教員氏名 橘 裕司(たちばな ひろし) 取得学位 医学博士 現在の身分(役職名) 教授 専門分野 寄生虫学、熱帯医学 現在の研究課題 新興・再興原虫感染症に関する研究 所属学会 日本寄生虫学会、日本熱帯医学会、日本原生動物学会、日本感染症 学会、日本霊長類学会、米国微生物学会など 教員紹介 領域(医学部組織) 生体防御学 専門分野キーワード 研究内容 寄生虫学 近年、感染症は再び増加傾向にあり、新たに出現した感染症や再び猛威をふるっている感染症、い わゆる新興・再興感染症が注目されています。その中には年間 100 万人以上が死亡するマラリアなど の原虫感染症も含まれています。私の研究室では、特に我が国で患者が増えている赤痢アメーバ症 や、薬剤耐性が問題になっている熱帯熱マラリアなどの原虫症に対して、有効な対策を確立するため の基礎研究を行っています。 赤痢アメーバ(Entamoeba histolytica)については、宿主細胞への接着に関与する Igl (Intermediate subunit of Gal/GalNAc lectin) という表面タンパク質を新たに見つけました。大腸菌で作製した Igl の組 換えタンパク質断片は、ワクチン候補として有望です。最近、Igl に対するヒトモノクローナル抗体も作製 することができ、治療や予防への応用が期待されます。また、組換え型 Igl を利用した血清診断法を開 発し、海外でアメーバ症の疫学研究も行っています。赤痢アメーバ症は人獣共通感染症としても重要で すが、最近、サル類から分離した病原アメーバが赤痢アメーバとは異なることを明らかにしました。この アメーバに対して Entamoeba nuttalli という学名を提唱しています。今後、アメーバ類のゲノム解析や宿 主との共進化に関する研究も行いたいと考えています。この他、アメーバに存在する特殊に進化したオ ルネガラについての研究も行っています。 一方、熱帯熱マラリア原虫(Plasmodium falciparum)に ついては、赤血球に侵入する時期の表面タンパク質 MSP-1 (Merozoite surface protein-1) に対して、ヒトモノ クローナル抗体を作製することに成功しました。写真は、 抗体が赤血球内で大きくなった虫体(左)や分裂し放出さ れる直前の虫体(右)の表面と反応することを示したもの です。MSP-1 は株間で抗原多様性の大きい分子ですが、 この抗体は共通の抗原エピトープを認識するものです。 予防や治療への応用をめざして、研究を続けています。 主要論文: 1. Yang B, Chen Y, Wu L, Xu L, Tachibana H and Cheng X: Seroprevalence of Entamoeba histolytica infection in China. Am. J. Trop. Med. Hyg. 87:97-103, 2012. 2. Fu YF, Feng M, Ohnishi K, Kimura T, Itoh J. Cheng XJ and Tachibana H: Generation of a neutralizing human monclonal antibody Fab fragment to surface antigen 1 of Toxoplasma gondii tachyzoites Infect, Immun. 79:512-517, 2011. 3. Tachibana H, Cheng XJ, Tsukamoto H and Itoh J: Characterization of Entamoeba histolytica intermediate subunit lectin-specific human monoclonal antibodies generated in transgenic mice expressing human immunoglobulin loci. Infect. Immun. 77:549-556, 2009. 4. Tachibana H, Yanagi T, Pandey K, Cheng XJ, Kobayashi S, Sherchand JB and Kanbara H: An Entamoeba sp. strain isolated from rhesus monkey is virulent but genetically different from Entamoeba histolytica. Mol. Biochem. Parasitol. 153:107-114, 2007. 5. Cheng XJ, Hayasaka H, Watanabe K, Tao YL, Liu JY, Tsukamoto H, Horii T, Tanabe K and Tachibana H: Production of high-affinity human monoclonal antibody Fab fragments to the 19-kilodalton C-terminal merozoite surface protein 1 of Plasmodium falciparum. Infect. Immun. 75:3614-3620, 2007. Copyright (C) 2014 東海大学大学院医学研究科. All Rights Reserved.
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