農産物の生産III - kamakuranet.ne.jp

2014/4/13
POOR BUT EFFICIENT HYPOTHESIS
SCHULTZ (1964)
「貧しいという事」と「非効率であるという事」は違う。
農家は貧しいかもしれないが、効率的な生産を行って
いる。
 どうやって生産効率性を評価するの?


農業経済論 講義スライド その7
農産物の生産 III
青山学院大学 経済学部 松本茂
生産活動の効率性の種類
①技術的効率性
②規模の効率性
投入物 1
Input 1
適切な生産規模を選択し
ているか?
産出物 1
Output 1
y
技術的フロンティア
投入物 2
Input 2
生産活動
技術制約
投入物 3
Input 3
産出物 2
Output 2
E
A
B
D
CD/CE
or
AB/AD
産出物 3
Output 3
③投入財選択効率性
①技術的効率性
④産出物選択効率性
適切に投入物を選択して
いるか?
技術的制約下で精一杯の
生産活動を実施している
か?
適切に産出物を選択して
いるか?
O
C
x
③投入財選択効率性
FARRELL (1957)
②規模の効率性
x2
y
y/x が最大化さ
れる点
E
経済効率性を、技術的
効率性と配分効率性に
分離して議論した。
 技術的効率性

技術的フロンティア
A

等量曲線=y*
B
D
O
x
O
C

等量曲線=y1
所与の投入財を使い、
最大限の生産が達成さ
れているか。
配分効率性

適正な投入財の組み
合わせが選択されてい
るか。
x1
1
2014/4/13
③投入財選択効率性
FARRELL (1957)
④産出物選択効率性
x2

技術的効率性

A

等量曲線=y*
B

C
等量曲線=y1


D




生産可能性
曲線=y1
生産可能性 x
1
曲線=y*
生産可能性
曲線=y1
生産可能性 x
1
曲線=y*
所与の投入財を使い、
最大限の生産が達成さ
れているか。
配分効率性

O
x2
所与の投入財を使い、
最大限の生産が達成さ
れているか。
非効率性 = OA/OB
適正な産出物の組み
合わせが選択されてい
るか。

実際の生産状況に関する
データを利用して、フロン
ティアを推計するこころみ。

左の例: 一定量の生産物
を生産するために投下され
ている投入物の組み合わせ
をプロットした等量曲線を示
している。

効率性の議論をするには、
まずはフロンティアを推計す
る必要がある。
配分効率性

A
O


非効率性 = OD / OA
技術的効率性

C
C
A
FRONTIER ANALYSIS
投入財選択効率性

B
B
適正な投入財の組み
合わせが選択されてい
るか。
非効率性 = OD / OB
④産出物選択効率性
x2
D
経済非効率

x1
O
生産可能性曲線を用
いて、経済効率性を、
技術的効率性と配分効
率性に分離することも
できる。
 技術的効率性

配分効率性

D
x2
所与の投入財を使い、
最大限の生産が達成さ
れているか。
非効率性 = OB / OA
適正な生産財の組み
合わせが選択されてい
るか。
非効率性 = OB/OD
等量曲線=y*
経済非効率

非効率性 = OA/OD
フロンティアの推計の仕方
投入財選択効率性
O
x1
フロンティアの推計の仕方
y = 生産物
x1, x2 = 2種類の投入物
 y = f (x1, x2)
 生産関数に特定の形状を仮定するかどうか?
 Parametric Analysis vs. Non-parametric Analysis



Parametric Analysis



関数形を特定化した上で分析
例: コブダグラス型生産関数 y = f (x1, x2) = (x1)α(x2)β
Non-parametric Analysis

関数形を特定化せずに分析
図はコブダグラス関数のもとで、10単位の生産物が得られる
投入財の組み合わせを示したものである。
 Parametric Analysisでは、適当なパラメータαとβを選択
することが目的となる。

2
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(INPUT) DISTANCE FUNCTION
推計式の例(修正最小二乗法)
x2

