チョーサーの『トロイルスとクリセイデ』 第2巻第 326 行に見える動詞 breste について* 酒 見 紀 成 1.いくつかの異なる校訂本を比べていると、様々な問題に出くわす。ここで取り上げる のは、一つの動詞の形態という小さな問題であるが、それは写本、方言、歴史的現在、脚 韻、音変化といった事柄に関係していて、なかなか面白い。もしチョーサーが自筆の原稿 を残しておれば、これほど頭を悩ませることもなかっただろうが 1)。その動詞は次のスタン ザにある。 “But if ye late hym deyen, I wol sterve -Have here my trouthe, nece, l nyl nat lyen -Al sholde I with this knyf my throte kerve.” With that the teris breste out of his yen, And seide, “lf that ye don us bothe dyen Thus gilteles, than have ye fisshed fayre! TC, II, 323-28 このように読むのは A. C. Baugh と B. A. Windeatt と S. A. Barney であり、R. K. Root と F. N. Robinson は bruste とし、W. S. McCormick と W. W. Skeat と J. H. Fisher は braste と読んでいる。すなわち breste Baugh (1963),Windeatt (1984),Barney (1987) bruste Root (1926),Robinson (1957) braste McCormick (1898),Skeat (1912),Fisher (1977) ただし、The Riverside Chaucer の Troilus を校訂したのは Barney であるが、Glossary に は “pt. pl. braste Tr 2. 326” とあり、Barney の本文と食い違っている。 次に、写本がどうなっているか見ると、16 の写本と3冊の初期の印刷本は様々な読みを 示す。しかも、厄介なことに、4つの写本は学者によって読み方が異なるのである。 (写本の名前は略号で記す) breste Cp, D; brest H2, H3, H5 (?), Ph, S1 (?) bruste H1 (?); brusten A (?); brust J; bruste Th brasten A (?); brostyn Gg brist S1 (?) braste H1 (?); brast Cl, Dg, H4, H5 (?), R, S2, CX 疑問符をつけた4つの写本の読みは以下のように違っており、自分で確認したいところで ある。 Windeatt Root Kittredge A brusten brasten -- H1 braste bruste bruste H5 brast brest -- S1 brist brest -- この動詞は文脈から見て、明らかに過去時制の二人称複数であるが、A. O. Sandved 2 (1985) の語形変化表にも breste という形はない。この動詞は元来 helpe(n) と同様、強変 化動詞の第三類 (b) タイプに属するので、ME では語幹の母音は e – a – u – o と交替する。 従って、bruste が期待される形であるが、過去分詞と過去単数の幹母音による水平化も起 こっていたと考えられるので、broste と braste も可能である。しかし、少なくともチョ一 サーは breste という過去複数形を使わなかったのではないか。 OED には、音位転換を起こした OE 以来の berst を α、ON の影響で brest となった形態 を β として、それぞれ不定詞、過去単数、過去複数、過去分詞の形が挙げてあるが、ここ で問題にしている β の過去複数の所だけ脱落している。α section には pl. α. 1 burston, 2-4 burste(n,4-5 borsten,5-6 barst,6- burst とあり、幹母音に e を持つ形はない。また、OED の Co-Editor である Edmund Weiner 氏からの手紙によれば、β section の過去複数のリストは編集の段階で紛失したのであろう と言い、自ら OED のデータベースをサーチして 19 例見つけだし、 “drop out”したリスト には次のように書かれていただろうと教えてくれた 2)。 pl. β. 3-5 brast(e, 3 brosten, 5 brost,brust(e ここにもやはり、breste はない。 一方、MED は bresten の過去複数として brusten,brasten,bresten,brosten,bursten,barsten,bersten,borsten, buste、brested を挙げており、確かに bresten も含まれている。しかし、MED が扱う範囲は時間的にも 空間的にも相当広いので、ここに載っているからといって、必ずしもチョーサーが使った ことにはならないと思う。Norman Davis et al., A Chaucer Glossary も breste(n の過去複 数として broste/bruste と braste だけを挙げている。 Tatlock and Kennedy のコンコーダンスによれば、チョーサーはこの動詞の過去複数形 を4回使っている。 And bothe his eyen broste out of his face B. ML. 671 The teeris bruste out of hir eyen two, C. Doc. 234 The firy sparkes brosten out for peyne; Mars. 96 With that the teres braste out of his yen, TC. 2. 326 Riverside 版は4例目だけ breste とし(Glossary は braste) 、他は同じ。 過去複数形の breste が使われたとすれば、過去単数でも brest(e) が使われたはずである が、12 例の過去単数のうち brest は1例のみ。しかも、脚韻においてである。 