平成 21年 度指定 スーパTサ イエンスハ イスクール 研究 開発 実施報告書 【 第5年 次】 Mh口脱mS HuttHhOd 平成 26年 3月 北海道室 蘭栄高等学校 〒 050-0083 TEL 0143-44-3128 3丁 目 29番 5号 FAX 0143-44-3129 室 蘭 市東 町 Web Page http://www.muroransakac.hokkaido― c.ed.jp/ 巻頭言 北海道室蘭栄高等学校長 高 桑 純 本校は、平成21年度に文部科学省から北海道で3校目のスーパーサイエンスハイスク ール(SSH)として指定を受け、今年度で指定の最終年、5年目をむかえました。した がってこの報告書は、これまでの本校SSHの集大成として発行するものです。 本校は北海道の理数科設置校として最初にSSHの指定を受けたため、他の理数科設置 校のさきがけとして、学科の特色を生かした様々な活動に取り組んできました。特に、北 海道を代表する工業都市である室蘭に立地する高校として「ものづくり」を大きなテーマ としたことや、活発な火山活動を続ける近郊の山々をフィールドにした「防災教育」は、 本校SSHの大きな特色となっています。 本校のSSHの中心として位置づけられるのが、理数科1年の「基礎課題研究」と理数 科2年の「課題研究」です。ここで生徒達は、自らの力で課題を見つけ、研究計画を立て、 調査や実験や観察を進めてきました。去る2月14日に、理数科1年で「基礎課題研究」 のポスター発表が行われました。この発表は、SSHに関わる主な行事の締めくくりとし て位置づけられています。運営指導委員の方々や、5年間に渡ってSSHの指導に関わっ てきた職員達からは、指定後5年を経て内容が年々充実し、レベルが高くなってきている という評価を受けました。理数科1年生は、様々な機会に理数科2年生の課題研究の取組 や発表を見て自分たちの研究の参考にしています。したがって、ここで得た高い評価は、 先輩から後輩へという研究の伝承が代々繰り返されることにより、SSHの成果が年々蓄 積してきた結果と考えることができます。そして、これまでのSSHの取組が着実に本校 の伝統として根付いてきていることを実感しています。 本校では、SSHの成果を更に発展させて北海道の理数教育の充実につなげるために、 再度継続して指定を受けるための準備を重ねてきました。5年間の反省を踏まえ、これま で以上に国際性を育むための取組や普通科も含めた学校全体に渡る取組の充実を大きな柱 としています。しかし、指定が継続するしないに拘わらず、これまで取り組んできた成果 は様々な面で本校の教育活動の充実につながっていくと信じています。 最後になりますが、これまで本校SSHの取組に当たって数々のご教示をいただいた運 営指導委員の皆様と、様々なご指導とご支援をいただいた室蘭工業大学をはじめとする各 大学、各企業、北海道教育庁学校教育局高校教育課、胆振教育局、北海道立教育研究所附 属理科教育センター等関係諸機関の皆様に厚くお礼申し上げます。また、この5年間を通 して事業に携わり、年々内容の充実と発展に貢献してきた多くの教職員の努力と情熱は高 く評価されるべきだと思っています。指定期間は今年度をもって一応終了しますが、これ までのSSHの取組が室蘭栄の伝統の一つとなって、永く受け継がれていくことを期待し ています。 目 次 5 ”” 7 9 1 3 5 6 8 9 1 ” 3 8 ” 4 0 0 6 4 ” 3 8 6 3 3 4 ” 3 5 3 3 ” 3 4 0 3 ” 3 0 2 0 3 3 3 7 7 2 ” 2 40∼ 42∼ 44∼ 46∼ 48∼ 49∼ 1 12∼ 1 13∼ 1 15∼ 1 17∼ 1 18∼ 1 19∼ 2 1 42 44 46 47 49 50 1 5 2 5 3 5 4 5 5 5 6 5 8 5 9 6 0 6 1 6 2 6 3 ” 5 6 7 4 6 5 ” 6 6 6 7 0 1 7 4 7 5 7 8 7 9 8 0 8 1 ””””” 7 7 8 2 ” 5 , 8∼ 10∼ 2 (8)日 本地球惑星科学連合 2013年 大会 。・ ・・・・・ ・・・・・ ・・・ (9)工 学 フォー ラム 2013・ ・・・・・・ ・・・・・・ ・・・・ ・・・・ (10)全 校講演会・・・ ・・・・ ・・・・・・・ ・・・・・・・・・ ・・・・ (11)SSHカ ナ ダアル バ ー タ州 北方林研修 ・・ ・・・・・ ・・・・・ ・・・ (12)3年 生理 系希 望者対象理 科発展実験講座 ・ ・・・・・・ ・・・ ・・ 。 (13)分 野別講演会 ・・・・・・ ・・・ ・・・ ・・ ・・・・ ・・・・ ・・・・ 第 6章 今年度 の取組 の成果 とそ の評価 1節 生徒 は SSHを ど う捉 えたか 。・・・ ・・・・ ・・・・・ ・・・・ ・ 2節 教員 の視 点か ら見た生徒 の変化 とこれ か らの課題 ・・・・ ・・・・・ ・ 3節 保護者 の視点 か ら見た生徒 の変化 とこれ か らの課題 ・・・ ・・・・・・ 第 7章 5年 間 の 取組 の成果 とその評価 ・・・・・ ・・・・・・・ ・・・・・・ 第 8章 研 究 開発 実施 上 の課題及 び今後 の研 究 開発 の方 向 と成果 の 普及 ・・・・ 第 9章 関係 資料編 l SSH運 営指導委員会・・・・・ ・・・・・ ・・・ ・・・・・・・ ・・ 2 教育課程表 (理 数科 )。 ・・・・・ ・・・・・・・ ・・・・・・・ ・・ 6 (7)化 学 グラ ンプ リ・ 数学 コ ンテ ス ト・・・・・・・ ・・・・・・・・・・ 1 巻頭 言 目 次 研 究 開発 実施 報 告 (要 約 )(別 紙 様 式 1-1) 研 究 開発 の 成 果 と課題 (別 紙 様 式 2-1) 第 1章 5年 間 の 取組 概 要 。・ ・ ・ ・ ・・ ・・ ・ ・・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 第 2章 今 年 度 の研 究 開発 の 経 緯 ・ ・ ・ ・ ・ ・・ ・ ・ ・ ・ ・・ ・ ・ ・ ・ ・・ ・ ・ 第 3章 サ イ エ ンス 基礎 (第 1学 年 ) 1節 地 域 や研 究機 関 と連 携 した火 山防 災教 育 (1)火 山・ 防 災 に 関す る講 演 会 ・ ・ ・ ・・ ・ ・・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・・ ・・ ・ ・ (2)洞 爺 湖 有 珠 山 ジオ パ ー ク巡 検 ・ ・ ・ ・・ ・ ・ ・ ・ ・・ ・ ・ ・ ・ ・・ ・ ・ 2節 研 究基礎 I (1)コ ミュニ ケ ー シ ョン基礎 ・ ・ ・ ・・ ・ ・ ・・ ・・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・・ (2)説 明す る とい うこ と・ ・・ ・ ・ ・ ・・ ・ ・・ ・ ・・ ・ ・ ・ ・・ ・ ・ ・ ・ (3)仮 説 実験 入 門 ・ ・・ ・ ・ ・・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・・ ・・ ・ (4)測 定入 門・ ・ ・ ・・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・・ ・・ ・ ・ ・ ・・ ・ ・ ・ ・・ ・ (5)サ イ エ ンス 英 語 I・ ・・ ・ ・・ ・ ・ ・ ・ ・ ・・ ・ ・ ・・ ・・ ・ ・・ ・・ (6)情 報 処理 基礎 ・ ・ ・ ・・ ・ ・ ・ ・・ ・ ・ ・・ ・・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・・ 3節 基礎 課題 研 究 (1)基 礎 課題 研 究 ・ ・ ・ ・ ・ ・・ ・ ・ ・ ・・ ・ ・ ・ ・ ・・ ・ ・ ・・ ・ ・ ・ ・ (2)基 礎 課 題 研 究発 表 会 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・・ ・ ・ ・ (3)基 礎 課 題 研 究 の検 証 。ま とめ ・・ ・ ・ ・・ ・・ ・ ・ ・ ・ ・・ ・ ・ ・・ ・ 4節 大 学巡 検 (北 海 道 大 学 工 学 部 巡 検 )。 ・ ・ ・・ ・ ・ ・・ ・・ ・ ・ ・ ・・ 第 4章 サ イ エ ンス 探 究 (第 2学 年 ) 1節 研 究 基礎 Ⅱ (1)論 理 的 思 考 トレー ニ ン グ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ (2)試 行 錯 誤 に よ る最 適 な解 ・・ ・ ・ ・ ・・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・・ ・ ・ ・ ・ (3)プ レゼ ンテー シ ョン作成 実習 ・ ・ ・ ・ ・・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・・ ・ ・ ・ (4)サ イ エ ンス 英 語 Ⅱ・ ・・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・・ ・・ ・ ・ ・ ・・ ・ ・ ・・ ・ ・ (5)も のづ く り講座 ・ ・ ・・ ・ ・ ・ ・・ ・ ・・ ・・ ・ ・ ・・ ・ ・ ・ ・ ・・ ・ (6)も のづ く り講 演 会 ・ ・・ ・ ・ ・ ・・ ・ ・ ・ ・・ ・ ・ ・ ・ ・・ ・ ・・ ・ ・ 2節 課 題 研 究 (1)室 蘭 工 業 大 学 と連 携 した 課題 研 究 ・・ ・ ・・ ・・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・・ (2)地 域 の 小 学校 と連 携 した課 題 研 究 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ (3)地 域 の 火 山 に 関す る課題 研 究 ・ ・ ・ ・・ ・ ・ ・ ・ ・・ ・ ・ ・・ ・ ・ ・ ・ (4)課 題研 究成 果 発 表 会 ・ ・ ・・ ・ ・ ・ ・・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・・ ・ ・ ・ ・ (5)課 題 研 究 の検 証 ・・ ・ ・ ・・ ・ ・ ・ ・・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・・ ・ ・・ ・・ ・ 3節 JICA研 修 員 交流 事 業 ・・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・・ ・ ・ ・ ・・ ・ 第 5章 研 究発 表 。交 流 ・ 普 及 活 動 (1)HOKKAIDOサ イ エ ンス フ ェス テ ィバ ル ・ ・ ・ ・・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・・ ・ (2)全 国 SSH指 定校 生 徒研 究発 表 会 ・ ・ ・ ・・ ・・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・・ (3)青 少 年 の た め の 科 学 の 祭 典 室 蘭大 会 ・ ・ ・・ ・ ・・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ (4)科 学 の 甲子 園 ・ ・ ・ ・ ・・ ・ ・ ・ ・・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ (5)青 少 年 サイ エ ンス ミー テ ィ ン グ・ ・・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・・ ・ ・ ・ ・ (6)HOKKAIDOサ イ エ ンス キ ャ ンプ・ ・ ・ ・ ・ ・・ ・ ・・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 83-87 88 別紙様式1-1 北海道室蘭栄高等学校 21-25 平成25年度スーパーサイエンスハイスクール研究開発実施報告(要約) ① 研究開発課題 北海道の雄大な自然やものづくり関連産業など地域の教育資源を活用した科学技術・理科教育 プログラムを確立し、大学、研究機関、民間企業等との連携体制のもとで、生徒の知的好奇心を 喚起するとともに、創造性・独創性を一層高めるための効果的な指導方法や評価方法等について 研究開発を行う。 ② 研究開発の概要 (1) 挑戦意欲を育成する大学・研究機関・民間企業等との連携の推進 大学・研究機関・民間企業の研究室と連携し、最先端の科学技術を駆使した「ものづくり現場 の訪問(大学巡検)」と「外部講師による講演会」、「自然環境を学ぶための地域巡検」を行うこ とで、科学技術の成果や課題、科学技術系人材の果たす役割等について生徒の興味・関心を深め るとともに、知的創造を情熱を持って追い求める挑戦意欲の育成を目指す実践研究を行った。 (2) 創造性・独創性を育成する学習活動の推進 探究的な研究活動を行う「課題研究」の実施や、研究者による「講演」、外部講師による「実 験指導」によって、理科・数学に対する知的好奇心を喚起し、論理的思考力、表現力、問題解決 能力を培うとともに、イノベーター日本を実現する飛躍知の発見・発明を生み続ける創造性・独 創性の育成を目指す実践研究を行った。 (3) 地球的課題に主体的に行動できる資質や能力を育成する学習プログラム開発の推進 外国人講師による「サイエンス英語」や、JICA研修員に対する生徒の英語による「演示実 験」、「交流会」、「地域巡検案内」等を実施することにより、グローバルな視点を持って主体的 に行動できる資質や態度の育成を目指す実践研究を行った。 ③ 平成25年度実施規模 全日制課程理数科の1・2年生159名を中心に実施し、一部、全校生徒715名を対象に実 施した。 ④ 研究開発内容 ○ 研究計画 (1) 第一年次 <重点目標> 準備・調査・試行段階と位置付け、実践を行いながら各研究事項を本格的に実施するため の準備を進める。 ① 以下の(ア)~(オ)の事業の実施と、第二年次での効果的な実施方法等の調査研究 (ア) 北海道大学への「大学巡検」と研究室訪問 (イ) 外部講師による講演会と出前講座 (ウ) 「地域巡検」、「ものづくり巡検」 (エ) 「サイエンス基礎」における「研究基礎」、「サイエンス英語基礎」、「基礎課題研究」 (オ) 事業の評価 ② 以下の(カ)~(ス)の事業についての指導内容及び指導方法の調査研究 (カ) 「サイエンス探究」における「サイエンス英語」 (キ) 「サイエンス探究」における「ものづくりひとづくりサイエンスⅠ、Ⅱa~Ⅱc」 (ク) 「サイエンスエキスパートキャンプ」 (ケ) 理数系部活動の活動支援 (コ) JICA研修員等による講話 (サ) 英語による課題研究発表 (シ) JICA研修員を対象とする英語による「科学大好き講座」 (ス) 外国人留学生やALT等を対象とする英語による「環境・防災教育ツアー」 (2) 第二年次 <重点目標> 研究計画の展開・深化・充実を図る。第一年次に準備・試行した教材や学習プログラムを 具体的に展開し、課題を分析するとともに、その対応を検討する ① 第一年次の(ア)~(ス)の事業の実施と、第三年次での効果的な実施方法等の調査研究 ② 以下の(ア)、(イ)の事業についての指導内容及び指導方法の調査研究 (ア) 第三年次に行う「サイエンスエキスパートキャンプ」 (イ) 学会ジュニアセッションにおける研究発表 ③ 学校設定科目等を活用した各種のプログラムをより効果的に実施し、かつ普通科の生徒へ の波及効果をより高めるための指導計画の検討 (3) 第三年次 <重点目標> 研究計画の完結および発展期と位置付け、第三年次までに得られた成果を報告書や刊行物 にまとめて、研究会等で発表し、普及活動に努める ① 第二年次までの取組を継続的に実施し、研究を行う - 要約1 - ② 英語による「科学大好き講座」は、国際協力の効果の観点からの検討を加える ③ 「環境・防災教育ツアー」は、地域文化の発展の観点からの検討を加える (4) 第四年次 <重点目標> 具体的事業を質的・量的に充実させる。これまでの実績をもとに全学習プログラムを全面 的に実施することで成果を確立させる ① 第三年次までの取組を継続的に実施し、研究の確立を図る ② 国際性の涵養については新たな事業も立案し、試験的に実施する ③ 成果を研究期間終了後の教育課程に継続して生かすための調査・研究を実施する (5) 第五年次(本年度) <重点目標> 研究の完成期と位置付け、第四年次までの成果を一般化し普及を図る。