B04. 地表面変位を用いたインバージョン手法の降下床実験への適用

B-04
地表面変位を用いたインバージョン手法の降下床実験への適用
○岸田
1.はじめに
地表面変形情報を用いたインバージョン手法は,計
測精度および解析精度の向上により,より詳細な地下
情報を提供することが可能となり,そのニーズは益々
高まっている.ここでは,3 次元降下床実験結果にイ
ンバージョン手法を適用することで,本手法の有効性
と問題点について議論を行い,併せて地盤内応力との
擬似連成解析手法の構築を目指す.
潔・ 足立紀尚・谷屋秀一・唐崎建二・D. W. Vasco
ているのが,下降降下床である.降下床の位置で体積
変化が生じていること,降下床の下降が進行するにし
たがい,体積変化が増大していることが確認できる.
つづいて,求めた体積変化から地表面変位の推定を行
った.Fig.2に計測された地表面変位と推定さえた地表
面変位の関係を示す.高い相関性が示されていること
が確認できる.
100
2.インバージョン手法
Vasco ら 1), 2)は,地盤内の変形を多孔質媒体として
Rice & Cleary の構成式を用いている.最終的には,一
様で均質な多孔質半無限弾性体内において,微小要素
内の間隙から流体が流入する場合を考え,間隙内の流
体変動により生じるひずみは,要素に一様な体積ひず
みとして
ε
T
kk
B∆m
=
ρ0
100
0.06
0.05
0.04
0.03
0.02
0.01
0
90
80
70
60
70
50
50
40
40
30
30
20
20
10
10
0
0.01
0
0
0
10
20
30
40 50 60 70
80
90 100
0
10
(a) δt = 0.200 mm
20
30
40
50
60
70
80
90 100
(b) δt = 1.000 mm
Fig.1 Distributions of the volume change
δ
δ
δ
となる.地盤内の体積ひずみが生じた部分からある地
点まで応力が伝播し,その地点での変形が生じること
になる.したがって,ある地点での変位 uj(x)は,半無
限弾性体内で体積変化が生じている地点 t における弾
性応答関数 Gj (x,y)に比例する.最終的に uj (x, t)は
B
u j ( x, t ) =
G j ( x, y )∆m(x, t )dV
(2)
ρ 0 ∫V
となる.式(2)を線形最小二条法で解くことで,地盤内
の体積変化を算出するものである.
4.実験結果の逆解析への適用
計測された地表面変位データを用いてインバージョ
ンを行った.Fig.1にインバージョンにより推定された
実験土槽底面の体積変化を示す.図中の四角で示され
0.04
0.03
0.02
80
60
(1)
3.降下床実験
ここでは,地表面情報を用いた逆解析手法を 3 次元
降下床実験に適用し,解析の妥当性および問題点を検
討する.
ここでは,足立ら 4)によって開発された 3 次元降下
床実験装置を用いる.この装置は,模型地盤底部の降
下床を下降する事で,トンネル掘削に伴う応力開放を
模擬するものである.実験では,降下床の下降に伴い
土槽底部に設けられた土圧計により土圧を計測すると
伴に地表面変形量の計測を行う.
0.06
0.05
90
δ
0.20
δ
δ
Predicted settlement [mm]
δ
δ
0.100
0.0
=0.050[mm],σ 2 =0.022254
=0.075[mm],σ 2 =0.031651
=0.100[mm],σ 2 =0.036738
=0.150[mm],σ 2 =0.043401
=0.200[mm],σ 2 =0.053533
=0.300[mm],σ 2 =0.059497
=0.500[mm],σ 2 =0.093162
2
=1.000[mm],σ =0.131500
At the top of the trapdoor
-0.10
-0.20
-0.30
-0.40
-0.30
-0.20
-0.100
0.0
0.100
0.20
Observed settlement [mm]
Fig.2 Comparison of the observed settlement and the predicted
settlement
1)
2)
3)
Vasco, D. W., Johnson, L. R., and Goldstein, N. E, “Using surface
displacement and observation to determine deformation at depth,
with an application to Long Valley Caldera, California.” Journal of
Geophysical Research, Vol. 93, No. B4, pp. 3232 – 3242, 1988.
Vasco, D.W., Smith, R. B., and Taylor, C. L., “Inversion for
sources of crustal deformation and gravity change at Yellowstone
Caldera.” Journal of Geophysical Research, Vol. 95, pp. 19839 –
19856, 1990.
Rice, J. R. and Cleary, M. P., “Some basic stress diffusion
solutions for fluid-saturated elastic porous media with
compressible components”, Rev. Geophys., 14, pp. 227 – 241,
1976.