解答例

基幹物理学 IA 演習(2014 年 6 月 26 日分)
・衝突問題: 運動量・エネルギー保存則
1.2質点(質量 m1,m2)が正面衝突した。この場合は1次元問題となる。反発係数が1のとき(弾
性散乱と呼ぶ)
、以下の問に答えよ。衝突前後の速度をそれぞれ v1,v2,v1’,v2’とせよ。なお、反
発係数は e 
v2 'v1 '
で定義される。
v1  v2
(1) 衝突前後での運動量保存の式を書け。
m1v1  m2 v2  m1v1 'm2 v2 ' --- ①
(2) 衝突後の2質点の速度 v1’,v2’を求めよ。
e
v2 'v1 '
1
v1  v2
より、 v1  v2  v2 'v1 '
--- ②
① ②式を連立して解くと、
v1 ' 
1
(m1  m2 )v1  2m2 v2 、 v2 '  1 2m1v1  (m2  m1 )v2 
m1  m2
m1  m2
(3) 衝突前後でエネルギーの和は保存されることを示せ。
(2)の結果を用いて、
1
1
1
1
2
2
m1v1 '2  m2 v2 '2  m1v1  m2 v2 なることを示せばよい。
2
2
2
2
2.質量 M の物体が速度 V で x 方向に運動している。質量の一部 m を-x 方向に速度 v で放出し、
2つの物体に分かれたとき、残りの質量 M-m の物体の x 方向の速度 V’を求めよ。また、分裂
前後での運動エネルギーの変化を計算せよ。
運動量保存則より、 MV  mv  (M  m)V '
よって、 V ' 
MV  mv
M m
運動エネルギーの差は
E 
1
1
1
1 mM (V  v) 2
( M  m)V '2  mv 2  MV 2 
0
2
2
2
2 M m
3.ビリアードゲームを考える。ただし、キューボールは質点として扱い、球の回転の効果や摩
擦は無視する。図に示すように、キューボール A をキューで突いて、x 方向にある目標ボー
ル B に衝突させ、
B から見て x 方向から 40°の方向にあるコーナーポケットに B を沈めたい。
このとき、衝突後のキューボール A の x 方向からの角度を以下の問に従って求めよ。必要
な物理量が出てきたら、定義して用いること。
y
uB
vA
40°
B
A
x

uA
(1) 運動量保存の式を書け。
(注:2次元平面内での衝突現象なので速度はベクトル量)
キューボールの質量を m として、図に示された衝突前後の速度を使うと、




 
mv A  mu A  mu B よって、 v A  u A  u B
(2) 設問1より、衝突前後で運動エネルギーは保存されるので、その関係式を書け。
1
1
1
2
2
2
mvA  mu A  muB
2
2
2
よって、 v A  u A  u B
2
2
2
--- ①
(3) (1)
(2)から求めた速度に関する関係式を用いて、図の角度を導出せよ。
 




 
2
2
2
v A  v A  v A  (u A  u B )  (u A  u B )  u A  u B  2u A  u B
 u A  u B  2u Au B cos(40   )
2
2
①式を代入すると、 cos(40   )  0 となり、
40    90
よって、   50
このように、質量の等しい2粒子が弾性衝突をする場合は、衝突前後両者はお互いに直角方
向に運動することがわかる。
4.(追加問題)1つの質点が、静止していた質量の不明な第2の質点と正面衝突して、逆向き
に跳ね飛ばされ、運動エネルギーの 75%を失ったとする。この衝突が弾性衝突であるとすれ
ば、第2の質点は第1の質点の質量の何倍か。
2つの質点の質量をそれぞれ m1、m2 とする。衝突前の m1 の速度を v1, 衝突後のそれぞれの速
度を u1, u2 とする。
運動量保存則より、 m1v1  m1u1  m2u2 ---- ①
1
1
1
2
2
2
m1v1  m1u1  m2u 2 ---- ②
2
2
2
1
1
1
2
2
2
---- ③
m1v1  m1u1  0.75  m1v1
2
2
2
エネルギー保存則より
題意より
これら①②③式から、u1 と u2 を消去する。
2
v
v
まず式③から、 u1  0.25v1  1 、よって u1  1
2
4
3 m1 2
1 3m1
2
これを②に代入して、 u 2 
v1 、よって u 2 
v1
4 m2
2 m2
2
2
式①から v1  u1  u2 に上記 u1 と u2 を代入して、
v1  
v1 m2

2 2m1
3m1
v1
m2
式を整理して、 3  3
m2
m1
m1
m2
よって、 m2  3m1