Nanotech リーフレット /「カーボン」A4_2P (表 1) No.23_ 高機能フッ素樹脂の実用化開発 ものづくり革新、 NEDOがささえる未来のくらし PROJECT 23 カーボンナノチューブで フッ素樹脂を高機能化 プロジェクト名称 高機能フッ素樹脂の実用化開発 フッ素樹脂粒子表層に、長尺配向カーボンナノチューブを 0.01wt%添加し、帯電防止レベルの導電性付与を実現 成果の概要 本プロジェクトでは、長尺配向カーボンナノチューブ(長さ50µm∼150µm;以下、長尺配向CNT)とフッ素樹脂 (PTFE、平均粒径25μm) を高度に複合化し、導電性、熱伝導性、機械特性を備えた高機能フッ素樹脂の実用化を開発 しました。 フッ素樹脂粒子表面に0.01wt%∼1wt%の範囲において長尺配向CNTを定着・含浸させ、高機能フッ素 樹脂を試作・評価し、既存部材を超える性能が得られました。 (1)導電性 長尺配向CNTの添加量0.01wt%において帯電防止レベル(2.4×107Ω・cm) (2)熱伝導性 CNT 100 長尺配向CNTの添加量0.05wt%において母材樹脂の2.6倍の熱伝導率 (0.64W/(m・K)) m (3)機械特性 10nm 長尺配向CNTの添加量0.1wt%において、母材樹脂に比べ、11%の曲げ強度、 圧縮強度向上 高機能フッ素樹脂の性能評価結果 CNT 0.01 cm 2.4 107 W/ m K 0.05 3.0 102 長尺配向CNT SEM・TEM写真 wt% CB 0.1 5.1 101 0.64 50 4.2 19 Down 40 Down Up 11 Up Down 11 Up 1 15 1.8 2.2 104 0.69 0.54 20 28 10 wt% Down Up Down 64 Down 5.0 Up 24 Down Nanotech リーフレット /「カーボン」A4_2P(裏 2) No.23_ 高機能フッ素樹脂の実用化開発 高機能フッ素樹脂の簡便な製造プロセスの確立 プ ロ ジェクト の 目 的 本プロジェクトでは、高機能フッ素樹脂の製造において、簡便・量産向けでかつ低コストな高機能フッ素樹脂の製造プロ セスの開発を行いました。 フッ素樹脂に対するCNT添加量を飛躍的に下げ、高機能フッ素樹脂の製造プロセスを工業 的に確立し、実用化の検討を行うことを目的としました。 樹脂粒子表層にのみ長尺なCNTを定着・固定化 技術内容 長尺配向CNTを溶媒中に均一に分散させたCNT分散液を利用し、 フッ素樹脂と混合する事で、均一分散状態を維持し たまま、 フッ素樹脂表層に付着させることが可能となりました。また、溶媒はフッ素樹脂との親和性が良いものを利用 し、樹脂を膨潤させる効果により、CNTとフッ素樹脂は、隙間なく密着し、CNTをフッ素樹脂表層に定着・固定化してい る様子が確認されました。樹脂粒子表層にのみ、長尺なCNTを定着させるプロセスにより、極少量(CNT添加量 0.01wt%)での導電性付与を実現しました。 第一工程 第二工程 第三工程 CNT分散液作製 フッ素樹脂添加・混合 乾燥・粉末回収 高機能フッ素樹脂製造プロセス CNT CNT 100nm 高機能フッ素樹脂のTEM写真 (CNT添加量:0.01wt%) 樹脂表層部へのCNT定着・固定化イメージ 高機能フッ素樹脂成形体外観写真 (CNT添加量:0.01wt%) 確立した高機能フッ素樹脂製造プロセスのスケールアップ 実証・サンプル販売を予定 今後の展望 今後は、確立した高機能フッ素樹脂製造プロセスにおいて、CNT分散液作製、混合、乾燥のそれぞれのプロセスにおけ るスケールアップ設備を導入し、実証試験を実施します。 2014年10月に、10ton/年の高機能フッ素樹脂のサンプル製造体制を確立し、サンプル販売開始を目指します。 プロジェクト参加機関 問い合わせ先 大陽日酸(株) (独) 新エネルギー・産業技術総合開発機構 電子・材料・ナノテクノロジー部 TEL:044−520−5220
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