兵庫教育大学 研究紀要 第45巻 2014年 9 月 pp 89 99 - Tanger Pitzer 式 を用いた H20 -Nac l 系における飽和水蒸気圧と 臨界点の計算 -Nac l by Calculation of vapor pressures and critical points in the system H20 the Tanger Pitzer equation - i、 江 靖 弘* SHIBUE Yasuhiro 300℃以上臨界温度までの H20 Nac l 系の飽和水蒸気圧をi 江 (2012a, 兵庫教育大学研究紀要, 40, 79 91) およ びI 江 (2012b, 兵庫教育大学研究紀要, 41, 57 68) が示 し た Tanger Pitzer 式 を用い る計算 プロ グラ ムを使用 し て求めた。 H20 -Nac l 系 の質量モ ル濃度は0.5, 1.5, 2.5, 3.5, 4.5 met/kg であ る。 臨界温度 と 臨界圧力 の計算値 を Fuentevi11a et al. - (2012, Int. J. Thermophys., 33, 943 958; 2013, Int. J. Thermophys., 34, 384) と比較す る と , 本研究で求めた値の方がい ずれの計算値 につい て も 高い。 キーワ ー ド : 塩化ナ ト リ ウム水溶液, 臨界温度, 臨界圧力, 飽和水蒸気圧 Key words : aqueous sodium chloride solution, critical temperature, critical pressure, vapor pressure ル ツエ ネ ルギー A を d, vc , y を用い て次のよ う に表す 1 . は じ めに 出 t i 江 (2003) は Tanger Pitzer 式 (Tanger and Pitzer, 1989) を用いて H20 Nac l 系 と H20 KC1系 に関す る 飽和水蒸気圧を計算 し た。 こ の計算方法を, その後, 、 - - こ と がで き る。 - - A= Aw十vc y[ b,o/d十b,, (Ind十1/d) ] 十RT [ylny (1十y) In(1十y) ] 十yGs - 江 (2012a, b) が計算 プロ グラ ムと し て示 し てい る。 Tanger and Pitzer (1989) は H20 Nac l 系 におけ る臨界 点 を示 し てい るが, その計算方法 を示 し ていない。 こ の -v c y2b2o/d (1) 式 (1) 中の R は気体定数である。 Gs は温度 にのみ依存す 、 た め に出 t i 江 (2003, 2012a, 2012b) では, こ れら の系 に る関数 と し て定義 さ れてい るので へルムホルツエ ネ ルギー おけ る臨界点 (温度 圧力 組成) を求めてい なかっ た。 を 表 す式 (1) 中 に そ の ま ま の形 で 現 れ て い る ( Tanger 本研究 では, Tanger Pitzer 式 を用い た臨界点の計算方 and Pitzer, 1989) 。 Tanger and Pitzer (1989) は式 (1) 中 和水蒸気圧 を計算す る。 そ し て , H20 - - Nac l 系の飽 Nac l 系の臨界 法 を示 し , 300° C以上臨界温度ま での H20 の経験的係数 (b,。, b,,, b2。) を次の三式で与え た。 =- 29984.4十19.0285T十6.65541 ・ 10' 点に関す る最近の報告 (Fuentevi11a et al., 2012, 2013) と 比較す る。 b,o 2 - 2 . Tanger Pitzer 式 38 20 を示す。 温度が T (単位は絶対 温度) で 1 モ ルの水に y 3 23 T 7 (2) 4 Tanger Pitzer 式 の詳細 を i 江 (2012a, b) 中で示 し てい るので, こ こ では臨界点 の計算 と 関連す る部分 だけ T 3 T 5 3 -1.20069 ・10' b,,= 3928.3- 10.5947T-6.0751 ・10 T ' b = 14121.9 -27.0731T-2.57142 ・ 10 8 モルの塩が溶解 し てい る水溶液 を考え る。 こ の水溶液の Tanger and Pitzer (1989) は水溶液のギ ブ スエ ネ ルギー 密度 が daq ( 単 位は g/cm3 ) と す る 。 Tanger and Pitzer (1989) は水溶液中におけ る塩の質量分率 w を用いて, を表す式 も示 し てい るが, こ の式は温度 と d を変数 に し てい る。 圧力 を変数 に取 っ てい ないので こ こ では使用 し 水溶液中におけ る仮想的な水の密度 dwを daq (1 w) と ない。 等 し い と お い た。 そ し て , dw を 純水 の臨界点 に おけ る 密度 (do, 0.322 g/cm3) で割 っ た値 を d と 表 し た。 ま た, さ て, Tanger and Pitzer (1989) は純水 の性質 を Haar et al. (1984) を用 い て求 め て い る 。 Pitzer and Tanger do の逆数 を vc と 表 し た。 純水 1 モ ル当 た り のへル ムホ (1988) が指摘 し てい るよ う に, Haar et al. (1984) が ルツエ ネ ルギー Awと 水溶液中での塩 1 モ ル当 た り のギ 与え た状態方程式は臨界点付近での純水の性質 を完全に ブ ス エ ネ ル ギ ー Gs, そ し て 3 つの温度 に依存 す る経験 表現 で き てはい ない。 さ ら に , Haar et al. (1984) は, 的係数 (b,。, b,,, b2。) を用 い て , こ の水 溶液の へル ムホ 臨界点 の温度 を373.976 ℃, 圧力 を22.055 MPa, do を * 兵庫教育大学大学院教育内容 ・ 方法開発専攻認識形成系教育 コ ース 89 平成26年 4 月21日受理 出 ti 江 靖 弘 、 0.322g/cm3と し て い る。 現 在 の国 際標準 (Wagner and ト リ ウ ムの モ ル質 量 を Pitzer et al. (1984) が使用 し た Prufi, 2002) では, 臨界温度が373.946° C , 臨界圧力 が 値 と同 じ値に取 っ た。 22.064 MPa, 臨界密度が0.322g/cm3で あ る。 臨界温度 と 臨界圧力が現在の標準値 と 食い違 っ てい るので, Tanger 三箇所目は プロ グラ ム中の変数 Yv M Ax の値 と 関連 - す る。 社 江 (2012a, b) が作成 し た計算 プロ グラ ムでは, Pitzer 式 を用い た計算 は純水の臨界点付近で正確ではな 気相中で水 1 モ ルに溶解 し てい る モ ルで表 し た塩の物質 い o 量 (YV) の上限 (YVMAX) は液相中での溶解量 (YL) よ り 0.001小 さ く な るよ う に取 っ てい る (出 t、 i江, 2012a, p. 89, line 22600 ; i 江, 2012b, p 63, line 22600) 。 臨界 3 . 飽和水蒸気圧の計算 本研究では i 江 (2012a, b) が示 し た計算 プロ グラ ム 点付近におけ る気液平衡 を計算す る時には Yv と YL の 、 に多 少の修正 を加え て, 300℃から 臨界温度 ま で 5 ℃刻 値 が近 く な る の で , こ こ で は YVM AX の値 を YL みで飽和水蒸気圧 を計算す る。 濃度条件 を質量モ ル濃度 0.00001 に 取 っ て い る 。 水 1 モ ル当 た り に 換 算 し て と 塩 の モ ル分率 で示 す と , 0.25 met/kg ( モ ル分率 が 0.00001モルの違いは, 水 1 kg 当たり 0.00056モル程度の 違い に相当す る。 