SH波によるドラム缶内面腐食の外からの探査

■SH波によるドラム缶内面腐食の外からの探査 (特許出願中)
原子力発電所で発生する、低レベルの
放射性廃棄物を収納したドラム缶の
内面腐食を、外側から探査するために
開発した検査技術である。
経 緯
(中部電力株式会社プレスリリース資料抜粋)
きっかけは、浜岡原子力発電所から
六ヶ所村に移送する際の外観検査で
発見されたドラム缶である。
穴が空き、液体が漏れだしていたドラム缶は
内面の腐食が原因だと判明した。
これを外側から検査して発見するのが
目的であった。
装 置
左の写真が装置一式である。
超音波探査機 100V電源で作動する超音波探査機と、マグネットネットケースに
入った探触子のセットである。使用する超音波はSH波という
特殊なもので、薄い鋼板中では広い範囲に広がる性質がある。
接触媒質
緑が探触子、赤い範囲がSH波の伝搬範囲である。
ドラム缶の上端から下端まで伝搬して探査する。
探触子
実 験
実際に使用されているドラム缶の内面にS1からS9までのきずをつくり、実験を行った結果が上である。
全てのきずが検知できている。
錆検知
錆の検知を実験した波形が以下である。細かい波形の集合で捉えられている。
錆
錆
内容物
実際のドラム缶では内容物があるため、
同じ状態を再現して実験した。
結果は、内容物には全く左右されないと
いうものであった。金属やコンクリートなど、
またオイル等の液体でも問題なく
検査が可能である。
方 式
これまで述べてきた探査方法は、縦方向の入射であったが、現場からの要請で横方向の入射方式を
考案・実験して特許を申請している。
入射方向
縦方向
横方向
1日当たり処理本数
15本
30本以上
測点数
32
10
同技術の応用
1,平面の鋼板探査
排気ダクトやタンクなど、平面の鋼板探査にも適用できる。
垂直探傷
測点
従来法は、10-20ミリピッチで
垂直探傷を行うというものである。
SH波では、右のように
1回の探査で広範囲を
探査でき、効率的である。
伝搬範囲
入射点
きず位置検出
手作業
自動
2,標識や信号機ポールの埋め込み部内部探査
上記ポールの、地中やコンクリート基礎埋め込み部では、
内部からの腐食が発生しやすいが、
これを左図のように外側から探査できる。
方 式
左図のように、110φのポールでは、
2点で必要な範囲を探査できる