№ S18 府立堺支援学校 校長 山内 時彦 平成 25 年度 1 学校経営計画及び学校評価 めざす学校像 肢体不自由教育における牽引力のある学校としての「組織力・専門性・実践力」を継承し、特別支援教育の推進を図るために、時代が要請している 「センター的機能の発揮」と「障がいのある子どもの自立と社会参加をめざしたキャリア教育の展開」を行う。その際、本校の校訓でもある「明るく 正しく たくましく」を旨として、以下の3点を重点とした学校経営に取り組む。 1 開かれた学校・地域との連携を重視し、福祉・医療・労働等の関係機関との連携を促進し、支援教育の更なる充実のために「教育支援センター」 を設置し、センター的機能の発揮に努める。 2 障がいのある児童生徒一人ひとりの将来の自立と社会参加に向けて必要なキャリア教育の充実に努め、個別の教育支援計画、個別の指導計画の 充実に努める。 3 安心・安全な学校と子どもの障がいの状況に応じた支援の方策を図るために教員の専門性向上と授業改善の工夫を図る。 2 中期的目標 1.堺・泉北地域における支援教育の推進校として「支援教育のセンター校」の構想実現を図る。そのためには、肢体不自由や知的障がい、自閉症等 の障がい特性等の理解や指導技能の専門性を磨き、各教員各々の授業力を高めるための取り組みを行う。その際、以下の内容について、具体な取組 計画を行う。 (1) 校内の支援として、校内研修や授業実践の公開を行うなど積極的に障がいに関すること、授業の研究・研修の企画を行う。その支援として、大 学や医療専門職など、外部のスーパーバイザーを招聘して適切な指導援助を受ける環境を醸成する。 *外部人材の招聘(①大学の研究者 10 回程度、②医師、医療関係者 4 回程度、③園芸専門員他 10 回程度、学生支援員 随時) (2) 校外支援として、堺・泉北地域の支援教育推進校としての役割を担い、教育委員会・学校との調整を行い、リーディングスタッフを中心に巡回 相談や教育相談を展開し、地域の学校園に対しての支援方策を展開する。 (3) 授業力の向上や授業改善として、ICT等の機器を活用した教材の導入等の工夫を図る。タブレット端末機を計画的に導入し、どの授業でも活 用できる環境を整える。 2.障がいのある児童生徒一人ひとりの将来の自立と社会参加に向けて必要なキャリア教育の充実に努め、個別の教育支援計画、個別の指導 計画の充実に努める。 (1) 「堺支援学校版キャリア教育ステージ表」を活用した個に応じた個別の指導計画等を念頭に授業での実践・工夫を図る。 (2)新たに作成した様式「個別の指導計画・個別の教育支援計画」の充実・活用に向けた取り組みを各学部で検証し、保護者との連携促進と移行 を意図したシステムを構築する。 (3) 「環境教育」を大きく教育課程に位置付け、各学部での取り組みを行う。その際、 「ホタルプロジェクト」のカワニナ養殖や伝統野菜 である「田辺大根・天王寺蕪」等の栽培・即売、リサイクル活動等を通して検証を行う。 3 安心・安全な学校と子どもの障がいの状況に応じた支援の方策を図るために教員の専門性向上と授業改善の工夫を図る。 (1) 定期的安全点検と同時に、緊急時を想定したマニュアルの再確認とシミュレーションを行う。子どもの安全確保や人権尊重に基づいた取り組 み月間等を設け、教職員への人権意識の涵養に努める。 (2) 医療的ケアの必要な児童生徒の安全な指導のため、医師・看護師などの連携を図り、保健室がキーステーションとなってマニュアルの再確認 と点検を行い研修の充実に努める。 (3)重度重複障がいのある児童生徒の摂食指導やトイレ指導等の日常的な指導技能の習得はもとより、事故防止のための技能の習得研修等につい てもいとして行う。 【学校教育自己診断の結果と分析・学校協議会からの意見】 学校教育自己診断の結果と分析[平成 25 年 10 月実施分] ○概 況 ・10 月下旬から 11 月上旬の間に、保護者及び教職員を対象とし て実施した。