所与の生産水準のもと
で最大限削減できる比
例的な減少幅
 投入物の投下比率は
一定とする
 図では、直線ρの長さと
なる。
 大きいほど非効率であ
ることを示す。

A
B
等量曲線=y
ln Di = θ + β1 ln X1i + β2 ln X2i + γ1 ln yi



一般的には、これを変形して


NON-PARAMETRIC ANALYSIS
線形計画法 その1



全ての目的関数と制約条件を線形の関係式で示した最適
化問題
制約条件
耕作地の面積

耕作地の総面積

例 2種類の農作物を生産する農家

Di = exp(最大の残差-サンプルi の残差)
線形計画法 その2
線形計画法とは?

-ln X2i = θ’+β1 ln (X1i /X2i ) + γ1 ln yi -ln Di
という形で考える場合が多い。
 始めに-ln Di を残差項として推計して、その中の最大
値を定数項 θ’ に加えて定数項の修正する。
 その後、サンプルi の非効率性を以下の式で求める。
x1
O

Di = Distance(非効率性を測る距離)
パラメータ: θ , β1 , β2 , γ1

非負条件


追加的制約条件
肥料使用量

目的関数(総収益の最大化)
x1 =ダイズの耕作面積、
 x2 =トウモロコシの耕作面積、
 p1 =ダイズの価格、
 p2 =トウモロコシの価格、
 TR = p1x1 + p2x2




0,
0
肥料の総使用量
=ダイズの単位面積当たり肥料使用量、
=トウモロコシの単位面積当たり肥料使用量、


農薬使用量



農薬の総使用量
=ダイズの単位面積当たり農薬使用量、
=トウモロコシの単位面積当たり農薬使用量、

線形計画法の概念図1
DATA ENVELOP ANALYSIS
投入財選択効率性
x2
x2
赤い線

線形計画法を利用して、特
定の生産量を生産するため
に必要となる財の取り合わ
せを示した包絡線を導出す
る。

この包絡線と実際の観察点
の差がDistance(非効率性
の大きさ)として評価される。
X
緑の線
青い線
等量曲線=y*
目的関数 TR = p1x1 + p2x2
x2*
x1*
x1
O
x1
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DATA ENVELOP ANALYSISの問題点
フロンティアの推計の仕方
x2


推計結果は外れ値に大きく
引っ張られることとなる。

残念ながらデータが不正確
である場合がある。
データには確率的な誤差が含まれていると仮定して推
計をするかどうか?
 Deterministic Analysis vs. Stochastic Analysis

Deterministic Analysis



データの確率的誤差は考慮せずに分析
既に説明済み
Stochastic Analysis

データには確率的な誤差が含まれていると想定して分析
等量曲線=y*
O
x1
生産関数の推計
Deterministic Analysis
データは正確であると仮定し、
トップ以外は全て非効率とする。
y
生産関数の推計
生産性の差は、
データが不正確なため生じているのか、
2. それとも非効率な生産が行われているため生じている
のか、
をどうやって区別をしたら良いだろう。

1.
OLS Analysis
全てが効率的な生産をしてい
ると仮定し平均値を推計
Stochastic Frontier Analysis
x
データは不正確で、全てが効率的な
生産をしているとは限らないと仮定
途上国の農業生産効率性分析に関するサー
ベイ論文
生産関数の推計
OLS:
Deterministic :
 SFA:



vi =データが不正確なため生ずる差


yi = f(Xi) + vi
yi = f(Xi)-ui
yi = f(Xi) + vi -ui

Bravo-Ureta and Pinheiro (1993)

Efficiency Analysis of Developing Country
Agriculture: A Review of the Frontier Function
Literature
確率分布によってプラスにもマイナスにもなると出現すると仮定する。
通常正規分布を仮定
ui =生産が非効率であるために生ずる生産減少分

マイナスにはならないと仮定する。先行研究では色々な確率分布
が利用されている。
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