UF-1000iにおける赤血球粒度分布の活用について

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UF-1000iにおける赤血球粒度分布の活用について
◎井上 真由美 1)、杉山 絵美 1)、平松 那菜 1)、大石 博晃 1)、赤水 尚史 2)
公立大学法人 和歌山県立医科大学附属病院 1)、公立大学法人 和歌山県立医科大学内科学第一講座 2)
【はじめに】尿沈渣検査における尿中赤血球形態情報は、
診断名は、膀胱癌、前立腺癌、ナットクラッカー現象など
血尿の由来を考えるためのひとつの情報であり、赤血球粒
腎疾患以外がほとんどであり、非糸球体性血尿と考えられ
度分布の有用性について報告されている。今回全自動尿中
たが、eGFR が 30 未満の腎不全患者が含まれていた。
有形成分分析装置 UF-1000i(シスメックス社:以下 UF)
Mix に分類された 66 検体の小型率は 29.1~75.8%、Dys は
における赤血球粒度分布を赤血球形態情報の報告に活用す
56 検体で 56.6~87.2%であった。56.6~75.8%においては両
るための検討を行ったので報告する。
者が混在していた。75.9%以上では Dys のみとなり、目視
【対象】尿沈渣が依頼され UF において赤血球が 20 個
では糸球体型赤血球 3 段階分類の「大部分」であり多彩性
/μl 以上且つ目視にて 5-9 個/HPF 以上認められた患者尿
を認めた。臨床診断名は IgA 腎症、急性糸球体腎炎、ネフ
212 検体
ローゼなど腎疾患がほとんどであり、糸球体性血尿と推定
【方法】1.UF の赤血球数とブラウザ画面のリサーチ1に
された。Mix のうちヒストグラムが 2 峰性を示す場合は腎
表示される Small RBC の個数から、Small RBC の割合(小
疾患、幅の広い場合は小型率 50%未満では泌尿器疾患が多
型赤血球比率%:以下小型率)を求め、UF の赤血球形態情
く、50%以上では腎疾患が多かった。目視では 3 段階の各
報の Isomorphic?(以下 Iso)、Dysmorphic?(以下 Dys)、
分類が見られたが判定は困難であった。
Mixed?(以下 Mix)に分類し、臨床診断名との関連性を調
【考察】UF の Iso、Dys は臨床診断とよく一致していた。
べた。2.尿沈渣検査法 2010 に従い赤血球を分類し、UF か
Mix においては粒度分布ヒストグラムのパターンと小型率
ら得られた結果と比較した。
50%で判定することにより、血尿の由来推定に有用な情報
【結果】UF で Iso に分類された 90 検体の小型率は 0.6
が報告できることが示唆された。
~33.0%、目視では非糸球体型赤血球のみを認めた。臨床
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