角の 3 等分の幾何学的方法

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角の 3 等分の幾何学的方法
(一般的作図法の抜粋)
工博
山田隆夫
著
耐震技術アソシエイツ
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幾何学的、且つ、論理的に考える
3 等分法の不可能の証明は、3 等分を幾何学的問題の代わりに代数学
的問題として論じたことに起因する。
然しながら、もし作図法が幾何学的問題として論理的に検討されれば、
3 等分は本書に示すように、斯くも明快に可能になるのである。
著者
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3 等分の覚え書き
ギリシャの紀元前 300 年以来のユークリッド幾何学における有名な 3 大作図問題の 1 つに角
の 3 等分がある。与えられた角度の 1/3 の角度を定規とコンパスで作図により求めるという、平面
幾何学問題である。[1,2,3]
永い間に亘って、紙の上で精確に作図を試みることは困難を極めたに違いない。100 年以上
前から、角の 3 等分は、「幾何学の問題を代数学の場の理論に置き換えて、不可能であること
が証明された」とされている。19 世紀の中頃、フランスの科学アカデミーは「3 等分に関する論
文を受理しない」と公表したという。[5] 今日の日本数学会の公式見解も同様である。[6]
筆者は角の 3 等分の作図法を半ば解析的に検討する過程で偶然、重要な点~セレンディピ
ティ ポイント~を発見した。このポイントを適用して、角の 3 等分が可能であるとして、「角の 3 等
分の発見的方法」として 2009 年 9 月に初版を[7]、2013 年 6 月に改訂版を出版した[8]。この作
図法は幾何学定理証明機能を有すると謳った幾何学ソフト「シンデレラ」を利用して開発された。
[4] 然し、この方法では代数学的解析の結果によれば、正確な角度に対して 4/10000 以下の
範囲の相対誤差を生じることが分かった。[10]
そこで筆者は、「作図法の幾何学的条件」に戻って、純粋幾何学的に検討することにした。
シンデレラには原著者が、その前書きで、「・・・一般的な方法で完全な幾何学的軌跡を生成
することも可能です。それは私たちの知る限り斬新なことです・・・」と述べている。筆者は、「必
ずしも完全ではないが」一部の機能は有効であると考えている。残念ながら、原著者は「一般的
な方法による角の 3 等分」への適用について具体的に述べてこなかった。そして、シンデレラの
解説書の著者も同様であった。[9]
その後、シンデレラの「幾何学的軌跡生成」機能の一部を利用して 3 等分を行なう方法を検
討し、「幾何学ソフト・シンデレラを利用した 新・角の 3 等分の発見的方法」を出版した。[11]
そして今回、既往の著書の幾何学的作図法を補足して「角の 3 等分の幾何学的方法」を出
版した。本書では 2 つの作図法を述べている。前半は「作図法の幾何学的条件」に基づく一般
的な作図法、後半はシンデレラの「幾何学的軌跡生成」機能を利用した作図法である。これら
の作図法では解を得るのに繰返し操作を必要としない。作図法では 60°の場合の結果を併記
している。また、精確な作図をするためにシンデレラを利用している。
筆者は本書によって角の 3 等分の可能性が広く認識されることを期待している。
2014 年 7 月
著者
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目次
1
1.1
1.2
2
2.1
2.2
3
4
4.1
4.2
4.3
4.4
4.5
4.6
5
作図法の幾何学的条件
3 等分の基本条件
逆問題解析法
折れ尺のスライドによる一般的作図法
交角を保持したままスライドが可能な折れ尺の作図法
折れ尺の一辺をスライドし円に接しさせる作図法
直角定規のスライドによる一般的作図法
シンデレラの「幾何学的軌跡生成」機能を利用した作図法
3 等分の基本条件に基づく作図法
逆問題解析法に基づく作図法
(その 1:P’を l 上で動かす。D が CG 上の点であることを利用)
逆問題解析法に基づく作図法
(その 2:P’を l 上で動かす。C-3 の接線が P’を通ることを利用)
逆問題解析法に基づく作図法
(その 3:P’を l 上で動かす。P は 3 点 I, G, Y を通る円の中心であることを利用)
逆問題解析法に基づく作図法
(その 4:H’を C-3 上で動かす。PD//ML を利用)
逆問題解析法に基づく作図法
(その 5:G’を C-4 上で動かす。PD//ML を利用)
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1. 作図法の幾何学的条件
1.1 3 等分の基本条件
いま、点、線および円は図-1-1 に示すものとしよう。
(1) O 点を通り 3 等分すべき角度 3θ を持つ直線 a と b を描く。
