ロッキードP38ライトニング

#1419、2014年7月6日
今週の話題
ロッキードP38ライトニング
P38と聞いて第二次世界大戦中に「双胴の悪魔」呼ばれて恐れられた米国陸
軍の双発戦闘機ロッキードP38ライトニングを思い出す人はかなり古参の航空
ファンでしょう。記憶はさだかではないのですが、私は小学生の時に、駐留軍の
機体が飛んでいるのを見たことがあります。大型で双胴双発という特異な形状は
強く印象に残りました。それから半世紀以上が過ぎ、再びP38にめぐり会う機
会に恵まれたのです。
極最近のことですが、商用で西海岸のロスアンゼルス国際空港訪れた際に、現
地の友人は滑走路の脇のレストランに案内してくれました。車を降りたところで
迎えてくれたのは、チャンスボートF4Uコルセア艦載戦闘機でした。その後に
は英国の名戦闘機スーパーマリンスピットファイアが控えています。レストラン
の後にまわると、一番前に鎮座していたのがくだんのP38です。その後にはグ
ラマンF6Fヘルキャット、ノースアメリカンP51ムスタンング、ドイツの戦
闘機メッサーシュミットBf109、さらには、最初の超音速実験機ベルX−1、
旧ソ連の初期のジェット戦闘機ミグM−17まで並んでいます。その他旧い複葉
機なども含めると、第二次大戦前後の名機といわれた軍用機十数機が、きちんと
補修塗装された上で展示されているのです。残念ながら日本の戦闘機は見当たり
ません。
これらの飛行機は、全てレストランのオーナーの個人的なコレクションだそう
で、広いレストランの敷地を公園風に整備して機体を展示し、だれでも自由に見
られるようにしているのです。それぞれの機体の説明も、石に彫ったしっかりし
たものです。このような旧いメカのコレクションには、資金力も必要ですが、と
にかく好きでなくてはできません。米国では、このような篤志家によるコレクシ
ョンや公開展示は決して珍しくありません。特にクラシックカーは愛好家も多く、
旧い車体を自分で修理して展示したり、乗り回したりしています。街の中を、き
れいな塗装の50年代、60年代の車が走っていますし、時にはT型フォードを
見かけたります。私が見聞した例では、何人かの愛好者が集まってNPOを組織
して、まとまった数の蒸気機関車と鉄道車両を集め、修理した上で、実際に動か
していました。そのような中でも、今回見ることができた戦闘機のコレクション
は非常に高いレベルにあるといえるでしょう。
それにしても、このような旧いメカを修理するには、まずは好きなことが大事
ですが、ある程度の知識と経験、それに最低限度の道具類は必要です。米国では、
自宅のガレージの空いたスペースに作業台と工具類を並べているのは一般的です
し、ちょっと凝り性の人は小型の工作機械を設置して日本の町工場並みの加工能
-1-
力を持っています。少し前までは、一般的な日本人の認識は、「図体は大きいけ
れども、緻密な細工ができない不器用なアメリカ人」だったのではないでしょう
か。それは的外れといわざるをえません。一方日本では、近年民生用電子機器ブ
ラックボックス化が進み、素人は、改造はおろか、ちょっとした修理もできなく
なっています。それだけが原因だとはいいませんが、日本の子供達の理科嫌いが
進んでいわれる所以です。アメリカ人、特に軍隊を経験した人間はちょっとした
メカのトラブルは自分で何とか直そうとします。そこに新しい発見や工夫が生ま
れます。日本では、ちょっとした故障でも、新しい製品を買ってしまいます。そ
れどころか、最近の携帯用電子機器の場合には、2年とたたない内に、新しいモ
デルに買い替えてしまいます。そこには決まりきったお仕着せの使い方があるだ
けで、創造性はほとんど感じられません。最近の日本の民生用電子機器の衰退、
発想の貧困さをみるにつけても、米国の技術カルチャーの裾野の広さに裏付けら
れた底力の大きさを感じます。このまま、手をうたなければ、日米の差は開く一
方でしょう。
DKNリサーチ、沼倉研史(マネージング・ディレクター)
今週のヘッドライン
2014年7月6日
1.ZVEI(ドイツの業界団体)6/16
4月のドイツプリント基板業界のB/Bレシオは0.92。第1四半期の出
