アルミナ短繊維強化アルミニウム合金 複合材料の切削における工具摩耗

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アルミナ短繊維強化アルミニウム合金
複合材料の切削における工具摩耗
08-1-035-0069 寺町 耕太朗
1. 緒言
アルミニウムは軽量で,常温での強度も優れて
いるため,自動車,輸送機器などの軽量化材料と
くなることがわかる.
クレータ摩耗幅 KB は B97 の方が B80 より大きく
なった.
して使用量が増加している.しかし,高温で著し
工具寿命曲線を図 2 に示す.
高硬度の繊維
(B97)
く強度が低下するため,単体では耐熱性が要求さ
の複合化により工具寿命が短くなることがわかる.
れる部位への適用は困難である.これを改善する
0.3
繊維を強化材として用い,複合化させる方法があ
る.セラミックス繊維の中でもアルミナ繊維は高
強度で耐摩耗性が良好であるが,アルミナ短繊維
強化アルミニウム合金複合材料の切削性に関する
研究報告はほとんど見られない.そこで本研究で
逃 げ 面 摩 耗 幅 V B (m m )
手法の 1 つに,耐熱性に優れたセラミックスの短
0.25
0.2
B97(v=150)
0.15
B97(v=100)
B97(v=50)
0.1
は,加圧含浸法を用いて作製したアルミナ短繊維
0.05
強化複合材料について,その切削過程で生じる工
0
B80(v=150)
B80(v=100)
B80(v=50)
0
具の摩耗挙動を明らかにすることを目的とする.
1000
2000
3000
4000
5000
6000
7000
8000
切削距離x (m)
2. 実験方法
図 1 逃げ面摩耗幅 VB と切削距離 x の関係
アルミナ短繊維B97(Al2O3含有量 97mass%, SiO2
含有量 3 mass %,繊維径 3.5μm) ,B80(Al2O3含
200
有量 80 mass %, SiO2含有量 20 mass %,繊維径 3.
JIS-AC8Aアルミニウム合金溶湯(1073K)を加圧含
浸法により複合化させた.複合材料中の繊維体積
率(Vf)は 15vol%とした.工具摩耗試験は以下の条
件で行い, 逃げ面摩耗幅VBとクレータ摩耗幅KB
B97
切 削 速 度 V ( m / m in )
5μm)を用いてプリフォームを作製し,これと
150
B80
100
50
を測定した.工具寿命の設定値は,VB=0.2mmとし
た.
(1)バイト:材種H1 (超硬合金)
0
0
(2)切込み t:0.1mm
(3)送り量 f:0.1 mm/rev
20
40
60
80
工具寿命T (min)
100
120
図 2 工具寿命曲線
(4)切削速度 v:50 m/min,100m/min,150m/min
4.結言
3. 実験結果
同じアルミナ短繊維でもその特性によって切削
図 1 に逃げ面摩耗幅 VB と切削距離 x の関係を示
性に及ぼす影響は大きく,とくに高硬度の繊維を
す.VB は x が同じなら切削速度の影響をあまり受
複合化させると工具寿命は短くなることが明らか
けないが,切削速度を大きくすると工具寿命は短
となった.