VC CDC データシート

Datasheet
VC CDC
次世代スタティック CDC チェック
概要
クロックドメイン・クロッシング(CDC)スタティック検証の課題
現在の SoC には多くの機能が集積さ
大規模な SoC デザインの CDC 検証をフラットなフルチップ・レベルで実行
れており、先進のインターフェイス・
するのは非常に困難です。このため、これまでは階層型またはブロック・ベース
プロトコルとロジック間の相互通信が
のメソドロジを採用せざるをえませんでした。しかしこの方法ではブロック
非常に複雑になっています。使用する
間のデザイン・レベルの CDC バグを見逃してしまうリスクがあります。
IP の増加、デザインの著しい大規模
化、複雑なクロッキングなどの要因
も 重 なって、 ク ロッ クドメ イ ン を
またぐパスの数は爆発的に増大して
います。検証工程の終盤でクロック
ドメイン・クロッシング (CDC) のバグ
が見つ か るとデバッグ には 大 変 な
手間がかかります。さらに発見が遅れ
てリスピンや出荷済みチップの回収と
いう事態に至ると、その経済的打撃
CDC 検証用にデザインを一からセットアップするのは大変な作業で、特に
インプリメンテーション・フローとの整合性確保には非常に大きな手間がかか
ります。CDC 検証のセットアップとインプリメンテーションのセットアップの
整合性がとれていないと、実チップにバグが混入するおそれがあります。
設計スタイルやメソドロジは設計チームごとに異なっており、それによって
CDC検証に対するニーズも変わってきます。CDC検証が個々の設計スタイル
に合わせてチューニングされていないと、不要な違反報告が過剰に発生する
可能性があります。こうした不要な違反報告は、これまでユーザーが手作業
でウェーバー処理を行っていましたが、これは手間がかかるだけでなくミスも
は計り知れません。このため、CDCに
発生しやすく、バグを取りこぼしてしまう危険があります。
関する問題を設計サイクルのなるべく
ローパワー(LP)インプリメンテーションでは、専用のロジックを推論、合成
早 い 段 階 で 完 全 に 見つけることが
重要となってきます。
する過程で CDC バグが混入することがあります。このため、CDC 検証は
ローパワー・ロジックの推論と正確に一致させ、これらの問題を RTL レベル
シノプシスの VC CDC は、フルチップ
でいち早く捉える必要があります。
RTLで SoC の CDC 検 証 が 可 能 な
複雑なデザインの場合、CDC のデバッグには大変な手間がかかり、設計
包括的ソリューションで、設計サイクル
の早期段階で CDC の問題を見つけ、
生産性が大きく低下します。このため、CDC の問題のルートコーズをすばやく
簡単にピンポイントで特定してくれるソリューションが待ち望まれていました。
デバッグが行えます。
VCスタティック/フォーマル・テクノロジ
Formal
LP
CDC
Lint
インテリジェントな解析、レポート、デバッグ機能
(最高の精度、誤検出の少ないレポート、統一されたデバッグ環境)
データベースとエンジンを刷新
(パフォーマンスと容量が3∼5倍に向上)
HW推論、言語サポート、TCLスクリプト
(DC、PrimeTime、VCS共通の環境を拡張)
VC CDC 次世代スタティック CDC チェック
図1:クロックドメインの色分け表示とロケータ
1
主な機能と利点
▶
▶
VC CDC は、マルチ・フリップフロップ、データ Mux、
SDC(Synopsys Design Constraint)ベース
ロジック・ベース、クロック・ゲーティング、ハンドシェ
のセットアップ
イク、FIFO など、現在のデザインで使用される同期
スタティック CDC チェックを行うには、クロック・リスト、
化回路を各種バリエーションを含めすべて自動で認識、
非 同 期 クロック・グル ープ、 デ ザイン に 含 ま れる
識別します(図 2)。
定 数(スキャン・モードなど)、バウンダリ( I/O)ポー
ト・クロックの関係などの主要なパラメータを正確
に指 定 する必 要があります。VC CDC ではこれらの
情報がすべて SDC(Synopsys Design Constraint)
ファイルから自動で抽出されるため、CDC 検証環境
を簡単かつ正確にセットアップできます。
▶
あらゆる同期化回路を検出
▶
設計スタイルに基づく適応型の同期化回路検出
VC CDC はタイプ I エラー(バグの誤検出)を最小限
に抑え、タイプ II エラー(バグの見 逃し)を完 全に
排 除するなど、最高の CDC チェック精度を実現して
います。CDC チェックにおけるバグの誤検出と見逃し
の 件 数 は、 設 計スタイルおよびメソド ロジ に 基づ
Design Compiler の合成環境を再利用
VC CDC のデザイン読み込みとデザイン・クエリには、
Design Compiler のスクリプトをそのまま再利用でき
ます。このため、最小限の習熟 期間で高度な CDC
くシノプシス独自の同期化回路検出コンフィギュレー
ション手法によって調整できます。
スタティック検証を実行できます。
F
3
・正しい回路