研究の成果を報告 書や刊行物にまとめて、研究会等で発表し、より一層の普及活動に努める ① 第四年次までの取組を継続的に実施し、研究の確立を図る ② 成果を指定終了後の本校の教育課程に継続して生かすための取組の指針を策定する ○ 教育課程上の特例等特記すべき事項 理数科では、学校設定教科「SSH」を設定し、学校設定科目「サイエンス基礎(第1学年2 単位)」、「サイエンス探究(第2学年2単位)」を設置する。これに伴い、「社会と情報」を実施 しないこととし、「家庭基礎」の2単位中1単位と「課題研究」1単位を減ずる。単位数を減じ た科目の学習については、関連する学習内容を学校設定科目において、学習する際に補うことと している。 (1) 「サイエンス基礎」(2単位) 科学的探究活動を行う上で必要な基本的事項や技術を習得するとともに、自然科学領域での 英語の運用能力と国際性を高めることをねらいとする。 【内容】 地域や研究機関と連携した火山防災教育(講演会・巡検)/研究基礎Ⅰ/基礎課題 研究/サイエンス英語Ⅰ/大学巡検/SSH講演会 (2) 「サイエンス探究」(2単位) 生徒の興味・関心に応じたコースを選択して課題研究を実施することにより、論理的思考力、 創造性、独創性を育成するとともに、英語を活用して積極的にコミュニケーションを図ること ができる能力を育てる。 【内容】 研究基礎Ⅱ/課題研究/サイエンス英語Ⅱ/ものづくり講座/SSH講演会 ○ 平成25年度の具体的な研究事項・活動内容 (1) 学校設定科目を活用した学習活動 ①「サイエンス基礎」: 理数科1年生 (ア)「地域や研究機関と連携した火山防災教育(講演会・巡検)」 北海道大学名誉教授(環境防災総合政策研究機構理事)岡田 弘氏による講演会を実施 し、有珠山噴火の歴史を通して「噴火予測と住民の避難」・「噴火災害と減災の方法」な ど防災に対する理解を図った。また、この講演会を受けて、北海道教育研究所附属理科教 育センター次長 岡本 研氏、同研究研修主事 横山 光氏を講師として有珠山周辺の探 究的な地域巡検を行い、野外での調査・研究の基本を学ぶとともに、自然災害・防災の観 点での観察を行うことにより、将来の災害について考える姿勢を身に付けることができた。 (イ)「研究基礎Ⅰ」 知的ゲームやディスカッションを通して、研究活動の基礎となる科学的思考、討論の方 法、表現方法等について学び、また、科学の観察・実験の基礎となる実験技術の基礎知識 の習得を目指し、「コミュニケーション基礎」「説明するということ」「仮説実験入門」「測 定入門」「情報処理基礎」の実習・実験を実施した。さらに、コンピュータを用いて、デ ータの処理や、科学的な内容についてレポートの記述とプレゼンテーションの作成に係る 技術を習得する学習活動を行った。 (ウ)「基礎課題研究」 あらかじめ設定した研究テーマの中から希望するテーマを選択してグループを作り、各 グループが探究的な研究活動を実施し、研究成果を小論文としてまとめ、ポスター発表を 行うことにより、探究の方法と発表の手法を習得する学習活動を行った。 (エ)「サイエンス英語Ⅰ」 本校教諭がオリジナル教材を用いて英語で講義を行った。 (オ)「大学巡検」 北海道大学工学部教授 廣吉 直樹氏を講師として模擬授業を実施し、応用理工学系学 科教授 渡慶次 学氏、情報エレクトロニクス学科准教授 田中 孝之氏、機械知能工学 科助教 千葉 豪氏、環境社会工学科准教授 小澤 丈夫氏、同助教 角 哲氏らの各研 究室を訪問し、最新の科学技術等について学ぶ学習活動を行った。 (カ)「SSH講演会」 東京大学大気海洋研究所准教授 佐藤 克文氏、同博士研究員 楢崎 友子氏、同大学 院博士課程3年中村 乙水氏を講師として「バイオロギング研究」「ウミガメの旋回行動 に関する研究」「マンボウの生態に関する研究」をテーマに講演会を実施した。 ②「サイエンス探究」:理数科2年生 (ア)「研究基礎Ⅱ」 - 要約2 - 「論理的思考トレーニング」 「試行錯誤による最適な解」 「プレゼンテーション作成実習」 を行った。 (イ)「サイエンス英語Ⅱ」 科学を英語で表現することの大切さを学び、プレゼンテーション能力が向上することを 目指し、ヴィアヘラー・滝口幸代氏(インスパイア)を講師として、英語による科学プレ ゼンテーション実習を実施した。 (ウ)「ものづくり講座」 ものづくりへの興味・関心を高め、工業技術と人間生活を関連付けて考察する姿勢を身 に付けることを目指し、電子回路工作実習を行った。 (エ)「課題研究」 (a) 室蘭工業大学と連携した課題研究 14名程の室蘭工業大学教員の指導により、ものづくりを中心とした課題研究を8テ ーマ実施した。テーマは、「温スープが生体に及ぼす影響」「平板の加振実験」「分子サ イズの孔を持つ酸性物質の合成と環境・エネルギー問題への応用」「人工社会をつくろ う!~栄高校購買移転計画~」「タンポポで環境測定できるか?」「色彩の心理物理学~ いろのいろいろ~」「メガクエイク~次の大地震に備えて~」「熱電対でクリーンな発 電!」である。 (b) 本校教員による課題研究 「太陽炉Ⅱ 太陽の熱で焼き肉を食べる!」 「続・パスカルの三角形にひそむ数理」 「ミ ニピッチングマシーンをつくろう!」「小学生のための理科実験教室」「有珠研究」「し ょうゆのアミノ酸を調査しよう!!」「古川教授の世紀のワクワク大実験~ミドリゾウ リムシを白くする魔法~」の8テーマの課題研究を実施した。 (c) 地域の小学校と連携した課題研究 地域の小学校と連携し、理科の教材や学習プログラムの開発を行い、小学校での授業 実践を行った。 (d) 地域の火山に関する課題研究 北海道立教育研究所附属理科教育センター研究研修主事 横山 光氏に協力を依頼し、 有珠山周辺の調査研究を行った。 (e) 発表会 課題研究における互いの研究成果について理解を深め、プレゼンテーション能力の向 上を図る口頭発表を行った。 (オ)「SSH講演会」 (a) 東京大学大気海洋研究所准教授 佐藤 克文氏、同博士研究員 楢崎 友子氏、同大 学院博士課程3年中村 乙水氏を講師として「バイオロギング研究」「ウミガメの旋回 行動に関する研究」「マンボウの生態に関する研究」をテーマに講演会を実施した。 (b) 室蘭工業大学大学院工学研究科もの創造系領域准教授 花島 直彦氏を講師としても のづくり講演会を実施した。 (カ)「JICA『理科大好き講座』」 南アジア4カ国のJICA研修員8名を本校に招き、課題研究「小学校教材開発チーム」 による実験ショー、交流会を行った後、課題研究「有珠山研究チーム」がバスで有珠山の 噴火口や2000年噴火の被災建築物などを案内した。 (2) 学校設定科目以外の活動 ①「日本地球惑星科学連合2013年大会」 5月19日(日)千葉県幕張メッセ国際会議場で開催された標記学会に7名が参加し、ポ スター発表を行った。 ②「化学グランプリ」 7月15日(月)室蘭工業大学で開催された標記大会に15名が参加した。 ③「理科発展実験講座」 7月17日(水)、8月21日(水)、10月9日(水)、10月23日(水)の7校時目 に3年生理系希望生徒対象の標記実験講座を行った。物理・化学・生物の3領域それぞれ4 つの実験を行い、延べ90名が参加した。 ④「カナダアルバータ州北方林研修」 8月6日(火)~13日(火)カナダアルバータ州で開催された標記研修会に2名が参加 し、森林研修・国際交流・語学研修等を行った。 ⑤「全国SSH指定校生徒研究発表会」 8月7日(水)~8日(木)横浜市パシフィコ横浜で開催された標記発表会でSSH指定 校の生徒が口頭及びポスターにより研究発表を行った。本校からは生徒8名が参加し、他校 の生徒と交流した。 ⑥「青少年のための科学の祭典室蘭大会」 9月8日(日)室蘭市青少年科学館で開催された標記大会に12名が参加し7ブースを開 設した。近隣の多くの子どもたちとその保護者対象に演示実験を行った。 ⑦「HOKKAIDOサイエンスキャンプ」 9月14日(土)~15日(日)北海道立教育研究所で開催された標記キャンプに9名が 参加した。北海道内のSSH研究指定校6校36名が参加し、生徒交流型実験屋台やサイエ ンスバトル等を実施した。 - 要約3 - ⑧「科学の甲子園」 10月6日(日)本校で開催された標記一次予選に3チーム18名が参加し、12月14 日(土)札幌啓成高校で開催された標記決勝大会に2チーム12名が参加した。 ⑨「工学フォーラム2013」 10月19日(土)石川県金沢市で開催された標記フォーラムに2名が参加し、ポスター 発表を行った。 ⑩「分野別講演会」 10月29日(火)、12月3日(火)、12月5日(木)の放課後、本校にて1・2年生 希望者対象に外部講師を招き分野別講演会を実施した。講演テーマ「触媒化学」・「有機化学」 ・「放射線医学」に延べ60名が参加した。 ⑪「青少年サイエンスミーティング」 11月13日(水)札幌東高校で開催された標記研修会に5名が参加し、最先端の「iP S細胞」についての講義や講演を受講した。 ⑫「北海道サイエンスフェスティバル」 1月25日(土)北海道大学大学院環境科学院で開催された標記フェスティバルに14名 の生徒が参加し、口頭発表1件・ポスター発表2件を行い、北海道内のSSH指定校10校 の生徒と交流した。 ⑬「総合芸術祭」 2月8日(土)室蘭市民会館で開催された標記芸術祭で化学部・物理同好会・SSHが発 表・出展した。 ⑭「環境・防災国際会議」 3月7日(金)室蘭工業大学で開催される標記国際会議に化学部3名がポスター発表で参 加した。 ⑤ 研究開発の成果と課題 ○ 実施による成果とその評価 生徒アンケート、教職員アンケート及び運営指導委員会における意見等により下記のとおり まとめた。 (1) 挑戦意欲を育成する大学・研究機関・民間企業等との連携の推進 「課題研究」、「SSH講演会」、「地域巡検」、「大学巡検」、「ものづくり講座」を通して、 最先端の科学技術を学ぶことができ、科学技術と人間生活を関連付けて考察する態度を身に付 けることができた。 (2) 創造性・独創性を育成する学習活動の推進 「基礎課題研究」及び「課題研究」において、それぞれの研究テーマで探究的な学習活動を 実施したことにより、生徒の理科・数学に関する興味・関心や知的好奇心を喚起し、論理的な 思考力や問題解決能力を培うことができた。また、課題研究発表会の実施により、自らの考え を発信する能力と表現力が向上するとともに、プレゼンテーションの手法を習得することがで きた。 (3) 地球的課題に主体的に行動できる資質や能力を育成する学習プログラム開発の推進 「サイエンス英語Ⅰ」、「サイエンス英語Ⅱ」等の実施により、英語での表現方法を学ぶ体 験を通して、生徒の学習意欲や自己肯定感を向上することができ、表現力を向上させることが できた。また、「JICA研修員交流会」では、高い評価を得ることができた。 (4) 成果の普及について SSH通信やホームページを改善・充実し、適宜事業内容に関する情報発信を行った。また、 火山学習の取組について学会やシンポジウムで発表し、様々な大会やイベントにも参加し、成 果を普及することができた。 ○ 実施上の課題と今後の取組 (1) 挑戦意欲を育成する大学・研究機関・民間企業等との連携の推進 数多くの外部機関と密に連携を図りながら事業を進めており、年度当初に連携先と討議した り中間発表会を実施するなど事業の改善を試みており、細かな課題は徐々に改善されつつある が、まだ 受動的に取組む生徒がいるなどの課題がある。より主体的な取組となるよう、さら なる検討 が必要である。 (2) 創造性・独創性を育成する学習活動の推進 1年生の「研究基礎Ⅰ」の学習プログラムは、今後の研究活動に向けて効果的であったと考 えているが、論理的な思考力や問題解決能力をより向上させるため、基礎課題研究など各学習 活動の配当時間や実施時期などについて検討する必要がある。 2年生の「課題研究」において、探究の過程を重視した研究活動を行うことを目指したが、 班により探究の程度に差があり、より自主的・探究的な活動となるよう、検討が必要である。 (3) 地球的課題に主体的に行動できる資質や能力を育成する学習プログラム開発の推進 「サイエンス英語」等に生徒は意欲的に取り組んだが、十分に主体的に取り組んだとは言え ない状況にある。国際性を身に付けることの重要性をより深く理解させていく必要がある。 (4) 成果の普及について 校外での普及活動は、昨年度以上に多かったが、より幅広く生徒が参加することができるよ う、方法や内容などを検討する必要がある。また、地域の子どもたちに成果を普及し、地域全 体の科学的リテラシー向上に努める必要がある。 - 要約4 - 別紙様式2-1 北海道室蘭栄高等学校 21-25 平成25年度スーパーサイエンスハイスクール研究開発の成果と課題 ① ア 研究開発の成果 各研究開発における成果 (1) 挑戦意欲を育成する大学・研究機関・民間企業等との連携の推進 昨年度の中間反省において、「生徒が多くの体験を有機的に結び付けることがで きたかどうかの検証が不十分」、「やや消化不良の内容がある」などの課題があげら れたことから、本年度はこれらの課題の改善を目指し、研究機関と連携した「SS H講演会」、「地域巡検」、「大学巡検」、「HOKKAIDOサイエンスキャンプ」等 の取組内容を大きく見直した。また、新たに「ものづくり講座」を実施したり、課 題研究の進め方についても大学と調整を進めるなど、課題の解決を図った。さらに、 講義、実習、見学を通して、科学が身近な生活に密着した学問であることに気付か せる視点を重視した取組を行うことにより、科学技術と人間生活を関連付けて考察 する態度を身に付けさせることができた。 (2) 創造性・独創性を育成する学習活動の推進 「基礎課題研究(1年)」及び「課題研究(2年)」において、探究的な研究活動 を実施し、生徒の科学的な思考力・表現力・判断力の向上とともに教員の指導力も この4年間で向上し、さらに生徒の科学への興味・関心や知的好奇心が喚起され、 論理的な思考力や問題解決能力を培うことができた。 また、昨年度の中間反省を踏まえ、課題研究の時間数を増やしたことにより、研 究内容が充実するとともに、まとめに要する時間を確保できた。さらに内容の充実 に伴い、課題研究発表会における学年間の交流においても、昨年度以上に活発な意 見交換が見られ、表現力やプレゼンテーション能力が一層向上した。 (3) 地球的課題に主体的に行動できる資質や能力を育成する学習プログラム開発の推進 昨年度までの「サイエンス英語」の内容を見直し、本校英語教師の自作教材によ る「サイエンス英語Ⅰ」及び外部講師を活用しての「サイエンス英語Ⅱ」を実施し た。また、課題研究においても、英語での表現方法を学ぶ体験や、英語で発表する などの学習活動を行い、生徒は人前で臆することなく堂々と英語で質疑応答できる ようになった。 また、昨年度までは一部の生徒のみの参加であったが、本年度はJICA研修員 との交流において、科学系部活動の生徒が参加し、英語でのプレゼンテーションを 行うなど国際性の育成の上で大きな成果があった。 - 成果と課題1 - (4) その他 以前からの課題であった、「1年生が課題研究を行う上での基本的な知識や、研究 をまとめていく力が不十分」という点の改善を図るため、昨年度まで使用していた本 校独自の学習プログラムの「研究基礎」を本年度はさらに内容を改善して「研究基礎 Ⅰ」として実施した。 成果の普及については、校内でのSSH成果発表会のほかに、地域でも課題研究の 成果を発表したほか、小中学生対象の講座等を開催することにより、室蘭市を中心と した地域への成果の普及を図ることができた。「科学の祭典室蘭大会」、「青少年サイ エンスミーティング」、「化学オリンピック」、「科学の甲子園」などに参加し、昨年 度以上に様々な校外での活動を行った。課題研究の指導に関わる教員も、理科・数学 ・英語・地歴公民・音楽科と教科数が年々増加し、内容的にも幅が拡大してきた。 イ 生徒が認識している効果 生徒によるアンケート調査から、事業実施による効果を分析した。 (1) 内容については「面白そうか」という設問に対し、肯定的な回答が多い。特に1年 生では84%の生徒が肯定的な回答をしており、本校のSSHの活動に対して入学時 より強い期待感を持つ生徒数が増加してきた。 (2) 興味・関心という観点においては、「『科学技術に対する興味・関心』、『理数系教 科に対する興味・関心』が高まったか」という設問に対し肯定的な回答が多かった。 (3) 各取組内容については、本年度も特別講義や講演会、あるいは大学等での体験授業 の評価が高くなっており、普段体験できない校外での学習や、外部講師による演習・ 実習が生徒の興味・関心を高めたと考えられる。また、進路意識の向上に役立ってい るものと考えられる。 ウ 教員・保護者が認識している実施の効果 教員・保護者によるアンケート調査から、事業実施による効果を分析した。 (1) 本年度も教員と保護者の多くが、「学習への動機付けと学習意欲向上」、「興味・関 心の喚起」、「科学的思考力、判断力、独創性の育成」につながっていると認識して おり、この5年間の本校のSSH活動が高く評価されている。 (2) 本年度も教師の多くが、「生徒の進学意欲向上によい影響を与える」、「教師の指導 力向上に役立つ」と考えており、本校では、SSHの活動が学校教育推進の大きな力 となっているという認識が醸成されている。 (3) 本年度も保護者からの評価は全体的に高く、SSH事業の充実により、本校の学習 指導・生徒指導・進路指導などの様々な教育活動が充実し、生徒・保護者・地域の期 待に応えたものになってきているものと考えられる。 ② 研究開発の課題 - 成果と課題2 - ア 挑戦意欲を育成する大学・研究機関・民間企業等との連携の推進 本年度も様々な研究機関等との連携を深めてきたが、取組内容が多岐に渡っており、 生徒が身に付けたものを日常の学習や生活等に主体的に活用することについては十分と はいえない。講師との事前の検討をさらに進め、本校の教員の意向や生徒の実態を十分 に伝えながら、取組の工夫・改善が必要である。また、様々な取組を、さらに普通科も 含めた学校全体に拡げるよう検討を進めていく必要がある。 イ 創造性・独創性を育成する学習活動の推進 前述の通り、課題研究については、内容の充実とともに取組時間が年々増大している。 特に1年生「基礎課題研究」については、終盤のまとめの時間が不足し、放課後や休日 の時間を利用することとなった。生徒の積極的な活動は高く評価されるが、学校教育活 動全体の中での講習や部活動とのバランスを考慮する必要が出てきた。 2年生の「課題研究」については、4年目を迎えて探究の過程をさらに重視した研究 活動を行い、その成果発表会では校内外から高い評価を得ることができ満足できる成果 をあげることができた。しかし、依然として生徒によって取組状況には差があり、全体 的な研究の質を向上させるため、よりきめの細かい指導を行い、研究発表会の前の中間 評価を充実させ、生徒の主体性な取組を充実させる必要がある。 また、3年生については、研究発表等の取組は行う事ができなかった。今年度は、 「理 系希望者対象理科発展実験講座」を開講したが、今後早い時期に実施するなど取組の工 夫を図る必要がある。 ウ 地球的課題に主体的に行動できる資質や能力を育成する学習プログラム開発の推進 昨年度までのサイエンス英語の内容を見直し、「サイエンス英語Ⅰ」、「サイエンス英 語Ⅱ」を実施したり、JICA研修員との交流を行うなど、実践的な英語に触れる機会 を多く設定することはできたが、継続的な取組が不足しており、生徒が主体的に発信す る機会が不十分だった。今後、海外研修や授業でのALTの活用を充実するなどの改善 を図る必要がある。また、課題研究発表会での英語の活用や、外国人との交流について も、改善はされているが、まだ全体のものにはなっておらず、より多くの生徒が自ら発 信する機会が持てるよう、それぞれのプログラムの中で取組方法を検討する必要がある。 エ その他 前述のように、「1年生が研究を行う上での基本的な知識や、研究をまとめていく力 が不十分」という課題に対し、「研究基礎Ⅰ」というプログラムを段階的に実施するな ど改善することはできたが、まだ時間的に十分とはいえず内容についてもさらなる検討 が必要である。 成果の普及については、「基礎課題研究」・「課題研究」などの取組の報告及び開発教 材についての情報発信が不十分などの課題もあることから、今後は他校の参考となるよ うな取組を進めていく必要がある。 - 成果と課題3 - 第1章 5年間の取組概要 本校のSSH研究課題「北海道の雄大な自然やものづくり関連産業など地域の教育資源を活用した科 学技術・理科教育プログラムを確立し、大学、研究機関、民間企業等との連携体制のもとで、生徒の知 的好奇心を喚起するとともに、創造性・独創性を一層高めるための効果的な指導方法や評価方法等につ いて研究開発を行う。 」に基づき、実践を行った。5年間の活動を通して生徒は様々な能力を向上させ、 学校力も向上したと考えている。運営指導委員会においても、5年間を通しての生徒の資質向上、教員 の指導力向上、とりわけ生徒の科学コミュニケーション能力の大幅な向上が高い評価を受けた。設定さ れた3つの研究テーマについての取組概要を述べる。 1 挑戦意欲を育成する大学・研究機関・民間企業等との連携の推進 (1) 仮説 大学・研究機関・民間企業等と連携し、研究者等の顔が見える学習の機会を拡大することにより、科 学技術の成果や課題、科学技術系人材の果たす役割等について生徒の興味・関心を深めるとともに、知 的創造を情熱を持って追い求める挑戦意欲を育成することができる。 (2) 実践 ① 大学・研究機関・民間企業の訪問 a 大学訪問実習(第2学年) 最先端の科学に触れ、科学に対する見識を深め、自然科学や科学技術を学ぶモチベーションを 高めるため、北海道大学の最先端の研究を行っている研究室を訪問し、実験や講義等のプログラ ムへ参加した。 b ものづくり巡検(第2学年) 最先端の科学技術を駆使したものづくりの実際を学び、そこに携わる科学技術者の姿を見るこ とによって、自分の将来像を描く契機とするとともに、科学技術を学ぶモチベーションを高める ため、新日本製鐵室蘭製鉄所、日本製鋼所室蘭製作所、室蘭工業大学ものづくりセンター等のも のづくり技術を継承・発展させている地域の企業等を見学した。 c 北海道大学巡検(第1学年) 大学での最新の科学技術研究に触れ、科学技術に対する見識を深めるとともに、科学技術を学 ぶモチベーションを高めるため、北海道大学工学部を訪問し、研究者から課題研究の進め方や実 験の手法等について学ぶ体験的な学習活動を行った。 ② 外部講師による講演会と出前講座(全校生徒) 最先端の科学技術を学ぶとともに、自分の将来像を描く契機とするため、東京大学等、道内外か ら著名な優れた研究者を招聘し、科学講演会を行った。また、講演とともに、演示実験や生徒実験 の実施や、科学者を目指すためのガイダンスも行った。 ③ 地域巡検(第1学年) 地域の生きた素材を活用し、自然のダイナミズムについて理解を深め、自然科学を学ぶモチベー ションを高めるため、地域の洞爺湖有珠山ジオパークをフィールドとする探究的な巡検を実施した。 ④ ものづくり講座(第2学年) ものづくりへの興味・関心を高め、工業技術と人間生活を関連付けて考察する姿勢を身に付ける ことを目指し、電子回路工作実習を行った。 -1 - (3) 評価 東京大学、室蘭工業大学、環境防災総合政策研究機構等の外部講師による「SSH科学講演会」や、 北海道大学地震火山研究センターと北海道立教育研究所附属理科教育センターの協力により実施した 「地域巡検(有珠山巡検)」、また、北海道大学工学部の4つの研究室の協力で実施した「大学巡検」、 北海道立教育研究所附属理科教育センターと道内10校のSSH指定校の連携により実施した「HOKK AIDOサイエンスキャンプ」などを継続的に実施し、数多くの外部の研究機関等との連携協力体制を 築くことができた。 5年間継続した有珠山に関する講演会と地域巡検では、自然災害を自然科学と社会科学の両方の視点 から見る必要があることや、防災の観点で科学を考えることの重要性に気付かせることができた。北海 道大学工学部の訪問においても、講義や研究室見学を通して最先端の科学に触れ、工学が自分の生活に 密着した学問であることや、日常生活に密着した学問であることを学び、研究者としての自分の将来を 描く契機とすることができた。 これらの取組に対し、中間反省においては「生徒が多くの体験を有機的に結び付けることができたか どうかの検証が不十分」 、「やや消化不良の内容がある」等の課題があったが、課題改善のため4年目よ り取組内容を大きく見直し、新たな学習プログラムを組み、また、新たに「ものづくり講座」を開講し たり、課題研究の進め方についても大学と協議を深めることにより、課題を解決することができた。 2 創造性・独創性を育成する学習活動の推進 (1) 仮説 事象を探究する過程を重視した学習活動や国際性を育むための「異」との交流を意識した学習活動を 充実することにより、理科・数学に対する知的好奇心を喚起し、論理的思考力、表現力、問題解決能力 を培うとともに、イノベーター日本を実現する飛躍知の発見・発明を生み続ける創造性・独創性を育成 することができる。 (2) 実践 ① 地域や研究機関と連携した火山防災教育(第1学年) 北海道大学及び環境防災総合政策研究機構と連携して火山防災講演会を実施し、有珠山噴火の歴 史を通して自然災害や防災に対する理解を図った。講演会を受け、北海道大学地震火山研究センタ ー及び北海道立教育研究所附属理科教育センターと連携して有珠山周辺の探究的な地域巡検を行 い、野外での調査・研究の基本を学ぶとともに、自然災害・防災の観点での自然観察を行った。 ② 研究基礎Ⅰ・Ⅱ(第1・2学年) 「研究基礎Ⅰ」では、 「コミュニケーション基礎」、 「説明するということ」、 「仮説実験入門」、 「測 定入門」、「情報処理基礎」等、知的ゲームやディスカッションを通して、研究活動の基礎となる科 学的思考、討論の方法、表現方法等について学び、また、科学の観察・実験の基礎となる実験技術 の基礎知識と習得を目指したオリジナル学習プログラムを実施した。さらに、コンピュータを用い て、データの処理や、科学的な内容についてレポートとプレゼンテーションの作成に係る技術を習 得する学習活動を行った。また、「研究基礎Ⅱ」では、「論理的思考トレーニング」 、「試行錯誤によ る最適な解」 、「プレゼンテーション作成実習」というオリジナル学習プログラムを実施した。 ③ 基礎課題研究(第1学年) 本校教員があらかじめ設定した研究テーマにより20班程度の研究グループを作り、各グループが 約半年間の探究的な研究活動を行い、研究成果を小論文としてまとめ、ポスター発表を行うことに -2 - より、基礎的な探究の方法と発表の手法を習得する学習活動を行った。 ④ 課題研究(第2学年) 大学教員や本校教員があらかじめ設定した研究テーマ及び生徒が設定した研究テーマにより20班 程度の研究グループを作り、各グループが約半年間のより探究的な研究活動を行い、研究成果を小 論文としてまとめ、口頭発表を行うことにより、探究の方法と発表の手法を習得する学習活動を行 った。 a 室蘭工業大学と連携した課題研究 室蘭工業大学と連携し、ものづくりを中心とした課題研究を行った。 b 本校教員による課題研究 理科、数学、他教科の教員の指導による課題研究を行った。 c 地域の小学校と連携した課題研究 地域の小学校(2校)及び北海道立教育研究所附属理科教育センターと連携し、理科の教材や 学習プログラムの開発を行い、小学校での授業実践を行った。 d 地域の火山に関する課題研究 環境防災総合政策研究機構及び北海道立教育研究所附属理科教育センターと連携し、有珠山周 辺の調査研究を行った。 ⑤ 分野別講演会(1・2年生希望者) 全3回、外部講師による「触媒化学」・ 「有機化学」・ 「放射線医学」の講演会を行った。 ⑥ 理科発展実験講座(3年生理系希望者) 指定3~4年目に、北海道大学学生による各研究室の出前実験講座を行っており、希望者が多数 参加していたが、5年目はその発展型の取組として、物理・化学・生物の3領域それぞれ4つの発 展的な内容の実験講座を行った。 ⑦ 学会や研究会での研究発表 課題研究の発展的な研究を継続して行える体制づくりのため、課題研究や理数系部活動の成果の 学会や研究会での発表や、各種コンテストへの積極的な参加を奨励し、上位入賞を目指した。指定 期間中に参加した学会・研究会等は以下の通りである。 日本地球惑星科学連合年大会(千葉県幕張メッセ国際会議場)/日本生物学オリンピック/化学 グランプリ/全国SSH指定校生徒研究発表会(横浜市)/青少年のための科学の祭典室蘭大会(室 蘭市青少年科学館)/科学の甲子園北海道大会(札幌啓成高校)/工学フォーラム(石川県金沢市) /総合芸術祭(室蘭市民会館)/環境・防災国際会議(室蘭工業大学)/北海道サイエンスフェス ティバル(北海道大学)/日本ジオパーク洞爺湖有珠山全国大会(洞爺湖町)/ジオ・フェスティ バル(室蘭市・洞爺湖町)/室蘭工業大学祭研究発表大会 Academos ⑧ HOKKAIDOサイエンスキャンプ 本校が主管し北海道立教育研究所附属理科教育センターの協力の下、科学の体験と道内SSH校 の交流のため、生徒交流型実験やサイエンスバトル等の体験型宿泊学習を実施した。初年度は本 校単独事業であったが、道内指定校の増加に伴い、交流を深める意味で他校に呼びかけて拡大し ていった。 (3) 評価 本校SSH活動の大きな柱である、1学年の基礎課題研究と2学年の課題研究において、探究的な研 究活動を通して、生徒の能力向上とともに教員の指導力も向上し、生徒の科学への興味関心や知的好奇 -3 - 心が喚起され、論理的な思考力や問題解決能力を培うことができた。また、校内研究発表会における学 年間の交流でも意見交換が年々活発となり、科学コミュニケーション能力を向上させることができた。 課題研究の指導に関わる教員も、当初の理科・数学科に加え、英語科・地歴公民科・家庭科・音楽科・ 情報科と年々拡大し、内容的にも幅が広がり、全学的な取組へと発展した。 課題となっていた「1年生が課題研究を行う上での基本的な知識や研究をまとめていく力が不十分」 であった点について、3年目から「研究基礎」という一連のオリジナル学習プログラムを開発して実施 し、その後も内容を改善して研究活動の基礎となる科学的思考や討論の方法・表現方法等を学ぶ「研究 基礎Ⅰ」と、論理的思考や表現力の育成・試行錯誤を重ねより良い解を求める重要性の認識・プレゼン テーションの心構えやテクニックを学ぶ「研究基礎Ⅱ」を開発・実施し、課題改善に努めた。この教材 開発が、課題研究に関する力量の向上に非常に大きな役割を果たした。 課題研究の研究成果や、科学系部活動の研究成果については、活動状況の活発化に伴い、各種学会や 研究会等への参加数が増加した。課題研究有珠山研究チームが、地学系学会の最大の国際大会である「地 球惑星科学連合大会」でポスター発表を行い、佳作を受賞したことは大きな成果である。なお、有珠山 の一連の教育活動の実践とその成果については、本校担当教員が学会誌「地学教育(日本地学教育学会)」 に「地域や研究機関と連携した火山災害防災教育の実践」と題して誌上報告を行った。 北海道の SSH は、平成21年度に本校が指定校となった後、毎年指定校が増加していき、現在は道内 SSH 指定校のネットワークが組織されているが、その間、本校が SSH 校間の連携・協力体制やネットワー クづくりを中心的に行っていた。その最初の試みが「サイエンスキャンプ」であり、他校に呼びかけて 生徒や教員を交流させ、北海道の SSH 活動全体の活性化を目指した。その中でサイエンスバトルとい う新しいスタイルの科学コミュニケーションの方法を提案・実践し、その後の各校の SSH 活動やネッ トワークづくりに貢献することができた。なお、サイエンスキャンプについては、参加した教員が共著 で北海道立教育研究所附属理科教育センター研究紀要に「SSH サイエンスキャンプの実践」と題して 論文を発表し、北海道立教育研究所附属理科教育センター職員が学術雑誌「理科の教育(日本理科教育 学会)」に「思考力・判断力・表現力をはぐくむ『サイエンスバトル』の実践とその評価の在り方」と 題して発表した。 3 地球的課題に主体的に行動できる資質や能力を育成する学習プログラム開発の推進 (1) 仮説 身に付けた科学的な知識等を実際の課題解決に結びつける国際協力活動や英語を活用する機会を与え ることにより、地球的課題に、グローバルな視点を持って主体的に行動できる資質や態度を育成するこ とができる。 (2) 実践 ① サイエンス英語Ⅰ・Ⅱ(第1・2学年) 科学を英語で表現することの大切さを学び、プレゼンテーション能力が向上することを目指し、 室蘭工大教員や外国人講師による科学プレゼンテーション授業を行ったほか、本校教諭がオリジナ ル教材を作成して英語で講義を行った。 ② 英語による課題研究の成果発表 英語を活用して積極的にコミュニケーションを図ることができる能力を育成するため、課題研究 の成果を英語で発表した。 ③ JICA「理科大好き講座」(第2学年) 南アジア等の来道中のJICA研修員を本校に招き、課題研究「小学校教材開発チーム」が開発 -4 - したワークショップ教材等を英語で紹介し、理科教育に関する交流を行い、さらに課題研究「有珠 山研究チーム」が環境・防災教育ツアーを開催して有珠山の噴火口や被災建築物などの現地案内す るなど、英語を活用して積極的に外国人とコミュニケーションを図った。 ④ カナダアルバータ州北方林研修 カナダアルバータ州で開催された標記研修会に2名が参加し、森林研修・国際交流・語学研修等 を行った。帰国後は、「高校生が発信する国際森林環境フォーラム」に参加し、市民・外国人に対 し英語で発表を行った。 (3) 評価 外部講師の活用や、本校英語教諭のオリジナル教材を活用した「サイエンス英語Ⅰ・Ⅱ」を実施した。 聞き取ることができる語彙と既存の知識から話の概要を理解したり、英語での表現方法を学ぶ体験を通 して、生徒の学習意欲が向上し、達成感を持たせることができた。また、2年目より学習内容を大幅に 見直し、さらに学習意欲や自己肯定感を向上することができた。また、「課題研究」においても英語で の表現方法を学ぶ体験や英語で発表するなどの学習活動を行い成果を上げた。 指定2年目に開始したJICA研修員との交流においては、当初は課題研究の2つの班のみが担当し ていたが、その後国際交流部生徒の参加や、交流会の時間に理数科全員が参加するなど、規模が徐々に 拡大したことは、国際性の育成の上で大きな成果があった。また、積極的に英語でのコミュニケーショ ンを図ることで、JICA研修員からの高い評価を得ることができた。 -5 - 第2章 今年度の研究開発の経緯 ◎S基礎:学校設定科目「サイエンス基礎」 ◎S探究:学校設定科目「サイエンス探究」 ◎北大:北海道大学 ◎室工大:室蘭工業大学 ◎理セン:北海道立教育研究所附属理科教育センター 月 4 5 6 7 8 9 10 日 16 曜 火 23 25 30 火 木 火 2 7 木 火 9 14 16 19 30 木 火 木 日 木 11 18 火 火 19 20 21 水 木 金 25 火 11 木 15 16 月 火 17 18 水 木 6~13 7~8 20 21 27 29 火 水 火 木 8 10 12 14~15 17 19 日 火 木 1 火 火 木 内 容 S基礎:オリエンテーション・ポスター発表見学 S探究:オリエンテーション・ポスター発表 S探究:課題研究ガイダンス・研究基礎Ⅱ(論理的思想) S基礎:研究基礎Ⅰ(コミュニケーション基礎) S探究:研究基礎Ⅱ(試行錯誤) S基礎:研究基礎Ⅰ(説明するということ) S探究:課題研究(16テーマ)① 第1回運営委員会 S基礎:研究基礎Ⅰ(1-5仮説実験入門/1-6測定実験入門) S探究:課題研究② S基礎:研究基礎Ⅰ(1-5測定実験入門/1-6仮説実験入門) 日本地球惑星科学連合2013年大会(千葉県幕張メッセ:7名参加) S基礎:防災に関する講演会(講師 岡田 弘 北大名誉教授) S探究:課題研究③ S探究:課題研究④ S基礎:有珠巡検①(1-6) 講師 岡本 研・横山 S基礎:有珠巡検②(1-5) 講師 岡本 研・横山 S基礎:有珠巡検まとめ(巡検レポート作成) 全校講演会(講師 東京大学 佐藤克文 准教授他) 終了後希望者対象座談会:18名参加 S探究:課題研究⑤ 光 光 氏 氏 S基礎:研究基礎Ⅰ(1-5サイエンス英語Ⅰ①/1-6情報処理 基礎①) 化学グランプリ地区予選大会(室工大):15名参加 S探究:課題研究中間発表会 第1回運営指導委員会 理科発展実験講座①:23名参加 S基礎:研究基礎Ⅰ(1-5情報処理基礎①/1-6サイエンス英 語Ⅰ①) SSHカナダアルバータ州北方林研修:2名参加 全国SSH指定校生徒研究発表会(横浜市):8名参加 S探究:課題研究⑥ 理科発展実験講座②:33名参加 S探究:課題研究⑦ S基礎:研究基礎Ⅰ(1-5サイエンス英語Ⅰ②/1-6情報処理 基礎②) 青少年のための科学の祭典(7ブース 12名参加) S探究:課題研究⑧ S基礎:研究基礎Ⅰ(1-5情報処理基礎②/1-6サイエンス英 語Ⅰ②) HOKKAIDOサイエンスキャンプ(理セン):9名参加 S探究:課題研究⑨ S基礎:基礎課題研究ガイダンス S探究:研究基礎Ⅱ(プレゼン作成実習)/課題研究のまとめ① -6 - 3 6 8 9 10 15 17 19 22 23 木 日 火 水 木 火 木 土 火 水 24 29 木 火 31 木 S基礎:基礎課題研究(18テーマ)① 科学の甲子園北海道大会一次予選(本校):3チーム18名参加 S探究:課題研究のまとめ①/研究基礎Ⅱ(プレゼン作成実習) 理科発展実験講座③:27名参加 S基礎:基礎課題研究② S探究:研究基礎Ⅱ(サイエンス英語Ⅱ① 講師 滝口幸代氏) S基礎:基礎課題研究③ 工学フォーラム2013(石川県金沢市):2名参加 S探究:研究基礎Ⅱ(サイエンス英語Ⅱ② 講師 滝口幸代氏) S基礎:北大工学部巡検 理科発展実験講座④:7名参加 S基礎:基礎課題研究④ S探究:研究基礎Ⅱ(サイエンス英語Ⅱ③ 講師 滝口幸代氏) 分野別講演会①:触媒化学(講師 道教育大 松橋博美 教授) S基礎:基礎課題研究⑤ 11 5 7 12 13 14 19 21 火 木 火 水 木 火 木 S探究:JICA研修員招聘事業・交流事業、課題研究のまとめ② S基礎:基礎課題研究⑥ S探究:課題研究まとめ③ 青少年サイエンスミーティング2013:5名参加 S基礎:基礎課題研究⑦ S探究:課題研究まとめ④ S基礎:基礎課題研究⑧ 12 3 火 5 木 10 12 14 火 木 土 17 火 24 火 S探究:課題研究まとめ⑤ 分野別講演会②:有機化学(講師 北見工大 村田美樹 准教授) S基礎:基礎課題研究⑨ 分野別講演会③:放射線医学(講師 旭川医大 渡邊尚史 医師) S探究:課題研究発表リハーサル S基礎:基礎課題研究まとめ① 科学の甲子園北海道大会「決勝大会」(札幌啓成):2チーム12名 参加 S基礎:課題研究発表会見学 S探究:課題研究発表会 第2回運営指導委員会 S基礎:課題研究優秀作品発表会見学 S探究:課題研究優秀作品発表会 1 21 23 25 28 30 火 木 土 火 木 S探究:課題研究まとめ(反省、レポート作成) S基礎:基礎課題研究のまとめ② HOKKAIDOサイエンスフェスティバル:14名参加 S探究:研究基礎Ⅱ(ものづくり講座① 電子回路工作) S基礎:基礎課題研究のまとめ③ 2 4 6 8 14 火 木 土 金 18 20 火 木 S探究:研究基礎Ⅱ(ものづくり講座② 電子回路工作) S基礎:基礎課題研究発表リハーサル 第8回総合芸術祭:SSH発表(課題研究優秀作品3チーム出展) S基礎:基礎課題研究発表会(ポスター発表) S探究:基礎課題研究発表会見学 第3回運営指導委員会 S探究:SSH振り返り(S探究の反省・自己評価) S基礎:基礎課題研究のまとめ(反省・ポスター修正) 7 13 18 金 木 火 環境・防災国際会議ポスター発表:3名参加 S基礎:1年間の振り返り S探究:研究基礎Ⅱ(ものづくり講演会 講師 3 -7 - 花島直彦准教授) 第3章 1節 サイエンス基礎(第1学年) 地域や研究機関と連携した火山防災教育 (1)火山・防災に関する講演会 [仮 説] 室蘭市は、数多くの活動的な火山に囲まれた地域であり、身近な火山についての講演を聞き、火山 に関わる自然災害・防災への取り組みを学ぶことで、自然科学に対する興味・関心の向上と、知識を 得ることができ、また、自然と人間との関わりについて実感を伴った理解をさせることができる。 ① 実施概要 ア 日 時 平成25年5月30日(木)5、6校時 イ 会 場 視聴覚教室 ウ 対 象 1学年理数科(80名) エ 内 容 岡田 弘 北海道大学名誉教授(環境防災総合政策研究機構理事)を講師として「有珠山噴火と 減災への取り組み」というテーマで、自然現象が起こるのは当然だが、どうすればに災害を防ぐこ とができるかを噴火・地震・津波の予測や、防災のための社会システム整備や防災教育の重要性を 意識させ、伝える内容である。3.11東日本大震災の被害の話から始まり、有珠山の噴火の特徴 や、過去4度の噴火の歴史から学び、西暦2000年の噴火で人的被害を防いだ経緯を紹介した。 ② アンケートによる効果の検証 講演後、アンケートを実施し、検証を行った。結果を以下に示す。 *( )内は平成24年度の数値 Q1 この講義は、理解しやすいものでしたか。[知識・理解] ①大変理解できた 39%(40%) ②理解できた 57%(60%) ③あまり理解できなかった 3%(0%) Q2 ④理解できなかった 1%(0%) この講義は、興味をもてる内容でしたか。[関心・意欲・態度] ①大変興味が持てた 41%(36%) ②興味が持てた 53%(58%) ③あまり興味が持てなかった 6%(6%) ④興味が持てなかった 0%(0%) Q3 この講義は、地域巡検へ取り組む意欲を増加させる内容でしたか。[関心・意欲・態度] ①大変意欲が増した 49%(44%) ②意欲が増した 46%(52%) ③あまり意欲が増さなかった 5%(4%) ④意欲が増さなかった 0%(0%) Q4 この講演は、自然のダイナミズムについての理解を深める内容であったと思いますか。[知 識・理解] ①大変そう思う ③あまり思わない 44%(38%) Q5 5%(6%) ②そう思う 51%(56%) ④思わない 0%(0%) この講義・実習で、自分の考えが広がったと思いますか。 ①大変考えが広まった 47%(38%) ②考えが広がった 46%(58%) ③あまり考えが広がらなかった6%(4%) ④考えが広がらなかった1%(0%) -8 - Q6 この講義・実習で、生じた疑問を、自分で調べてみたいと思いましたか。 ①大変そう思う 21%(9%) ③あまり思わない 0% 20% Q1 40% 100% 2.5 46.3 65.0 ① 4.9 0.0 ② 4.9 0.0 ③ 6.3 11.3 1.2 0.0 6.2 51.3 46.3 21.3 80% 46.3 43.8 Q5 3%(1%) 52.5 48.8 Q4 ④思わない 57.5 41.3 Q3 65%(71%) 60% 38.8 Q2 Q6 11%(19%) ②そう思う 1. 1 ④ 2.4 [自由記述欄より抜粋] ・有珠での巡検では、2000年の噴火とそれ以前の地形の変化を知りたい。 ・火山だけでなく、自然災害は知識があってもコミュニケーションや訓練をしておかなければ、上 手く避難できないということを知り、勉強になった。 ・ハザードマップができる以前は、避難場所や避難経路がわからないのでこわいと思いました。 ・今日の講演で、災害を減らすために多くの人々が対策を考えていることを知りました。 過去の失 敗から経験を積んで次の活かすことの大切さを学びました。 ・減災のためには災害に対する危機感を持つことの重要性を学びました。中でも認知的不協和理論 というキーワードに興味を持ちました。 ・社会で習った縦割り行政みたいなのが、各機関の連携に影響していて、こんな所で知識につなが るんだと思った。 ・有珠山は噴火によって土地を隆起させたり沈下させたりして次々と形を変える「生きている山」 だということがおもしろいと感じた。 このプログラムは、指定初年度から実施しており、例年、生徒の評価は高い。自由記述欄を見ると、 自然災害に対する防災は、自然科学、社会科学の両面で考えていく必要性を実感する記述が多く、この 後実施される有珠巡検への動機付けにもなっていることが読み取れる。 ③ 成果と課題 ・アンケートの数値、自由記述から、講演会の当初の目的は十分達成できた。 ・多くの生徒が、地域の火山・地域の自然に興味を抱き、巡検に対する興味も高まった。 ・5年間継続したことで地震や津波、有珠山噴火などの自然災害に対する関心が高まり、その知識と ともに、減災・防災の重要性を強く認識することができた。 -9 - (2)洞爺湖有珠山ジオパーク巡検 〔仮 説〕 生徒にとって身近な火山である有珠山周辺の火山地形を活用して、研究者の解説を聞きながら巡検 を実施することにより、生徒の自然現象への興味・関心が高揚する。また、生徒の自然現象に対する 知識が深まるとともに、自然現象と人間生活を関連付けて考察する態度が向上する。 ① 実施概要 ア 日 程 平成25年6月18日(火)1-6(40名) 平成25年6月19日(水)1-5(40名) イ 場 所 有珠山周辺(洞爺湖町、壮瞥町) ウ 対 象 1年生理数科(80名) エ 講 師 北海道立教育研究所附属理科教育センター 岡本 研 次長 北海道立教育研究所附属理科教育センター 横山 光 研究研修主事 オ 行 程 室蘭栄高校出発→西山山麓駐車場→西新山沼(沼の観察、小断層観察、地形観察) →第二展望台(地形観察、被災構造物観察)→Nb火口(火口内の観察、噴煙観察、 土壌観察)→第一展望台(地形観察、地熱地帯観察)※昼食→国道段差(グラーベ ン観察)→旧洞爺湖幼稚園跡(被災構造物観察)→金比羅山山麓周辺観察→昭和新 山観察→学校到着 カ 内 容 5月に実施した岡田 弘北海道大学名誉教授の火山防災講演会を受け、昭和新山、洞 爺湖周辺、有珠山西山火口付近を実際に訪れ、調査・観察を行うことで、自然や火山 と人間との共生について理解を深めた。また、自然を科学的に観察する態度や記録す る手法など、フィールド調査の基本を習得させた。 ② 生徒の活動の様子 断層の観察をする生徒 ③ グラーベンの観察 火口に降りての地温測定 レポートの作成 巡検後2時間配当し、個人レポートの作成を行った。グループではなく、個人個人でレポートを作成 させることによって、着眼点や表現方法が異なる独創的なレポートを完成させることができた。 - 10 - ④ アンケートによる検証 Q1 有珠山噴火や自然災害について調べる地域巡検に興味を持ち、積極的に巡検に参加しよう としましたか。 Q2 有珠山およびその周辺を観察し、見たものを文章で記録することができましたか。また、 レポートとして使用できるようなスケッチやデータを記録することができましたか。 Q3 有珠山噴火と自然災害、噴火と地域の人々とのかかわり、火山の人間生活への恩恵につい て、知識を身につけることができましたか。 〔自由記述欄より抜粋〕 巡検に取り組んだ結果、学習前と学習後を比べ、自分の考えのどのようなことが変わったと思い ますか。自由に書きなさい。 ・自分の考え方が、自然災害を完全に防ぐよりも、自然と向き合い上手く付き合っていくことが大 事だというように変わった。 ・山の地形をただ見るだけではなく、なぜこのようになったのかを考えられるようになった。 ・自分の目の前にある現象について、どうしてそんなことが起こったのか疑問を持ったり、どのよ うにしてそうなったのかを推測する力がついた。 ・噴火で埋まった自動車や傾いた家、歪んだ道路を実際に見て被害の大きさを改めて感じた。20 00年の噴火では死者を出さずに済んだが、その避難行動のすばらしさがよくわかった。 アンケートQ1の結果から自然現象への興味関心が高められ、Q2の結果より大部分の生徒が自然現象 に対する知識が深められたと言える。また、自由記述欄の記述からも自然現象を科学的に分析し、人間生 活と関連づけて考察する態度が養われていると考えられる。 ⑤ 成果と課題 ア アンケートによる検証により、巡検を通しての当初のねらいを十分に達成することができた。 イ 地域の自然に対する興味、関心を喚起することができた。 ウ 自然災害と人間との関わり、防災、減災の意識を育成することができた。 エ その年の雨量や平均気温によって、周囲の雑草の成長度合いが異なり、調査観察に影響が出る 場合もあるため、事前の下調べをする必要がある。 オ 荒天時の代替プログラムを検討する必要がある。 - 11 - 2節 研究基礎Ⅰ (1)コミュニケーション基礎 【仮説】 ・グループの一員として、意欲的に課題を解決しようとする態度が向上する。 ・グループ内で話し合いながら、課題を解決する手法が身につく。 ① 実施概要 ア 日 時 平成25年4月25日(木)5,6校時 イ 会 場 地学教室、物理教室 ウ 対 象 1年生理数科(80名) エ 内 容 チャッターランド(コミュニケーションによる問題解決) 4人1グループが、配布されたカードに記載されている情報を、口頭で伝 え合って共有し、与えられた課題の解決に取り組むプログラム。 ② アンケートによる効果の検証 Q1 グループの人に、情報を正しく伝えることができましたか。 Q2 グループの人に、タイミング良く情報をいうことができましたか。 Q3 自分の考えを進んで言えましたか。 Q4 人の意見を進んで聞くことができましたか。 Q5 自分の考えだけを押しつけようとせず、グループのメンバーの考えを受け入れ ることができましたか Q6 みんなで決定したことに納得していますか。 0% 20% 40% Q1 80% 77.5 42 .5 46.3 Q3 41.3 47.5 Q4 57.5 Q5 57.5 100% 1.2 21.3 Q2 Q6 ③ 60% 10.0 40.0 42.5 82.5 0.0 1.2 8.8 2.4 2.5 0.0 0.0 0.0 3.7 13.8 0.0 よくできた できた あまりできなかった できなかった 成果と課題 ア アンケート結果から「情報を正しく伝えることができましたか」「みんなで決定したことに納得し ていますか」という質問には、多くの生徒が「よくできた」と答えていることから当初のねらいは十 分達成できた。 