Ⅳ 再生可能エネルギー導入の方向性

Ⅳ
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再生可能エネルギー導入の方向性
基本方向
再生可能エネルギーの賦存量、利用可能量などの調査結果から得られる、本県の再
生可能エネルギー導入の基本方向は次のとおりです。
【再生可能エネルギー導入の基本方向】
●
「ソーラー&バイオマス」の推進強化
本県の特性(利用可能量や今後のポテンシャルなど)や技術及び開発の状況な
どを考慮し、再生可能エネルギーの導入を太陽光・太陽熱の有効利用及び未利用
資源となっているバイオマスの有効利用の推進を中心に、これまでの県の政策を
推進・強化する必要があります。
特に、太陽エネルギーは、快晴日数が多いという特性があるため、太陽光発電
に加えて、エネルギー変換(集熱)効率が高い太陽熱利用技術についても積極的
な活用が求められます。
●
活用するエネルギー源の拡大
水力、風力、温度差などの各エネルギーについては、現在の技術ではコストが
高くなり、実用的な導入は困難です。本県の特性や技術開発の状況などを踏まえ
て、これらを県民や民間が主体的に導入することへの支援が必要です。
廃棄物については、更なる有効活用を行うべきです。
●
「熱」の有効利用
埼玉県は、セメント工場や県南部に集積している工場などから多くの熱が発生
することから、その排熱を未利用エネルギーとして他の用途に積極的に活用して
いくことが求められます。また、河川水熱や地中熱をはじめとする温度差エネル
ギーなどの利用も、技術やコストを見ながら検討する必要があります。
大きな課題である「熱」の集積・回収及び輸送などの技術開発の動向に注視しつ
つ、建物間融通などによる効率的利用(面的活用)の積極的な推進が求められま
す。
※ この基本方向に基づいて再生可能エネルギーの普及を促進するためには、再生
可能エネルギーに関わる関係者(ステークホルダ)の拡大が必要です。
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再生可能エネルギー別導入の基本方向
再生可能エネルギーごとに、次のとおり導入の基本方向を示します。
網かけ部分は、利用可能なエネルギー量が多いもの及び、利用はされているものの
有効利用とはいいがたく、利用方法に検討の余地があるエネルギーです。
表 4-1
再生可能エネルギーの利
用可能量(単位 TJ)
埼玉県再生可能エネルギー別導入の基本方向
現
状
導入の基本方向
(エネルギーの種類別)
埼玉県は快晴日数が多いという
(太陽光から得られるエ 特性があり、エネルギー量は豊富
です。
ネルギー)
太陽熱は、太陽光に比べてエネル
(太陽光発電:18,110 TJ) ギー変換効率が高いにも関わら
(太陽熱利用:111,448 TJ) ず活用が進んでいません。
【太陽光発電】
太陽光発電装置の普及推進を継
続する必要があります。
【太陽熱利用】
冷房利用技術なども含め有効性
をPRが必要です。
県内の風力エネルギーは全国で
最小です。
わずかに期待される山間部への
大型の発電設備の設置も、その経
済性から困難です。
全国的にみても中小水力発電に
適した水量や水が流れ落ちる高
低差のある箇所は少ない状況で
す。
弱い風でも発電できる風車や小
型風力発電設備などの技術開発
の動向を今後も注視する必要が
あります。
森林資源が豊富な秩父地域にお
いて、効率的かつ安価に林地残材
などを運び出すことが可能とな
れば、利用は飛躍的に増えます。
高性能林業機械の導入など、林地
残材などの効率的かつ安価な搬
出方法を検討するとともに、素材
とエネルギー利用の両面から、事
業化を視野に検討が必要です。
エネルギー利用では、熱利用を主
として熱分解による可燃性ガス
と液体燃料の製造を検討が必要
です。
太陽エネルギー
風力エネルギー
(風力発電)
(
- TJ)注)
水力エネルギー
(中小水力発電)
(
- TJ)注)
堰や水路など、水量や高低差など
の条件がそろっている場所につ
いては、民間などによる導入の支
援を検討する必要があります。
木質系バイオマス
林地残材(森林に放置
されているもの)
(2,439 TJ)
製材所廃材
(製材所から出る廃材)
秩父地域や西川地域など、製材所 製材所が集積している地域では、
が集積している地域では、すでに 未利用の廃材を部分的に利用す
エネルギー利用が進んでいます。 ることも考えられます。
林地残材の利用と併せてエネル
ギー利用の検討が必要です。
(334 TJ)
注)風力エネルギー、水力エネルギーは設置可能な装置の発電容量であるため、利用可能量を記載していない。
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再生可能エネルギーの利
用可能量(単位 TJ)
(エネルギーの種類別)
木
質
バ
イ
オ
マ
ス
果樹剪定枝
現
状
量は多くありませんが、果樹園な
ど、まとまった量が発生する地域
があります。
(75 TJ)
都市内剪定枝