Hir thoughte hir cursed herte brast atwo, -- B. ML. 697 A colfox … The same nyght thurgh-out the hegges brast In to the yerd B. NP. 4408 But with that word he brast anon to wepe, F. Fkl. 1480 And thoughte his sorweful herte brast atwo; H. Mcp. 263 and bounde, so that his blood brast out I. Pars. 269 Me thoghte myn herte braste a-tweyn! B. D. 1192 Anon hir thoghte hir herte brast a-two? Anel. 94 And she to laughe, as though her herte brest TC. 2. 1108 Her houghte her sorwful herte brast a-two; TC. 5. 180 Him thought his sorwful herte brast a-two; TC. 5. 530 And with that word she brast anon to wepe. TC. 5. 1078 And with that worde he braste out for to wepe LGW. 1033 Riverside 版も脚韻に使われた TC. 2. 1108 の brest 以外はすべて brast(e) である。 従って、 brast(e) がチョ一サーのノーマルな過去単数形だと言うことができる。なぜなら、脚韻で はチョーサーもかなり無理をしているからである。TC. 2. 1108 の脚韻は brest : lest : gest であるが、brest は接続法過去であるので、braste となるはずであるが(本来なら過去複 数の母音をもつ *bruste、しかしすでに過去単数の母音によって水平化されていた)、脚韻 を合わせるために breste となり、さらに、gest が Final -e を持たないので、brest となっ たもの。同じことが不定詞にも見られる。コンコーダンスに 17 例載っているが、脚韻に使 われた1例のみ braste、他はすべて brest(e)(n) である。 I myght not with the anger laste; Myn herte in poynt was for to braste. RR. 3185-86 OED によれば、この形態は 15~16 世紀に行われたとされているが 5-6 brust, bryste, brast, 6 braste チョーサーはこの形を知っていたのであろう。同様に、K. Brunner (1960-2) によれば、 renne ‘run’(これも第三類)の過去単数形は ran、過去複数形は ronne(n) であるが、北部 では過去複数形として ran が使われており、この形をチョーサ一は脚韻で一回使っている (NPT 3381) 。 チョーサーの過去単数形が brast であったとすれば、過去複数形に breste を認めるのは 難しい。なぜ Baugh や Windeatt や Barney たちは breste を採用したのであろうか。OED や MED が過去単数形とし brast と並んで brest をも載せているからであろうか。 Pa. t. β. 3-7 brast, 4-6 braste, brest, 5 breste, (6 brust, brusted) 彼らは恐らく、底本にした Cp 写本に従っただけなのであろう。 3. Cp 写本について考える前に、breste が過去時制の機能で使われた現在形、つまり歴 史的現在である可能性についても検討しておく必要がある。歴史的現在在の用法で重要な ことは、過去時制と一緒に起こることである。Mustanoja (1960) も簡潔に述べている。 The historical present usually alternates with the preterite. そして L. D. Benson の“Chaucer’s Historical Present” (1961)によれば、歴史的現在は現 在 - 過去のパターンをとることが多い。過去形が後ろに来るのは、過去形は plot を進め る働きをするからである。ただし、要約に使われる場合はこのパターンに従わない。Troilus には全部で 155 例あると言うが、問題の breste は含まれていないと思われる。なぜなら、 この論文が書かれた当時は Robinson 版がテクストとして使われることが多かったからで ある。 筆者の調査では約 142 例見つかった。Benson の結果より 13 例ほど少なくなったのは、 例えば As doth an hevenyssh perfit creature, I,104 The thynges fellen, as they don of werre, I,134 That lay, as don thise lovers, in a traunce II, 1306 He song, as who seyth, “Somwhat I bringe,” II, 1309 のような as に導かれる節に現れる現在形を数えなかったからかもしれない。142 例の内訳 は第一巻 19、第二巻 8、第三巻 24、第四巻 32、第五巻 59 である 3)。確かに、現在 - 過 去のパターンは存在するように思われる。