2 + + - + + +

計算の工夫をして平均と分散を求める
コ ン ピ ュ ー タ を 使 う と ,数 値 が 大 き く て も 瞬 時 に 平 均 や 分 散 を 求 め ら れ る の で ,計 算 方 法
を 工 夫 し な い が ,コ ン ピ ュ ー タ を 使 わ ず に 計 算 す る 場 合 ,一 工 夫 す る こ と で 計 算 量 を 大 幅 に
減らすことができる。
そ の 方 法 と は ,す べ て の 数 値 か ら 一 定 の 値 を 引 い て ,数 値 の 絶 対 値 を で き る だ け 下 げ ,途
中の計算を簡単にして平均や分散を求める方法である。
数 値 を 下 げ て 計 算 し た 仮 平 均 に ,全 体 か ら 引 い た 一 定 値 を 後 で 加 え る こ と で 、求 め る 平 均
値が得られる※1。
分 散 は ,分 布 の 広 が り だ か ら ,本 来 の 状 態 で 求 め て も ,全 体 的 に 一 定 値 を 引 い て 求 め て も ,
分布の広がりは変わらないので,数値を下げて得られた分散がそのまま答えとなる※2。
次の例題を使って計算量を比較する。
[ 例 題 ] 次 の デ ー タ を 用 い て 平 均 ( m )と 分 散 (V )の 値 を 求 め よ 。
X
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
62
57
77
48
69
58
81
53
64
74
(平均)
<一般的な方法>
平均=
62  57  77    53  64  74 643
=
= 64.3
10
10
<数値を下げて求める方法>
数 値 を 見 て , だ い た い 60 あ た り に 集 中 し て い る か ら , 全 体 か ら 60 を 引 い て 平 均 を
求める。
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
2
-3
17
-12
9
-2
21
-7
4
14
Y
仮平均=
2 (3) 17   (7) 4  14 43
=
= 4.3
10
10
よ っ て , 平 均 は , 64.3
(注)・全体から引く数字は,データから推測すればよい。
・一般的な方法に比べて,数値がかなり小さくなり,計算しやすい。
(分散)
< 一 般 的 な 方 法 ① > ・ ・ ・  ( X i  m) 2
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
X
62
57
77
48
69
58
81
53
64
74
( X  m) 2
5.29
53.29
161.29
265.69
22.09
39.69
278.89
127.69
0.09
94.09
分散=
5.29  53.29  161.29    127.69  0.09  94.09 1048.1
=
= 104.81
10
10
( 注 )・各 デ ー タ か ら ,平 均 を 引 い て 小 数 の 2 乗 を す る の で ,手 計 算 で は か な り 手 間 が
かかる。
-1-
< 一 般 的 な 方 法 ② > ・ ・ ・ E ( X 2 )  ( E ( X )) 2
X
X
2
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
62
57
77
48
69
58
81
53
64
74
3844
3249
5929
2304
4761
3364
6561
2809
4096
5476
よって,X2 の平均は
X2 の平均=
3844  3249  5929    2809  4096  5476 42393
=
= 4239.3
10
10
分 散 = 4239.3- (64.3) 2 = 104.81
( 注 )・ 小 数 の 2 乗 計 算 が な く な っ た 分 , 楽 に な っ た が , X 2 の 平 均 を 求 め る の で , 大 き
な数字になってしまう。
< 数 値 を 下 げ て 求 め る 方 法 > ・ ・ ・ E (Y )  ( E (Y ))
2
Y
Y2
1
2
4
2
-3
9
3
17
289
4
-12
144
5
9
81
6
-2
4
2
7
21
441
8
-7
49
9
4
16
10
14
196
よって,Y2 の平均は
Y2 の平均=
4  9  289    49  16  196 1233
=
= 123.3
10
10
分 散 = 123.3- (4.3) 2 = 104.81
(注)・扱う数値が小さいので,Y2 の平均を求める時も比較的平易である。
※1
確 率 変 数 X i か ら , 一 定 値 m を 引 い た 値 を Yi と す る 。
Yi  X i  m
 X i  Yi  m
こ の と き , X i の 平 均 E (X ) は
1 N
 Xk
N k 1
1 N
=
 (Yk  m)
N k 1
1 N
1 N
=
Y

m
 k N
N k 1
k 1
= E (Y )  m
し た が っ て , X i の 平 均 を 求 め る と き , 一 定 値 m を 引 い た 値 Yi の 平 均 を 求 め て お き ,
最 後 に 一 定 値 m 加 え て も よ い こ と が 分 か る 。 こ の と き の E (Y ) を 仮 平 均 と い う 。
※ 2 確 率 変 数 X i か ら , 一 定 値 m を 引 い た 値 Yi の 分 散 V (Y ) は 。
E (X ) =
V (Y ) = E (Y 2 )  E (Y )
1 N
2
=
( X i  m) 2  E ( X )  m

N k 1
1 N
2 N
1 N 2
2
2
=
X

mX

m  E ( X )  2m  E ( X )  m 2



i
i
N k 1
N k 1
N k 1
2


= E ( X )  2m  E ( X )  m  E ( X )  2m  E ( X )  m
2
2
= E ( X 2 )  E ( X ) = V (X )
2
-2-
2
2