液相中での塩の濃度が0.1 met/kg で あ 0.00448) , 1.5 met/kg ( モル分率が0.02631) , 2.5 met/kg (モル分率が0.03478) , 3.5 met/kg (モル分率が0.05931) , れば気相中での塩濃度は0.09944 met/kg が上限と な る。 4.5 met/kg (モル分率が0.07499) である。 Yv の上限値 を設け てい るので, 非常 に低い濃度領域で 本研究で加え た修正箇所は次の三箇所であ る。 まず, は臨界点付近での計算結果が収束 し ないか大 き な誤差 を 出 t i江 (2012b) のp 61の下から11行目に line 12250と し 含 む可能性があ る。 なお, 気相中での塩の濃度は常に液 て次の命令文 を示 し てい る。 相中での濃度 よ り 小 さ く な る よ う に し てい るので, こ の 計算 プロ グラ ムでは臨界点 を正確に計算す る こ と はで き ない。 12250 DRL0= DAQ* (1#-WTL/100) /RHOC:DRV0= 飽和水蒸気圧の計算 では, 逐次近似 で得 ら れた i 回日 DWATER/RHOC の解 と i 十 1 回目の解の間 で次 の三つの不等式 が同時 に こ の命令文中の WTL を WLNACL に改めたも のを使用 成立 し た時に計算が収束 し た と判定 し てい る。 し た。 5 < - - y vaPor (1十1) / y vaPor(1) 1<-10 5 5 10 12250 DRL0= DAQ* (1#-WLNACL/100) /RHOC:DRV0= _ 10 5< d11qu1d(1十1) /d11quld(1) _ 1< 10 5 7 こ の修正はin 江 (2012a, p. 80) 中で示 し た初期推定値 5 6 「('+' )/dVaP 「(') 1< 10 10 5< dVaP° ° DWATER/RHOC の計算 と 関係 し てい る。 i 江 (2012a, p 80) 中でp qu' 、 d 定値の計算 を正 し く 行 う ための も のであ る。 ただ し , 修 社江 (2012a) 中で示 し た不等式 (11) から (13) およ び、 江 (2012b) 中で示 し た不等式 (11) から (13) に誤り があ 正前の計算 プロ グラ ムを用い て も 収束が遅 く な る も のの り , 正 し く は上記の三つの不等式であ る。 か ら dhqu'd を計算 し て い る が, 今 回 の修正 は こ の初期推 、 さ て, 出 i i 江 (2012a, b) 中で示 し た計算 プロ グラ ムで 計算結果は全 く 同 じ にな る。 二箇所目はサブルーチ ン*BLOCKDATA と 関連す る。 は, 液相の密度, 気相の密度, およ び気相中での塩濃度 の推定値 を入力 す るか どう かの問いかけ が行われる よ う i、 江 (2012b) はサブルーチ ン*BLOCKDATA と し て i、 と 同 一 の も の を 使用 し た と 記 し , i 江 にな っ てい る。 入力 し ない場合 には, 液相の密度の初期 (2012a, p. 90) 中で示 し たこ のサブルーチ ンの プロ グラ 推定値 を350° C以下での密度の測定値から求めた回帰式 江 (2012a) 、 ムリ ス ト (line 28100) では気体定数 を純水 1 g 当 たり を利用 し て計算す るよ う にな っ てい る。 こ の温度範囲で の値に換算 し た値が0.461518 J/g K にな っ てい る。 Pitzer は気相中 に含 ま れてい る塩 の濃度は極めて低いので気相 et al. (1984) に し たがっ て, 水のモル質量を18.01534 g/ の密度や気相中の塩濃度の初期推定値にも合理的な理由 mol, 気体定数を8.31441 J/mol K と取 っ た時に求めるこ があ る と 言え る。 し たが っ て, 350℃以下では液相の密 と がで き る値 で あ る。 し たが っ て, 水 1 モ ル当 た り のギ 度, 気相の密度, およ び気相中での塩濃度の推定値 を入 ブスエ ネ ルギーの値は Haar et al. (1984) が使用 し た気 力 す る必要はない。 し か し なが ら , 350℃を超え る温度 体定数 と 水のモ ル質量か ら計算 で き る値 と 同一 にな る。 では, 回帰式 を用い た液相の密度の計算値, 気相の密度 本研究では Haar et al. (1984) の計算式 を そのま ま使用 や気相中での塩濃度の値が初期推定値 と し て適切ではな す るこ と を考え て, Haar et al. (1984) が使用 し た気体 い こ と が起 こ り 得 る。 特に液相中の塩濃度が高い場合や 定数 (0.461522 J/g K) を用い る。 そ し て, 水と塩化ナ 温度が350℃よ り は る かに高い場合 にはそ う で あ る。 こ 90 Tanger Pitzer 式 を用い た H20 Nac l 系 におけ る飽和水蒸気圧 と 臨界点の計算 の時に計算が収束 し ない こ と も あ っ た。 計算が収束 し な で, 本研究では二番日の不等式 を臨界点の条件に含めな か っ た場合 には次の手順で求めよ う と し てい る温度 と 塩 いo 濃度での気液平衡計算の結果 を得 た。 ま ず, 350℃で求 水溶液のギ ブ スエ ネ ルギーを水 と 塩の物質量 ( モ ル) めよ う と し てい る塩濃度条件での気液平衡計算 を行う 。 の総和 で割 っ た値 を G, 塩 の モ ル分率 を x と 表す と , 得 ら れた液相 と 気相の密度およ び気相中での塩濃度 を初 二成分系 におけ る臨界点は次の二つの等式 を満足 す る 期推定値 に用いて, 少 し温度 を高 く し て気液平衡計算 を ( 藤代 ・ 黒岩 , 1966, p. 120; Rowlinson and Swinton, 行 う 。 得 ら れた結果 を用 い て, さ ら に温度 を高 く し て気 1982, p i t6)。 液平衡計算 を続け る。 こ の操作 を繰り 返すこ と で目的 と (∂2G/∂x 2) T p =0 ( 3G/0x 3) T p =0 8 し てい る温度条件での気液平衡計算の結果 を得 るよ う に し た。 臨界点付近では計算が収束 し に く く , 本研究では 9 1° C刻 みで温度 を上げてい き ながら目的 と す る温度条件 での気液平衡計算 を行 っ た。 なお, 温度 を徐々に高 く し てい き なが ら計算 を続け る 一成分系で触れた (∂3p/0v 3) Tに対応す る条件 を二成分系 方法の他に も , 目的 と す る温度条件で濃度 を徐々に下げ で も得 る こ と がで き るが, 先 に記 し た理由 で こ こ では考 てい き ながら計算 を進め る方法 も考え ら れる。 初期推定 え ない。 そ し て, 式 (8) と式 (9) を解い て求 め る こ と がで 値 を入力 し ない場合 には高濃度条件の方が収束 し やすい き る臨界圧力 が正 であ れば臨界点 を求 め る こ と がで き た こ と を利用 し てい る。 た だ し , こ の方法 では収束 し ない こ と に な る。 こ と も珍 し く なか っ た。 4.2 連鎖律の適用 4 . 臨界点の計算方法 式 (1) を用 い る た め に , ギ ブ スエ ネ ル ギ ー を用 い て 表 4.1 臨界条件 し た式 (8) と 式 (9) を へル ムホ ル ツエ ネ ルギ ー に よ っ て表 一成分系 で は, 圧力 p, 1 モ ル当 た り のへルムホ ル ツ エ ネ ルギー A, す 必要があ る。 