Page 1 Page 2 学位授与の日付 平成 ー2年 ー 月 24 日 学位授与の

KURENAI : Kyoto University Research Information Repository
Title
Author(s)
Citation
Issue Date
URL
Xenon Has Greater Inhibitory Effects on Spinal Dorsal Horn
Neurons than Nitrous Oxide in Spinal Cord Transected Cats(
Abstract_要旨 )
Miyazaki, Yoshiya
Kyoto University (京都大学)
2000-01-24
http://hdl.handle.net/2433/181269
Right
Type
Textversion
Thesis or Dissertation
none
Kyoto University
氏
名
筈
議
岩
島
(
医
学)
学位(
専攻分野)
博
士
学 位 記 番 号
医
博
学位授与の 日付
2年 1 月 2
4日
平 成 1
学位授与の要件
学 位 規 則 第 4 条 第 1項 該 当
研 究 科 ・専 攻
医 学 研 究 科 外 科 系 専 攻
学位論文題 目
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7
2号
第 21
(キ セ ノ ン吸入 は脊髄 切 断 ネ コの脊髄 後 角 ニ ュー ロ ンに対 して亜 酸 化 窒素 よ り も
抑制作用が強い)
論文調査委員
欝 ㌔ )
柴 崎
浩
論
教 授 金 子 武 嗣
文
内
容
の
要
教 授 福 田和 彦
旨
(
Ⅹe
)は現在広 く用いられている亜酸化窒素 (
N20)の代替 として期待 されている麻酔捧用をもつガスである。
WDR)ニューロンに対 して N20と同程度の抑制作用を持っ ことは報告 され
これまで Ⅹeの吸入がネコ脊髄後角広作動域 (
キセノン
ているが,その作用機序に上脊髄が関与するかどうかに関する検索は行われていない。本研究では脊髄切断ネコを用 いて脊
髄後角 WDRニューロンに対する Ⅹeの効果を N20と比較 し,その作用機序に上脊髄が関与するかどうかを検討 したo
2個の WDRニェーロンを記録 したO- ロセ ン麻酔下に第 1
0-1
2胸椎 レベルで脊髄
<方法 >成 ネコ8匹を用いて,合計 1
.
5
切断を行 った。以後はウレタン-クロラロース麻酔 とし,腰部椎弓切除を行 った。脊髄切断より最低 2時間経過 してか ら,0
Ms
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e(
2
%ボンタ ミンスカイブルーを含む)を充壊 したガラス電極を用 いて後肢 に末梢受容野を もつ脊髄後角
WDRニューロンの電気活動を脊髄腰部膨大部か ら記録 した。受容野の中心部に触刺激および侵害刺激を 1
0秒間加え,刺激
0
% の Ⅹeまたは N20を 2
0分間吸入 させたo 吸入開始時か ら5分間隔
によるニェ-ロンの発射活動の増加を記録 した後, 7
0
% 以上減少 したものを抑制
で誘発反応を記録 し,吸入中止後 2
0分間同様 に観察 した。吸入中のいずれかの時点で反応が 2
ありと判断 した。
Rニューロンの触および侵害刺激 による誘発反応 は全例 が抑制 されたOそれに対 して
<結果 >Ⅹeにより脊髄後角 WD
N2
0では触刺激において抑制 されたものが 6例,抑制 されなか ったものが 6例,侵害刺激 において抑制 されたものが 4例,
抑制 されなか った ものが 8例であった。 また触および侵害刺激 による誘発反応 は Ⅹeにより吸入前 の反応の各 々,6
6
.
3±
6
.
9
%,
5
9
.
1±4.
6
% と有意 に抑制 されたが,N20ではそれぞれ 9
0
.
9±9
.
2
%,
9
1
.
9±7
.
7
% であり有意差 はみ られなか った。以
上より脊髄切断ネコにおいて,Ⅹeは N20と異なり,脊髄後角 WD
Rニューロンにおける触および侵害刺激による誘発反応
を有意 に抑制することが示 された。
<考察 >以前の研究では,脊髄を切断 していないネコでは,触および侵害刺激 による脊髄後角 WD
Rニューロンの誘発反
0の間で差 は認め られなか った。本研究 における脊髄切断ネコでの結果では,Ⅹe
応 に対する吸入時の抑制作用 に Ⅹeと N2
は有意に脊髄後角 WD
Rニューロンを抑制 し,N2
0は有意な抑制作用を示 さなか った。N2
0の鎮痛作用のメカニズムには上
脊髄か らの下行性抑制系が関与 しているとす る報告があり,本研究の結果 もその可能性を示唆す る。今回,脊髄切断によっ
て下行性抑制系の影響を排除することにより,Ⅹeの脊髄後角ニューロンに対する直接作用が明 らかになり,Ⅹeの脊髄後角
ニューロンに対する抑制作用には上脊髄か らの下行性抑制系は関与 しないことが示唆 されたo
2
0と異なり,下行性抑制系を介 さずに脊髄後角ニューロンを抑制 し,脊髄後角 ニューロンに対 して N2
0
<結論 >Ⅹeは N
より強い直接抑制作用をもっことが示唆 された。 本研究 は Ⅹeの抗侵害作用の部位を初めて電気生理学的に解析 したものと
して価値が高 く, さらに広 く吸入麻酔薬の作用を解明することにも貢献するものである0
-5
3
5-
論 文 審 査 の 結 果 の 要 旨
Ⅹe
)が麻酔作用を有す ることは従来知 られていたが,人体や 自然環境 に無害であると
大気中に微量 に存在す るキセノン (
い う事か ら, 現在広 く用 い られている吸入麻酔薬 である亜酸化窒素 (
N20) の代替 と しての Ⅹeの使用が期待 されている.
N20 の抗侵害作用 は下行性抑制系 を介 していることか報告 されているが, Ⅹeの抗侵害作用 についてその機序を検討 した報
告 は無 い。
本研究 は,侵害受容伝達 に重要 な役割 を果た していると考 え られ る脊髄後角広作動域
(
WDR)ニ ューロンに対する Ⅹeの
作用 を,脊髄切断 により下行性抑制系の影響 を排除 したネコにおいて N20 と比較,検討 した ものである。下部胸髄 レベルで
脊髄切断 した成 ネコの腰髄膨大部 よ り WD
Rニューロンの単一細胞外記録を行い,7
0
%Ⅹeと 7
0
%N2
0 の吸入 による WD
R
ニ ュー ロ ンの触刺 激 お よび侵害刺激 に対 す る反応 の変化 を調 べ た。 その結 果, Ⅹeは WD
Rニ ュー ロ ンの誘発反応 を全
ニュ-ロンにおいて抑制 したが,N20 は有意の抑制 を示 さなか った.申請者 らはすで に,脊髄切断を行 っていないネコで Ⅹe
は N2
0 と同程度 wDRニューロ ンを抑制す ることを報告 しているが,今回の結果 は, Ⅹeは下行性抑制系を介 さない脊髄後
角 ニューロンに対す る抑制作用を有 し, その作用 は N20 よ りも大 きいことを示 している。
以上の研究 は, Ⅹeの抗侵害作用の機序解明に貢献 し, Ⅹeの麻酔薬 としての臨床応用 に寄与す るところが大 きい。
したが って,本論文 は博士 (
医学)の学位論文 として価値 あるもの と認める。
なお,本学位授与 申請者 は,平成 1
1年 1
1月 1
5日実施の論文内容 とそれに関連 した試問を受 け,合格 した ものであるO
-5
3
6-