(2) a 上に B 点をとり、中心 O、半径 OB の円 C-1 を描く。
(3) C-1 と a の交点で O に関して B と反対側の点を C とする。
(4) C を通る直線 c を描く。
(5) b と c の交点を A とする。
(6) C-1 と c の交点を D とする。
(7) D を中心に半径 OD の円 C-2 を描く。C-1 と C-2 は同一半径である。
OC=OD=DA であるから、△OCD と △DOA は 2 等辺 3 角形である。∠CAO=θ とすれば、
∠ACO=2θ で ∠AOB=∠ACO+∠CAO から、∠AOB の 3 等分の角度 θ が得られる。
D を決定点(Decision point)、D と与えられた角度の関係を 3 等分の基本条件と呼ぶ。
図-1-1 から次のことが言える。
(1) D と A は c 上にある。 (2) D は C-1 上にある。 (3)
(4) C-1 と C-2 は同一半径である。
図-1-1
3 等分の基本条件
-1-
A は C-2 上にある。
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1.2 逆問題解析法
筆者は、3 等分法が得られる痕跡は平面図上に埋め込まれていて、作図法は必要十分な補助
線や補助円によって逆に 3 等分法の成立つ条件を解析することによって追跡できると考える。この
意味で、この作図法を逆問題解析法と呼ぶ。
いま、点、線および円は図-1-2-1 に示すものとする。これらのラベルは以後共通である。
(1) O を通り交角 3θ の直線 a と b を描く。
(2) O を通り、b に垂線 d を描く。
(3) a 上に B をとり、O に関して B の反対側に C をとる。
(4) C を通り、b に平行な直線 g を描く。
(5) 中心 O、半径 OB の円 C-1 を描く。
(6) g と C-1 の交点を L とする。
(7) C を通る a の垂線と d の交点を M とする。
(8) CO の中点を F とする。
(9) F を通り、a に垂線 l を描く。
(10) d と l の交点を O’ とする。
(11) 中心 O、半径 OF の円 C-3 を描く。
(12) 中心 F、半径 OF の円 C-4 を描く。
(13) 中心 O’、半径 OO’ の円 C-5 を描く。(C-5 は 4 角形 CMLO の外接円)
(14) 中心 P、3 点 C, O, D を通る円 C-6 を描く。
(15) 円 C-6 と d の交点を R とする。
(16) 円 C-6 と g の交点を T とする。
(17) 円 C-6 と b の交点を Q とする。
(18) 直線 RT と l の交点を N とする。
l 上の点 P は 3 等分が得られたときの主要な点で、Principal point と呼ぶ。
1.2.1 3θ< 67.5°の場合の幾何学的関係
図-1-2-1 は P が C-4 の外、即ち、3θ< 67.5° (4θ< 90° ) の場合である。
この図より下記のことが導かれる。
ここで、記号 ≡ は 3 角形の合同、 ⊥ は垂直、 ∠R は直角、// は平行を表わす。
PC = PO = PD , CO = OD であるから、
DPCO ≡ DPOD , ∠CPO = ∠OPD また、 ∠PCO = ∠POC = ∠POD = ∠PDO
G を PO と CD の交点とすると、 PO ⊥ CD で DPCG ≡ DPDG
H を OD の中点とすると、CF=OF=OH=HD, DPCF ≡ DPOF ≡ DPOH ≡ DPDH
より、PH は H を通る C-3 の接線である。
∠CDO =∠DCO = 2θ とする。 C-6 の中心角 ∠CPO は円周角∠CDO の 2 倍より、
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∠CPF = ∠OPF = ∠OPH = ∠DPH = ∠CDO = 2θ
∆PCF , ∆POF , ∆POH と DPDH は直角 3 角形であるから、
∠PCF = ∠POF = ∠POH = ∠PDH = ϕ とすると、 ϕ + 2θ = ∠R
I を CP と C-4 の交点とする。CO は C-4 の直径であるから、 ∠CIO = ∠R
∠CGO = ∠R より G も C-4 上にある。 ∠CPF = ∠OPF = 2θ より I と G は l に関して対称で、
PI=PG である。直線 OI, CG, PF は△PCO の 3 垂線であるから 1 点で交わる。
DPOD ≡ DPCO より DPOD の 3 垂線も 1 点で交わる。
O から直線 PD へ下した垂線と PD の交点を Y とする。
∆PYO = ∆PIO より PI = PY となり、P は 3 点 I, G, Y を通る円の中心である。
∠CML = ∠FPD = 6 θ より ML//PD であり、また、 ∠MLO = ∠R より Y は OL 上の点である。
