公共財の理論 - 明治学院大学

公共財の理論
1.公共財とは?
2014年度 春学期 金曜5限


公共財(public goods)
排除可能性
非排除性
排除不可能
排除可能
非競合的

財政学 1
非競合性(等量消費性)
競
合
性
公共財≠政府が提供する財・サービス
純粋公共財
準公共財
準公共財
私的財
競合的
Jones(1998)による実例
参考:公共財の理論
排除可能性
排除不可能
競 非競合的
2014.7.18
排除可能
微分積分学
基礎的な研究開発
国防
ウォルマート社の
業務マニュアル
害虫繁殖抑制のために
不妊化された昆虫
海の魚
ソフトウェア用の
コンピューターコード
コード化された
衛星TV放送
合
担 当: 石 川 達 哉
性 競合的
フロッピーディスク
CDプレーヤー
弁護士サービス
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[私的財]
2.社会全体の消費量から見た公共財
-非競合性(等量消費性)の観点から-
私的財の社会全体の消費(可能)量: yA+yB=Y


yA
[私的財の消費可能曲線]
Y
個
人
A
の
消
費
量
純粋公共財の社会全体の消費(可能)量: yA=yB=Y
yA
[純粋公共財の消費可能曲線]
(私的財)
・ある量を個人Aが消費すれば、その分は他の人が消費
できない(競合的)
・各人の財に対する選好は異なる
(yA ,yB )
・各人が直面する市場価格は同じ
・各人は自分の選好に基づき、所得の範囲で価格に応じ
て消費量を決める
yA +yB =Y
個人Bの消費量
Y
yA
yB (限界便益と価格が一致する水準)
Y
個
人
A
の
消
費
量
Y
個
人
A
の
消
費
量
(yA ,yB ) =(Y,
Y)
個人Bの消費量
・各人の決定は相互に影響しない
[準公共財の消費可能曲線]
・立法、司法、警察、消防
(一般行政サービス)
・外交
Y
yB
個人Bの消費量
Y
・教育
・保健
・地域開発
・安全保障
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yB
3.生産可能な私的財と公共財の組み合わせ:生産可能曲
線


X
4.社会全体の便益から見た私的財と公共財
私的財の社会全体の便益:価格に応じて決まる各人の需要量の総和に依存
→価格に応じて各人の需要量合計として決まる社会的総需要に対応する便益
公共財の社会全体の便益:公共財の水準(量)に対応する各人の便益の総和

社会全体の資源は有限であるため、異なった種類の財を生産する際の生
産数量の組み合わせは限定される
生産可能な私的財と公共財の数量の組み合わせに関しても同様(一方の

生産量を増やせば、もう一方の生産可能量は減少する)
(注) 社会全体の便益が各人の便益の総和である点は同じだが、私的財の場合は、個人の
便益と費用(価格)との関係で各人の需要が決まり、その総和である社会的需要に社会的便
益が対応する。等量消費が可能な公共財の場合は、個々人の需要と社会的な需要が一致す
るため、任意の公共財水準に対応して各人の便益が決まり、その総和に社会的便益が対応
する。
・社会全体の総消費量は総生産量
に一致するので、社会的に望ましい
消費の組み合わせ、生産の組み合
わせを実現することが問われる
私的財の生産量
生産可能曲線
・市場の失敗がなければ、競合性と
排除性が働く私的財のみの場合は、
各人が自分の選好に基づいて所与
の価格の下で需要量を決めれば、
社会的に望ましい状況が成立する
<公共財>
<私的財>
・等量消費が可能な公共財が存在
する場合は、それが成り立たない
社会全体の需要(個人Aの需要+個人Bの需要)
価
格
社会全体の需要(個人Aの需要+個人Bの需要)
限
界
便
益
個人Aの需要
個人Aの需要
個人Bの需要
個人Bの需要
A+B
A
B
B
O
公共財の生産量
A
Z
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




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[参考:応用問題]
各人の価値観が異なる場合や所得格差が大きい場合には、ただ乗り(フリーライ
ダー)問題が生じやすい
市場機構の中での公共財の供給(公共財の自発的供給解)に見る市場の失敗:
最適水準より過小供給(ナッシュ均衡)
政府が公共財に対する便益評価(選好)を各人に正直に表明させ、費用負担させ
ることが出来れば、個別された価格の合計が公共財供給の限界費用と等しくなる
パレート最適の実現が可能(リンダール均衡)
費用負担を回避するため正直な申告がなされなければ(過小表示によるただ乗
り)、パレート最適ではなくなる
政府による公共財供給も必ずしも万全ではない
便益の及ぶ範囲が地域的に限定された「地方公共財」について:ティブーの「足に
よる投票」 ⇒ 最適水準が実現 ⇒ 地方分権・地方政府の意義
個人A、個人Bから構成される社会において、以下の関係が成立するとき、公共財
の最適水準を求めなさい。
(1)公共財に対する個人Aの限界評価関数:PA=10-QA
・・・ ①
(2)公共財に対する個人Bの限界評価関数:PB=20-QB
・・・ ②
(3)社会全体の公共財供給に関する限界費用関数:MC=10+3Q ・・・ ③
ただし、 PA :個人Aの限界評価、 PB:個人Bの限界評価、 QA:個人Aの公共財需要量、 QB:個人Bの公共
財需要量、 Q:公共財供給量、 MC:公共財供給に関する限界費用
(解法)
所与の公共財水準に対応する社会全体の限界便益は個人Aと個人Bの限界便益
(評価)の総和であるから、 ①と②の右辺の和より、
P=30-2Q
・・・ ④
④式で表される限界評価曲線と③式で表される限界費用曲線との交点においては、
P=MCが成り立ち、これが最適点となるから、
地方政府が地方公共財の水準と財源を自由に設定
住民の移動コストはわずか

地方公共財と税負担を考慮して住民は自分の選好に見合う地方政府を選択
・居住地としての土地に競合性 → 排除性
・人々の地域間移動による公共財需要の顕示


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需要量
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5.公共財供給を巡る様々な論点

A+B
需要量
30-2Q=10+3Q ・・・ ⑤
よって、
Q=4
179
・・・ ⑥
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