第 24 回福岡シンポジウム Poster 発表要旨 新規超原子価ヨウ素アライン発生剤の合成と多環系芳香族化合物の合成 Synthesis of Novel Hypervalent Iodine Aryne Precursors and Application to Polycyclic Aromatic 権藤圭祐、北村二雄(佐賀大学工学系研究科) ベンザインはベンゼンから水素を2つ除 室温で安定な結晶 去したものであり、特に隣接した位置の水 SiMe3 素を除去したo-ベンザインは有機合成の 分野で幅広く用いられている。ベンザイン は非常に不安定であり、反応系中において in-situで生成させ使用する。当研究室では r.t. I(Ph)OTf 発生剤の合成は容易かつ 安価な出発原料から高収率 で得られる TBAF 20min 温和な条件 ベンザイン 100% Fig. 1. 超原子価ヨウ素ベンザイン発生剤 ベンザインの前駆体となる超原子価ヨウ 素ベンザイン発生剤の開発に成功しており(Fig.1)1)、様々なジエン類や1,3-双極子との反応におい RO O C I(Ph)OTf R O C SiMe3 て高収率で目的の化合物を与え I(Ph)OTf SiMe3 日までに様々な超原子価ヨウ素 SiMe3 Me3Si I(Ph)OTf ることを報告している。また、今 I(Ph)OTf Me3Si O アラインが開発されており (Fig.2)、本研究では新たな超原子 I(Ph)OTf 価ヨウ素アライン発生剤の開発 とその反応性の研究を行った。 S Fig.2. 現在までに合成されている超原子価ヨウ素アライン発生剤 テトラキス(トリメチルシリル)ベン SiMe3 ゼンを出発原料とし、三段階で全工程 I(Ph)OTf において、短時間、温和な条件下、高 Ph Ph SiMe3 Ph 収率で新規アライン発生剤を合成する I(Ph)OTf Ph ことに成功した(Fig.3)。また、合成し Me3Si SiMe3 Me3Si SiMe3 た新規超原子価ヨウ素アライン発生剤 からアラインは定量的に生成し、種々 SiMe3 のジエンや1,3-双極子により捕捉され、 I(Ph)OTf 高収率で多環芳香族化合物を与えるこ H N とがわかった2)。 SiMe3 N Ph N N N SiMe3 I(Ph)OTf I(Ph)OTf O OEt Fig.3. 本研究で合成した超原子価ヨウ素アライン発生剤 <参考文献> 1)T. Kitamura, M. Todaka, Y. Fujiwara, Org. Synth. 2002, 78, 104-112. 2)K. Gondo, T. Kitamura, Adv. Synth. Catal., 2014, in press. 発表者紹介 氏名 権藤 圭祐(ごんどう けいすけ) 所属 佐賀大学大学院工学系研究科 学年 D1 研究室 北村研究室
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