様々な砂質地盤のCBRとスウェーデン式サウンディング試験

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D - 09
第 43 回地盤工学研究発表会
(広島) 2008 年7月
砂質地盤の CBR とスウェーデン式サウンディング試験結果
砂,CBR,原位試験
基礎地盤コンサルタンツ㈱
国際
阪上最一,正
㈱サムシング ○
キンモンク工科大学
神村 真
ポンカセムジョルプラデス,ソンポテヨウチュアイ
チュラロンコン大学
1.
西岡壮志
正
ワンチャイテプラクサ
はじめに
CBR は,砂質土∼粘性土の様々な土材料の路床や路盤の支持力の大きさを表す.一般に,CBR が 10(%)以上なら路
床として良好であるとされる.粘性土地盤では,試験荷重に対して弱いので CBR 値が小さくなってしまい,様々な関
係式が提案されている.しかし,その適用は,土質特性によって異なり,一般的な関係式はない.これに対して,砂質
地盤の CBR 値は,粘性砂分量や含水比に応じてかなり広い範囲のばらつきが想定され,精度の高い推定は容易でない.
ここでは,これまで実施した室内 CBR 試験とスウェーデン式サウンディング試験(以下,SWS 試験と記す)結果を
比較し,粘性分の含有量を考慮した関係式を検討した.
2.
各種推定式と特徴
表 2-1 に,公表されている各種の CBR の関係式を示す.適用土質は,ロームが主体であり,砂質地盤への適用の可
否は明瞭でない.各土質で関係式が異なっているので,砂質土に関しても同様の手法が必要と思われる.
項目
一軸圧縮強さ
コーン指数
K30 値
3.
表 2-1 各種 CBR の関係式
関係式
土質
備考
2
qu=(1/3∼1/5)・CBR(kgf/cm ) 北関東のローム
乱さない試料
qu=(1/16 ∼ 1/20) ・ CBR 南関東のローム
乱さない試料
(kgf/cm2)
qu=0.225・CBR(kgf/cm2)
CBR<10 のローム
qu=(1/4 ∼ 1/12) ・ CBR ローム
乱した試料
(kgf/cm2)
qc=(2∼4)・CBR(kgf/cm2)
ローム
乱した試料
qc≑2・CBR(kgf/cm2)
現場 CBR
CBR=0.642・100.115K30
(kgf/cm2)
CBR=1.82・K30-4.0
(kgf/cm2)
CBR≦5
室町の式
出典
関東ロームの土工:
高速道路協会編
関東ロームの土工:
高速道路協会編
建造物設計標準解説;土構
物:日本鉄道施設協会編
建造物設計標準解説;土構
物:日本鉄道施設協会編
舗装技術の質疑応答;第2
巻:建設図書編
砂質土の CBR 値
砂の CBR の代表値の事例を表 3-1 に示す.砂質土の CBR 値は,同表に示すように,粘性土分の含有量が増えると
CBR 値が減少する傾向にある.また,砂質土の CBR 値は,締め固めの状態に応じて大きく変わるので,各分類に対し
て広い範囲で設定されている.これらのデータに関して,圧縮試験結果を回帰分析すれば,ヤング率 E と CBR との関
係式が導かれる.
(1)式は,荷重強さが 140kPa,
(2)式は,350kPa 時に対応する.これらの式は,エラー! 参照元
が見つかりません。従来提案されている E と CBR との関係式の 1/10 程度の推定値となっている.
E=0.797CBR(%) (MPa)
分類
SW
SP
SM−SC
SM
SC
(1)
E=1.056CBR(%) (MPa)
(2)
表 3-1 砂質土の代表的な CBR 値 1)
乾燥
圧縮試験結果(ひずみ(%))
最適
土質
密度
含水比(%)
140kPa 時点 350kPa 時点
(g/cm3)
粒度分布の良い砂,礫質砂,細粒
1.8-2.1
16-9
0.6
1.2
分はほとんどなし
粒径分布の悪い砂
1.6-1.9
21-12
0.8
1.4
SM と SC の中間
1.8-2.0
16-11
0.8
1.6
シルト質砂,砂−シルト混合土
1.8-2.1
15-11
0.8
1.4
粘土質砂,砂−粘土混合土
1.7-2.0
19-11
1.1
2.2
CBR の範囲
(%)
20-40
10-40
10-40
5-30
5-20
S. Sakajo, T. Nishioka (Kiso-jiban Consultants Co., Ltd.) and M. Kamimura (Something Co., Ltd.),P.
Jorgpradit ,S,Youcuai (King Morgkut 's University of Technology) , Wanchai Teparaksa (Chulalongkon University)
:CBR and Sweden Sounding Test results for various sandy soils
171
表 3-2 砂の代表的な E と CBR 値の関係式
そこで,表 3-2 に示すこれまで実施した室内
CBR 試験と SWS 試験(換算 N 値)を比較し,
No.
