EM121024 若木昭仁 Realized volatility のショックの 影響力についての検証 目的 • 日によって異なる株価の変動の大きさ(ボラティリティ)が,過 去の予測誤差に影響を受けるかを調べたい • Banulescu,Hansen,Huang&Matei(2014)では、リーマン・ショッ クのような暴落局面において、それ以前の金融危機でのイ ベントで生じたショックが影響しているとされている • ショックの持続性は将来的にボラティリティを大きくすることが 判明し、国内市場でも同様のことが起きたかを検証する Realized Volatility(RV)とは RVを用いるメリット RVの欠点 • デメリットは集計上の問題(マイクロストラクチャ・ノイズ)の発生 • 買値と売値の間で実態以上に大きく株価が動いてしまう「bid-askbounce」が代表的 • 頻度を上げる毎にリターンの幅は小さくなる一方で、マイクロストラク チャ・ノイズは減少しない • すると、マイクロストラクチャ・ノイズが観測されたボラティリティ(以下 realized measure)に占める割合が大きくなり、真のボラティリティからは遠 ざかる • その他に、休場日、昼休み時などをまたいだ直後にボラティリティが大き くなるため、調整が必要である 対象とする時系列モデル • realized EGARCH(1,1)モデルを中心に分析を行う • まず、リターンの定義を行う(𝑟𝑡 は対数化したリターン) 𝑟𝑡 = 𝜇 + ℎ𝑡 𝑧𝑡 • 𝑧𝑡 ~𝑁(0,1) • 次に、realized measureの定義を行う log𝑥𝑡 = 𝜉 + 𝜑𝑙𝑜𝑔ℎ𝑡 + 𝛿 𝑧𝑡 + 𝑢𝑡 • 最後にRVをモデル化する log𝑅𝑉𝑡 = 𝛽𝑙𝑜𝑔𝑅𝑉𝑡−1 + 𝜏 𝑧𝑡−1 + 𝛾𝑢𝑡−1 • τやδは標準正規分布に従う変数zが前日に正負のどちらの値をとるかで どのようにボラティリティが変化するかを再現する関数である • 第2式はリターンの影響力を除外したショック(以下u)の計算のために使 われる 日経平均株価を用いた分析 • データはhttp://realized.oxford-man.ox.ac.uk/dataからとり、nikkei 225の 五分間隔のrealized kernelを使用 • 2006年の年始から2009年の年末までのデータが対象範囲で、サブプ ライムローンを発端とする金融危機の時期がこれに含まれる • パラメータ推定のために疑似最尤法を用い、対数尤度lnLを最大化する パラメータとRV,uを求める • 𝑙𝑛𝐿 = −1/2( 𝑇 𝑡=1 ln 𝑅𝑉𝑡2 + 𝑧𝑡2 𝑇 𝑡=1(𝑅𝑉 2 )) 𝑡 分析結果の比較(RM) 𝑒 分析結果の比較(𝑢 ) 結論と今後 • 負のリターンが出た翌日はRVが大きくなる現象を説明できた • 純粋なボラティリティショックuではリーマンショック以前の20 07年2月頃に非常に大きな数値が検出された • リターンに関数ランダム変数zを考慮しながら、uが最大のRM を観測したリーマンショックに与えた影響力を詳しく調べる必 要がある • よりマイクロストラクチャー・ノイズの小さいRMの計算方法を 考える • モデル自体の精度向上のため、長期記憶性などの取り込み を検討する(βが1に近かったため) 参考文献 • Banulescu,Hansen,Huang&Matei 2014 “Volatility During the Financial Crisis Through the Lens of High Frequency Data : A Realized EGARCH Approach” http://www.univorleans.fr/leo/images/espace_commun/seminaires/semmar2 014/WP_210.pdf • Barndorffielsen,O.E.Hansen,P.R.,Lunde,A.,Shephard,N.,2008,”Desighnin g realized kernels to measure the ex-post variation of equity prices in the presence of noise”, Econometrica 76, 1481-1536 • 渡部敏明、『ボラティリティ変動モデル』、朝倉書店、2008年 • 長倉大輔、渡部敏明『GARCH型モデルとRealized volatilityを 用いたTOPIX日次リターンの非線形性の検証』、日本銀行金 融研究所、2008年
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