丸山 裕輝 1178nm Yb 添加ファイバーレーザーの開発

修
士
論
研究科・専攻
大学院
電気通信
氏
丸山
裕輝
名
論 文 題 目
要
文
の
学研究科
和
文
要
旨
電子工学
学籍番号
専攻
博士前期課程
0732083
1178nm Yb 添加ファイバーレーザーの開発
旨
近年、黄∼橙色のファイバーレーザー光源の開発が盛んに行われている。その応用例として、
レーザーガイドスター(LGS)や、医療応用、ナトリウム原子の高分解分光などがある。このフ
ァイバーレーザー光源を開発するため、これまでにビスマスファイバーレーザー(BFL)やファ
イバーラマンレーザー(FRL)から得られた波長 1150∼1200 nm の光の第 2 高調波をとることに
より波長 575~600 nm の黄~橙色レーザーを出力する方法が報告されている。そうした中、Yb
添加ファイバーによる波長 1150∼1200 nm のレーザー光源が研究されている。この方法にお
いては、レーザーダイオード(LD)による直接励起であるため Yb ファイバーレーザー励起を
要する BFL や FRL に比べ電気‐光変換効率が高い。また、共振器長が BFL や FRL に比べ短
くできるためレーザーの線幅が狭くなり第 2 高調波への変換効率が高い。しかし、この方法
において問題となるのは波長 1030∼1100 nm で発生する増幅自然放出(ASE)である。Yb 添加
ファイバーは 1030∼1100 nm に非常に高い利得(高利得域)を持つため、1150∼1200 nm でレー
ザー動作させようとしても、高利得域で ASE は増大し容易に寄生発振を引き起こしレーザー
動作に制限をかけてしまう。したがって、Yb 添加ファイバーの長波長利得域 1150∼1200 nm
でレーザー動作させるにはこの ASE を如何に抑制するかということが最大の課題となる。
そこで本論文では、LGS の要求値である出力 10W 以上の 589nm レーザーを得るため、20W
以上の 1178nm 直線偏光レーザーを出力することを目標として、2 つの方法により高利得域で
発生する ASE を抑制し 1178 nm Yb 添加ファイバーレーザー光源の開発を行った。
第 1 の方法は、偏波保持特性を有したファイバーに書き込まれた高反射率のファイバーブラ
ッググレーティングと Yb 添加ダブルクラッドファイバーを直交融着法によって構成した高
反射率共振器による ASE 抑制である。この方法により ASE は抑制され、スロープ効率 49.5%
最大 3W の 1178 nm 直線偏光レーザーを出力した。しかし、この方法では理論的にも出力の
限界に達したため、更なる 1178 nm レーザーの高出力化を行うには、高反射率共振器に加え
新たな方法が必要となった。そこで用いた第 2 の方法として、Yb 添加フォトニックバンドギ
ャップファイバー(Yb-PBGF)による ASE を抑制した増幅である。この Yb-PBGF により、人
工的に損失スペクトルを制御し高利得域の利得自体をなくすことが可能となった。その結果、
ASE は完全に抑制され最大出力 25W 偏波消光比 13dB の 1178 nm 直線偏光レーザーの出力に
成功した。