水 溶液 のへル ムホ ル ツエ ネ ルギ ー と 体積 を水 と 塩の物質量 ( モ ル) の総和 で割 っ た値 を A と v 1 モ ル当 た り の体積 v に関 し て臨界点 と 表す と , 次の関係式 が成立す る。 で次の二 つの等式 が成立す る (Rowlinson and Swinton, 1982, p 61)。 (10) G= A十pV ( A/∂v ) T = 0 2 2 まず, 式 (10) の両辺 を p, T を一定に し て x で偏微分す (03A/∂v ) T = 3 る と 次 のよ う に な る。 0 (∂G/∂X) T, p = (∂ Rowlinson and Swinton (1982) は, 上記二条件以外 に X) T,p十p(∂Vie'X) T, p (11) 次の二 つの不等式 が臨界点 で成立す る と 記 し てい る。 式 (11) の右辺 で一定にす る変数 を p と T の組み合わせ p> 0 から T と v の組み合わせに変換す る こ と を考え る。 こ (03P/∂v 3) T< の変数変換については, 宮原 (1976, p. 124 129) など が既 に示 し てい るが, こ こ では合成関数の偏微分法 にお - 0 け る連鎖律 を適用 し て同 じ結果 を得 る こ と がで き る こ と を示す。 最初の条件は自明で あ り , こ の条件 を満足 し てい るのか どう かは, 臨界圧力 の計算値から判定で き る。 二番日の あ る関数 L が 1, m, n を変数に し てい て, 関数 L は 不等式 は成立 し ない場合があ り 得 る。 Sengers and Levelt 微分可能であ る と す る。 そ し て, l, m, n は, 変数 x, Sengers (1978) が示 し た例 によ る と , 臨界点 で (∂3p/ y, z の微分可能な関数であ る と す る。 こ の時, L は x, v 3) 5 4 Tと (∂4p/0v ) Tが 0 であり (∂5p/∂v ) Tが 0 ではない y, z の微分可能な関数 と な る。 そ こ で , 偏微分法の連 条件 を考え るこ と がで き る。 さ ら に, 臨界点付近での気 鎖律 よ り 次の関係式が成立す る。 液二相平衡状態を考え る時に, 二番目の不等式が成立す る状態方程式 では測定結果 を う ま く 表現で き ない こ と が ( L/olx) y, z = (∂L/∂1) m, n ( 1/∂x) y, z十( LIO'm) l, n 明 ら かに な っ てい る (Sengers and Levelt Sengers, 1978, ( p i t4) 。 Rowlinson and Swinton (1982) 中で も , 実験 値は ( 3p/∂v 3) T の値が 0 に近い と 記 さ れてい る。 そ こ ∂x) y, z十( LIO'n),, m( ∂x) y, z (12) 式 (12) におい て, 1≡x, m≡y の場合 を考え る。 つま り , 91 出 ti 江 靖 弘 、 (∂2G/∂x 2) T p = (∂2 x2) T (∂p/∂X) T,v(OV/∂X) T, p L を L (x, y, z) と も L (x, y, n) と も 表す こ と がで き - る場合 を考え る。 例えば, 本研究で考え てい る二成分系 流体の性質は塩のモル分率, 温度, およ び圧力の関数と v (18) し て表すこ と ができ るが, 同時に, 塩のモル分率, 温度, こ こ で, p= p(T, v , x ) から (∂v /Ox ) T, p を求 め る こ と お よ び体積の関数 と し て表す こ と も で き るはず で あ る。 を考え る と , 次の関係式 を得 る こ と がで き る。 l≡x, m≡y の場合には, (∂l/Ox) y, z = 1であり , (0 Ox) y, z = 0 であ る。 後者の等式は, y (す なわち m) が一定で (∂V/∂X) T, p = (∂V/0p) T,x/ (OX/∂p) T,v (19.1) あ るこ と から生 じ る。 こ の時, 式 (12) は次のよ う にな る。 (∂p/∂X) T,v/ (∂p/∂V) T, x ( L/o'x) y, z = (∂L/∂1) m,n十( L/o'n) 1,m(∂n/∂x) y, z (19.2) (13) そこ で, 式 (18) の右辺に式 (19.2) を代入するこ と で次式 連鎖律によ っ て求めた式(12) と式(13) を式(11) に適用す る。 式 (12) の左辺中の L は水溶液のへルムホルツエ ネ を得 る こ と がで き る。 ルギー A, x は x , y は T, z は p を表 し てい る と 考え る。 (∂2G/∂x 2) T p = (∂2 そ し て, 1 は x と 同一であり , m は T と 同一である と し , 十[ (∂p/∂X) T, v ] 2/ (∂p/∂V) T, x x )T v 2 (20) n は水溶液の体積 v を表 し てい る と 考え る。 こ のよ う に l, m, n, x, y, z を置換す る と , 式 (13) を次のよ う に p は一(∂ 表す こ と がで き る。 す こ と も で き る。 v ) x, Tと 等 し いので, 式 (20) を次のよ う に表 (∂2G/∂x 2) T p = (∂2 0x2) T v (∂2A/∂v∂x ) 2/ (02A/∂v 2) T x (aA/∂X) T, p = (∂A/OX) T, v十 (a A/∂V) x, T(OV/∂X) T, p (14) - 式 (14) の右辺 に現れる (OA/∂v ) x, Tは一p と 等 し い。 し たがっ て, 式 (11) の右辺の第一項に式 (14) を代入するこ と で次式 を得 るこ と がで き る。 (21) 式 (21) は McGlashan (1979, p. 182) が示 し た式に相当 す る。 式 (21) と 同様 に, 式 (9) も へルムホル ツエ ネ ルギー を ( G/OX) T, p = (∂A/∂X) T, v 十 ( 十p( V/OX) T, p OV) x, T(∂V/∂X) T, p 用い て表す こ と がで き る。 式 (21) の両辺 を T, p を一定 に し て x で偏微分 し て得 ら れる式 を考え る。 まず, 等 (15.1) 式 (13) 中の L は式 (21) の右辺の第一項 (02 - = (aA/∂X) T, v p(OV/∂X) T,p十p( V/∂X) T, p x2) T, v を 表 し てい る と 考え て L, と 表す。 x, y, z, l, m, n はこ (15.2) れま で と 同 じ で あ る。 こ のよ う に考え る と , 式 (13) よ り 次式 を得 る こ と がで き る。 こ の結果, 次式 を得 る こ と がで き る。 (16) (∂L,/∂X) T, p = (∂L,/∂X) T, v 次に式 (16) の両辺 を温度 と 圧力 を一定に し て x で偏微 十(∂L,/∂V) x, T(∂V/∂X) T, p ( G/∂X) T, p = (aA/∂X) T, v (22) 分す るこ と を考え る。 (02G/ X2) T, p = [∂(OA/∂X) T, v/ X ] T, p 次 に, 等式 (13) 中の L は式 (21) の右辺の第二項の符号 を変え た ( 2A/∂V∂X) 2/(02A/∂V2) T, x を 表 し て い る と 考 (17) え て L2と 表す。 x, y, z, l, m, n はこ れま で と 同 じ で こ こ でも う 一度, 式 (13) を用いて変形する。 式 (13) 中の ある。 こ のよ う に考え る と , 式 (13) よ り 次式 を得 るこ と L を (∂A/∂x ) T, v, x は x , y は T, z は p を 表 し て い る がで き る。 