Hirosaki University Repository for Academic Resources Title Author(s) Citation Issue Date URL Morphological and electrophysiological changes in intratelencephalic-type pyramidal neurons in the motor cortex of a rat model of levodopainduced dyskinesia Ueno, Tatsuya Neurobiology of Disease, 64(1), 2014, p.142-149 2014-04 http://hdl.handle.net/10129/5330 Rights Text version ETD http://repository.ul.hirosaki-u.ac.jp/dspace/ 医共様式1 学位請求論文の内容の要旨 論文提出者氏名 脳神経科学領域神経生理学講座 氏名 上野 達哉 ( 論 文 題 目 ) Morphological and electrophysiological changes in intratelencephalic-type pyramidal neurons in the motor cortex of a rat model of levodopa-induced dyskinesia ( レ ボ ド パ 誘 発 ジ ス キ ネ ジ ア モ デ ル ラ ッ ト 運 動 皮 質 錘 体 神 経 細 胞 に お け る 形 態 学 的・電 気生理学的変化) 【 背 景 】 レ ボ ド パ 誘 発 ジ ス キ ネ ジ ア ( levodopa-induced dyskinesia; LID) は , パ ー キ ン ソ ン 病 ( Parkinson’s disease; PD) に 対 す る ド パ ミ ン 補 充 療 法 に よ り 出 現 し , 進 行 期 PD 患 者 に と っ て は 深 刻 な 運 動 合 併 症 で あ る . 動 物 実 験 に て 皮 質 線 条 体 シ ナ プ ス の 興 奮 性 伝 達 に お け る 感 受 性 の 増 大 が LID 発 現 に 関 与 し て い る こ と が 示 さ れ て き て い る . 一 方 , LID を 伴 う PD 患 者 の 大 脳 運 動 皮 質 に お い て も 長 期 増 強 の 過 剰 維 持 と い っ た 皮 質 線 条体シナプスと類似した可塑性異常が経頭蓋磁気刺激法により示されている. シナプス 可塑性には樹状突起スパインの形態変化が重要な役割を果たしていることが知られて い る が , LID 患 者 に 見 ら れ る 運 動 皮 質 の 可 塑 性 異 常 に つ い て 細 胞 レ ベ ル で の 検 討 は な い . 線 条 体 に 投 射 す る 大 脳 皮 質 運 動 野 の 神 経 細 胞 に は Intratelencephalic-type neuron ( ITN)お よ び Pyramidal-tract type neuron が あ り , 前 者 は 主 に 直 接 路 を 形 成 す る 線 条 体 神 経 細 胞 へ , 後 者 は 主 に 間 接 路 の 線 条 体 神 経 細 胞 へ 投 射 す る . LID 発 現 に は 直 接 路 が 中 心 的 な 役 割 を 果 た し て い る こ と か ら , 私 た ち は LID モ デ ル ラ ッ ト に お け る 運 動 皮 質 ITN の 樹 状 突 起 ス パ イ ン の 形 態 変 化 お よ び ITN の 電 気 生 理 学 的 変 化 を 検 討 し た . 【 方 法 】 雄 Wistar rat( 生 後 18-20 週 ) を 使 用 . コ ン ト ロ ー ル , 6-hydroxydopamine ( 6-OHDA)に よ る PD モ デ ル ラ ッ ト , LID モ デ ル ラ ッ ト , レ ボ ド パ を 投 与 し た コ ン ト ロ ー ル ラ ッ ト ( levodopa-treated control : LTC ) の 4 群 を 作 成 . 6-OHDA を 右 medial forebrain bundle へ 注 入 し 右 脳 の ド パ ミ ン 脱 神 経 を 行 い PD モ デ ル を 作 成 , PD モ デ ル に レ ボ ド パ( 50 mg/kg)+ ベ ン セ ラ ジ ド( 12.5 mg/kg)を 1 日 2 回 14 日 間 投 与 行 い abnormal involuntary movement score に よ り LID を 確 認 し た . LTC も 同 様 の 方 法 で レ ボ ド パ 投 与を行った. ① ITN 樹 状 突 起 ス パ イ ン の 形 態 学 的 変 化 の 検 討 で は , 上 記 4 群 を 使 用 し た . 左 線 条 体 背 外 側 部 に 逆 行 性 ト レ ー サ ー の Fast blue を 注 入 . 