例えば、 Whan he was fro the temple thus departed, He streght anon unto his paleys torneth. Right with hire look thorugh-shoten and thorugh-darted, Al feyneth he in lust that he sojorneth, And al his chere and speche also he borneth, And ay of Loves servantz every while, Hymself to wrye, at hem he gan to smyle. I,323-29 And after that, hire thought gan for to clere, And seide, “He which that nothing undertaketh, Nothyng n’ acheveth, be hym looth or deere.” And with an other thought hire herte quaketh; Than slepeth hope, and after drede awaketh; Now hoot, now cold; but thus, bitwixen tweye, She rist hire up, and wente hire for to pleye. 4) II, 806-12 In suffisaunce, in blisse, and in singynges, This Troilus gan al his lif to lede. He spendeth, jousteth, maketh festeynges; He yeveth frely ofte, and chaungeth wede, And held aboute hym alwey, out of drede A world of folk, as com hym wo of kynde, The fresshest and the beste he koude fynde; II, 1718-22 一方、要約はこのパターンをとらない 5)。例えば、 The cause itold of hire comyng, the olde Priam, the kyng, ful soone in general Let her-upon his parlement to holde, 0f which th’ effect rehercen yow I shal. Th’ embassadours ben answerd for final; Th' eschaunge of prisoners and al this need Hem liketh wel, and forth in they procede. IV,141-47 結局、筆者も II, 326 の breste を歴史的現在とはとらなかった。なぜなら、よく似た文脈 がいくつかあり、そこでは過去形が使われているからである。 With that a fewe brighte teris newe owt of hire eighen fille, and thus she seyde, III,1051-52 Therwith the teris from hire eyen two Down fille, as shour in Aperil ful swithe; IV, 750-51 And with that word she brast anon to wepe. V,1078 Troilus 以外でも But with that word he brast anon to wepe, And seyde, … F. Fkl. 1480-81 他の箇所でも and seyde の前は大体過去形になっている。従って、breste を歴史的現在と 解するのは難しい。 4. チョーサーが breste という過去複数形を使わなかったとしたら、写字生か exemplar にあった bruste か broste 或いは braste を breste に「翻訳」した可能性が残る。写本で brest(e) としていたのは次の5つ或いは6つである。 breste Cp, D; brest H2, H3, Ph, (H5) ところが、Ph と H2 と A は他の箇所でも語幹の母音に e をもつ形を示す。 V, 530 braste ] V, 1078 brast ] breste A, Ph; berste H2 brest Ph; berste H2 これらの写字生は幹母音に e をもつ過去形を普段使っていたのであろう。だから、同じこ とを II, 326 において Cp 写本の写字生がした可能性はある。 Cp 写本 (Corpus Christi College, Cambridge, 61) はいわゆる γ 系の写本で、H1 写本 (Harley 2280, British Library) や Cl 写本 (Pierpont Morgan Library, M 817) と共に良い 写本と言われ、最近では Windeatt (1984)や Barney (1987) なども Cp を底本としている。 しかし、M. L. Samuels は“Chaucer’s Spelling”(1983)という論文において、この写本 は Hengwrt-Ellesmere 写本ほどチョーサ一の言語を表していないと指摘している。 … But Corpus Christi, Cambridge 61 is predominantly ‘late Type III,’ and its claim to represent Chaucer’s language is poorer than that of HengwrtEllesmere, for its normal form for ‘through’ is thorugh, and this is unlikely to be original as the metre always presupposes a monosyllable, not a disyllable. (At II. 616 there is the single, tantalising instance of thorwgh.) また、‘against’のチョーサーのつづりは agayn(s) であるが、Cp のつづりは ayein, ayeyn(s) であり、Cp が agayn(s) と書いているときは、exemplar に書いてあったつづり を残したのだと言う。他の単語についても同様である。 Chauccr | | Cp moche(l) | muche(l), (michel) shollen | shullen yif | if yit | ʒet nat | nought, nouʒt,nat,nauʒt say, saw | saugh, (sey,seigh,say,saigh,sauʒ) Cp 写本の言語は主に ‘late Type III’ であるが、チョーサーの言語である Type III の他 にもっと古い Type II に近いつづりも散発的に現れる。