc Ra c a rca Ra Rb Rb Rc Rc Ra Rb 3-29 3-30 Y→変換の場合 →Y変換の場合 rab a Ra b Rb Rc rca rabはRaとRbにはさまれている。 ・挟まれているRaとRbを足す ・挟まれているRaとRbを掛け て残りのRcを割る。 rbc rab Ra Rb c rab a Ra Rc rca Ra Rb Rc 3-31 b Rb c rbc Raはrabとrcaにはさまれている。 ・挟まれているrabとrcaを掛ける ・3つのrab、 rbc 、rcaを足しこれで割る。 Ra 3-32 対称回路の場合 抵抗が3つとも同じ回路を対称回路という。この場合-Y変 換は下のような関係をとる。 演習で理解しましょう Y-∆変換を実際に使ってみましょう! R a b a b R/3 R 3-33 R c R/3 R/3 c 3-34 rab rca rab rbc rca 演習 次の回路においてab間の合成抵抗R0を求めよ。(有 効数字は2桁とする) この回路でstbは結線を構成してい 1 3 s a bるので、これをY結線に変換すると 1 1 1 1 R1 0.2[] 1 3 1 5 t 3 1 1 3 3 R2 0.6[] 1 3 1 5 3 s a 1 t R1 R2 R3 b 1 3 3 0.6[] R3 1 3 1 5 したがって、全体の合成抵抗R0は R0 3-35 1 1 1 3.2 1.6 演習 抵抗1[]および2[]を下の図のように接続した場合、 端子abに6V加えた場合に、回路に流れる全電流Iを求めよ。 回路を書き換えると右下のように a 結線 a なる。右の部分の合成抵抗Rは 1[] 1[] 1[] 2[] 2[] b b したがって、全体の合成抵抗R0は 1 3 R0 0.6 2 5 1 3 したがって、回路に流れる全電流I は、オームの法則より、 2[] 2[] a’ a 1/3[] 1[] 1/3[] 1/3[] 0.6 1.7[] 2[] b 3-36 1 1 3 R 3 33 2 7 7 1[] 1[] 1[] 1[] 1[] 2[] I b’ E 6 10[ A] R0 0.6 重ね合わせの定理が有効な代表的な 回路 重ね合わせの定理 R1 電源が2個以上ある回路では有用 I R4 E R2 V R3 R5 実際の問題は演習問題にあります 3-37 3-38 重ね合わせの定理 重ね合わせの定理の考え方 複数の電源があると考えにくい できれば別々で考えたい V V 3-39 I 回路 線形回路が多数の信号源を有する場合、任意の節点間 電圧、任意の枝電流は、個々の信号源が単独で存在し ている場合の値の和に等しい。ただし、考えていない電 圧源は短絡除去、電流源は開放除去するものとする。 複数の電源と分岐がある回路で、1つだけ電源を残した 回路図を電源毎に用意して、回路図毎に電圧(電流)を 求め、最後に全回路図の電圧(電流)を合計して回路解 析を行う方法 ステップ1 : 電源を1つだけ残した回路図を、電源毎に 作成する ステップ2 : 回路図毎に電圧(電流)を求める ステップ3 : 電源毎に求めた電圧(電流)を合計する 3-40 例題 下に示す回路において、V2を求めよ。ただしを重ね 合わせの定理を用いて解け R 考え方 複数の電源があっては考えにくい ① この電圧源に注目した場合 1 この電圧源は短絡 V V I R2 銅線で結ぶ I V V2 回路 線を切る 全ての電流源・電圧源に対し てこれを行い足し合わせる =重ね合わせの定理 この電流源は開放3-41 3-42 解法 R1 ①電流源を開放する。 テブナンの定理 V このときの電圧V2’は R2 V2 V R1 R2 R2 ②電圧源を短絡する。 