イ 「グループの人に、タイミング良く情報をいうことができましたか」「自分の考えを進んで言えま - 12 - したか」という質問には、「よくできた」と答えた生徒が半分以下であったことから、今後の課題と して相手の話をよく聞くということだけではなく、自分の意見や考えを、積極的に正確に伝えること の大切さや伝えるスキルを、このプログラムを通して修得させる必要がある。 <各グループ毎に協議しながら課題に取り組む> (2)説明するということ [仮 説] 科学的・論理的思考力の育成、情報処理能力の育成、表現力の育成、コミュニケーシ ョン能力の育成、国際性・英語力の向上を図ることにより、課題研究活動をより意欲的 ・創造的に行うことができる。 ① 実施概要 ア 日 時 平成25年5月2日(木)5、6校時 イ 会 場 地学教室、物理教室 ウ 対 象 1年生理数科(80名) エ 内 容 2人1組であるテーマに絵を描かせ、その内容の説明を、他者が読んで絵を再現できる - 13 - よう留意しながら文章化させる。他の班の文章をもとに絵を再現し、文章で説明するため にはどんなことに留意すべきか考えさせるプログラム。 ② アンケートによる効果の検証 ア 説明文を書くとき、どんなことに気をつけましたか? ・あまり、ひとつひとつの文が長くなりすぎないように書くこと。 ・わかりやすく読みやすい文にすること。 イ 話をして説明するのと文字にして説明するのとでは、どのような違いがありましたか? ・文字だと絵の形や場所を伝えるのが難しいこと。 ・話すときは相手が理解していることを確認しながら次の説明へと入っていけるが、 文字にするとそうはできないこと。 ウ 「わかりやすい説明」とはどんなものだと思いますか? ・相手のことを考えながら伝えること。 ・具体的でわかりやすい文。順を追って説明すること。 エ 今後、レポートや発表資料を作成する際、どのようなことに気をつければよいですか。 ・言いたいことを簡単に短くまとめること。 ・読みやすい文にする。順を追って説明する。情報の漏れがないようにすること。 ③ 成果と課題 ア アンケートの結果から、文字だけで説明することの難しさを実感することができた。 イ わかりやすく内容を伝えるには、どのようにしたらよいかというコミュニケーションスキルについ て、深く考え取り組むことができた。 <2人1組で説明1> <2人1組で説明2> - 14 - <生徒が描いた絵1> <生徒が描いた絵2> (3)仮説実験入門 〔仮 説〕 仮説を立てて実験を行い、仮説の検証をするという流れを実習を通して学ぶ事によって、科学的思 考力・判断力が向上し、基礎課題研究を意欲的かつ円滑に行うことができる。 ① 実施概要 ア 日 時 平成25年5月 9日(木)5,6校時 1年5組(40名) 平成25年5月16日(木)5,6校時 1年6組(40名) イ 会 場 物理実験室 ウ 対 象 本校理数科1年生(80名) エ 内 容 単振り子の周期が何によって決まるか、班ごとに仮説を3つ立てる。与えられた道具を 用いて、それぞれの仮説を確かめるための実験方法を班ごとに考え、実際に周期を測定し、 仮説の妥当性を検討する。 ② 生徒の活動の様子 班単位での実験準備 ③ 単振り子の周期測定 実験レポートの作成 アンケートによる検証 Q1 このプログラムは理解しやすいものでしたか。 Q2 このプログラムは興味の持てる内容でしたか。 Q3 このプログラムは基礎課題研究へ取り組む意欲を増加させる内容でしたか。 - 15 - Q4 このプログラムは仮説を立てながら実験をするプロセスについて理解を深めましたか。 Q5 このプログラムは科学的思考力を向上させましたか。 Q6 このプログラムは判断力を向上させましたか。 0% 20% Q1 40% 60% 80% 64.5 34.2 61.8 Q3 35.5 59.2 63.2 Q5 15.8 Q6 22.4 Q7 1.3 34.2 Q2 Q4 10 0% 2.5 0.0 1.5 3.9 1.4 32.9 71.1 3.9 0.0 11.8 60.5 15.8 1.3 大変良い 良い あまり良くない 良くない 1.3 このプログラムに対する感想(自由記述欄抜粋) ・今回のプログラムで仮説の重要性を実感した。仮説を確かめるために実験するのだとわかった。 ・小中学校でも実験をやったが、仮説を立て、それを証明するために実験するのは初めてだった。 ・興味深く、集中してできた。実験の中で成功や失敗を重ね、科学的思考力、判断力が身に付いた。 ・実験に至るまでの過程について学ぶことができた。基礎課題研究で実践して行きたい。 ・今回の実験で条件統制の大切さやデータの扱い、グラフの書き方についても学ぶことができた。 ・様々な実験をしていきたいという意欲が増した。 ・自分達で実験方法を考えるという所に魅力を感じた。 ・仮説を立てて検証することはとてもおもしろかった。また、仮説が正しくなかった時にも新たな 発見があり、大変興味がわいた。 アンケートのQ1、Q2、Q3、Q7の結果から、生徒が興味関心をもって意欲的に学習し、基礎課題 研究に向けた基礎力の養成がなされたと考えられる。Q4、Q7より、生徒が仮説を立て、仮説を確かめ るための実験方法を考えて実験をし、結果から仮説の妥当性を検証するといった探究の基本的な手法を身 に付けたと考えられる。Q7の記述より、自分達で仮説を立てたり、実験方法を考えたりすることは生徒 の知的好奇心を刺激し、創造性を高める効果があると考えられる。 ④ 成果と課題 ア アンケートによる検証により、このプログラムを通して当初のねらいは十分達成できた。 イ 仮説を立てて実験を行う方法を身に付け、基礎課題研究へスムーズに移行することができた。 ウ このプログラムの中で測定精度と誤差、有効数値の取り扱い、グラフ作成についても同時に学ぶこ とができた。 エ 幅広い内容を含むため、時間内に測定が終わらない班があった。内容の精選や効率的な授業展開が 必要である。 - 16 - (4)測定入門 [仮 説] 硬貨の質量や密度、凝固点の測定を通して、有効数字の取り扱い、精密度・正確度と測定値・平均 値との関係、測定機器の選択を学ぶことによって、その後の課題研究活動の一助となる。 ① 実施概要 ア 日 時 平成25年5月 9日(木)5,6校時 1年6組(40名) 平成25年5月16日(木)5,6校時 1年5組(40名) イ 会 場 化学教室 ウ 対 象 理数科1年生(80名) エ 内 容 ・測定誤差と有効数字について説明する。 ・1円玉の質量を電子天秤で測定する。 ・1円玉をメスシリンダー中の水に入れ、体積の増加分から密度を計算し、文献値 のアルミニウムの密度と比較する。 ・サイエンスキャプチャーを用い、氷酢酸の冷却曲線を作成し、凝固点を求め、文 献値と比較する。 ② アンケートによる効果の検証 評価は、4=そう思う 2=あまり思わない A 3=だいたいそう思う 1=全く思わない ( )内は平均点 本時の授業について Q1 実験のねらいや目標が明確であった。(3.5) Q2 興味のわく実験内容であり、やる気の高まる実験だった。 (3.5) Q3 観察・実験などにより、課題を解決する時間が設定されていた。(3.6) Q4 器具や試薬の取り扱い方法や危険性が説明され、安全性に配慮されていた。 (3.4) Q5 実験結果を予想しながら実験を進める時間が設定されていた。(3.2) Q6 実験のねらいや目標を意識させるような場面が設定されていた。(3.3) Q7 自分の考えをまとめたり、発表したりする場面が設定されていた。(2.8) Q8 変化の様子をしっかりと観察できる場面が設定されていた。(3.7) Q9 説明の内容が適切で、理解しやすかった。(3.8) B 自分自身について Q1 学んだ内容に興味を持ち、意欲的に取り組んだ。(3.8) Q2 自分の考えで、実験結果を予想しながら取り組むことができた。(2.9) Q3 実験の結果について、その理由を考え、深く考察することができた。(3.4) Q4 実験の始まりや結果の様子だけではなく、その変化の過程も観察することができた。(3. 6) Q5 器具や機器などの機能を理解して、うまく使うことができた。(3.2) - 17 - Q6 安全性に配慮しながら実験をすることができた。(3.9) Q7 班員と協力して実験を進めることができた。(3.7) Q8 実験結果をうまくまとめることができた。(3.2) Q9 考察をうまくまとめることができた。(3.0) Q10 レポートをうまく作成することができた。(2.9) ③ 成果と課題 ア アンケート結果を見ると、授業に対する評価、授業での自己評価ともに概ね肯定的であった。 イ 2時間で取り組む内容としては、質、量ともに多く、発問して答えさせる場面、レポートの作成 の指導に時間がとれなかった。それがアンケートのAのQ7、BのQ9、Q10のやや低い評価に つながっており、生徒の作成したレポートの内容にも浅さが感じられた。プログラム内容の精選が 必要である。 (5)サイエンス英語Ⅰ 〔仮 説〕 科学に関する英文を読解するために必要な基礎的な英語表現を学んだり、基礎的な科学的内容の 英文読解に挑戦することを通して、生徒が科学を学ぶ上での英語の重要性を認識するとともに、科 学の知識が深まる。 ① 実施概要 ア 日 時 平成25年7月11日(木)5、6校時1-5(40名)第1回 平成25年7月18日(木)5、6校時1-6(40名)第1回 平成25年8月29日(木)5、6校時1-5(40名)第2回 平成25年9月12日(木)5、6校時1-6(40名)第2回 イ 会 場 地学教室 ウ 対 象 理数科1年生(80名) エ 内 容 a 第1回 ・イントロダクション: 『理系における英語の重要性』 ・基礎①:数・式・単位の言い方 ・大きな数字の言い方(日英語の差異) ・小数・分数の言い方 ・四則演算・累乗等の言い方 ・基本的な単位の言い方・発音等 ・読 解:"Ban Dihydrogen Monoxide!" 『DHMO を禁止せよ!』 ・水=O2について、あえて"dihydrogen monoxide"という馴染みのない表 記をした上で、その危険な性質をことさらクローズアップした英文を読 む。 - 18 - DHMO を大量に吸引すると死に致る。 例) DHMO はがん細胞に含まれている。 DHMO は金属を腐食させる。 など 化学元素名や化合物の言い方のルールを知っていれば容易に「水」だと わかるはずであるが、知らないと、とんでもないミスリードに引っかか ってしまう。 ・基礎②:化学元素・(無機)化合物の言い方 ・ここで、DHMO の種明かしをする。 b 第2回 ・復 習:数・式・単位の言い方 ・読解①:班別対抗 科学クイズ! ・昨年度以前から継続してきている内容。 「英文を読むことが目的なのではなく、問題やその解答を知り、新たな 知識を得るための手段である」ことを実感させるための活動。 ・読解②: 『持続可能な地球の未来』 ・1年生には難度の高い英文であるが、語句リストを活用しながら素早く 要点を捉えるための、基礎的な速読演習。 ② 検 証 昨年度までは室蘭工業大学に外部講師より講師の派遣を受けて実施していたが、今年度より自校実 施に切り替えた。内容については、一部は昨年度まで実施してきたものを利用し、生徒の実際的なニ ーズを考え、科学的内容を扱う英文読解力向上に資する内容となるよう開発した。生徒アンケートか らは、特に大きな数字・数式等の読み方、日本語式の言い方と英語式の言い方の違い等について知る ことができてよかったという声が多かった。また「DHMO」に関する英文の読解に関して、「題材に 関連する十分な知識がないと、訳せた=理解したつもりで、本質を見落としてしまう」というメッセ ージは、ねらい通り生徒に伝わったようである。 ③ 成果と課題 ア ねらいのうち、英語学習への動機付けについては、達成されている。 イ 次年度は、自然科学を学ぶ上で重要な語句・概念のうち、英語でどう表現するか早期に理解・習 熟しておきたいものにはどのようなものがあるか、どのような英文を扱うか、等の教材の精選が必 要である。 (6)情報処理基礎 〔仮 説〕 基礎課題研究発表に向けて、ワープロソフトによる情報表現、ポスター作成技術を学ぶことによ り、研究内容を深め、効果的な研究発表を行うことができる。 表計算ソフトによる表やグラフ作成、データの表現方法について学ぶことにより、研 究内容を深 め、効果的な研究発表を行うことができる。 ① 実施概要 - 19 - ア 日 時 平成25年7月11日(木)5、6校時 1年6組(40名)第1日 平成25年7月18日(木)5、6校時 1年5組(40名)第1日 平成25年8月29日(木)5、6校時 1年6組(40名)第2日 平成25年9月12日(木)5、6校時 1年5組(40名)第2日 イ 場 所 情報処理教室 ウ 対 象 理数科1年生(80名) エ 内 容 第1日 ワープロソフトを用いて見やすく説明に効果的なポスターの作成技術やポ スター作成に多用される画像や図形の取り扱いについてコンピュータ実習を通して学 ぶ。 第2日 表計算ソフトを用いてデータの扱い、数値処理、表やグラフの作成につい てコンピュータ実習を通して学ぶ。 ② 生徒の活動の様子 実習風景 ③ 担当教員から指導を受ける生徒 お互いに教え合う生徒 基礎課題研究発表会生徒アンケート、生徒作成ポスターによる検証 (自由記述欄抜粋) ・ポスター作成を実際に行い、まとめる手順や効果的な説明の仕方がわかった。 ・自分達の班は個性的なポスターを作成することができ、たくさんの人に発表を聞いてもらうこ とができた。 ・ポスターをもっと工夫すれば良かったと思った。 ・視覚的にわかりやすいポスターを作成することができた。 ・実験データを適切な表や、見やすいグラフにまとめたため、説明しやすかった。 ・班員の多くがパソコンの操作に不慣れで苦労した。もう少し操作法を教えて欲しかった。 基礎課題研究発表会(平成26年2月14日実施)では、例年以上にカラフルで、見やすく、視覚 的にわかりやすく工夫されたポスターが多く、情報処理基礎で実践的な指導がなされた結果と考えら れる。 自由記述欄の記述から生徒が、ワープロソフトによる情報表現、ポスター作成技術を学ぶことが、 生徒の表現力の向上、効果的な研究発表につながると考えられる。また、表計算ソフトによるデータ - 20 - 処理、グラフ作成を学ぶことも同様に生徒の表現力の向上、研究発表のレベルアップに効果的である と考えられる。 ④ 成果と課題 ア アンケートによる検証、研究発表ポスターから当初のねらいは概ね達成できたと考えられる。 イ ポスター作成技術、表、グラフ作成に特化したことで、多くの生徒に基礎課題研究発表会へ向 けた実践的な技能を習得させることができた。 ウ 情報科と連携して実施することができた。 エ 年間計画の都合上、配当時間が少なくなってしまった。 3節 基礎課題研究 (1)基礎課題研究 〔仮 説〕 生徒が、設定されたテーマから興味のあるものを選択し、グループをつくり、探究的な学習活動 を行い、グループごとに発表する。この学習活動により、理科・数学に対する興味・関心や知的好 奇心を喚起し、論理的思考力、問題解決能力を培い、探究の手法を習得できる。また、研究のまと め、発表に至る過程では、自ら外に発信することで表現力が養われる。 ① 実施概要 ア 日 時 平成25年9月19日(木)、10月3日(木)、10月10日(木)、10月17日(木)、10 月24日(木)、10月31日(木) 、11月7日(木) 、11月14日(木)、11月21日(木)、 12月5日(木)、12月12日(木)、平成26年1月23日(木) 、1月30(木)、2月6日(木) ※各5・6校時 及び班毎に冬季休業中、休日、放課後を利用し、随時実施。 イ 場 所 理科(物理・化学・生物・地学)教室、進路室、音楽教室、HR教室 ウ 対 象 理数科1年生(80名) ・班構成 4~5人で1班(19テーマを教員で設定し、各自第1~第5希望まで書 かせ、人数調整を行い18班を構成した。) エ 内 容 本校教員1人が1~2班を担当した。担当教科は、理科9名、数学2名、情報1名地歴公民1名、 芸術1名で、教員が予め設定した研究テーマは詳細なものではなく、学習活動の過程で、随時生 徒の考えを反映させてテーマの修正を図った。 No. 1 研 究 題 目: ELIMOで 探 る! 津波の 挙動 研究発表者: 大 鎌 元、 橋 本 悠 生 、 吉 川 雅 通 、 近 江 萌 友 、 長 谷 部 ひ な 乃 キーワード: 地 震 、 津波 、 防 災 、 コ ン ピ ュ ー タ 、 シ ミ ュ レ ー シ ョ ン 《概要》 こ れ ま で 津 波 予 測 と い う も の は 、 一 般 の 人 が で き る も の で は な か っ た が 「 ELIMO」 の 登 場 に よ り 誰 で も 津 波 予 測 を で き る よ う に な っ た 。 