回収率は、保護者が 65%、教職員 96%であった。 ・保護者を対象としたアンケート内容 「教育活動に関する項目」と「学校運営に関する項目」の 17 項目を設定し実施した。 ・教職員を対象としたアンケート内容 「学校教育計画」 「特別活動」 「進路指導」 「交流教育」 「自立活 動」「健康管理と指導」「校務分掌」「防犯・防災」 「職場環境」 「保護者・地域」 「学校運営」等の 69 項目を設定 し実施した。 ○結果等 保護者・教職員それぞれに肯定的評価を示している項目も多い が、ここでは、否定的評価(“あまりあてはまらない” “まったくあてはまらない” のトータルが 20%を超えているも の)を記す。 【保護者】 (※=前回アンケート評価よりも改善しているもの) ① 進路指導の取り組みについて(高等部高学年では肯定的評 価) (※) ② 学校の情報発信について(特にホームページ) (※) ③ 学校の施設・設備について 【教職員】 (※=前回アンケート評価よりも改善しているもの) ① 各分掌・委員会の業務内容について ② 学校の情報発信について(特にホームページ) (※) ③ 職員の健康と安全の確保、及び職場環境の改善について (※) ④ 教員の人員配置、及び事務処理機器環境について 学校協議会からの意見 第1回(6/20) ○学校経営計画について ・ICFの関連を検討し、障がいの基本的な考え方の理解を進めていってもらい たい。 ○地域支援とセンター的役割について ・どこにも属さない地域支援センターを作ることも考えられるのではないか。学 校だけでは難しいと思う。 ・家庭、地域、学校、教育委員会が連携してほしい。 ・地域の学校に情報がいくと助かる。 ・一般の学校の資格を取るにあたり、障がいのある子どものことを学び、理解す ることが必要である。 ・教育の場は学校だけではないし、地域支援という形での社会も入った計画が必 要で、府立が地域を考えるのは大変だろうが、核センターを作ってほしいと思 う。 第2回(12/2) ○防災の取組について ・学校の相談があれば、病院として場所、非常電源等提供できることを検討する。 ・通学時間帯の対応が課題である。 ・訓練の案内を保護者に出し、保護者からアドバイスをもらう。 ・地域との連携が大切。 ・訓練での心構え、実際の場に即した対応、災害後のアフターケアも必要。 ○高等部職業教育について ・年齢の高い人との関わり方、休憩時間の過ごし方の指導も必要。 ・自分が困っていることを伝える等コミュニケーション力をつけること ・余暇支援も必要である。 第3回(2/27) ○学校教育自己診断結果について № S18 府立堺支援学校 ⑤ 学校の施設・設備について ①進路指導について ○今後の対策 ・今後とも事業所と連携し、適切な情報提供をしていってほしい。 学校教育自己診断結果に係る「課題への対応」という用紙に、 ・就労に結びつかなくても企業実習の機会を増やしてもらいたい。 2月末までに各担当部署において、「現状・方針・改善計画の 経験が広がる。 具体案」を記入作成し、学校組織として改善策の共通認識を図 ・進路説明会への保護者の参加が少ない。保護者側も積極的に参加していかな り、具体な取り組みを進めていく。 ければならない。 ・事業所が多く迷う。教員も頑張っているので、相談できることが大切。 ②施設設備について ・重度対応と軽度対応のかねあいが難しい。 ③業務量について ・役割分担。一つの仕事を二人で担当し、負担軽減をしている。 ○地域支援について ・地域支援で行ったことを校内でも活かす。 ・通常学級からの情報を得る(インクルーシブ、交流) ○防災について ・安全点検がきっちり行われている。防災でどこまでやれば十分かの判断が難し い。 ・こだわりのある子どもへの対応 ・病院との協力関係を検討していく。 ○就労について ・企業への本人の情報提供が大切(個別の移行支援計画等の活用) ・保護者がつなぐ意識を持つ。 3 本年度の取組内容及び自己評価 中期的 目標 1 向 上 の 取 組 支 援 教 育 の セ ン タ ー 校 と 教 員 の 専 門 性 今年度の重点目標 具体的な取組計画・内容 (1)校内研修や授業研究・実践 (1)研修は研究部が各部署からの企画内 の促進 容をコーディネートし、学期に学部一回の 公開授業や初任者の公開研修を実施する。 (2) 教員の専門性向上に向けて (2)ICT の活用環境を図るためにも、引 の支援 き続き活用研修を行い、タブレット携帯の 計画的導入を図り、各学部に 5 台を目標と (3) 障がい種別に応じた外部人 する。 材の招聘 (3)授業の研究・研修の企画を行う。大 (4) 校外支援と校内支援の展開 学や医療専門職など、外部のスーパーバイ ザーを招聘して適切な指導援助を受ける。 に向けての構築 ①大学の研究者 10 回程度、②医師、医療 (5)福祉等関係機関との連携の 関係者 4 回程度、③園芸専門員他 10 回程 強化 度、学生支援員 随時) (4)コーディネーターと自立活動専任ス タッフを中心に校内・校外支援の組織的 な動きを支援する。 (5)福祉関連機関との連携を強化し、支援 計画・研修等の取組等共有を図る。 評価指標 自己評価 (1)参加者からの振り返りシ (1)専門性の向上をめざし、多 ートによる評価 70%以上 方面の研修を実施し、参加者の 評価は高く、80%を超える評価 (2)振り返りシートと子ども を得た。次年度は内容の系統性 からの評価 70%以上 等も検討したい。 (○) (2)全校で 16 台配置となり、発 (3)外部人材からの受講者へ 達段階に応じたソーシャルス の評価 70%以上 キル等効果的に活用でき、子ど もの満足度も 90%を超えてい (4)各市教育委員会及び学校 る。次年度は活用報告会等を実 園からの評価 70%以上 施したい。 (◎) (3)多方面から専門家を招聘し、 (5)福祉関連機関からの評価 目標回数は達成できた。受講者 70% の満足度も高いが、外部人材の 受講者への評価も熱心に受講 し 80%以上の評価を得ている。 次年度も継続する。(○) (4)支援先の学校長より直接お 礼の電話があったり、教育委員 会からも 90%を超える高い評 価を得ている。さらに市町村と の連携を深めていきたい。 (◎) (5)福祉懇談会、進路学習会を関 係機関から講師を招き実施し た。評価は 70%程度であった。 (○) (1)「堺支援学校版キャリア教 (1)(2)大学の専門家から助言をうけ、 1)①・②保護者・教員から 1)ステージ表を網羅した中で 実効性を高める。 のアンケート集約肯定的 授業計画をたてた。次年度各 育 ス テ ー ジ 表 」 を 活 用 し た 実 (1) ①個別の指導計画にキャリア教 評価 70% 部の連携等まだまだ整理す 践・工夫を図る。 育ステージ表が有効に活用されて (2)①保護者からの肯定的 ることがある。評価は 60%程 2 教 育 の 充 実 自 立 と 社 会 参 加 に 向 け た キ ャ リ ア いる。各学部での教育活動の取組の 評価 70% 度であった(△) 検証を行う。 ②PTA・保護者からの肯定 (2)①保護者懇談や参観日で (2)新たに作成した様式「個別 ②早期段階からキャリア教育ステー 的評価 70% 担任と連携を図った。肯定的 ジ表をもとにした取組の実践。 (3)①学部の児童生徒・教 評価 85%であった。(○) の指導計画・個別の教育支援計 員からの肯定的反応 70% ②意見集約を行ったが、肯定 画」の検証と保護者との連携促 (2)①保護者懇談や参観日で検証を行 う。 ②児童生徒からの肯定的 的評価 85%であった。(○) 進。 ②PTA 運営委員会や学校との懇談会で 反応 70% (3)①各学部水槽を複数台設 意見集約を行い、改善を行ってい ③ 地 域 か ら の 固 定 的 評 価 置し観察やえさやり、育った く。 ら放流を行い、生き物教育に 70% (3)「環境教育」を大きく教育 役立っている。肯定的反応 課程に位置付け、各学部での取 (3)①「カワニナ」の水槽ゲージを各 80%程度であった。次年度成 部に複数台設置して観察学習を行 果をまとめてみたい。(○) り組みを行う。 う環境を整える。 ②教職員、保護者への呼びか ②ペットボトルや空き缶リサイクル けを行ったが、浸透が不十分 の活動の支援を行う。 な面もあった。肯定的反応 60%情報発信の方法を検討 ③近隣の清掃活動の支援 する必要がある。(△) ③定期的に実施し、環境教 育だけでなく、地域との連携 にも役だっている。地域から の評価も高い。の肯定的評価 90%(◎) № S18 府立堺支援学校 3 安 心 ・ 安 全 な 学 校 と 子 ど も の 障 が い の 状 況 に 応 じ た 支 援 の 方 策 (1) 定期的安全点検と緊急時を 想定したマニュアルの再確認。 子どもの安全確保や人権尊重に 基づいた取り組み月間等を設 け、教職員への人権意識の涵養 に努める。 (2) 医療的ケアの必要な児童生 徒の安全な指導のため、医師・ 看護師などの連携を図る。 (3)大手前分校における病院と の連携促進。 (4) 重度重複障がいのある児童 生徒の事故防止のための技能の 習得研修等。 (1) ①PTA と連携した 「巡回安全点検活動」(1)①PTA からの肯定的評価 をチェックリストに基づいて実施。 70% ②教職員には 6 月~7 月に月間を設け人 ②振り返りシートでの肯定 権研修の実施と啓発活動を行う。 的評価 70% ③府保健医療課との連携により「衛生教 ③府からの肯定的評価 70% 育」として手洗い・調理実習の際の衛 (2)①受講者からの振り返り 生教育の実践を行う。 シートの肯定的評価 70% (2)①新転任者・医療的ケアの未経験者 ②医師・看護師からの受講者 に研修の機会を計画的に設ける。 への肯定的評価 70% ②医師・看護師からの定期的カンファレ 受 講 者 か ら の 肯 定 的 評 価 ンスを設定する。 70% (3)「学校・病院との連携協議会」の学期 (3)病院関係者からの肯定的 1 回開催及び「月一回の連絡会」 の開催。 評価 70% (4)PT や ST 等の専門家を招聘して、介 (4) 教 員 か ら の 肯 定 的 評 価 助の方法や身体的アプローチの仕方等の 70% 技法を学ぶ機会を企画する。 (1)①定期的に実施し、できると ころから改善した。予算面もあ り、十分満足できる改善には至 っていない。肯定的評価 60% (△) ②「人権に配慮したことばか け」をテーマに実践的事例をも とに研修し、教職員の意識は高 まった。肯定的評価 80%(○) ③内容の検討等連携し、毎年継 続できるよう依頼している。生 徒の反応も良く、府からの肯定 的評価 80%程度である。 (○) (2)①研究部が中心になり計画 的に研修を実施した。肯定的評価 80%次年度は研修内容と実施時 期について実質的効果を高める 検討をする。(○) ②定期的、必要に応じ随時実施 した。受講者への肯定的評価 75%(○) 受講者からの肯定的評価 80% (○) (3) 「学校・病院との連携協議会」 の学期 1 回開催は、連携が前進 した。連絡会の持ち方について の検討も進めるようになった。 肯定的評価 75% (○) (4)年間計画を立て、研修を実施 した。肯定的評価 80%(○)
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