荷額は3.6%増加したものの、4月の受注は8.5%の減少。
2.Corning(米国のガラス材料メーカー大手)6/18
ディスプレイ用ガラスサブストレートの上に透明なセンサー回路形成する技
術を開発。携帯電話で体温や血糖値の計測が可能に。
3.TE Connectivity(スイスのエレクトロニクス企業大手)6/18
米国マサチューセッツ州のセンサーメーカー大手の Measurement
Specialties Inc.を約17億ドルで買収することで合意。
4.MarketsandMarkets(米国の市場調査会社)6/19
世界のエレクトロニクス用接着剤の市場は、2019年には55億ドルに達
すると予測。年あたりの平均成長率は10.08%。
5.Molex(米国のコネクタメーカー大手)6/18
イタリアの大型コネクタメーカーFlamar Cavi Elettrici S.r.l.を買収する
ことで合意。
6.Quanta Computer(台湾のエレクトロニクス企業大手)6/19
-2-
米国 Apple 社がリリースする推測されている新製品 smartwatch の量産を7
月から開始。
7.Samsung Electronics(韓国のエレクトロニクス最大手)6/20
ベトナムでの生産能力拡大へ積極投資。携帯電話の組立工場だけで45億ド
ルを投資。(2工場)
8.IDC(米国の市場調査会社)6/20
2014年第1四半期における大型プリンターの出荷は81500台で、前
年同期比で7.4%の成長。
9.AWS(英国のエレクトロニクス企業)6/20
激化する市場のコスト競争に対応するために、安い労働力が得られるスロヴ
ァキアでの生産体制を推進。
10.Innolux(台湾のディスプレイメーカー大手)6/20
新規ユーザーの需要に対応するために、IGZO、AMOLED を含む生産ラインの能
力を拡大強化へ。
11.ZD Technology(台湾フレキシブル基板最大手)6/23
第1四半期の出荷額は、前年同期比で21.9%増の147.8億台湾ドル。
携帯電話メーカー向けが堅調。
12.Hon Hai(台湾のEMS最大手)6/23
米国 Apple 社の新しい iPhone の量産立ち上げのために、中国で新たに十万
人以上を雇用へ。
13.Samsung Electronics(韓国エレクトロニクス最大手)6/23
ベトナムに研究開発の拠点を構築へ。地元の大学や研究機関とも緊密な協力
関係。
14.Samsung Electronics(韓国エレクトロニクス最大手)6/23
2013年の特許ファイル件数は、携帯電話関連で2179件、半導体チッ
プ関連で1362件、スマートメディア関連で245件。
15.ZD Technology(台湾フレキシブル基板最大手)6/23
第3次5ヶ年計画(2015年スタート)を策定。総投資額は、中国
Jiangsu の新工場を含めて、300億台湾ドル。
16.Compal(台湾のエレクトロニクス企業大手)6/24
-3-
地元の Chang Gung 大学の協力を得て、スマートな衣類やヘルスケア製品の
ための研究開発センターを開設へ。
17.PCB Techvest(台湾の基板メーカー大手)6/24
ノートブックPC向け基板市場でのシェアを、現在の20%から、25%以
上に引上げるために、今年中に生産能力を150万平方フィート増強する計
画。
18.DIGITIMES(台湾の業界メディア)6/25
2014年第1四半期における3Dプリンターの出荷は26800ユニット。
急激な立上がり。
19.Compal(台湾のエレクトロニクス企業大手)6/25
ウェアラブルエレクトロニクスを牽引するデバイスとして、腕時計タイプで
はなく、シューズタイプに注目。
20.Isola(米国の基板材料メーカー大手)6/26
100Gビット帯のイーサネット用に、新たに超低損失の銅張積層板シリー
ズ Tachyon-100G をリリース。
(注)このヘッドライン・ニュース・レターは速報性を重視するために、若干の
誤訳や数字の変換に誤りがある場合もございます。ご了承下さい。
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