C-5 上の円周角について、 ∠CMO = ∠CLO = 3θ で O’ は C-5 の中心であるから
∠CO ′O = 6 θ = 2∠AOB である。
更に ∠TCD = ∠CAO = θ , ∠DPQ = 2 θ より 弧長 TD = DQ である。
PD⊥TQ より PD は TQ の垂直 2 等分線で LO//TQ で、∠CLO =∠CTQ =3θ である。
また、 g // b より LO=TQ である。
∠RTQ =∠MLO =∠R であるから RT//ML である。従って、△RTQ の斜辺 RQ は P を通り、C-3
に接する。N は RT と l の交点である。
図-1-2-1 から下記のことが言える。
(1) 3θ< 67.5°のとき、P は C-4 の外部にある。
(2) P は l 上の点で、LO の延長線より下にあり、I, G, Y を通る円の中心である。
(3) D は C-1 と P から LO に下した垂線の交点である。
(4) D は C-1 と P から ML に平行に描いた直線の交点である。
(5) PH は OD と C-3 の交点 H を通る C-3 の接線である。
(6) D は直線 CG 上にある。
(7) ∠CO’O = 6θ= 2∠AOB である。
(8) △RTQ の斜辺 RQ は P を通り、C-3 に接する。N は RT と l の交点である。
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図-1-2-1 決定点の条件 (3θ< 67.5°の場合)
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1.2.2 3θ= 67.5°の場合の幾何学的関係
(
3θ = 67.5  ∠CPO = 4θ = 90 
)
の場合の幾何学的関係を図-1-2-2 に示す。
3 等分の角度は∠CAO = 22.5°であるから 45°の 2 等分から直接得られる。
図-1-2-2 から下記のことが言える。
(1) P は l 上、LO 上、且つ、C-4 上の点である。
(2) D は C-1 と P から LO に下した垂線の交点である。
(3) D は C-1 と P から ML に平行に描いた直線の交点である。
(4) PH は OD と C-3 の交点 H を通る C-3 の接線である。
(5) ∠CO’O= 6θ= 2∠AOB = 135°である。
図-1-2-2 決定点の条件 (3θ= 67.5°の場合)
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1.2.3 3θ> 67.5°の場合の幾何学的関係
3θ > 67.5  の場合の幾何学的関係を図-1-2-3 に示す。
P を中心として I, G, Y を通る円は角度が増えると再び現われる。
角度が 67.5°より大きい場合は 67.5°より小さい場合と幾何学的関係に基本的な違いはないが、
(1) G は PO の延長線と C-4 の交点である。
(2) I は CP の延長線と C-4 の交点である。
また、図-1-2-3 から下記のことが言える。
(1) P は C-4 の内部にある。
(2) P は l 上の点で、LO の延長線より上にあり、I, G, Y を通る円の中心である。
(3) D は C-1 と P から LO に下した垂線の交点である。
(4) D は C-1 と P から ML に平行に描いた直線の交点である。
(5) PH は OD と C-3 の交点 H を通る C-3 の接線である。
(6) D は直線 CG 上にある。
(7) ∠CO’O = 6θ= 2∠AOB である。
図-1-2-3 決定点の条件 (3θ> 67.5°の場合)
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2 折れ尺のスライドによる一般的作図法
1.2 逆問題解析法で 「∠CO’O = 6θ= 2∠AOB で、PH は C-3 に接する」ことを述べた。
2 辺が CP’ と P’Q’ で交角が CO’O と同じ折れ尺 CP’Q’ が作図できたとしよう。C を中心に CP’
を回転し、P’ を l 上で動かし、P’Q’ を C-3 に接するようにすれば、θが得られることになる。
2.1 で折れ尺の作図法を、2.2 で折れ尺のスライドによる作図法を 60  の場合を併記して示す。
図中の <)ab= の記号はシンデレラによる 2 直線 a と b の交角である。
2.1 交角を保持したままスライドが可能な折れ尺の作図法
2 直線の交角が digital 量として分かれば、 一定の交角を保持したままスライドが可能な折れ尺
をシンデレラによって容易に作図できる。然し、これでは定規とコンパスで 3 等分の角度を analog
的に求めると言う主旨に反するので、本書ではこの機能を採用しない。