粘性分の含有量を考慮し関係式を検討した.な
1
20 CBR(MPa)
お,SWS 試験結果は,舗装工事以前に原地盤で
2
40 CBR(MPa)
実施したものである.換算 N 値は(3)式で得ら
3
45∼75 CBR(MPa)
れる値で,ここでは,地表面から GL-1mまで
4
10 CBR(MPa)
5
17.6CBR0.54(MPa)
の平均値を採用した.
N=2Wsw+0.067Nsw
(3)
E の推定式
路床
路盤
石灰改良土
土木学会
米国
1500 CBR(PSI)
6
(Wsw:おもりの重量(kN);Nsw:1m 当たり
出典等
米国
10.31 CBR(MPa)
の反回転数(回))
qu=0.225 CBR(kgf/cm2)
また,ここで示した CBR 試験結果は室内
E=210 Cu →
7
CBR 試験結果で,SWS 試験実施位置で採取し
E=23.625 CBR(kgf/cm2)
た試料を用い,JGS0721(JISA1211)に準拠し試
地盤工学会(粘性土)
E=2.3625 CBR(MPa)
験を行った.このため,CBR は,修正 CBR で
注)PSI=0.11/16MPa
はないので地盤密度に差異がある.
エラー! 参照元が見つかりません。に,CBR∼換算 N 値の関係を示す.同図には表 3-1 に示した土質分類に応じた回
帰直線を示した.以下の通りである.
CBR=3.89N(SW),
CBR=3.531N(SP), CBR=0.551N(SM-SC),CBR=0.381N(SM),CBR=0.24N(SC)
SW このような砂質土の CBR と N 値との関係は,これまであまり公表されていないので,工学的な見地から有用と
思われる.CBR 値と換算 N 値の関係は,各土質区分においてほぼ線形関係を示し,その勾配は土質区分により変化す
る.表 3-1 で,CBR 値は,SW,SP,SM-SC で高く SM,SC で低い傾向を示すものの,図 3-1 では,SM-SC でも大幅な
CBR 値の低下が見られる.一般に細粒分の含有が多い土質の方が締固め効果は大きく高密度となりやすいが,逆に,変
形係数の低下をもたらし,このような傾向を示すと考えられる.
表 3-3 今回の調査結果の CBR 値
80
70
SW
SP
SM-SC
SM
SC
60
SW:y = 3.89x
CBR(%)
50
SP:y = 3.531x
40
30
20
10
SM-SC:y = 0.551x
SM:y = 0.381x
0
0
2
4
SC:y = 0.240x
6
8
10
12
14
分類 換算N値
SW
10.6
SW
4
SW
9.2
SW
7.6
SW
2.7
SW
8
SW
1.6
SW
13.4
SP
13.4
SP
6
SP
10.5
SP
2.2
SP
5
SM-SC 6.6
SM-SC 4.2
SM-SC 12.8
SM-SC 9.9
CBR値
55.9
24.4
42.9
17
15.1
22.4
25.4
28.1
40.6
28.5
43.1
27.9
30.9
2
16.4
11.5
2.3
分類 換算N値
SM-SC 2.4
SM-SC 12.3
SM-SC 9.5
SM-SC 11.1
SM-SC 11.7
SM-SC 8.3
SM
14
SM
3.5
SM
12.5
SM
2.5
SM
6.4
SM
13.8
SM
3.7
SM
2
SM
4.3
SM
7.8
SM
3.6
CBR値
1.1
1.3
2
10.2
2.9
7.1
1.3
1.4
4.4
6.3
9
32.5
18.2
0.3
2.2
27.7
1.2
分類 換算N値 CBR値
SM
6
4.3
SM
12.8
6.3
SM
13.5
26.6
SM
7.1
2.5
SM
3.4
0.8
SM
0.1
2.5
SM
3.7
0.6
SM
4
1.3
SM
9.4
3.3
SM
13.5
4
SC
5.9
0.9
SC
8.4
0.8
SC
8.6
3.6
SC
3.7
1.1
SC
2.9
0.5
16
換算N値
図 3-1 換算 N 値と CBR 値の関係
4.
結論
砂質土の設計 CBR 値は締固めの程度と関連するため,等価 N 値であるが,N 値により CBR を推測することは有用
と思われる.今回,大まかではあるが,細粒分の含有率による CBR 変形係数の低下をもたらすことが示された.しか
し,締固めの程度は,対象とする地盤材料の粒度分布と初期含水比によっても変化するので,今後は,設計 CBR 値の
推定にあたっては,初期地盤密度や含水比の他,粒土分布も考慮する必要がある.地盤密度と含水比は,SWS 試験実施
時の原地盤と設計 CBR 試験の供試体では異なるため,これらの影響を把握できれば,推定精度が向上するものと期待
される.
今後は,データを蓄積し,さらに,粒度分布・初期地盤密度・初期含水比を考慮した砂質土の CBR 値推定法の検討
を進めたい.
【参考文献】
1)
Manfred R. Hausmann ; Engineering principles of ground modification, McGRAW-Hill International Edition,
1990, pp. 62-63.
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