レーザー共鳴イオン化を用いた ラドン除去手法の開発状況 日本原子力研究開発機構 東京大学宇宙線研究所A 岩田 圭弘 関谷洋之A,伊藤主税 日本物理学会第69回年次大会 東海大学湘南キャンパス 2014/3/30 (Sun.) 本研究は科研費(24654060, 25707020)の助成を受けたものである。 1/12 Outline • Xeを用いた暗黒物質探索実験におけるRn低減 * レーザー共鳴イオン化 + 電場ドリフト を用いた ラドン選択的除去の検討 • (1)微量Kr含有Ar を用いた電場ドリフト * 電場ドリフトされた陽イオンをオシロスコープで観測 • (2)光パラメトリック発生(OPG)光学系の開発 * 共振器なしのシンプルな光学系で波長・出力安定化 • まとめ、今後の予定 2/12 Xeを用いた暗黒物質探索実験に おけるバックグラウンドRnの低減 • 222Rnは最大の内部BGであり、Xeを 循環させて連続的に除去 Rnを共鳴 イオン化 • 冷却活性炭は、同族のXeも吸着 • パルスレーザー(VUV+可視)で Rn のみ共鳴イオン化し、電場ドリフト 3/12 (1)微量Kr含有Arを用いた電場ドリフト • ~10 ppm Kr 含有の大気圧 Ar に 212.6 nm(5 ns pulse) を集光し、Kr を(2γ+γ)共鳴イオン化 電極2枚と 高圧(HV), オシロ(OSC)配線 集光 212.6 nm で Kr を (2γ+γ)共鳴イオン化 ~5 mJ/p at 212.6 nm 4/12 (1)セットアップ写真 • (左)セットアップ全体 (右)電極部分 パワーメータ 圧力計 ⇔ 8 mm 高圧電源(HV) HV → OSC オシロスコープ(OSC) 212.6 nm HV印加 + 信号 取り出しフランジ ガス導入 (右写真) 212.6 nm レンズ BNC×2付 ICF70フランジ 5/12 • (赤)HV = +1kV, 共鳴 212.6 nm (緑)HV = +1kV, 非共鳴 211.6 nm (青)HV = -1kV, 共鳴 212.6 nm • HV = -1kV(青)で観測されない 数μs成分は、電場ドリフトされた 陽イオン(Ar+, Kr+) 最短の飛行時間 (1)オシロスコープ波形 陽イオン成分 (Ar+, Kr+) e-由来 6/12 (1)HV依存性 (+1kV → +500V) • 信号はHVに比例 ⇒ 比例計数管と同様 • Kr共鳴イオン化で生成した電子が、ArをEIイオン化 (Kr+はAr+にうもれているか) • 時間積分を見ると、Ar+が電荷を失う割合は小さいか • Kr+の観測には、パルス電流の増幅が必要 HV下げるとピークは低下し、 長時間側にシフト 7/12 (2)VUV光生成の安定化を目的とした 光パラメトリック発生(OPG)光学系の開発 • VUV光生成の入力光 212.6 nm 354.8 nm → 530.2 nm + 1072.8 nm 354.8 nm + 530.2 nm → 212.6 nm • 共振器なしの光パラメトリック発生 (OPG)光学系で 530.2 nm 生成 → Rn共鳴 励起用VUV ⇒ OPO: 光パラメトリック共振器 OPG: 光パラメトリック発生(共振器なし) 8/12 (2)改良レーザー光学系の全体像 励起光 1. OPG (OPOから改良) 1. OPG: 530.2 nm 生成 2. OPA: 530.2 nm 増幅 2. OPA 3. SFG 3. SFG: 212.6 nm 生成 主な改良箇所 9/12 (2)OPG光学系による 530.2 nm 光生成 • 354.8 nm(励起光, 5 ns) → 530.2 nm + 1072.8 nm • 波長変換に BBO結晶×4個 使用 • 半導体レーザー at 1072.8 nm(シード光, CW) を 励起光 と overlap ⇒ シード光にそって波長変換 共振器を組む代わりに、狭線幅の 波長可変半導体レーザー(ECDL) at 1072.8 nm を利用 ECDL: あり なし ビーム パターン 10/12 (2)従来OPOとの安定性比較 • (赤)改良OPG, (青)従来の共振器構造OPO • 530.2 nm 波長: 短時間の変動小さく安定、ドリフトなし • 212.6 nm 出力: 出力はOPOとほぼ同じ、変動小さい (励起光出力は同程度、ビーム径: OPG で Φ4.5, OPO で Φ6) • 共振器不要のため、光軸調整が容易 530.2 nm 波長 青から0.008 nm 引く 212.6 nm 出力 青に1 mJ/p 足す (励起YAG異なる) 1200 秒 1200 秒 11/12 Summary and future plans • レーザー共鳴イオン化によるRnの選択的除去 ⇒ 陽イオンの電場ドリフト、OPG光学系の開発 • (1)~10 ppm Kr 含有Ar を用いて、Kr共鳴イオン 化由来の電子がEIイオン化したAr+を電場ドリフト • (2)VUVレーザー生成の入力光(212.6 nm)につ いて、共振器を組まないシンプルなOPG光学系 により波長・出力安定化 • 今後の予定 Rn 共鳴イオン化の観測、電場ドリフトの設計 12/12
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