(公園や街路樹の剪定枝)
導入の基本方向
まとまった量が発生する地域で
は、有効利用の可能性がありま
す。
堆肥化には樹木の病気被害のお
それがあるため、エネルギーとし
ての効果的な活用方法の検討が
必要です。
量は多くありませんが、需要の有 民間の破砕施設などへの搬入を
無に関わらず堆肥化や焼却処理 誘導し、チップ化するなど有効活
が行われている状況があります。 用が求められます。
(164 TJ)
建築解体・新築廃材
(建築物の解体や建築
物を新築した際の廃
材)
都市部を中心に量は多い状況に
ありますが、既に、その多くは県
外の木質バイオマス発電所で燃
料として利用されています。
地産地消としての県内での利用
の可能性も検討が必要です。
(4,566 TJ)
農業系バイオマス
(稲わら、もみ殻、麦わらな
ど)
量は多い状況にありますが、かさ 地域の課題解決と併せて、農業地
張り搬送がしづらいことから、農 域のエネルギー源として効果的
地への鋤き込みや焼却処理も多 な活用方法を検討が必要です。
く、その処分が地域の課題となっ
ている場合があります。
(3,473 TJ)
畜産系バイオマス
(家畜のふん尿)
(2,271 TJ)
量は多い状況にあります。
一部で堆肥化が行われています
が、特に、県北など畜産業が盛ん
な農業地域では、エネルギー利用
が有効と考えられます。
メタン発酵によるバイオガス製
造と発電及び熱供給について検
討が必要です。
発生する廃液は農業で「液肥」と
して利用可能です。
量は極めて多い状況にあります
が、その収集などに制約がありま
す。
ほとんどが焼却処理されていま
すが、水分が多いため、焼却に多
量のエネルギーが必要になりま
す。
焼却処理を回避し、地域のエネル
ギー源としての利用が期待され
ます。
既存の排水処理インフラにおい
て汚泥との一体処理によるエネ
ルギー利用を検討が必要です。
メタン発酵によるバイオガス製
造と発電及び熱供給について検
討が必要です。
発生する廃液は排水処理施設で
処理可能です。
食品系バイオマス
生活系・事業系厨芥
類(生ごみ)
(13,607 TJ)
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再生可能エネルギーの利
用可能量(単位 TJ)
(エネルギーの種類別)
食
品
バ
イ
オ
マ
ス
現 状
導入の基本方向
量は多くありません。
すでに事業者ごとにリサイクル
ルートが確立されています。
地産地消するため、県内でのよ
り有効な利用可能性を検討が必
要です。
河川水と外気の温度差をヒート
ポンプ(エアコンと同じ原理)
の熱源として利用します。
取水施設の設置に多額のコスト
がかかることや熱の搬送に制約
があることから、導入は難しい
状況にあります。
技術開発の動向を今後も注視す
べきです。
量は膨大です。
現状の技術では、地中熱集熱パ
イプを敷設するために多額のコ
ストがかかります。
(5,876 TJ)
コスト低減技術の開発やスケー
ルメリットによる大規模な開発
物件での導入が期待されます。
技術開発の動向を今後も注視し
つつ、民間などによる導入に対
しての支援の検討が必要です。
下水処理施設は市街地から離れ
ている場合が多く、導入は難し
(外気と比べ、冬は温 い状況にあります。
熱の搬送には制約があることか
ら、技術開発の動向を今後も注
視すべきです。
動植物性残さ
(食品製造工場などか
ら排出される動植物
性の残さ)(383 TJ)
温度差エネルギー
河川水熱
(外気と比べ、冬は
温かく夏は冷たい
河川水の特性を活
かしヒートポンプ
の熱源として利用
するもの)(132 TJ)
地中熱
( 一年を通 じてほぼ
一定の地中熱をヒー
トポンプ熱源として
利用するもの)
下水熱
かく夏はより冷たい
下水の特性を活かし
ヒートポンプの熱源
として利用するもの)
(568 TJ)
その他の未利用エネルギ
ーの利用可能量(単位T
J)(エネルギーの種類別)
工場排熱
(工場から出る排熱(排ガ
ス、温水および蒸気))
現 状
導入の基本方向
量は膨大ですが、排熱回収など
の技術開発がまだ十分に進んで
いません。
工業団地などにおける工場間の
排熱利用や、周辺地域への排熱
供給など、積極的な活用が期待
されます。
排熱回収の技術開発の動向を今
後も注視しつつ、排熱の効率的
回収と面的利用について検討を
進める必要があります。
量は極めて多くなっています。
市町村の清掃センターでは、発
電や隣接する温水プールなどへ
の余熱供給に利用されていま
す。
さらなる有効かつ効率的な活用
が求められます。
清掃センターの更新・再編時に
は、分別の在り方を含め、地域
のエネルギー源として活用でき
るように検討し、高効率ごみ発
電の導入や排熱回収及びその効
率的利用を推進する必要があり
ます。
(5,631 TJ)
廃棄物エネルギー
(廃棄物などを燃焼させ
た時のエネルギー)
(13,588 TJ)
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