と い う こ と で 私 た ち は 実 際 に 「 ELIMO」 - 21 - を 使 っ て 津 波 を 予 測 し て み た 。「 ELIMO」 は 地 形 デ ー タ を 取 り 込 み 、 震 源 域 の 地 殻 変 動 の デ ー タ を 入 力 し 計 算 す る と ア ニ メ ー シ ョ ン で 結 果 が 見 ら れ る 。 現 時 点 ( 1月 ) で は 東 日 本 大 震 災の津波のデータしか計算していないが、ひょっとすると北海道の津波の計算のデータを 見ることができるかも!? No. 2 研 究 題 目: 地 理情 報シス テ ムに 挑 戦! ! 研究発表者: 石 田 尚大 、 呉 航 平 、 関 内 裕 太 、 尾 谷 舞 香 キーワード: 津 波 、 地理 情 報 シ ス テ ム 《概要》 私達は、去年のSSHで作成された津波ハザードマップの改良を目標に、このテーマに 取り組みました。ハザードマップの正確性を上げるために最新の避難所住所を調べて、緯 度・経度に変換することで、地図上に避難所を表示しました。今回、私たちは、北海道大 学 の 橋 本 教 授 が 作 成 し た マ ニ ュ ア ル を も と に 、「 Quantum GIS」 と い う GISソ フ ト で 、 室 蘭 地 区 の 範 囲 で 避 難 所 マ ッ プ 、 津 波 ハ ザ ー ド マ ッ プ の 作 成 を 目指 し ま し た 。 No. 3 研 究 題 目: オ ーク ションの 秘密 を 探る 研究発表者: 山 崎 華菜 、 梅 野 凌 、 高 橋 敦 己 、 南 部 孝 キーワード: オ ー ク ショ ン 、 第 X価 格 、 競 り 上 げ 、 ポ テ チ 《概要》 一昔前までは、オークションといっても高級なイメージ、市場でのセリなど少し遠い存 在だった。しかし、インターネットでオークションができるようになり、身近な物になり ました。そこで、オークションという制度がどういう性質を持つものなのか、実際にオー クションを通して証明しました。 No. 4 研 究 題 目: 円 周率 πそ の不 思議 で 深淵 な世 界を 探 る! 研究発表者: 野 澤 卓磨 、 大 谷 暢 宏 、 小 倉 智 大 、 篠 原 聡 太 、 星 野 海 斗 キーワード: π 、 実 験数 学 、 幾 何 、 確 率 論 《概要》 πは日常的に使われている。しかし、そのπの本質を我々はよく把握していないのでは な い か 、 と い う 発 想 が 元 に な り 、 実 験 に よ り π を 実 感 し よ う と試 み た 。 そ こ で 、我 々 は ペ ン だ け で は な く 、手 と 目 を つ か い 、身 近 に あ る 円 お よ び 球 体 等 を 測 定 し 、 πの値を求めた。また、それだけではなく、確率を利用して、実践的かつ理論的にπの値 を 検 証 し た 。そ の 結 果 、測 定 に は 多 少 の 誤差 が あ っ た が 、実 際 に 知 ら れ て い る π の 値(= 3, 14159… ) に あ る 程 度 近 づ くこ と が で き 、 π を 実 感 す るこ と が 出 来 た と 言 え る 。 No. 5 研 究 題 目: 音 の模 様 研究発表者: 加 園 輝、 片 岡 風 山 、 樂 山 典 昭 、 佐 藤 い く み 、 鈴 木 智 景 キーワード: 周 波 数 、円 、 振 動 《概要》 普段は耳で聞くことでしかその存在を確認することの出来ない「音」を、何らかの規則 性や性質を見つけて、目で見てみたい!というのが、私たちの研究テーマです。音を見る 方法として、ボウルに膜を張り、表面に砂糖をまぶした装置を使用しました。そこにスピ ーカーの音や人の声、楽器の音などを向けると、まぶした砂糖はどうなるか。また、装置 と 音 源 の 距 離 や 、 音 の 周 波 数 、 使 用 す る 器 具 に よ っ て の 違 い につ い て も 調 査 し ま し た 。 - 22 - No. 6 研 究 題 目: 紙 をつ くる 研究発表者: 猪 股 亮佑 、 冨 澤 彰 浩 、 吉 岡 孝 広 、 吉 村 優 花 、 武 市 奈 緒 キーワード: 紙 、 和 紙、 野 菜 、 重 曹 《概要》 私たちのいつも身近に存在する紙。何気なく毎日使っている紙を自分たちで作ることは できるのでしょうか?私たちは、本来木材などから作られる紙を、野菜を用いて作ること に挑戦しました。何種類かの野菜を使って実験した中で、最も上手くいった大根の葉でよ り市販のものに近い紙を作ることに決め、条件を変えて様々な実験を行いました。最も大 き な 課 題 で あ る 、 折 っ て も 割 れ な い 紙 を 作 る こ と は 果 た し て でき た の か ? No. 7 研 究 題 目: 地 球と 太陽~ 天文 単 位を 求め て~ 研究発表者: 阿 部 涼、 岩 谷 和 樹 、 大 浅 優 弥 、 水 野 諒 キーワード: 地 球 、 太陽 、 天 文 単 位 《概要》 「地球と太陽の距離はどのくらいあるのか?」地球に暮らす人間にとって太陽とはとて も身近な存在だが、大昔の人はその距離が数㎞なのか、数億㎞なのかすら、知っている人 は い な か っ た 。 そ ん な 中 で 、 お よ そ 2200年 前 の ギ リ シ ャ 人 が そ の 距 離 を 求 め て し ま っ た 。 それは、天文学において大きな進歩であり、快挙だった。 しかし、その値にはかなりの 誤 差 が あ っ た 。そ の 誤 差 は ど こ で 生 じ て し ま っ た の か 。現 在 の 値 と 比 べな が ら 調 べ て み た 。 No. 8 研 究 題 目: ダ メ ー ジ ヘ ア ー の 原 因 を 探 る ! ~ 強 度 で 計 る真 の原 因 ~ 研究発表者: 岡 嶋 優花 、 小 林 華 子 、 畑 あ お い 、 木 村 弥 乃 里 、 斑 目 千 春 キーワード: 髪 の 毛 、ブ リ ー チ 、 ヘ ア カ ラ ー 、 ア イ ロ ン 、 紫 外 線 《概要》 私 達 は 「女 の 命 」と 言 わ れ る 髪 の 毛 に つ い て 調 査 し ま し た 。 髪 の 毛 が 痛 む … と は よ く 言 い ますが、その原因を調べてみたことはありますか?私達はたくさんある要因を、熱・化学 的・物理的・紫外線に分類し、髪の毛の強度と痛み具合は関係性があると考え、様々な条 件 の 刺 激 を 与 え た 髪 の 毛 の 強 度 を 調 査 し 、 髪 の 毛 の 痛 み の 原 因を ま と め ま し た 。 No. 9 研 究 題 目: 身 近 な 油 で 作 るセ ッ ケ ン ~油の種類で何が変わるの か~ 研究発表者: 西 田 楓、 水 谷 太 亮 、 石 川 梨 紗 、 川 合 美 帆 キーワード: 油 脂 、 ペッ ト ボ ト ル 、 セ ッ ケ ン 《概要》 セッケンは、油と水酸化ナトリウムなどの強塩基を反応させて作られます。この反応を けん化といいます。私たちが、このテーマで実験した理由は、2種類の油で石鹸を作って みたところ、できた石鹸の量に差があり、油の種類によって生成量がどのように変わるの か、疑問を持ったからです。そこで、時間の経過とともにできた石鹸の「質量」を量る実 験、固形の石鹸を除いた水溶液中の「塩基の濃度」を調べるという実験を、数種類の油を 使用して行いました。 - 23 - No. 10 研 究 題 目: 銅 の腐 食 研究発表者: 芳 賀 純也 、 木 村 桃 加 、 小 家 麻 里 子 、 井 上 翔 キーワード: 緑 青 、 イオ ン 化 傾 向 、 飽 和 脂 肪 酸 《概要》 私た ち は 銅 の 腐 食 に つ い て 調 べ ま し た 。 ま ず 、 銅 を 他 の 物 質 と 結 合 し や す く す る た め に 、 銅 を イ オ ン 化 さ せ る 物 質 を 探 し ま し た 。 結 果 、 塩 (し お )と 油 が 銅 を イ オ ン 化 さ せ や す い こ と が 分 か り ま し た 。そ の 後 銅 と 銅 を 腐 食 さ せ る と 考 え ら れ る 物 質 を 結 合 さ せ よ う と し ま し た 。 そ の 内 の い く つ か で 「緑 青 (ろ く し ょ う ) 」ら し き 物 質 が 見 ら れ ま し た 。 ま た 、 特 に 油 で 銅 が イ オ ン 化 し た の で 、 油 に 含 ま れ る ど の 物 質 が 反 応 を 起 こ す か を実 験 し ま し た 。 No. 11 研 究 題 目: 知 ら れざ るoo の世 界 研究発表者: 秋 山 郁菜 絵 、 阿 部 真 理 絵 、 山 口 可 純 、 藍 原 由 佳 、 宇 野 春 香 キーワード: 統 計 学 、英 語 《概要》 セン タ ー 試 験 や 模 試 で よ く 見 か け る 発 音 問 題 。「 苦 手 だ な … 」そ う 思 っ て い る あ な た !!「 で も … 全 て な ん て 覚 え ら れ な い 」 と 投 げ 出 し て い る あ な た !!発 音 に ル ー ル が あ っ た ら 嬉 し い で す よ ね ??そ こ で 、 私 た ち は “ O O” の 綴 り の 発 音 に 焦 点 を 絞 っ て ル ー ル を 調 べ ま し た 。 単 に “ O O” と 言 っ て も foodの よ う に 「 ウ ー 」 と 発 音 す る も の 、 footの よ う に 「 ウ 」 と 発 音 す る も の な ど 、 さ ま ざ ま 。 果 た し て 謎 は 解 け た の で し ょ う か。 No. 12 研 究 題 目: 極 貧に 耐 えるボ ル ボ ック ス 研究発表者: 進 藤 大知 、 藤 谷 志 暉 、 森 達 哉 、 國 分 沙 葵 キーワード: ボ ル ボ ック ス 、 観 測 、 繁 殖 条 件 《概要》 みなさんは水性微生物で細胞群体を形成する『ボルボックス』という植物をご存じでし ょうか?室蘭栄高校ではその不思議生物ボルボックスを飼育していて、過去三年間の基礎 課 題 研 究 の 結 果 よ り 、「 栄 校 の ボ ル ボ ッ ク ス は 大 理 石 と ボ ル ビ ッ ク だ け で も 育 つ 」 と い う こ とがわかっていました。そこで、私たちはボルボックスをさらに栄養状態の悪い状態で飼 育していき、 「栄 校 の ボ ル ボ ッ ク ス は ど れ だ け 栄 養 の 少 な い 状 態 ま で な ら 生 き て い け る の か 」 を研究しました。 No. 13 研 究 題 目: ハム スタ ーの 色の 識別 能力 に つ い て 研究発表者: 工 藤 慎一 朗 、 富 士 滉 介 、 山 本 亮 武 、 岡 本 梨 来 キーワード: ハ ム ス ター 、 色 、 視 覚 《概要》 様々な動物の多くは視覚に頼って行動している。そこで一般的な動物としてメジャーな ハムスターを利用して本当に動物は視覚に頼って行動しているのか?ということを調べる ため色を用いてハムスターが色でものごとを判断して、それを知能として学習していくの か?という仮説を立てて実験を進めていった。 - 24 - No. 14 研 究 題 目: ハム スタ ーの 視覚 ・ 嗅覚 の実 験 研究発表者: 青 木 拓斗 、 片 野 翔 太 、 中 澤 拓 也 、 三 國 遥 佑 キーワード: ハ ム ス ター 、 自 発 的 行 動 、 オ ペ ラ ン ト 行 動 付 け 、 行 動 随 伴 性 《概要》 行動と学習の間には密な関連性がある。それはきっとヒトも小動物も同じだろう。今回 の実験のキーワードに「自発的行動」がある。試行錯誤してそのうち一回が成功すれば次 回 以 降 そ の 方 法 を 繰 り 返 す と い う の が そ の 最 た る 例 だ 。そ れ は 小 動 物 に も 適 応 さ れ る の か 。 それとも彼らは本能のみで行動しているのか。過去に本校で行われてきた同様の実験に基 づき改良した方法を用いた。 No. 15 研 究 題 目: メキ シコ サ ラ マンダーの 再 生実 験 研究発表者: 高 橋 真広 、 加 藤 慧 太 郎 、 秋 生 麗 樺 、 道 林 佐 紀 キーワード: 再 生 、 メキ シ コ サ ラ マ ン ダ ー 、 切 断 《概要》 メキシコサラマンダーとは何か知っていますか?これはウーパールーパーの正式名称で す。私たちはウーパールーパーを用いて“再生”についての研究をしました。体の一部を 切断すると、傷口に未分化の細胞の集合である再生芽がつくられ、その細胞が分化するこ とによって、再生という現象が起こります。成体と幼体による再生速度の違いや、切り方 に よ る 再 生 の 方 向 の 違 い な ど 、 再 生 に つ い て 探 っ て み ま し ょ う。 No. 16 研 究 題 目: 原 形質 流動 の速 度に 影 響を 与え る要 因 研究発表者: 伊 藤 沙恵 、 長 岡 祥 平 、 長 坂 浩 督 、 山 村 泰 輝 、 西 島 花 音 キーワード: 原形質流動、葉緑体の移動 《概要》 原形質流動とは、オオカナダモの葉の細胞などに見られる葉緑体などの細胞小器官や色 素 顆 粒 が 一 定 方 向 に ゆ っ く り 流 動 す る こ と で す 。原 形 質 流 動 は タ ン パ ク 質 が 関 係 し て い て 、 光や物質で速度が変化します。例えば速度をもたらす物としてコーヒーがあります。そこ で私達は物質に焦点を当てて、コーヒーと他に酸性や塩化性の水溶液を加えて、速度にど のような影響が出るのか調べました。 No. 17 研 究 題 目: 皮 膚か ら 人 へ~生 命倫 理を 考 える ~ 研究発表者: 上 田 智也 、 宮 川 右 門 、 中 澤 瑠 梨 、 西 田 す ず か キーワード: iPS細胞 、 生 命 倫 理 、 ク ロ ー ン 、 ガ ー ド ン 《概要》 私 た ち 18班 は iPS細 胞 に つ い て 調 べ て き ま し た 。 自 分 た ち で 調 べ 、 札 幌 の 講 演 会 に 行 っ て iPS細 胞 を 見 て き た り 、 ア ン ケ ー ト を 取 っ た り な ど を 通 し て iPS細 胞 に 関 す る 倫 理 問 題 を 課 題 と し 、話 し 合 っ て き ま し た 。そ し て 、18班 が 課 題 と し た 問 題 は「ク ロ ー ン 問 題 」で す 。 こ の 問 題 に 対 す る 私 た ち の 考 え に 伴 っ て 、iPS細 胞 に つ い て 発 表 し て い き ま す 。 あ な た は 、 クローンについてどう思いますか。 - 25 - No. 18 研 究 題 目: 塩ビ管でトランペット♪ 研究発表者: 津島 陸、花島 夏芽、鈴木 康大、前田 祐輔、及川 和愛 キーワード: 音響、製作 《概要》 昨年度の基礎課題研究「ゴムホースで楽器は作れるか?」に続く第2弾!!前回の研究結果よ り「素材の固さによる音質の向上」がみられたため、今年は塩ビ管での挑戦だ。素材は塩ビ管で 統一し、形状の違いによる音質の変化を調べるために5人の精鋭が立ち上がった。今明かされる、 衝撃の真実(研究結果)。乞うご期待! ※いたって真面目です。いたって真面目です。 [各班での研究の様子](左上から右下へ1班から18班) - 26 - (2)基礎課題研究発表会 ① 目 的 基礎課題研究の成果をまとめ、ポスター発表することで、情報処理能力やレポート作 い、表現力・発表力を向上させる。また、お互いに研究発表することで、理 味・関心を喚起し、質疑応答を繰り返すことによって論理的思 ② 成能力を養 数や自然科学に対する興 考力や科学的思考力を向上させる。 実施概要 ア 日 時 平成26年2月14日(金)5、6校時 イ 場 所 体育館 ウ 対 象 発表者 理数科1年生(40名) 参加者 理数科2年生(40名) エ 来校者 SSH 指定校教職員、大学関係者、道教委関係者、本校 SSH 研究開発協力者・運営指導委員、SSH 関連講師、道内高等学校教職員、管内小中学校教職員、本校理数科保護者等 オ 内 容 No 1 題 目 関連分野 ELIMO で 探 る 津 波 の 挙 動 地学、自然災害、防災、情 報 2 地理情報システムに挑戦!! 地学、地理、情報 3 オークションの秘密を探る 数学 4 円周率πその不思議で深淵な世界を探る! 数学 5 音の模様 物理学 6 紙をつくる 化学、ものづくり 7 地球と太陽~天文単位を求めて~ 物理学、地学 8 ダメ ージ ヘ アー の 原因 を探 る !