と 考え る。 そ し て, l は x と同一であり , m は T と同一 (∂L2/∂X) T, p = (∂L2/∂X) T, v 十(∂L2/OV) x, T(∂V/∂X) T, p である と し, n は水溶液の体積 v を表 し てい る と 考え る。 こ のよ う にお く こ と によ っ て, 式 (14) から式 (15.2) を得 (23) た操作 と 同様 に し て以下の関係式 を得 る こ と がで き る。 式 (22) と式 (23) の右辺 を計算 し てま と めるこ と で, 次の 等式 を得 る こ と がで き る。 92 Tanger Pitzer 式 を用い た H20 Nac l 系 におけ る飽和水蒸気圧 と 臨界点の計算 - ( 3G/∂X3) T, p = (∂L, /∂X) T, p (∂L2/∂X) T, p = ( 3A/∂x 3) T, v 3(03A/∂v∂x 2) [ (02A/∂vOx ) / (∂2A/∂v 2) T, x ] ∂x ) [ (02A/∂vOx ) / (∂2A/∂v 2) T, x ] 2 十3(03A/∂v 2 [ (03A/∂v 3) Tx] [ (02A/∂vOx ) /(∂2A/∂v 2) T x ] 3 - - こ のよ う にす る と式 (27) の左辺 を F,F2 F3と 表す こ と が で き る。 式 (25) の右辺 を式 (24) の右辺に代入 し て整理 し , 式 (24) の左辺が関係式 (9) よ り 0 と 等 し いこ と を用い る と 次式 を得 る こ と がで き る。 (24) 式 (24) は McGlashan (1979, p. 182) が示し た式に相当す F3[ 6b2oV/(1 X) 4 (1 2X) RT/X2(1 X) 2] 3F3F, [ 2b2o/ (1 X) 3] 十3F3F, [ (∂2Aw /∂V2) T十V cb,, /V2] F量[ (1 X) (∂3Aw/o'V3) T 2XVcb,,/V3] = 0 る。 - 4.3 Tanger Pitzer 式への臨界条件の適用 (28) 式 (1) 中で用い てい る d は密度の比 を表 し てい る値で あ っ た。 d の値は, 臨界点 に おけ る純水 1 モ ル当 た り の こ こ で, 計算式 を簡略化す るために式 (28) 中の F,, F2, 体積 v c を水溶液中におけ る仮想的 な水 1 モ ル当 た り の 体積 v wで割 っ た値 と も等 し い。 塩のモ ル分率 と v c と F3以外 の項 を次 のよ う に表す。 vwを用い て, - - - ==- 式 (1) か ら水 と 塩の物質量 ( モ ル) の総和 が 1 モ ルの時 の水 溶液 のへル ムホ ル ツエ ネ ルギー を与 え 2b2o/ (1 X) 3 (∂2Aw /∂V2) T十V c b it / V 2 G3 G 4= (1 X) (∂3Aw10V3) T 2XV G2 る式 を求 め る と 次 の よ う に な る。 - A= (1 X) Aw 十X[ b,oVw十b,, (V lnV V lnVw十V w) ] [X2/ (1 X) ] b2oVw十RT[ XlnX 十(1 X) In(1 X) ] (25) 十XG - c - c - c - - G,= 6b2oV/(1 X) 4 (1 2X) RT/X2 (1 X) 2 c b it / V 3 - G, から G4を用い る と , 式 (28) の左辺 を Fi G, 3F3F, G2 十3F3F,G3 F言G4と 表すこ と がで き る。 式 (27) と式 (28) を満足する T, v , x を求めるこ と が - - s で き れば, 臨界点 の軌跡 を求 め る こ と がで き る。 pが (∂ 0v ) x, Tと等 しいこ と を用いて, 式 (25) を変形 - 江 (2012a, b) は組成か ら 圧力 を計算 し たので, 本研究で も 組成 を指定 し て臨界点の温度 と 体積を計算す る。 計算 す る と 圧力 を次のよ う に表す こ と がで き る。 p= (1 X) pw十X(b,o十b,,Vc /Vw b,,) 十X2b2o/ (1 X) 、 方法を示すために, 式 (27) の左辺 を f と 表し式 (28) の左 辺 を g と 表す。 (26) vwを単に v と 記す。 式 (25) の右辺 を式 (21) の右辺に代入 し て整理 し , 式 F3 F 3G4 03 体積が v wの時の純水の圧力 で あ る。 以下の計算式 では, 92 g= FI G, -3F3F, G2十3F3F,G3f= F,F2 式 (26) の右辺 に現 れる pwは温度が T で 1 モ ル当 た り の 臨界点 では f= 0 であ り g= 0 であ る。 x を指定 し た場 (21) の左辺が関係式 (8) よ り 0 と 等 しいこ と を用い ると 次式 を得 る こ と がで き る。 合 には f と g は T と v の関数 に な るので , f= 0 と g= 0 の連立方程式 を解い て臨界点の温度 と 流体のモ ル体積 を求める。 そ し て, 計算結果を式 (26) に代入す るこ と で - [ (1 X) (∂2Aw /∂V2) T十X V b,,/V2] X [ 2b2oV/ (1 X) 3十RT/X(1 X) ] [ (CA /∂V) T b,o Vc b,,1V十b,, (2 X) Xb20/(1 X) 2] 2 = 0 c - 臨界圧力 を求 め る。 f と g の計算 で必要 と な る Awの偏 - 微分は, Haar et al. (1984) が与え た Awの計算式 を V で偏微分 し て求める。 「 W さ て, 臨界条件 を表す式 (27) と式 (28) には, 体積 v (27) によ る偏微分式 が含 ま れてい る。 こ の偏微分式 を用い る 式 (27) は長いので左辺の各項 を次のよ う に表す。 と 計算 が困 難 に な る こ と が指摘 さ れて き た ( 例え ば, Akasaka, 2008) 。 Tester and Model1 (1997) は式 (21) と - F, = [ (1 X) ( A w/0V2) T十X V c b,, /V2] 式 (24) を Legendre 変換 し て体積微分 を含 ま ず, 温度 と = [ 2b2oV/ (1 X) 3十RT/X (1 X) ] b,o V b,,/V十b,, F 3= [ ( A /∂V) 体積を一定に し て各成分の物質量 ( モル) から臨界点 を 2 - - (2 / (1 X) Xb2 0 - -X) - F2 W T 求める計算式 を示 し てい る。 そ し て, Akasaka (2008) c は Tester and Mode11 (1997) の方法 を適用 し て二成分 系 流体の臨界点 を求 めてい る。 し か し なが ら , Tanger 2] - 93 、 i 江 靖 弘 v を新たに求めて逐次近似 を繰り 返 し た。 Pitzer 式 では水溶液中 を占 め る水 の体積 を計算 に用 い て 式 (33) と式 (34) の計算で必要と な る (∂f,/∂T) v, x, (∂f,/ い る。 水溶液の温度 と 体積 を一定に し て も塩の物質量を 変 化 さ せ る と , 水 の体 積 が変 化 す る。 し た が っ て , ∂v ) T,x, (0g/∂T) v,x, (∂g/0v ) T,x の値 は , 次 に示 す 数値 Tester and Modell (1977) の方法 を Tanger Pitzer 式 に 微分 ( コ ン テ ・ ド ボア ー, 1980) に よ っ て求 め た。 - 適用す る こ と はで き ない。 - -δT) ] /2δT f(T f(V δV) ] /2δV 式 を解 く ための初期推定値 を求め る方法 も同等 に重要で ( g/∂T) v, x= [ g(T十δT) g(T δT) ] /2δT ( g/∂V) T, x = [ g(V十δV) -g(V-δV) ] /2δV あ るので, 初期推定値 を求める方法 も後述す る。 f と g の両方の値が 0 にな る T と v の値 を求 め る最 も 単純な方法は v - T 平面上で f= 0 と な る曲線 と g= 0 83 = [ f(V十δV) T, x 73 (mラ'V) 63 式 (29) と式 (30) で与え た f と g の両方の値が 0 になる T と v の値 を求 め る方法 を以下に記す。 こ の連立方程 53 (∂ T) v, x= [ f(T十5T) 4.4 臨界点の計算方法 と な る 曲線 を求 めて, こ れら の交点 の座標 を計算す る方 こ こ ではδT の値 を0.00001, δv の値 を0.00001 に取 っ て 法であ ろ う 。 ただ し , こ の方法では曲線 を求める計算に いるo 時間 を 要す る。 さ ら に, v の値 を与 え て f= 0 と な る T さ て, 連立非線形方程式 を解 く 過程で計算値が収束 し の値 を計算 し たり T の値 を与え て v の値 を求めたり す ない こ と があ り 得 る。 本研究で も , 計算が収束 し ない こ る と 逐次近似計算 を行 う 必要がで て く る。 g= 0 と な る と が生 じ た。 その場合 には, f と g の絶対値 を比較 し て T の値 あ る いは v の値 を計算す る時 で も 同様で あ る。 大き い方の値 を 0 に近づけ る こ と を行 っ た。 f の絶対値 そ し て, こ れら の二曲線 の交点 を求 め る際に さ ら に時間 の方が大きい時の計算式 を示す。 こ の時の f の値 を f° と を要す る。 そこ で, 本研究では大まかな値 (初期推定値) 表す と △T と△v を次 に よ う に し て求 め る (式 を簡略化 を こ の方法で求めた後で, 二変数 ニ ユー ト ンー ラ フ ソ ン す るために微分式で一定にす る変数を省略 し て示す) 。 法によ る逐次近似計算 で臨界点 を求めるこ と に し た。 △T と△v を軸 と す る平面で次の直線 を考え る。 初期推定値 を T, v と 表す。 そ し て, 臨界温度は T十 fo(T, V) 十(∂f/∂T) △T十( △T, 臨界体積は v 十△v であ る と す る。 初期推定値が臨 V) △V= 0 (39) 界点 に近い場合 には次の近似式が成立す る。 こ の直線に原点から垂線 を下 し , 垂線 と 直線 と の交点の 座標 を求 め る と 次 のよ う に な る。 f(T十△T, v 十△v ) = f(T, V) 十(m ラ'T) v, x△T十( (31) V) T,x△V - T) fo/ [ ( △V= - (∂f/∂V) fo/[ ( = g(T, V) 十(∂g/∂T) v, x△T十( g/∂V) T,x△V (32) mラ'V) ] 41 g(T十△T, V 十△V) V) 2] 04 T) 2十( △T= ( T) 2十 ( 2 式 (31) と式 (32) の左辺はいず れも 0 であ るはずなので, つま り , 式 (33) を満 たす△T と△v の組み合 わせの中か f, g, (,o ff/OT) v,x, (∂fl/∂V) T,x, (∂g/0T) v, x, (∂g/0V) T, x の値 を計算 し て式 (31) と式 (32) に代入すれば, △T と△v を未知数 と す る次の連立方程式 を立 て る こ と がで き る。 用いて f(T十△T, V十△V) と g(T十△T, V十△V) を計算 し た。 そ し て, 0 に近づけ よ う と し てい る値が収束条件 を ら 原点 に最 も 近い点 を求 めた こ と に な る。 こ れら の値 を 満たすま で, こ の計算 を繰り 返 し た。 その後, 先に記 し V) T, x△V = 0 た二変数 ニ ユー ト ン 33 f(T, V) 十(0 OT) v, x△T十(0 ラ フ ソ ン法 で計算 を続け た。 g の 絶対値が大きい場合は式 (40) と (41) 中の f を g で置換 し 0 た式 で△T と△v を求 めてい る。 34 g(T, V) 十( g/∂T) v, x△T十(∂g/olV) T, x△V = こ の連立方程式 を 解い て得 ら れた△T と △v の値 を用 い 4.5 臨界点の初期推定値 て, f(T十△T, V 十△V) と g(T十△T, V十△V) を計算す 先に触れた初期推定値の計算方法 を以下に記す。 飽和 る。 も し も , f(T十△T, V十△V) と g(T十△T, V十△V) の両方が収束条件 (△T と△v の絶対値がいず れも0.001 水蒸気圧の計算 で求 める こ と がで き た液相 と 気相の密度 以下) を満 た し てい ない場合 には, T十△T を T, v 十△v の値が近 く な るので, こ れら の値か ら 臨界点 での体積の を v と 新 た に おい て, 式 (33) と 式 (34) に戻 っ て△T と△ 値に見当 を つけ る こ と がで き る。 ま た, 臨界温度は気液 をまず参考にす る。 臨界点に近づ く と 液相 と 気相の密度 94 Tanger Pitzer 式 を用い た H20 Nac l 系 におけ る飽和水蒸気圧 と 臨界点の計算 平衡計算が収束 し た温度 よ り も高温であ るはずであ る。 410° Cにおける g の値は1.793 X106 で あ り , 温度が高 く そ こ で , 初期推定値 T と v を こ れら の条件下 で試行錯 な る と ほぼ直線的 に g の値は減少す る。 418℃に な る と 一 誤 を繰り 返 し て求めて, 連立方程式 (31) と (32) を解 く こ Cの変化で g の値が平均 し て3.599 1.806 X106にな る。 8 ° X106変化 し た こ と に な る。 g の変化 を直線 で近似す る と が可能で あ る。 し か し なが ら , 試行錯誤 を繰り 返 し て も 良い初期推定値 に当 た ら な か っ た こ と も あ っ た。 こ の と , g の値の変化量が1000の時の温度の変化量は約2.2 X 場合 には, 次 に示す T と v に関す る数回 に渡 る二次元 10 3 にな る。 図 1 中の曲線 を求める時に g の値が 0 に 探索 によ っ て初期推定値 を求めた。 最 も 近 く な る温度 を求 めた と 記 し た。 こ の時の g の値 が ±1000以内 で あ れば, 求 めた温度 と g= 0 と な る温度 と 飽和水蒸気圧の計算結果か ら得 ら れる液相 と 気相の密 1 モ ル当 た り の体積値 の範囲 を考 え て v の違いは±0.0022° C程度 で あ る と 考え ら れる。 以上の結 の探索範囲 と す る。 臨界温度は気液平衡計算が収束 し た 果よ り , f= 0 お よ び g= 0 の曲線 を求 めてい な く と も , 温度 よ り も 高温に な る ので , こ れを条件 に し て T の探 交点付近での f と g の値が±10以内 と ±1000以内で あ れ 索範囲 と す る。 最初は温度の刻 み幅 を0.1 ℃, 体積の刻 み幅 を0.1 cm /mol 程 度 に と っ て お よ そ の値 を求 め た の C程度で あ る と 見積 も っ た。 図 ば Tf と Tgの誤差は0.002° 1 で示 し た二つの曲線の交点に最近接す る点の座標を示 ち, 最終的に温度の刻 み幅 を0.0001° C あ るいは0.001℃に す と 次 のよ う に な る。 f= 0 と みな し てい る 曲線上の二 取 り , 体積の刻 み幅 を0.01 cm /mol あ るいは0.1 cm /mol に し て初期推定値 を求めた。 