2 直線の交角が∠R の場合に交角を保持したままスライドが可能な折れ尺は容易に作図できる
が、∠R でない場合に折れ尺を作図することは意外と面倒なので、ここで作図法を述べる。
(1) Step-1
図-2-1-1 に示す交角∠CO'O = 6θの折れ尺を考える。O’ は折れ尺の交点で直線 l 上にあ
り、図-1-2 に示したように d と l の交点である。
(ⅰ) 中心 O’ で C と O を通る円 C-5 を描く。
(ⅱ) C を通る直線 f を描く。
(ⅲ) f と l の交点を P’ とする。
(ⅳ) C と O’ を通る直線 e を描く。
(ⅴ) O’ を通り、CO’ に垂直な直線 i を描く。
(ⅵ) O と O’ を通る直線 k を描く。
(ⅶ) P’ を通り CP’ に垂直な直線 j’ を描く。
(ⅷ) 中心 P’ 、任意の半径の円 C-6’ を描く。
(ⅸ) j’ と C-6’ の交点を X とする。
(x)
P’ を通り、 ∠CP' Q' ≅ 6 θ の近似的な直線 q’ を描く。
(xi) q’ と C-6’ の交点を Q’ とする。
(xii) 中心 X、半径 XQ’ の円 C-8’ を描く。
なお、特殊な場合として、
(ⅰ) ∠CO'O =∠R の場合は、P’ を l 上にとり、 j’ を描けば折れ尺 CP’Q’ は完成である。
(ⅱ) ∠CO'O<∠R の場合は、P’ を l 上にとり、Q’ を j’ の下側にとり、上記の(xii)以後を行
なえばよい。
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図-2-1-1 折れ尺の作図法
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(2) Step-2
P’ を動かして O’ に合わせる。この時、i と j’ が重なることを確認する。
図-2-1-2 折れ尺の作図法
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(3)
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Step-3
C-8’ の半径を変えて、q’ と k を一致させる。
図-2-1-3 折れ尺の作図法
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(4)
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Step-4
(ⅰ) P’ を動かして O’ と離す。
(ⅱ) これで折れ尺の作図ができた。ラベル P’ を P に変えてよい。他のラベルも変更・削除
は自由であるが、補助的な直線や円は削除してはならない。
以上から、P を l 上で連続的に動かして、折れ尺を回転することができるようになる。
図-2-1-4 折れ尺の作図法
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2.2
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折れ尺の一辺をスライドし円に接しさせる作図法
2.1 では、一般的な折れ尺の作図法を述べた。
2.2 では交角が ∠CPQ = ∠CO' O = 6 θ の折れ尺 CPQ を実際に作図して、P を l 上で動かし、
PQ を円 C-3 に接しさせる方法について述べる。
[適用可能な角度]
広範囲の角度に対して有効。
作図の説明用のラベルは前節と同じである。
本節の図では 60  の場合の作図結果を併記している。
(1)
Step-1
図-2-2-1 に示すように 交角 ∠CP' Q' ≅ ∠CO' O = 6 θ の折れ尺 CP’Q’ を作図する。
図-2-2-1 折れ尺を利用した作図法
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(2) Step-2
(ⅰ) P’ を動かして O’ に合わせ、i と j’ を一致させる。
(ⅱ) C-8’ の半径を変えて、q’ と k を一致させる。
以上で、 ∠CP' Q' = ∠CO' O = 6 θ の折れ尺ができた。
図-2-2-2 折れ尺を利用した作図法
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(3)
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Step-3
(ⅰ) P’ を動かして O’ と離す。
(ⅱ) ラベル P’ を P に変えてよい。他のラベルの変更・削除はしてよいが、補助的な直線や
円は削除してはならない。
図-2-2-3 折れ尺を利用した作図法
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(4)
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Step-4