4 日 後 潅 流 固 定 し , 厚 さ 250μ m の 切 片 を 作 成 . Fast Blue に よ り ラ ベ ル さ れ た 右 運 動 皮 質 第 5 層 の ITN 細 胞 体 に 蛍 光 色 素 の Lucifer Yellow を 注 入 し ス パ イ ン を 可 視 化 し た . 共 焦 点 顕 微 鏡 を 用 い 樹 状 突 起 を 撮 影 , Image J を 用 い て , ス パ イ ン 密 度 と ス パ イ ン 頭 部 断 面 積 を コ ン ト ロ ー ル , PD モ デ ル , LID モ デ ル , LTC モ デ ル( 各 8 匹 )の そ れ ぞ れ 51 細 胞 , 56 細 胞 , 49 細 胞 , 47 細胞から計測した. ② ITN の 電 気 生 理 学 的 検 討 で は , 左 線 条 体 背 外 側 部 に 逆 行 性 ト レ ー サ ー の DiI を 注 入 し 4-7 日 後 , 運 動 野 を 含 む 冠 状 切 片 を 作 成 し , DiI で 標 識 さ れ た 右 運 動 皮 質 5 層 の ITN か ら patch-clump 法 を 用 い て miniature excitatory synaptic current (mEPSC) を 記 録 し た . コ ン ト ロ ー ル 9 匹 , PD モ デ ル 6 匹 , LID モ デ ル 12 匹 の , そ れ ぞ れ 30 細 胞 , 24 細 胞 , 39 細 胞 か ら 記 録 し た . 統 計 は Schapiro-Wilk 検 定 で 正 規 性 を 確 認 し た . ス パ イ ン 密 度 ・ ス パ イ ン 頭 部 断 面 ・ mEPSC 振 幅 は Kruskal-Wallis 検 定 後 に Steel-Dwaas 多 重 比 較 を 行 っ た . ま た , mEPSC 周 波 数 は ANOVA を 用 い , Post hoc 検 定 と し て Tukey 法 に よ る 多 重 比 較 を 行 っ た . 【 結 果 】 ス パ イ ン 密 度 は 4 群 間 で 有 意 差 は み ら れ な か っ た (コ ン ト ロ ー ル : 8.1 ± 0.47 (mean±SEM); PD: 9.3 ± 0.25; LID : 9.0 ± 0.66; LTC: 12.0±1.42). ス パ イ ン 頭 部 断 面 積 は コ ン ト ロ ー ル < PD< LID で 有 意 に 増 大 し , LID は LTC よ り も 優 位 に 増 大 し て い た (コ ン ト ロ ー ル : 0.31 ± 0.062 μ m2; PD: 0.41 ± 0.014 μ m2; LID: 0.48 ± 0.020 μ m2; LTC: 0.31±0.030 μ m2). mEPSC 周 波 数 は 3 群 間 で 有 意 差 が み ら れ な か っ た が (control: 7.5 ± 0.54 Hz; PD: 7.8 ± 0.56 Hz; LID: 9.2 ± 0.52 Hz), mEPSC 振 幅 は コ ン ト ロ ー ル と 比 較 し LID で 有 意 に 増 大 し て い た (コ ン ト ロ ー ル : 10.0 ± 0.23 pA; PD: 10.9 ± 0.31 pA; LID: 11.4 ± 0.29 pA). 【 考 察 】今 回 の 結 果 は LID 発 現 に は ITN の ス パ イ ン 密 度 の 変 化 で は な く ス パ イ ン の 肥 大 が 重 要 な 役 割 を 果 た し て い る こ と を 示 し て い る . mEPSC 周 波 数 の 決 定 要 因 の 一 つ に ス パ イ ン 数 が あ り , LID モ デ ル に お い て ス パ イ ン 密 度 が 不 変 で あ っ た こ と は mEPSC 周 波 数が不変であったことと合致していた.一方でスパインの肥大はシナプス後膜への AMPA 受 容 体 挿 入 量 と 相 関 す る た め ,LID モ デ ル に お け る ス パ イ ン 肥 大 は mEPSC( AMPA current を 計 測 し て い る )頻 度 の 増 大 と 合 致 し た 結 果 で あ っ た .即 ち 今 回 の LID モ デ ル に お け る 形 態 学 的 変 化 と 電 気 生 理 学 的 変 化 は と も に ITN が 興 奮 刺 激 に 対 し て 感 受 性 が 高 ま っ て い る こ と を 示 し て い る . し か し な が ら ジ ス キ ネ ジ ア が 起 こ ら な い PD モ デ ル に お い て も ス パ イ ン の 肥 大 が 軽 度 認 め ら れ た こ と は , ス パ イ ン の 肥 大 だ け で ITN の 過 感 受 性 獲 得を説明できないことを示唆している. 【 結 語 】 運 動 野 ITN の 樹 状 突 起 ス パ イ ン の 肥 大 に よ る 同 神 経 細 胞 の 過 感 受 性 の 獲 得 が LID 発 現 に 関 与 し て い る 可 能 性 が あ る .
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