結局、3つの言語の層が認められ るのであるが、同じことが H1 写本や J 写本(St. John’s College, Cambridge, MS L. 1)に ついても言える。このように多くの写字生は「翻訳」型であったと Samuels は考えている 6)。 5. それでは過去形 brest(e) の幹母音 e はどこから来たのであろうか。それは恐らく中 期英語にしばしば見られた [ a ~ ] の交替に由来するのであろう。中尾俊夫 (1985) によ れば幾つかの種類がある。まず方言形としては ① ケントの [] : 他方言の [a] gadling ‘fellow’ ~gedling / fasten~festen / sah~she / wax~wex / clansien~clensien / ani~eni / arende~erende しかし LME になると、方言境界を互いにしばしば越える。 macche ‘match’ ~mecche / þanne~þenne / whanne~whenne / many ~meny 西中部でも OE の æ は e として現れることがある。 wes ‘was’ / hedde ‘had’ / whether < OE hwæþer チョ一サー-も脚頗では南西中部の bed (= bidde の過去単数 bad)や西部とケントの beer (= bere の過去単数 bar(e))を使っている。 ② __lC の []の i-Umlaut の出力は北部と東中部では[] 、西中部では [a]、後に[] fellan ‘fell’ / elder~alder / belig ‘belly’ ~balig / gelten~malten / welle ‘well’ ~walle ③ 南部方言で __xt の文脈で a> の上げを示すことがある。 ahte ‘property’ ~ehte / tahte ‘taught’ ~tehte / rahte ‘reached’ ~rehte 次に、類推によっても a が e に置換されることかあり、kasten~kesten は lesten など への類推と言われている。helpe の過去形 heelp、yelde ‘yield’ の過去形 yeld、delve ‘dig’ の 過去形 delf などは以前の重複動詞、例えば holde(中部) ,helde(南部)- held - helde - holde がモデルになってできたとされている。この3つはいずれも元の第三類の動詞であるが、 面白いことに、チョーサーは yelde と delve については音法則に従った yald と dalf だけ を使い、 ‘help’の場合は、すでに 13 世紀に南西部で行われた類推形の heelp を主に使っ たとされている(接続法過去では halp や holpe も使っているが)。 Everich of hem heelp for to armen oother KnT 1651 Thus heelp hym God, as Judicum can telle. MkT 2046 But Blisful Marie heelp hire right anon; MLT 920 Brunner によれば、これらはエルズミア写本の読みであり、他の写本には音法則的な halp や /e: / の短音化による / i / をもつ hilp が書かれていると言う。それだけエルズミア写本 は信頼されているのであろう。 注 * 本橋は平成5年7月に開催された広島英語研究会第 34 回夏季研修会において口頭発 表したものに基づいている。 1) M. L. Samuels は Equatorie of the Planetis がチョーサー自筆の作品と考えている。 2) この脱落については平成4年 10 月 7 日に来広された Terry Hoad 氏(オックスフォ一 ―ド大学 St. Peter’s College のフェロウ)に質問し、約2週間後に E. Weiner 氏から 返事が来た。 3) 142 例: 第 1 巻 hath 83, is 84, Ben 91, dryen 303, torneth 324, feyneth 326,sojorneth 326,borneth 327,is yolden 801, ben 913, waken 921, slepen 921, erren 1003,fareth 1087, hurt is 1087, is … Ylissed 1088-9, Abit 1091, gooth 1091, dryeth 1092 第2巻 quaketh 809,slepeth 810,awaketh 810, rist 812,walketh 823, sit 935, recomaundeth 1122,longeth 1346 第3巻 Yeve 19, devyse 203,cause 271,is 528,is 528,is 547,is 550,goth 748,mene 1164, hath 1245,may 1533,may 1537,may 1538,hath 1582,ben 1680,corse 1701, twynne 1711, spendeth 1718,jousteth 1718,maketh 1718,yeveth 1719, changeth 1719,nys l728,Is 1820 第4巻 shynyng is 31,fighte 45,bringen 45,quelle 46,ben answerd 145,liketh l47,procede 147,desiren 202,Lith 228,rist 232,feleth 343,lith 343,ben 370,brenneth 678,dwelle 685,is 696, is 689,kan 703,moot 755,hangen 817,is 822,lith 868,Bytrent 870, Goth 946,nys 1140,lith 1154,kan 1160,rist 1163,Kan 1165, is 1166, may 1437,passen 1698 第5巻 moot 59,rit 60,list l85,accepteth 