RT-1 磁気圏型プラズマ実験装置による高βプラズマと 非中性プラズマの

3aC01
RT-1 磁気圏型プラズマ実験装置による高βプラズマと
非中性プラズマの閉じ込め
Recent Progress on the RT-1 Magnetospheric Plasma Experiment
― high β plasma and non-neutral plasma ―
吉田善章,小川雄一,森川惇二,齋藤晴彦,矢野善久,林裕之,水島龍徳
東京大学大学院新領域創成科学研究科
Zensho YOSHIDA, Yuichi OGAWA, Junji MORIKAWA, Haruhiko SAITOH,
Yoshihisa YANO, Hiroyuki HAYASHI, Tatsunori MIZUSHIMA
Graduate School of Frontier Sciences, The University of Tokyo
RT-1 実験装置は,天体の磁気圏に似た構造のプラズマを実験室に作り出し,その高βとい
う特徴をつかって,先進核融合に挑戦することを目的としている.同時に,プラズマの流れ
が生み出す様々な複雑現象の解明を通じて,プラズマ宇宙物理の基礎研究に貢献しようとし
ている.さらに,非中性プラズマの長時間閉じ込めを可能にし,反物質物理や QED の研究
に使える高性能トラップの実現にも挑戦している.
RT-1 実験装置は,これに先行する Proto-RT および Mini-RT の基礎研究および技術開発の
成果を基礎として,平成 16 年度から建設が始まった.平成 18 年 1 月に最初のプラズマ実験
に成功し [1],平成 19 年度には所期の実験条件を安定的に実現することができるようになっ
た.超伝導マグネットを真空容器内に磁気浮上させ,RF 生成プラズマを閉じ込めることで「地
上の磁気圏プラズマ」が実現されている(図1).ECR によって生成される高エネルギー電
子がもつβ値は 30%を超えるにいたっている.
(1)プラズマ閉じ込め原理: RT-1 は
天体の磁気圏に似た渦構造を実験室で再
現する装置である.木星磁気圏は極めて
高いβ値のプラズマを閉じ込めているこ
とが知られている.これは高速回転流の
動圧による反磁性効果と考えることがで
きる.RT-1 の原理は,その理論に基づい
た独創的なものである [2,3].
(2)装置構造と運転: RT-1 は,真空
容器の中にドーナツ状の高温超伝導永久
電流マグネットを磁気浮上させ,それが
作るダイポール磁場でプラズマを閉じ込
める(図 2)
.高温超伝導永久電流マグネ
図 1. RT-1 装置の構成と磁場配位.
ットの技術は Mini-RT の設計製作を通じて独自に開発されたものである.
(3)高βプラズマ実験の進展: プラズマの局所β値は 30%を超えている(図 3).これは
高エネルギー(10keV 程度)の少数電子(バルクの 1/10 程度)の圧力によるものであり,そ
の構造は高速電子の反磁性効果によって説明できる.今後はバルク成分,イオン成分の高β
化を目指す.
(4)非中性プラズマ閉じ込め実験の進展: 非中性プラズマ(純電子プラズマ)の閉じ込め
では,300 秒を越える極めて長時間の安定な保持を確認している.この保持時間は残留ガス
との衝突拡散で決まると考えられ,さらに高真空化することで,1 時間程度の保持時間を達
成することを目指している.
図 2. RT-1 磁気圏型プラズマ実験装置.磁
図 3. RT-1 における高ベータプラズマ.
気浮上させた超伝導マグネットで磁気
8.2GHz および 2.5GHz の ECH を組み合わ
圏型配位を形成する.
せてプラズマ密度などのパラメタ領域を
調整できる.
参考文献
[1] Z. YOSHIDA et al., Plasma Fusion Res. 1 (2006) 008.
[2] S. M. Mahajan and Z. Yoshida, Phys. Rev. Lett. 81 (1998) 4863.
[3] Z. Yoshida and S.M. Mahajan, Phys. Rev. Lett. 88 (2002) 095001.