(ⅰ) P を l 上で動かし、PQ を円 C-3 に接するように決める。
(ⅱ) C と D を通る直線 c を描く。
(ⅲ) PQ と C-3 の接点を H、OH と C-1 の交点を D、c と b の交点を A とすれば、
∠DAO = ∠CAO = θ となる。
以上のように、折れ尺の P を l 上で連続的に動かすことによって、3 等分の角度が得られる。
図-2-2-4 折れ尺を利用した作図法
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3 直角定規のスライドによる一般的作図法
図-1-2-1 の決定点の条件( 3θ < 67.5  の場合) で次のことを述べた。
(ⅰ) ∠TCD =∠CAO=θ、∠DPQ = 2θ より 弧長 TD = DQ である。
(ⅱ) PD⊥TQ より PD は TQ の垂直 2 等分線で LO// TQ で、∠CLO =∠CTQ =3θ である。
(ⅲ) g // b より LO=TQ である。
(ⅳ) ∠RTQ =∠MLO =∠R であるから RT//ML である。従って、△RTQ の斜辺 RQ は P を通
り、C-3 に接する。N は RT と l の交点である。
[適用可能な角度]
67.5  以下の角度。
ここでは、 6 0  の場合の作図結果を併記している。図中の <)ab= の記号はシンデレラによる 2
直線 a, b 間の交角である。
(1) Step-1
l 上の任意の点 N を通り ML に平行線を描き、d との交点を R、g との交点を T とする。
図-3-1 直角定規を利用した作図法
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(2) Step-2
T から RT に垂線 TZ を描き、b との交点を Z とする。
図-3-2 直角定規を利用した作図法
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(3) Step-3
(ⅰ)
(ⅱ)
R と Z を結ぶ直線 RZ を描く。
l と RZ の交点を P’ とする。P’ は P の作図過程の点である。
図-3-3 直角定規を利用した作図法
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(4)
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Step-4
(ⅰ) N を l 上で動かし RZ が C-3 に接するように決めると、P’ は正しい P と一致する。
(ⅱ) C と D を通る直線 c を描く。
(ⅲ) RZ と C-3 の接点を H、OH と C-1 の交点を D、c と b の交点を A とすれば、
∠DAO = ∠CAO = θ となる。
以上から、N を l 上で連続的に動かすことによって、3 等分の角度が得られる。
図-3-4 直角定規を利用した作図法
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文 献
[1] J.Rotman:Galois Theory, (ガロア理論 関口次郎訳), シュプリンガー・フェアラーク東京 1997,
pp.174
[2] E.Artin:Galoissche Theorie, B.G.Teubner Verlagsgesellschaft, 1959, (ガロア理論入門 寺田文
行訳) 東京図書株式会社, 1984, pp.106
[3] R.Hartshorne:Geometry: Euclid and Beyond, Springer, 2000, pp.242
[4] J.Richter-Gebert, U.H.Kortenkamp: The Interactive Geometry Software Cinderella, (シンデレラ
阿原一志訳), シュプリンガー・フェアラーク東京 2006
[5] 矢野健太郎:角の三等分 ちくま学芸文庫, 2006
[6] 日本数学会ホームページ
http://wwwsoc.nii.ac.jp/msj6/faq.html
[7] 山田隆夫:「角の 3 等分の発見的方法(初版)」 耐震技術アソシエイツ, 2009.9
[8] 山田隆夫:「角の 3 等分の発見的方法(改定版)」: 耐震技術アソシエイツ, 2013.6
[9] 阿原一志:シンデレラで学ぶ平面幾何 シュプリンガー・フェアラーク東京 2004
[10] 山田隆夫:goo ブログ タイトル「角の 3 等分は可能である」 62 セレンディピティ ポイントを利
用した作図法の代数学的解析:作図誤差と適用角度 2014.3.6
[11] 山田隆夫:幾何学ソフト・シンデレラを利用した「新・角の 3 等分の発見的方法」: 耐震技術ア
ソシエイツ, 2014.1
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