186,wol 187,is 187,dar 203,corseth 207,corseth 208,goth 211,walwith 211, torneth 211, sojorneth 213,bygynne 265,is 442,availeth 449,kan 455, ben 456,rideth 561,dryveth 680, shal 686,Goth 772,kan 773,may774, descendeth 859、tarieth 862,shal 908,is 909,preveth 948,may 954,sheweth 1020,driveth 1101,hath 1101,stonden 1119,go 1131,loketh 1144,seth 1183,helpeth 1183,nath 1199,kan 1210,walketh 1222,sit 1312,rolleth 1313,may l314,swereth l430,swerth 1430,loveth 1430,descendeth 1511, goth l534,drieth 1540,wo1 1586,woot 1644,goth 1667,stant 1728,hath 1828,hath 1829、hath 1830,hath 1831,hath 1832 4) The Riverside Chaucer (1987) にあるこの wente を Barney は後の版では went に訂 正し、’wendeth’ と注をつけている。しかし、現在 - 過去のバターンから判断すれば、 過古形の wente のままの方が良いと思う。 5) 要約の文は And thus … で始まることが多い。 6) Samuels によれば、H1 の写字生は南西中部の出身、J 写本の写字生も西中部の出身で ある。 参考文献 Benson. Larry D., ed. (l987): The Riverside Chaucer, 3rd ed. [Based on The Works of Geoffrey Chaucer. Edited by F. N. Robinson.] Boston: Houghton Mifflin Company ――――, (1961): "Chaucer's historical present: its meaning and uses.'' English Studies, 42, pp. 65-77. Brunner, K. (1960-2)『英語発達史』[tr. of Die englishe Sprache: ihre geschichtliche Entwicklung. Tubingen: Niemeyer] 大修館書店 Davis, N., D. Gray, P. Ingham, and A. Wallace-Hadrill, eds. (1979): A Chaucer Glossary, Oxford: Clarendon Press Fisher, J. H., ed. (1989): The Complete Poetry and Prose of Geoffrey Chaucer, 2nd ed., New York, etc.: Holt, Rinehart and Winston, Inc. Kittredge, G. L. (l891): Observations on the Language of Chaucer's 'Troilus,' Chaucer Society 2nd ser. 28, repr. l969. New York: Russell & Russell Mustanoja, T. F. (1960): A Middle English Syntax: Part I. Parts of Speech, repr. 1985. Tokyo: MEICHO FUKYU KAI 中尾俊夫(1985) 『音韻史』 大修館書店 Pollard, A. W., H. F. Heath, M. H. Liddell and W. S. McCormick, eds. (l898): The Works of Geoffrey Chaucer, (The Globe Chaucer), London: Macmillan Robinson, F. N., ed. (l957): The Works of Geoffrey Chaucer. 2nd ed., London: Oxford University Press Root. R. K., ed. (l926): The Book of Troilus and Criseyde by Geoffrey Chaucer, Princeton: Princeton University Press Samuels, M. L. (l983): "Chaucer's Spelling''. in Middle English Studies Presented to Norman Davis, ed. D. Gray and E. G. Stanley. pp. 17-37. Sandved, A. O. (1985): Introduction to Chaucerian English, (Chaucer Studies XI) Cambridge: D. S. Brewer Skeat, W. W., ed. (l912): The Complete Works of Geoffrey Chaucer, London: Oxford University Press Tatlock, J. S. P. and A. C. Kennedy (1927): A Concordance to the Complete Works of Geoffrey Chaucer and to the Romaunt of the Rose. Washington D. C.: The Carnegie Institution of Washington Windeatt, B. A. (l984): Geoffrey Chaucer: 'Troilus and Criseyde'. A New Edition of 'The Book of Troilus', London: Longman
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