こ の計算方法 を H20 Nac l 点の (V,T) 座標は, (43.3,414.508) と (43.4,414.993) 系で0.5 met/kg の水溶液を例に し て具体的に示す。 は一0.652であ っ た。 g= 0 と みな し てい る曲線上の二点 度 を用 い て , 3 3 3 - である。 v = 43.3の時の f 値は3.09, v = 43.4の時の f 値 の (V,T) 座標は, (43.3,415.565) と (43.4,414.801) で まず, 体積一定の条件で温度 を大き く 変化 さ せた時に f と g の値の両方が 0 を横切 るか どう か を調べ る。 横切 あ る。 V= 43.3の時の g 値は一10.0, V = 43.4の時の g 値 る場合 には, f の絶対値が最 も小 さ く な る時の温度 ( つ は141で あ っ た。 し たが っ て , こ れら の四点 は f= 0 あ ま り , f が最 も 0 に近 く な る温度) を Tf と し て記録 し , るい は g= 0 を表す T の近似 と し て十分 で あ る と 言 え g の絶対値が最 も小 さ く な る時の温度 ( つま り , g が最 も 0 に近 く な る温度) を Tg と し て記録す る。 Tf と Tg の 計算に際し て, 温度と体積の値 を式 (29) と式 (30) に代入 418 し て f と g の値 を求 め る だけ で , Tf と Tgの値が 0 に近 417 づ く よ う な逐次近似計算は行 わない。 こ の Tf と Tgの計 算 を様々な体積で行 っ て Tf と Tgの体積に対す る変化 を 6 4l (--) 3oP) orn-e.IodMo 求める。 こ のよ う に し て得 ら れた結果を図 1 に示す。 f= 一 0 の曲線 と g= 0 の曲線は, ほぼ直線 で あ る。 そ し て, 5 41 こ れら の交点が臨界点の近似値にな る。 こ こ では, 交点 に最近接す る f = 0 の曲線上の二点 を結ぶ直線 と 交点 に 最近接す る g= 0 の曲線上の二点 を結ぶ直線 を考え た。 4 41 つま り , 交点 を囲む四角形 を考え て, 四角形の対角線の 交点 を初期推定値と し て用いた。 3 41 f= 0 の曲線 と g= 0 の曲線が交わる点 に近接す る四 点 を頂点 と す る四角形の対角線の交点が初期推定値 と し 2 4l て十分 な近似値 で あ っ たこ と を以下に示す。 図 1 では交 点の V 値が43.3付近で あ るので , V= 43.3の時の f と g の値 の変化 を図 2 と 図 3 に示す。 f の値は410 ° Cで 411 3.153 X 104で あり , 温度が高 く な る と ほぼ直線的に f の 値は増加す る。 418° C にな る と 2.490 X 104 にな る。 8 ℃ の変化 で f の値が5.643 X 104変化 し たこ と にな る。 f の 410 42.5 変化 を直線 で近似す る と , f の値の変化量が10の時の温 度の変化量は平均 し て約1.4 x 10 3 に な る。 図 1 中の曲 43 43.5 44 Volume (cm3/mol) 線 を求 め る時 に f の値 が 0 に最 も 近 く な る温度 を求 め た と 記 し た。 こ の時の f の値が±10以内で あ れば, 求めた 図 1 Nac l の質量モ ル濃度 が0.5 mol/kg の時に臨界体積 と 臨 界温度 を求めるための二次元探索。 二つの直線に近い曲線の 交点 が臨界点の初期推定値に相当する。 本文中の説明 も参照。 温度 と f= 0 と な る温度 と の違いは±0.0014℃程度で あ る と 考え ら れる。 同様のこ と を図 3 につい て検討す る。 95 江 i、 靖 弘 る。 - と を 記 し て, Tanger Pitzer 式 の適用可能温度の上限 を 600℃と し た。 し か し ながら , Wagner and Pru」B (2002) 5 . 計算結果 と 考察 表 1 に本研究 で得 ら れた H20 - は Haar et al. (1984) の式 を高圧側 に外挿 し て も 大 き な Nac l 系の飽和水蒸気 誤差が生 じ な い と 記 し てい る。 そ こ で , 600℃ を超え て 圧と 臨界点 を示す。 Haar et al. (1984) の状態方程式 を い る4.5 met/kg の水溶液の臨界温度も 表 1 に示 し てい る。 用 い て, 温度 と 密度の入力値か ら求め る こ と がで き る圧 な お , 質 量 モ ル濃 度 が2.5 met/kg で 515 ℃ の 時 と 4.5 力 の有効 桁数は 5 桁 で あ る。 し たが っ て , Haar et al. mol/kg で600° C の時の飽和水蒸気圧の計算 におい て収束 (1984) に Tanger and Pitzer (1989) が塩の効果 と し て 付加 し た項によ っ て飽和水蒸気圧の有効桁数が増え るこ 条件 を0.0005 に緩めてい る。 と はない。 逆 に, 付加 し た項に起因す る不確か さ が加わ Tanger and Pitzer (1989) が示 し た数表値や Tanger and 本研究 で求め る こ と がで き た臨界点の温度 ・ 圧力 を る。 し たが っ て, 社 江 (2012a, b) お よ び本研究が求 め Pitzer (1989) 以降の報告 と 比較す る。 多 数の報告 が た飽和水蒸気圧の計算値 と 本研究で求めた臨界圧力の有 H20 効桁数は多 く と も 4 桁である。 同様に, 表 1 中で示 し た Bischoff and Pitzer, 1989; Povodyrev et al., 1999; Shibue, 2000, 2003; Driesner and Heinrich, 2007; Fuentevilla et al., 2012, 2013) 。 こ れ ら の内 で 最 近 の 報 告 で あ る 臨界温度の値に も不確か さ が大 きい。 表 1 では 5 桁の値 で示 し てい る が, 5 桁目 の値 には不確 か さ が大 き い。 - Nac l 系 の臨界点 に関 し て行 われてい る (例え ば, Tanger and Pitzer (1989) は, 600° C よ り 高温では V の Fuentevilla et al. (2012, 2013) と本研究で計算 し た臨界 計算値が Haar et al. (1984) の適用可能領域を超え る こ 点およ び Tanger and Pitzer (1989) 中の数表値 を比較 し V=43.3 (cm3/mol) 000 30 ●●●● 000 20 _ _● -- 00 0 00l (,l- -- ● ●●●●● - _ ●●●● ●●●● ●●● ●●● ●● ・ 一一 - 00 00 l 一 _ 一 0 00 20 _ - l● ●●●● ●●● ●●● ・ ●●●● ● ●●●● ・ 一 0 00 30 一 _ ●●●● ●● - 0 00 40 一 410 411 412 413 414 415 416 417 418 Temperature (deg C) 図2 Nac l の質量モル濃度が0.5 mol/kg の時に体積を43.3 cm3/mol に と っ て式 (29) で定義 し た f を温度に対 し て プロ ッ ト し た もの。 