・NFF同期化回路
・INFO - SYNCMATCH _ NFF _ FULL
・マルチFF同期化回路を検出
F
3
・不正な回路
・ドメインをまたぐパス間のロジック
・WARN - SYNCMATCH _ NFF _ PARTIAL
・組み合わせロジックを用いたマルチFF同期化回路
F
3
・カスタム回路
・カスタムFF同期
・INFO - SYNCMATCH _ NFF _ FULL
・ユーザー定義の同期化回路
モジュールM
F
1
F
2
モジュールM
F
1
F
2
モジュールM
F
1
F
2
>set _ synchronizer-module
M –sync _ output
Q –type nff
図2:N-FF同期化回路のバリエーション
R1
チップの動作に
影響するバグ
CDC
同期化回路
ブロックA
R2
CDC
同期化回路
ブロックC
ブロックB
図3:SoCレベルのブロック間リコンバージェンス
2
VC CDC 次世代スタティック CDC チェック
図4:Design Compiler/IC Compilerライクなスクリプト
▶
SoC 全体をフラットな RTL レベルでチェック
できるパフォーマンスと容量
VC CDC は他のツールに比べ 3 倍以上のパフォーマ
ンスと容量を実現しており、非常に大規模な SoC も
全体をフラットな RTL レベルで読み込んでチェックが
行えます。このため、階層型の CDC ツールやメソド
ロジでは見逃してしまう致命的なバグも確実に捉える
ことができます(図 3)。
▶
独自の価値
▶
–– きわめて大規模な SoC デザインも RTL レベルで
効率よく検証
–– 他のツールに比べ 3 ∼ 5 倍の速度と容量
▶
との親和性が高いモデルとコマンドを採用
––VC CDC の ス ク リ プ ト は Design Compiler の
TCL スクリプトとほぼ共通(図 4)
VC CDC は、すべての違反に関してそのルートコーズ
を回路図でピンポイントに特定します。このコンテキ
できます(図 1)。
▶
▶
検証サインオフ・フローを短時間で効果的に完了
ローパワー・インプリメンテーションでは、合成後に
の次世代ローパワー・スタティック・チェック・エン
ジンを利用して消費電力を考慮した CDC チェックを
行い、合成後に作成される CDC パスの問題を正確に
予測します。このため、シノプシスのローパワー・フロー
との親和性に優れ、高い相関性が得られます。
▶
包括的なリセット検証
レポート、フィルタ、ウェーバー機能
–– タグおよびメッセージ・ベースの非常に柔軟な
フ ィ ル タ お よ び ウ ェ ー バ ー 機 能 に よ り、 CDC
消費電力を考慮した CDC チェック
新しい CDC パスが作成されます。VC CDC は VC LP
導入から利用までが簡単
–– シノプシスのインプリメンテーション・ツール
ビジュアル・デバッグによるルートコーズ解析
ストに応じたガイダンスにより、問題を短時間で修正
業界をリードするパフォーマンスと容量
▶
CDC に最適化された強力なデバッグ
–– ク ロ ッ ク ド メ イ ン の 色 分 け 表 示 お よ び ソ ー ス
コード・ビューによる GUI ベースの CDC デバッグ
–– 入れ子式の表現や CDC の問題箇所をピンポイント
で特定するロケータなど、CDC に特化した独自の
視覚的なガイダンス
VC CDC にはリセットの同期ディアサート、同期化
回路の多段接続、リセット・コンバージェンスなどの
チェックを含む完全なリセット検証の機能があります。
VC CDC 次世代スタティック CDC チェック
3
まとめ
シノプシスの製品、サポート・サービス、トレーニングの
現 在 最 先 端 の SoC デ ザイン は 規 模 が 膨 大 で、 非 常
に 多 くの 種 類 の クロック同 士 が 複 雑 に関 係しあって
いるため、CDC 検証は困難を極めます。シノプシスの
詳細は、シノプシスのウェブサイト
www.synopsys.com/japan
をご参照ください。
VC CDC は誤検出の少ない高精度かつ包括的な CDC
チェックが可能で、現在のきわめて大規模で複雑な SoC
の検証にも対応できる容量とパフォーマンスを備えてい
ます。 VC CDC はすでに、業 界 を 代 表する大手 企 業
各社の量産環境に導入されています。
日本シノプシス合同会社
〒158-0094 東京都世田谷区玉川2-21-1 二子玉川ライズ オフィス
〒531-0072 大阪府大阪市北区豊崎3-19-3 ピアスタワー13F
TEL.03-6746-3500 (代) FAX.03-6746-3535
TEL.06-6359-8139(代) FAX.06-6359-8149
© Synopsys, Inc. All rights reserved.Synopsysは、米国およびその他の国におけるSynopsys, Inc.の商標です。
シノプシスの商標一覧は、http://www.synopsys.com/Company/Pages/Trademarks.aspx をご参照ください。その他の名称は、各社の商標または登録商標です。
05/14.RP.CS4319.