1 OJT推進の背景とねらい 2 OJT推進の方法 3 OJT推進の実践 4 成果

平成25年度OJT推進指定モデル校
OJT推進テーマ
都立小山台高等学校
教科主任会議を活用したOJTの推進
1 OJT推進の背景とねらい
(1)教職員の構成と状況
◇本校では、管理職を除く教員が46名在職している。その大半は主
任教諭の職にあり、その数は26名にのぼる。なお、主幹教諭は9名
おり、1~4年次の若手教員は、わずかに3名である。この年齢構成
から、若手教員の育成だけにとどまらず、人数の多い主任教諭層のO
JT推進をどのように考えるかが課題であった。
2 OJT推進の方法
(1)教科相互の連携を図る工夫
◇教科間の連携を一層充実させ、生徒の進路希望に応える取組が必要である。そのため、従来の組織を改変し
て、教科相互が意見を述べ合いながら、取組を広める場を設けることとした。そして、その場を通じて、OJ
Tを推進する方途を探ることを考察した。職員の大半が主任教諭であることに鑑み、個々の主任教諭がOJT
を通じて、自己の力量を上げていく方法は、授業改善が近道であると考えたのである。
この考え方から、今年度より全校で設置されることとなった、教科主任会議をOJT推進の場としての機能
を付加することとして、取組を進めることとした。
◇教科ごとのまとまりが強く、教科を越えて意見を述べ合う環境が十
分整っているとは言い難い現状があった。一方、進路指導に関しては、
進路部が中心となって、各学年と緊密に連携を図りながら指導を行っ ◇本校の課題の一つとして、教員の授業力向上の取組が上げられる。教員の中には極めて授業力の高い教員が
在職しているが、高い指導力はその教員の中にのみとどまっており、教科はもとより学校全体に十分ノウハウ
てきた。
が行き渡っているとは言い難い。そこで、全ての教員がOJTを通じて、少しでも授業力を向上させることが
できるような、取組を行うこととした。
(2)生徒の実態と進路状況
◇進学指導特別推進校として、生徒の進路指導は充実している。ここ
数年は、難関国公立大学への進路実績を伸ばすための工夫を、学校全 (2) 学力向上推進事業との関連
体で取組んでいる。各教科では、それぞれが独自に考えた年間指導計 ◇これらの取組は、結局のところ学力向上推進の取組に他ならない。今後、学力スタンダードが全都立高校に
画に基づき、指導に取組んでいる。
導入されることを受けて、そのための取組としてのOJTという側面も視野に置いている。
しかし、教科相互の連携については、なお一層組織化を図る必要が
ある。
3 OJT推進の実践
4 成果と課題
(1)教科主任会議を通じてのOJTの実践
(1)組織的な授業改善への手がかり
◇平成25年5月に、第1回教科主任会議を開催した。この会議で、教科主任会議をOJT推進のための中心的な組織
として位置づけることを校長から説明した。その上で、OJTとして具体的にどのような取組が可能であるかを全教科
主任より挙げてもらうこととした。可能性として、「ICT機器を活用した授業研究」「ベテラン教員と若手教員グ
ループにおける研究活動」「研究授業週間の設定」等の意見が集約できた。これらの意見を受け、OJT推進校1年目
として、すぐに取組めることは何かという点に立脚し、具体的な取組を考察した。
◇平成25年度は、「ベテランによる研究授業の実践」「ICT機器を用いた研究授業の取組」「研究授業週間の設
定」の三つの取り組みを展開することとした。また、言語能力向上推進校としての取組も、教科主任会議において具体
化していくこととした。
◇教科主任会議を主軸として、授業力向上への第一歩を踏み
出すことができた。これまで、教科の枠を越えての議論が十
分になされていなっかた現状から一歩前進し、学校全体で研
究授業を行っていこうとする機運が高まった。
(2)実践事例
◇ベテラン教員の研究授業の実践
これまで、本校においては研究授業を校内で開催することが稀であった。若手による研究授業は、多くの学校での取
組も見られることから、まずは、ベテラン教員に研究授業を行ってもらい、その様子を若手教員に見てもらうことによ
り、研究授業の動機付けを行うこととした。そのため、研究授業は比較的早い時期(6月)に行った。
◇ICTを活用した研究授業の実践
進学校においては、なかなかICT機器を意欲的に活用する授業が根付きにくい面がある。本校でも、ICT機器を
活用しての授業は多くない。そこで、ICTを活用した授業を行うことにより、授業に新たな活路を見出すとともに、
若手教員の育成につなげることを企図した。
◇研究授業週間の設定
若手教員の具体的育成を期して、今年度より研究授業週間を設けることとした。1学期と2学期に各一週間ずつ入都
3年までの教員の研究授業をまとめて行うとともに、可能な限り授業を見合う場面を設定することとした。折から、1
0年経験者研修受講者も在職しており、中堅教員の研究授業もこの研究授業週間に行ってもらうことにより、さらなる
効果を期待した。
◇研究授業を通じての若手教員の意欲の向上が認められた。
時間的制約もあり、十分ではない面もあったが、若手教員が
自身の研究授業後に、自ら意欲的に講評を仰いだり、授業に
おける評価活動に着目して、自らの授業を改善していこうと
する動きが見られた。
(2)今後の展望
◇教科主任会議を通じて、授業力向上への組織的な取組を実
践することが、OJT推進の今年度のテーマであった。その
第一歩を踏み出すことができたことは成果と考えられるが、
まだこのことが全教職員に行き渡っていない。このことを改
善するためには、教科主任会議そのものを意欲的に担って開
催していく教員を育成していくことが必要である。
◇OJTがどの程度上がっているのかを、十分に検証できて
いないところがある。具体的な実践後に評価活動を行って検
証するなど、具体的な振り返りが必要である。