V=43.3 (cm3/mol) 2000000 1500000 1000000 500000 ●●●●● ●・ -- ・ ●●●● ●●●● -- l ●●●● ● ●● ・ 一_ -・ ●●● o -500000 -1000000 -1500000 -2000000 410 ●●● ●_ _ -・ ●● ●●● ●l --- ●● ●●● ●l _ -・ ●● 411 412 413 414 415 416 ●●● 417 - l ●● ● 418 Temperature (deg C) 図3 Nac l の質量モル濃度 が0.5 mol/kg の時に体積 を43.3 cm3/mol に と っ て式 (30) で定義 し た g を温度に対 し て プロ ッ ト し た も のo 96 H20 Nac l 系に おけ る質量モ ル濃度 m と 飽和水蒸気圧や臨界点の関係 7 7 0 9 41 49 8 48 8 50 88 72 9 7 26 82 476 9 49 3 7 76 76 81 1 9 05 01 0 1 1 1 72 01 43 01 83 1 1 42 11 02 1 1 59 2' 1 61 21 73 1 1 38 31 93 21 48' 21 21 41' 73 31 25 31 08 5 1 75 41 70 41' 99 5 1 45 51 91 41' 4 9 6 1 63 61 80 51 93 7 1 31 71 72 61 96 8 1 31 81 68 71 03 0 2 43 91 68 81 51 1 2 42 20 72 91 31 2' 2 4 5 21 80 0 2 52 23 70 22 93 1 2 77 42 91 32 09 3 2 5 69 9 41 0 1 72 52 31.33 32.80 34.31 35.83 37.36 38.91 40.47 42.03 43.60 45.17 46.75 48.87* 30.22 31.69 33.19 34.72 36.28 37.88 39.49 41.13 42.78 44.45 46.13 29.18 30.61 32.07 33.58 35.13 36.70 38.32 39.96 41.62 43.31 45.03 28.20 29.59 31.02 32.49 34.00 35.55 37.13 38.75 40.40 42.08 43.79 38 7 4 76 46 53 45 35 49 0 5 48 82 47 3 2 51 26 50 50 49 49 66 ' 52' 45 4 0 2' 5 48 50 2 8 53 65' 52 73 56 0 6 55 74 45' 80 85 40 75 92 65 78 95 9 1 59 31 58 48 61 98 06 79 95 63.41** 65.65* 78 62 81 61 75 46' 6 6 63 36 66 51 65 41 86 53 76 91 96 91 69 76 71 3 0 71 43 73 68 ' 72 71 75 96 ' 74 90 76 50 6 7 * 72 28 31 78 0 1 80 89 81 6 6 83 42 85 6 1 78 9 8 88 0 6 09 50 99 * * * 40' 92 97 9 51 8 42 42' 81 6 2 61 3 2 7 4 5 2 95 1 2 61 42' 78 0 2 8 8 2' 2 66 91 65 1 2 03 72 58 81 46 0 2 76 52 55 71 2 3 9 1 47' 42 56 61 3 2 8 1 81 3 2 62 51 9 1 7 1 92 1 2 71 41' 9 1 6 1 70 0 2 85 31 4 2 5 1 4 5 91 02 31 33 41' 43 81 23' 21 46 31 36 71 48 1 1 70 01 4 6 2' 1 35 61 76 01 6 71 9 3 01 85 9 0 1 1 1 1 1 38 51 2 42 9 4 7 0 9 46 41' 2 80 8 * 82 72 58 31 9 1 11 74' 21 47 01 95 1 1 24.30 25.56 26.86 9 78 9 25.16 26.45 27.80 0 41 9 26.07 27.41 28.79 9 26 1 48 74 4 3 0 5 0 4' 5 0 5 0 5 0 5 0 5 0 5 8 0 5 0 5 0 5 0 5 0 5 5 0 5 0 5 0 5 0 5 9 0 5 0 5 0 5 0 5 0 2 40 40 41 41 41 42 42 43 43 44 44 45 45 46 46 46 47 47 48 48 49 49 50 50 51 51 51 52 52 53 53 45 45 55 55 55 56 56 75 75 58 58 59 59 60 60 * 臨界点 * *収束条件 を 0.0005 に緩めてい る。 0 95 7 41 2 8 4 46 8 5 52 8 27.07 28.45 29.87 28.16 29.50 30.84 32.57* m=4.5 m=3.5 m=2.5 m=1.5 m=0.5 m=0.25 温度 (℃) 300 305 310 315 320 325 330 335 340 345 350 355 360 365 370 375 380 385 390 395 397.8 表1 Nac l 系 におけ る飽和水蒸気圧 と 臨界点の計算 Tanger Pitzer 式 を用い た H20 江 、 i 靖 弘 と 言え る。 た結果 を図 4 と 図 5 に示す。 図 4 は臨界温度 を Nac l の 質量モ ル濃度 に対 し て プロ ッ ト し た も のであ り , 図 5 は 6 . 結論 臨界圧力 を Nac l の質量モ ル濃度 に対 し て プロ ッ ト し た も ので あ る。 Nac l の質量モル濃度を0.25, 0.5, 1.5, 2.5, 3.5, 4.5 - - - met/kg にと っ て H20 Nac l 系の臨界点 を Tanger Pitzer 式で計算 し た。 同時に, 出 t、 i江 (2012a, b) が示 し た計算 プロ グラ ムで300° C から 臨界点ま で の飽和水蒸気圧 を計 Tanger and Pitzer (1989) は温度 を指定 し て H20 Nac l 系におけ る臨界点 を計算 し ており , 500° C では11.5 mass% が臨界点の組成で臨界圧力 が58.12 MPa と し てい る。 本研究で示 し た方法で計算す る と 11.5 mass% の水 算 し た。 溶液の臨界温度は502.67℃で あり 臨界圧力は60.96 MPa も高い。 こ の傾向は, その他の条件 で も同様 で あ る。 つ Fuentevilla et al. (2012, 2013) が求めた H20 Nac l Pitzer 式 で求 め る こ と がで き る臨界温度は系統的に高 く な る。 2 met/kg 以上の ま り , Tanger and Pitzer (1989) と は異 な る結果が得 ら 濃度条件 で Tanger 系 の臨界温度に比べ て, Tanger と な っ て Tanger and Pitzer (1989) に比べ ていず れの値 - Pitzer 式 を用い て計算 し た臨界圧力 れた。 臨界温度の食い違い (図 4 ) に比べて臨界圧力の には大 き な誤差があ る と 言え る。 し たが っ て, 臨界点付 計算値の食い違い (図 5 ) が高濃度領域で顕著であ っ た。 近 におけ る飽和水蒸気圧 を Tanger - Pitzer 式 で計算す る Tanger and Pitzer (1989) 中で臨界体積の値が示 さ れて 時は Fuentevi11a et al. (2012, 2013) な ど最近の報告 を い な い ので 確実 では ない が, 臨界体積の値 が本研 究 と 用い てあ ら か じ め臨界点 を求 めてお く 方が良い。 Tanger and Pitzer (1989) では食い違 っ てい る こ と が考 文献 え ら れる。 