このときの電圧V2’’は R R 短絡 V2 1 2 I R1 R2 したがって、重ね合わせの定理より R2 V IR1 3-43 V2 V2 V2 R1 R2 開放 回路を等価回路に書き換えて解法 V2’ R1 I R2 V2’’ 3-46 想定している回路 テブナンの定理 6 2 4 a 5V 1A RLに流れる電流を求めたい場合 RL=3 b 図(a)のように多数の電源を含む回路の端子n-n’より左側の 部分は、図(b)のように等価表現して計算を容易にする定理 キルヒホッフの法則でも解ける n ⇒かなり煩雑 詳しくは演習問題に同じ問題があるので各自 で実施して下さい n I Vo ZL n’ (a) 3-47 ZL 回路 テブナンの定理を使えば容易になる Zo I (b) 等価回路 n’ 負荷電流 I は、I =V0/(Z0+ZL) 3-48 テブナンの定理の使い方 ステップ1:注目する部品にかかる電圧Vを求める ステップ2:電圧源を短絡、電流源を解放した状態で、注目 部品以外の合成抵抗を求める ステップ3:合成抵抗と注目部品と電圧Vの電源が直列回 路を構成していると仮定して、注目部品に流れる電流を求 める 例題 下に示す回路において、負荷RLに流れる電流 I をテ ブナンの定理を用いて求めよ。 1 R1 2 I V R3 R2 短絡 2‘ R4 1 Vo 回路 Zo 回路 短絡 RL テブナンの定理を使ってVO、ZO を求めたい。この時回路は、そ れぞれ下記の図a、bのようにな る。 R1 R1 2 R2 V R3 R2 VO 開放 R4 1‘ 3-49 (c) Voを求める回路 ZO R3 (d) Zoを求める回路 2‘ R4 図a 3-50 図b テブナンの定理の考え方 1 R1 テブナンの定理の使い方 2 I V R3 R2 この抵抗に注目 ① RLを外す ② この状態で2と2’の電位差を求める 1 RL R1 2 V R3 2‘ R4 この回路を解析するのは結構面倒 ただ、RLだけの電流・電圧を求めればよい 3-51 簡単にできればそれのほうが良い⇒テブナンの定理 3-52 R2 ここの電位差を求める 2‘ R4 テブナンの定理の使い方 ③ 電流源は開放、電圧源は短絡する ④ 2-2’から見た合成抵抗を求める 1 R1 2 V R3 テブナンの定理の使い方 求めた、V0とインピーダンスを下記のように考 えて電流、電圧を考えればよい! Zo 2と2’から見た合成 抵抗を求める R2 n I Vo ZL R4 3-53 2‘ 電圧源は短絡、電流源は開放 3-54 1 R1 R1 2 今日のまとめ R2 V R3 R2 VO R3 ZO ホイートストンブリッジ ブリッジ回路の平衡条件:R3R2 = R4R1 Y-∆変換・∆-Y変換 重ね合わせの定理 R4 1‘ R4 図a したがって VO V21 V1 2 ZO 2‘ 図b 複数の電源と分岐がある回路で、1つだけ電源を 残した回路図を電源毎に用意して、回路図毎に 電圧(電流)を求め、最後に全回路図の電圧(電 流)を合計して回路解析を行う方法 ( R2 R3 R4 R1 ) R2 R4 V V V R1 R2 R3 R4 ( R1 R2 )( R3 R4 ) RR R R ( R R4 ) R3 R4 ( R1 R2 ) R1 R2 3 4 1 2 3 R1 R2 R3 R4 ( R1 R2 )( R3 R4 ) テブナンの定理 多数の電源を含む回路を等価変換して計算を容易に する定理 が得られ、抵抗RLに流れる電流Iはテブナンの定理より I VO ( R2 R3 R4 R1 ) V Z O RL R1 R2 ( R3 R4 ) R3 R4 ( R1 R2 ) ( R1 R2 )( R3 R4 ) RL 3-55 3-59
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