別紙様式第2号 学位論文及び審査結果の要旨 横浜国立大学 氏 学 位 の 学 位 記 種 名 類 韓 書平 博士(工学) 番 号 環情博甲第 337 号 学 位 授 与 年 月 日 学 位 授 与 の 根 拠 学 府 ・専 攻 名 学 位 論 文 題 目 論 文 審 査 委 員 平成 26 年 3 月 26 日 学位規則(昭和 28 年 4 月 1 日文部省令第 9 号)第 4 条第 1 項及び 横浜国立大学学位規則第 5 条第 1 項 環境情報学府 環境リスクマネジメント専攻 Evaluation of Bioavailability and Ecological Risk Assessment Incorporating Bioavailability for Metals in River Waters (河川水中金属の生物利用性および生物利用性を考慮した生態リス ク評価) 主査 横浜国立大学 教 授 益永茂樹 横浜国立大学 教 授 松田裕之 横浜国立大学 准教授 亀屋隆志 横浜国立大学 教 授 雨宮 隆 産業技術総合研究所 主任研究員 内藤 航 論文及び審査結果の要旨 韓書平の学位論文は、金属が水生生物に与える毒性が、その存在形態および生物利用性に よって左右されることに着目し、Diffusive Gradients in Thin-films (DGT)法による生物利 用性金属画分の定量と、Windermere Humic Aqueous Model (WHAM, ver. 5.0, 6.0, and 7.0) を利用した水質パラメータに基づく金属の存在形態の推定結果とを比較検討し、生物利用性 を取り込んだ生態リスク評価に取り組んだものである。 第一章では既存研究についてレビューし、本研究の目的と論文の構成について説明した。 第二章では、水質パラメータや DGT による測定方法、モデルによる生物利用性金属画分 の推算方法などについて紹介した。 第三章では、水質の異なる日本と中国の河川における測定結果について報告した。DGT によって測定されたニッケル(Ni) 、亜鉛(Zn)、銅(Cu)、および鉛(Pb)の生物利用性画 分の割合は、有機炭素濃度が低い場合に高くなり、また、金属による生物利用性画分の割合 は、Zn>Ni>Pb>Cu の順であった。WHAM による金属の形態別推定と DGT 測定結果は、 一般に Ni、Cu、Zn では一致が見られるが、Pb ではモデルが生物利用性を過少評価するこ とを明らかに、その原因として、鉛とコロイド性酸化鉄としての存在割合が高いことを指摘 した。 第四章では、種の感受性分布に基づいた生態リスク評価について、金属の生物利用性を組 み込むことによる評価結果の変化について検討し、水質パラメータに基づいて推定した生物 利用性が溶存有機炭素や硬度によって低下することで、既存リスク評価は安全側の結果を出 していると評価した。しかし、小数の例では逆の結果になる場合があった。結果として、生 物利用性を考慮した生態リスク評価が必要なことが示された。 第五章では研究から得られた成果と結論を述べた。 以上のように、韓書平の学位論文は、金属に対する生態リスク評価の精緻化に対して貢献 しており、博士(工学)の論文として十分な内容を有すると審査委員全員が一致して認めた。 注 論文及び審査結果の要旨欄に不足が生じる場合には、同欄の様式に準じ裏面又は別紙によること。
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