図 4 を見 る と 本研究で得 ら れた臨界温度や Tanger and Akasaka, R. Pitzer (1989) が 求 め た 臨 界 温 度 は Fuentevi1la et al. (2008) Fluid Phase Equilib., 263, 102 - 108. (2012, 2013) が求めた値に比べて高 く な っ てい る。 臨 Bischoff, J. L and Pitzer, K. S. (1989) - 界圧力 に関 し て も , 本研 究 の結果 と Tanger and Pitzer Am. J. Sci., 289, 217 248. (1989) が求めた値は Fuentevilla et al (2012, 2013) が Driesner, T. & Heinrich, C. A. 求 め た値 に比べ て高 く な っ てい る。 特 に, Nac l 濃度 が (2007) Geochim. Cosmochim. Acta, 71, 4880 4901. 高 く な る につ れて Fuentevi11a et al. (2012, 2013) と の 食い違いが大 き く な っ てい る (図 5 ) 。 2 met/kg 以上の Fuentevilla, D. A., Sengers, J. V., and Anisimov, M . A. 濃度条件では, 本研究や Tanger and Pitzer (1989) が示 Fuentevilla, D. A., Sengers, J. V., and Anisimov, M . A. し た臨界圧力 には大 き な誤差がある と 言え る。 (2013) Int. J. Thermophys., 34, 384. 藤代亮一 ・ 黒岩章晃 (1966) 溶液の性質 1. 東京化学 (2012) Fuentevilla et al. (2012, 2013) が求めた臨界圧力 ・ 臨 界温度は本研究で求 めた値よ り も低いので, 表 1 と し て Int. J. Thermophys., 33, 943 958. 同人, 215pp. 示 し た飽和水 蒸気圧 の中 には Fuentevilla et al. (2012, Haar, L., Gallagher, J. S., and Kelt, G. S. 2013) が求 めた臨界圧力 よ り も高圧に な っ て し ま う も の NBS/NRC Steam が存在する。 0.25 mol/kg, 0.5 met/kg, 1.5 met/kg, 2.5 320pp. Tables. コ ンテ, S. D. ・ ド ボア ー, C. met/kg, 3.5 met/kg, 4.5 met/kg の水溶液の臨界温度 を Hemisphere Publishing, (1980) 電子計算機によ る数値解析 と算法入門. 丸善, 366pp. Fuentevi11a et al. (2012, 2013) が与えた式で計算すると, それぞれ, 393.075° C, 404.459℃, 449.079° C, 492.049℃, McGlashan, M. L. 534.347° C, 583.734° Cにな る。 こ れら に対 し て, 表 1 で 示 し たよ う に本研究で得 ら れたこ れら の水溶液の臨界温 Academic Press, 345pp. 宮原豊 (1976) 溶液論. 講談社, 195pp. 度は, それぞれ, 397.8℃, 414.62℃, 468.49℃, 515.31 Pitzer, K. S and Tanger, J. C. IV. ° C, 559.84° C, 602.74° C であ っ た。 最近の報告値 を信頼 (1979) Chemical Thermodynamics. (1988) Povodyrev, A. A., Anisimov, M . A., Sengers, J. V., met/kg では390℃ま で , 0.5 mol/kg では400℃ま で, 1.5 Marshall, W. L., and Levelt Sengers, J. M. H. met/kg で は445 ℃ま で , 2.5 mol/kg で は490℃ま で , 3.5 Int. J. Thermophys., 20, 1529 1545. met/kg では530° C ま で, 4.5 met/kg では580℃ま での値 を Rowlinson, , J. S and Swinton, F. L. 使用す る に と どめておい た方が良 さ そ う で あ る。 そ し て, - Int. J. Thermophys., 9, 635 648. す る と , 表 1 中 で示 し た飽和水蒸気圧 に関 し て, 0.25 臨界点付近におけ る飽和水蒸気圧 を Tanger (1984) (1982) (1999) Liquid and Liquid M ixtures. 3rd edition. Butterworh, 328pp. Pitzer 式 で Sengers, J. V and Levelt Sengers, J. M . H. 計算す る時は Fuentevilla et al. (2012, 2013) な ど最近 の報告 を用い てあ ら か じ め臨界点 を求 めてお く 方が良い (1978) In Progress in Liquid Physics; Croxton, C. A., Ed. John - Wiley & Sons, 103 174. 98 Tanger Pitzer 式 を用い た H20 Nac l 系 におけ る飽和水蒸気圧 と 臨界点の計算 100 900 90 850 80 一 一 、 d -、 e一 )一 . ) (coaT:W) o.msso;T 0 80 一 一一 一 eo ( )一 o;,me一; ,odun 70 0 75 60 ・ 50 0 70 -o 40 650 30 600 20 0 0.5 1 1.5 2 2.5 3 3.5 4 4.5 5 0 0.5 1 1.5 2 2.5 3 3.5 4 4.5 5 Molality 図4 Molality 図5 臨界温度の質量モ ル濃度への依存性。 Tanger and Pitzer 臨界圧力の質量モ ル濃度への依存性。 Tanger and Pitzer (1989) 中の Table t で示 さ れて い る値 を Tanger and Pitzer (1989) と し て示 し て い る。 本報告中 の表 1 で示 し た値 を (1989) 中の Table t で示 さ れて い る値 を Tanger and Pitzer (1989) と し て示 し て い る。 本報告中 の表 1 で示 し た値 を This study (Table t ) と し て示 し て い る。 This study (Table t ) と し て示 し て い る。 出 t i江靖弘 (2003) 岩石鉱物科学, 32, 185-191. 出 t i江靖弘 (2012a) 兵庫教育大学研究紀要, 40, 79 -91. 出 t i江靖弘 (2012b) 兵庫教育大学研究紀要, 41, 57 -68. Tanger, J. C. IV and Pitzer, K. S. (1989) Geochim. Cosmochim. Acta, 53, 973 -987. Shibue, Y. (2000) J. Chem. Eng. Data, 45, 523 529. Shibue, Y. (2003) Fluid Phase Equilibria, 213, 39 51. 、 、 、 Tester, J. W. & Modell, M. (1997) Thermodynamics and its applications 3rd edition. Prentice Hall, 936pp. Wagner, W. J and Pru」B, A. (2002) J. Phys. Chem. Ref Data, 31, 387 535. 99
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