~ 強度 で計 る 真の 原因 ~ 物理学 9 身近 な油 で 作る セ ッケ ン~ 油 の種 類で 何が 変 わる のか ~ 化学 - 27 - 10 銅の腐食 化学 11 知られざるooの世界 統計学 12 極貧に耐えるボルボックス 生物学 13 ハムスターの色の識別能力について 生物学、動物行動学 14 ハムスターの視覚・聴覚の実験 生物学、動物行動学 15 メキシコサラマンダーの再生実験 生物学 16 原形質流動の速度に影響を与える要因 生物学 17 皮膚から人へ~生命倫理を考える~ 医療、倫理 18 塩ビ管でトランペット♪ 物 理 学、 音 楽 、 もの づ く り カ 発表の評価 a 基礎課題研究担当教諭による評価 b 参加生徒による評価・・・グッジョブシールを使用 c 来校者、来賓、運営指導員等による評価・・・グッジョブシールおよびコメ ント用紙を使用 ③ [発表会の様子] ④ [基礎課題研究発表会]生徒アンケート(1年生理数科 解答数75名) Q1 Q2 研究成果のまとめ、ポスター作成は情報処理能力を向上させましたか。 ① 大変向上した・・・・・・・34.7% ② 向上した・・・・・・・・・58.7% ③ あまり向上しなかった・・・ 6.6% ④ 向上しなかった・・・・・・ 0.0% 研究成果のまとめ、ポスター作成はレポート作成能力(資料作成能力) - 28 - を向上させましたか。 Q3 Q4 Q5 ⑤ ① 大変向上した・・・・・・・24.0% ② 向上した・・・・・・・・ ③ あまり向上しなかった・・・ 2.7% ④ 向上しなかった・・・・・・ 1.3% 72.0% 今回の発表会は、表現力・発表力を向上させましたか。 ① 大変向上した・・・・・・・46.7% ② 向上した・・・・・・・・・48.0% ③ あまり向上しなかった・・・ 5.3% ④ 向上しなかった・・・・・・ 0.0% 今回の発表会は、理数・自然科学に対する興味・関心を向上させましたか。 ① 大変向上した・・・・・・・42.7% ② 向上した・・・・・・・・・44.0% ③ あまり向上しなかった・・・10.7% ④ 向上しなかった・・・・・・・2.6% 今回の発表会は、論理的思考力や科学的思考力を向上させましたか。 ① 大変向上した・・・・・・・・34.7% ② 向上した・・・・・・・・・・57.3% ③ あまり向上しなかった・・・・ 6.7% ④ 向上しなかった・・・・・・・ 1.3% [基礎課題研究を終えての生徒の感想](抜粋) ・研究発表会で、専門の先生からの質問に答えるのは緊張したが、自分の研究したことを、誰 かに説明するのは楽しい経験だった。 ・途中でうまくいかないことはたくさんあったが、班の人と協力して、粘り強く活動ができた ので良かった。 ・自分たちで研究に取り組むのは初めてで、不慣れなことが多くとても大変だったが、リー ダーを中心に、班で協力して研究することができた。 ・最初はどうなるかと思った。思うようにオオカナダモが動いてくれず大変だった。データも あまり統一性がなく不安なこともあったが、いい経験ができた。 ・データをきちんと整理していなかったので、最後にまとめを行う際、どれがどのような条件 での結果なのかわからなくなり大変苦労した。 ・研究発表会で、与えられた役割をしっかりこなすことができた。 ・実験の大半はあまり上手くいかないことがわかった。そのため、もっと多くのアイディアが 必要だということもわかり、勉強になった。 ・とても楽しい時間だった。話し合うことは、とても大切で、日常生活においても活かしてい きたい。 ・研究を重ねるにつれて楽しくなっていった。結果から何がいえるのかを考えることが楽しか った。 ・物をつくったり、仮説を立てたりするのが楽しかった。 - 29 - ・SSHの時間をもっと多くして、もっと研究したかった。とても大変だったが、楽しかった。 ・大変充実した内容で、自分の考えが、大きくかわるきっかけになった。 ・普通の高校生にはできないような、貴重な経験ができ、研究内容も充実していて楽しかった。 ・医療倫理について初めてふれてみて、今まで考えたことのないことを考えたりもした。この 活動は、とても意味のあるものとなった。 ・一つのことに、ここまでこだわって、あれやこれやと調べていくのが、とても楽しかった。 ・私たちの研究は地味な方だったが、とてもやりがいがあったし、発表のときに調べたことを ほめられてうれしかった。来年もこの経験を生かして、こつこつと研究を頑張っていきたい。 ・楽しかった。もっともっと時間があれば、もっともっといいものができた気がする。 ・人の前で話すことを以前より苦にならなくなって、とてもよかった。 ・πを計算面だけではなく、実測などによって求めた今回の研究で、様々な角度・方面から物 事を見ることを学ぶなど、とても良い経験だったと思う。 (3)基礎課題研究の検証・まとめ ① この企画に対する生徒の評価・感想からは、ほとんどの生徒が、この事業に興味・関心を持っ て、楽しく取り組むことが出来たものと判断出来る。 ② さらには、この事業を通して、知的好奇心を大いに喚起された者も多いという。事象への探究 の方法を身に付いたとの感想もあり、概ねこの事業は成功であったと評価できる。 ③ しかし、ここで大事なことは次年度2学次の課題探究へと更にレベルアップ出来るように、生 徒一人一人の基礎的な力および意欲の向上をさらに図ることであると思われる。 ④ 基本的な資料・データの適切な処理方法や扱い方、プレゼンテーション資料の作成方法やプレ ゼンテーションの能力そのものの向上を図らなくてはならない。 ⑤ それには、情報機器の取り扱い能力の向上以前に「自然現象」をはじめとするさまざまな事象 に対して、どう向き合い、アプローチしていくべきなのか、というまさしく ”サイエンス”そ のものの根幹をなす考え方をしっかりと身につけさせるべなのではないか。 ⑥ そのためには、理数教科からのアプローチだけではこと足りず、他教科からのさらなる理解と 協力の下、学校体制で取り組む必要がある。 ⑦ もっともっと学校体制で課題を洗い出し、大学を始めとする各種研究機関や地域との連携を念 頭に入れた解決策を目指していくべきと考える。そこには、もっと新しくて具体的なアイディ アが生まれるはずである。 4節 大学巡検(北海道大学工学部巡検) 〔仮 説〕 理系学問の研究に必要な素養を学び、理系研究への興味・関心を高めることができる。 ① 実施概要 ア 日 時 平成25年10月23日(水) イ 会 場 北海道大学 ウ 日 程 工学部棟 - 30 - ~ 8:40 生徒集合 8:40~10:50 移動(室蘭栄高校→北大工学部) 車中にて、日程・課題の説明、諸注意 11:00~12:00 模擬授業・北大工学部紹介 講師:北海道大学大学院工学研究院教授 廣吉 直樹 氏 12:00~13:00 昼食(持参した昼食を講義室で摂る、または学食を利用) 12:55 講義室に再集合 13:00~13:40 研究室訪問①(40分) 13:50~14:30 研究室訪問②(40分) 北大工学部4系統のうち、2系統の研究室を班単位で訪問する a 応用理工系学科 生物計測化学研究室 渡慶次 b 情報エレクトロニクス学科 システム制御情報学研究室 田中 孝之 准教授 c 機械知能工学科 原子炉工学研究室 千葉 豪 助教 d 環境社会工学科 建築史意匠学研究室 小澤 丈夫 准教授 角 エ ② 対 象 哲 助教 理数科1年生(80名):研究室訪問の際は、4班に分ける A班 研究室(a)→研究室(b) B班 研究室(b)→研究室(a) C班 研究室(c)→研究室(d) D班 研究室(d)→研究室(c) 検 学 教授 ア 証 生徒へのアンケート結果からも伺えるように、工学部そのものや工学部での研究内容に関する理 解を深めさせることができた。 イ 科学研究のアプローチ法について興味・関心を持たせるきっかけ作りになったが、理科系進学希 望者へつなげるような仕掛けが必要である。 ③ まとめ 午前中の北海道大学工学研究院教授・廣吉直樹氏による工学部紹介・模擬講義は、丁寧で分かりや すく説明していただき大変良かった。午後からの研究室訪問は、工学部4系統を2系統ずつの2グル ープに分け、そのどちらかのグループを訪問するという形をとった。すべての研究室を訪問したいと の積極的な希望には応えられなかったが、1つ1つの研究室を程度時間をかけて訪問することができ た。 [活動の様子] - 31 - ○ 生徒アンケート(解答数 80名 ; Q1 回答率100%) この企画は、興味のもてるものでしたか。 ① 大変興味がもてた・・・・・・66.3% ② 興味がもてた・・・・・・・・31.2% ③ あまり興味がもてなかった・・ ④ 興味がもてなかった・・・・・ Q2 2.5% 0.0% 講義内容や先生方の話しの内容は、理解しやすいものでしたか。 ① 大変理解できた・・・・・・・42.5% ② 理解できた・・・・・・・・・50.0% ③ あまり理解できなかった・・・ ④ 理解できなかった・・・・・ 6.3% 1.2% この企画は、今後の SSH サイエンス基礎の取り組む意欲を増加させる内容でしたか。 Q3 ① 大変意欲が増した・・・・・・43.8% ② 意欲が増した・・・・・・・・46.2% ③ あまり意欲が増さなかった・・ ④ 意欲が増さなかった・・・・・ Q4 7.5% 2.5% この企画は、科学の理解を深める内容でしたか。 ① 大変理解を深めた・・・・・・43.8% ② 理解を深めた・・・・・・・・51.2% ③ あまり理解が深まらなかった・ ④ 理解が深まらなかった・・・・・0.0% Q5 5.0% この企画の中で生じた疑問点を、自分で調べてみたいと思いましたか。 ① 大変思った・・・・・・・・・18.8% ② 思った・・・・・・・・・・・66.2% ③ あまり思わなかった・・・・・15.0% ④ 思わなかった・・・・・・・・ Q6 0.0% この企画について、良かった点、ためになった点、改善すべき点等を記入して下さい。 ・北大の設備の充実さに圧倒された。 ・今まで工学部には全く興味がなかったが、今回の巡検でとても興味を持つようになった。普段出 来ない経験をたくさん出来て、とても楽しかった。 ・工学部がどういう学部なのか、初めて理解できた。時代を創造していく物を考えることの魅力を 感じた。知ることで興味がわく最高の進路学習でした。 ・イメージしていたものとかなりズレていて、ものすごく面白そうだなぁと思った。行ってよかっ たと改めて思った。視野が広がった。 ・理系に興味がなかったが、面白い内容が多かったので、興味がわいてきた。 ・ 「今の世の中は不便だ」という発想を持つことが必要だ、というのは刺激的だった。 ・夏にオープンキャンパスに参加した時とはとても違うように感じた。今回は建物の中を歩き回る ことができ、大学の雰囲気を少し感じられた気がした。 ・大学生や大学院生の方から研究内容をお話ししてもらい、良くわかった。工学部といってもさま ざまな研究をしていたりと、学部名だけでは、わからないことがたくさんあると思った。 ・大学生の研究や、研究室を直接見ることができ、漠然としていたイメージを明確にすることがで きた。さらに、疑問に思ったことをすぐに質問できてよかった。 ・説明がわかりやすく、理解しやすかった。時間の都合上仕方ないにしても、もっと長い時間見学 していたかった。 ・福島の原子力発電のしくみについてずっと知りたいと思っていたので、すごくおもしろかった。 取り付けに500億円もした装置を見ることができてよかった。 ・未来をつくる仕事って、すごいと本当に思った。 ・世界を変えようとするために、研究するのもいいなと思った。進路について考える良い機会とな った。 ・自分の将来に向けて、すべきことや工学部のおもしろさがわかった。 ・大学というものがより明確になったという点で、将来の大学選びにつながるよい企画だと思う。 - 32 - 第4章 1節 サイエンス探究(第2学年) 研究基礎Ⅱ (1)論理的思考トレーニング [仮説] 科学的・論理的思考力の育成、情報処理能力の育成、表現力の育成、プレゼンテー ション能力の育成、国際性・英語力の向上を図ることにより、課題研究活動をより意 欲的・創造的に行うことができる。 ① 実施概要 ア 日 時 平成25年4月23日(火)6校時 イ 会 場 視聴覚室 ウ 対 象 理数科2年生(79名) エ 内 容 「論理的思考」「科学的思考」に関する講義の後、論理クイズを出題。 ただ単に答えを出すだけでなく、答の導出過程を文章表現させることによ り、論理的思考力だけでなく、表現力の育成も目指した。 ② アンケートによる効果の検証 Q1 理解しやすいものでしたか Q2 興味の持てる内容でしたか Q3 意欲を増加させる内容でしたか Q4 理解を深める内容でしたか Q5 自分の考えが広がったと思いますか Q6 生じた疑問点を自分で調べてみたいと思いましたか 0% 20% Q1 80% 5.1 44.3 39.2 Q5 8.9 2.6 55.7 17.7 6.3 2.5 3.8 0.0 30.4 46.8 Q4 100% 43.0 65.8 Q3 ③ 60% 49.4 Q2 Q6 40% 64.6 54.4 13.9 32.9 0.0 2.5 3.8 大変できた できた あまりできなかった できなかった 6 .4 成果と課題 アンケートの結果から、プログラムそのものは理解しやすく興味深いものであったようだが、「生 じた疑問点を自分で調べてみたいと思いましたか」という質問には4割程度の生徒が「あまり思わない」 「思わない」と答えている。 今後の課題としては、生じた疑問に積極的に探求していく姿勢を身につけ、課題研究活動をより意欲 - 33 - 的・創造的に行うことができるようにする必要がある。 視聴覚教室にて理数科2年生全員が真剣に取り組んだ (2)試行錯誤による最適な解 [仮説] 科学的・論理的思考力の育成、情報処理能力の育成、表現力の育成、プレゼンテー ション能力の育成、国際性・英語力の向上を図ることにより、課題研究活動をより意 欲的・創造的に行うことができるようにする。 ① 実施概要 ア 日 時 平成25年4月30日(火)5、6校時 イ 会 場 地学教室、物理教室 ウ 対 象 2年生理数科 エ 内 容 定量の紙を工作し、ボールが転がる時間をいかに長くするかという与えられた目標の 達成にむけて、より多くの試行錯誤を重ねて、よりよい解を求めることの重要性を意識 させるためのプログラム。 ② アンケートによる効果の検証 Q1 理解しやすいものでしたか Q2 興味の持てる内容でしたか Q3 意欲を増加させる内容でしたか Q4 主体的に取り組めたか Q5 想像力豊かに取り組めたか Q6 コミュニケーションを上手くとれたか - 34 - 0% 20% 40% Q1 80% 68.8 Q2 33.8 52.5 Q5 Q6 43.8 大変できた 3.7 0.0 できた あまりできなかった 3.7 0.0 15.0 30.0 0.0 6.2 0.0 43.8 40.0 63.8 1.2 21.3 60.0 Q4 100% 30.0 75.0 Q3 ③ 60% できなかった 1.2 6.2 0.0 成果と課題 アンケートの集計から、全ての質問事項に対して多くの生徒が「大変できた」「できた」 ており、このプログラムへの関心が高く積極的に取り組めたことがわかった。今後 もう少し時間を増やしてさらに完成度の高い作品を制作させて、課題研 の課題としては、 究活動をより意欲的・創造的 に行うことができるようにする。 <ボールを落下させる時間をいかに長くするか試行錯誤中> - 35 - と答え (3)プレゼンテーション作成実習 〔仮 説〕 課題研究発表に向けて、プレゼンテーションソフトによる情報表現、アニメーションの設定な どの基本操作を学ぶことにより、研究内容を深め、効果的な研究発表を行うことができる。 ① 実施計画 ア 日 時 平成25年10月1日(火)5、6校時 課題研究 室蘭工業大学実施班 平成25年10月8日(火)5、6校時 課題研究 学校実施班 イ 場 所 情報処理教室 ウ 対 象 理数科2年生(78名) エ 内 容 プレゼンテーションソフトの基本、アニメーションの設定などの基本操作について コンピュータ実習を通して学ぶ他、プレゼンテーションする際に心がけること、テク ニック等についても学ぶ。 ② 課題研究発表会生徒アンケート、生徒作成プレゼンテーション資料による検証 (自由記述欄抜粋) ・研究内容を論理的にわかりやすく説明するためのプレゼン資料を作成することができた。 ・顕微鏡写真の画像や動画等を効果的に用いて説得力のあるプレゼンを作成することができた。 ・アニメーションを効果的に用いて、メリハリのあるプレゼンテーションを行うことができた。 ・パワーポイントの操作について学ぶ時間が足りなかった。 課題研究発表会では例年に比べ、見やすく、わかりやすいプレゼンテーションが多かった。自由記述 欄の記述から、プレゼンテーションソフトを用いた実習を行うことで効果的な発表を行うことができた と考えられる。 ③ 成果と課題 ア アンケートの記述、生徒のプレゼンテーション資料から当初のねらいは概ね達成することがで きた。 イ 情報科と連携して実施することができた。 ウ 文章やアニメーションが多くなり、数値やデータを示して論じる部分が少ない傾向が見られた。 エ 年間計画の都合上、配当時間が少なくなってしまった。 (4)サイエンス英語Ⅱ(外部講師による英語プレゼンテーションスキル講座) 〔仮 説〕 英語によるプレゼンテーションの技術に関する講義を受け、実習を行うことによって、生徒の実 践的英語運用能力が高まるとともに、科学的内容に関して外国語で積極的にコミュニケーションを 図ろうとする姿勢が養われる。 ① 実施概要 ア 日 時 平成25年10月15日(火) 第1日 平成25年10月22日(火) 第2日 平成25年10月29日(火) 第3日 イ 会 場 視聴覚室 ウ 対 象 理数科2年生(78名) - 36 - エ 内 a 容 講 師 ・Sachiyo Vierheller 氏 (有限会社 ・本校英語科教諭・ALT b 4名 インスパイア) (一瀬・鶴間・高木・Thomas) 全体テーマ:"Learn To Present Science"(サイエンスプレゼンテーション講習) "Impromptu Presentation"(即興プレゼンテーション)を3日間にわたって展開 c グループに別れ、各自事前に考えてきた科学に関する題材(subject)を持ち寄り、Brain storming を通してそのグループの取り上げる subject を決定する。また、下記の伝達の技術(delivery skills)を意識しつつ、発表練習を行う。 立ち方(Posture)、視線(eye contact)、ジェスチャー(gestures)、声(voice) ・第1回:Orientation(本セミナーの内容、受講の心得に関するガイダンス) Impromptu Presentation -- 3 topics subject について具体的に展開するため、3つの話題(topic)を即興的に考え、フ ォーマットに沿って原稿を作成する。 ・第2回:Impromptu Presentation -- 3 Qs & As subject について具体的に展開するため、3つの疑問とその解答(Qs&As)を即興 的に考え、フォーマットに沿って原稿を作成する。 ・第3回:Impromptu Presentation -- 3 Pros & Cons subject について具体的に展開するため、それぞれ3つの利点と欠点(pros &cons) およびその提示の順(賛否によって提示すべき順序も変わる)を即興的に考え、フ ォーマットに沿って原稿を作成する。 ② 検 ア 証 講師のスケジュールの都合、および予算縮減のため、昨年度にそれ以前のものから開講スタイル を大きく変更した。 ・開講コマ数: 12時間→9時間 ・クラス単位(40名)開講→2クラス同時(80名)開講 そのため、それ以前に実施していた、『序論~本論~結論』からなる、本格的なプレゼンテー ションを行わせることができず、講師の提案により、上記のような内容の指導となった。その結 果、プレゼンテーションの内容面では過去2年間のものと比較するとやや見劣りするものとなら ざるを得なかったが、その分伝達の技術面や積極的に相手に伝えようとする姿勢の面に意識が集 中することとなり、それらの点においては十分な効果があったと思われる。 イ これも講師のスケジュールの関係から、昨年度までは2名の講師(英語母語話者を含む)に来校 を頂いていたが、今年度は1名のみ(非母語話者)ということになった。そのため、やや日本語の 介在が増え、「全面的に英語のみで行われる講義・実習」という側面においては、若干後退を余儀 なくされた。しかし、プログラム中の観察からも、アンケートの結果からも、本セミナーの内容・ 構成が、生徒にとっては非常に負荷のかかる、難易度の高いものであるにもかかわらず、生徒は積 極的に参加し、課題に取り組もうとしており、生徒にとって満足度・達成感の高いプログラムにな っていることが見て取れる。 ③ 成果と課題 ア 多くの実績ある講師の指導力及び指導内容、またこれまでの経験から本校指導担当者による指導 補助もうまくいったことで、ねらいは概ね達成された。生徒の評価も極めて高く、最も効果的な実 践のひとつであった。 - 37 - イ 英語を用いてコミュニケーションを行う必然性のある状況の下で、短期集中的にトレーニングを 行ったことにより、自分の使える英語で積極的にコミュニケーションを図ろうとする意欲・態度が 育成された。このことは、直後に行われたJICA研修員との交流会においても顕著に見られ、 「英 語を母語としない者同士がコミュニケーションをするためのツールとして英語を使用する」実践に、 意欲的に取り組む姿が見られた。 ウ 外部講師と、指導の補助に当たる本校英語科教員・ALT との間で、ねらい、課題意識、指導事 項とその流れ、あるいは学級や個々の生徒の状況に関する情報の共有が、本プログラムの成否を大 きく分ける。そのためには、校内の協働体制の確立が不可欠である。 (5)ものづくり講座 〔仮 説〕 生徒が、日ごろ目にすることの少ないであろう「電子部品」に直に接し、実際に手を動かしての 「電子工作」を通して、電子機器のすばらしさや、「ものづくり」の楽しさ等を体験し、工学分野 に対する興味、関心が高まる。 ① 実施概要 ア 日 時 平成26年1月28日(火)5、6校時 平成25年2月 4日(火)5、6校時 イ 会 場 地学教室、物理教室 ウ 対 象 理数科2年生(79名) エ 内 容 本校教員(物理科担当教員および SSH 推進部員)が講師として、市販の電子キット の制作および電子部品に関する基礎的知識を修得する。 a 使用キット (株)秋月電子通商「ソルダレス(ハンダ不要)60秒録音再生キット」 生徒1人1セットずつ制作 b 進め方 ・ 「本講座」の実施意義および「作業手順」の説明・諸注意 ラジオペンチの使い方、「実体配線図」および「実体回路図」の見方、電子部品 について、抵抗値読み取りに関連して「接頭辞」について c の「極性」 他 「作業」 ・各自、作業計画の立案、取り付け作業 d 「動作」確認 e 「本講座」のまとめ 「電子部品」の成り立ちおよび動作原理の説明 集積回路(IC),ブレッドボード、発光ダイオード、積層セラミックコンデンサ,電解コンデ ンサ、炭素皮膜抵抗 他 ② 実施要領 ア 目 的 生徒が日ごろ経験したことが少ない「電子工作」を通して IC(集積回路)や抵抗、コンデンサ などの電子部品の実物に触れ、簡単な電子回路を完成せることによって、電子機器のすばらしさや 実際に手を動かしての「もの作り」の楽しさ等を体験する。 イ 作業にあたっての注意事項 a 部品の確認 「部品表」との照合 ~ 抵抗値の確認 - 38 - b ラジオペンチの使い方 c ブレッドボードについて(内部構造) d 「実体配線図」および「実体回路図」の見方 e 「極性」のある部品について(LED,コンデンサ 等) ウ 作業の計画・手順 「実体配線図」を見て、配線や部品の取り付け作業を行う。 エ パーツ紹介 IC集積回路、ブレッドボード、発光ダイオード、コンデンサ、抵抗について ③ 検証・まとめ 次の生徒へのアンケート結果からも伺えるとおり、概ね「電子部品」の構造やその作 動原理を知 ることができ、また、「電子工作」のおもしろさの一端に触れさせることが出来た。今後とも、生徒 の興味・関心を高めるような企画を実施することによって、「ものづくり」の楽しさを実感させると ともに、「ものづくり」への理解を深めさせていく必要がある。 [作業の様子] [生徒アンケート](回答 74 名) Q1 この企画は、興味のもてるものでしたか。 ① 大変興味がもてた・・・・・・・54.1% ② 興味がもてた・・・・・・・・・32.4% ③ あまり興味がもてなかった・・・12.2% ④ 興味がもてなかった・・・・・・ Q2 1.3% 企画内容や先生方の話しの内容は、理解しやすいものでしたか。 ① 大変理解できた・・・・・・・・32.5% ② 理解できた・・・・・・・・・・51.4% ③ あまり理解できなかった・・・・13.4% ④ 理解できなかった・・・・・・・ Q3 2.7% この企画は、「ものづくり」への取り組みに意欲を増加させる内容でしたか。 ① 大変意欲が増した・・・・・・・24.3% ② 意欲が増した・・・・・・・・・52.7% ③ あまり意欲が増さなかった・・・20.3% ④ 意欲が増さなかった・・・・・・ Q4 2.7% この企画は、科学の理解を深める内容でしたか。 ① 大変理解を深めた・・・・・・・10.8% ② 理解を深めた・・・・・・・・・52.7% ③ あまり理解が深まらなかった・・32,4% ④ 理解が深まらなかった・・・・・ Q5 4.1% この企画の中で生じた疑問点を、自分で調べてみたいと思いましたか。 ① 大変思った・・・・・・・・・・13.5% - 39 - ② 思った・・・・・・・・・・・・35.2% ③ あまり思わなかった・・・・・・47.2% ④ 思わなかった・・・・・・・・・ 4.1% (6)ものづくり講演会 〔仮 説〕 「ものづくり」に関連する大学教授や企業の研究者とふれあい、直接対話することで「ものづくり」 についての興味・関心を高め、理科や数学等の学問と産業、社会との関わりについての理解 を深め ることができる。理系生徒の進路意識の高揚と、文系生徒の科学リテラシーを向上させることができ る。 ① 実施概要 ア 日 時 平成26年3月18日(火)5,6校時 イ 場 所 視聴覚教室 ウ 対 象 本校理数科2年生(78名) エ 内 容 講師 国立大学法人室蘭工業大学大学院もの創造系領域准教授 演題 「ものづくりは社会づくり」 花島 直彦 氏 直立歩行を始めてから、人類はさまざまな道具をつくり、それを使って自分たちが 住む社会を形作ってきた。現代ではさまざまなハイテク製品が生み出され私たちの生 活を支えている。本講義ではものづくりの側面から社会の変化について考え、若い世 代が将来の日本社会の在り方や技術革新(イノベーション)について考えるきっかけ を提供したい。あわせて、講師の専門分野であるロボット工学についても解説する。 ② 検証 講演会終了後に生徒アンケートを実施して仮説についての検証を行う。 2節 課題研究 (1)室蘭工業大学と連携した課題研究 [仮 説] 生徒が、設定されたテーマから興味のあるものを選択し、探究的な学習活動を行い、発表する。1 年次の基礎課題研究を専門的な内容にすることにより、さらに理科・数学に対する興味・関心や知的 好奇心を喚起し、論理的思考力、問題解決能力、自ら外に発信する表現力が深化する。 ①実施概要 ア 日時・場所 月 日 4 23 5 7 6 内 容 課題研究ガイダンス 月 11 日 内 5 課題研究のまとめ 課題研究① 12 課題研究のまとめ 14 課題研究② 19 課題研究のまとめ 11 課題研究③ 3 課題研究のまとめ 18 課題研究④ 12 10 - 40 - 容 課題研究発表リハーサル 25 課題研究⑤ 17 課題研究 発表会 7 16 中 間 発 表 会 (全 班 学 校 ) 24 課題研究優秀作品全校発表会 8 20 課題研究⑥ 21 課題研究の振り返り 27 課題研究⑦ 上 記 火 曜 日 の5 ・ 6 校 時 10 課題研究⑧ 場 17 課題研究⑨ 9 イ 対 1 所:校 内 室 工大 各実験室・教室 各研究室、指定の場所 象 2学年理数科 ものづくりひとづくりサイ エンスⅡa選択生徒 ウ 内 容 3~6名のグループをつくり、テーマを与え、 グループ毎に課題研究を行う。各班のテーマと 研究概要は以下の通り。 【室蘭工業大学における課題研究】 テーマ①:メガクエイク~次の大地震に備えて~ 地震と津波の発生メカニズムを知り、津波被害の実態や液状化などに代表されるそれぞれ の現象を、模型実験を通して地震による災害を食い止める構造物や避難行動を考察する。 テーマ②:分子サイズの孔を持つ酸性物質の合成と環境・エネルギー問題の応用 ゼオライトに硫化水素を吸着させ、環境・エネルギー問題への応用を考察する。 テーマ③:色彩の心理物理学~いろのいろいろ~ 人間が知覚する色に心理がどのように関係しているかを、実験内容、実験方法を自分たち で決め、研究する。 テーマ④:温スープが生体に及ぼす影響 9種類のカップスープを飲み、各個人でいくつかの項目について評価したものをもとに、 スープを飲んだ後の体温・血圧・脈拍を測定し、温スープが生体に及ぼす影響を調べる。 テーマ⑤:タンポポで環境測定できるか? 様々な場所のタンポポの抗酸化物質の量を測定し、その結果で環境の汚染度が測定できる かどうかを検証する。 テーマ⑥:人工社会をつくろう ~栄高校購買移転計画~ コンピュータシミュレーションにより、栄高校の購買をどこに移転するのが最適かを検証 する。 テーマ⑦:熱電対で「クリーン」な発電 熱電対を作成し、より効率よくクリーンな発電方法を模索することによって、エネルギー 問題の未来についても考察する。 テーマ⑧:平板の加振実験 崩壊しにくい丈夫な建造物を作ることを想定して、平板を加工し、加振実験を行い、どの ような形状が振動に強いのかを考察する。 【本校における課題研究】 テーマ①:続・パスカルの三角形にひそむ数理 「3-パスカルの三角形との比較」と「余りに関する性質」の2つのテーマについてそれ ぞれ研究を行い、自分たちで発見した性質が成り立つことの証明を試みた。 テーマ②:古川教授の世紀のワクワク大実験 ~ミドリゾウリムシを白くする魔法~ - 41 - ミドリゾウリムシに共生するクロレラに様々な外的ストレスや或いは養分を与えてミドリ ゾウリムシを白くする方法を模索する。 テーマ③:ピッチングマシーンをつくろう! 投げたボールに変化を与える「回転数」に注目し、実際にピッチングマシーンを作って、 回転数と変化について考察する。 テーマ④:太陽炉Ⅱ ~太陽熱で焼き肉を食べる! 傘で太陽炉を複数個作成して、肉が焼けるほどの熱効率のよい機器を模索する。 テーマ⑤:しょうゆのアミノ酸を調べよう! 5種類のしょうゆについて、薄層クロマトグラフィーとニンヒドリン反応、ビウレット反 応、キサントプロテイン反応を使ってアミノ酸の有無と種類を調べる。 テーマ⑥:イタンキ浜の砂から鉄を取り出す! イタンキ浜の砂から砂鉄を取り出し、それを還元して鉄をつくりだすことを試みる。 (2)地域の小学校と連携した課題研究 〔仮 説〕 小学生向け科学実験教材の開発を行い、実践を通して開発した実験教材の効果を検証し、実験教 材の工夫・改善を図ることで、理科・数学に対する知的好奇心を喚起し、論理的思考力、表現力、 問題解決能力が深化するとともに、創造性・独創性が向上する。 ① 日 程 ア 第1回 5月7日(火) ク 第7回 8月20日(火) ソ 第13回 11月5日(火) イ 第2回 5月14日(火) ケ 第8回 8月27日(火) タ 第14回 11月12日(火) ウ 第3回 6月11日(火) コ(科学の祭典 9月8日(日))チ 第15回 11月19日(火) エ 第4回 6月18日(火) サ 第9回 9月10日(火) ツ 第16回 12月3日(火) オ 第5回 6月25日(火) シ 第10回 9月17日(火) テ 第17回 12月10日(火) カ(学校祭 7月7日(日)) ス 第11回 10月1日(火) ト 第18回 12月17日(火) キ 第12回 10月8日(火) ナ 第19回 1月21日(火) ② 第6回 7月16日(火) 場 セ 所 ア 本校(第1,2,3,4,6,7,8,9,11,12,13,14,15,16,17,18,19回) イ 室蘭市立海陽小学校(第5,10回) ③ 対象者 ④ 概 理数科2年生(4名) 要 小学生を対象とした理科実験教材の開発や授業の構成など、試行錯誤を重ねながら行い、開発し た教材を近隣の小学校や科学館等で発表した他、JICA交流事業において、英語でのプレゼンテ ーションも実施した。また、小学校で行った授業(演示実験等)後に実施したアンケートにより、 その成果を検証した。 - 42 - ⑤ 主な活動内容 ア 5月7日(火) 「理科教育センター職員による講義」の実施。 北海道立教育研究所附属理科教育センターの三木 勝仁主査を本校にお招きし、小学生対象の適切な教 材開発に関することや、小学生の興味関心を沸き立 たせるプレゼンテーションのノウハウなどについて、 ご指導いただいた。小学生対象の実験等に関する専 門的な講義は、小学生対象理科実験教材開発チーム に大きなヒントを与えていただき、それと同時にチ ーム1人1人のモチベーションアップに繋がった。 イ 6月25日(火) 「小学校理科授業見学<室蘭市立海陽小学校5年 生>」の実施。 本校に隣接する室蘭市立海陽小学校を、小学生対 象理科実験教材開発チームのメンバーが訪問。理科 専科の藤崎 東五教諭による5年生の授業を参観し た。単元名は「花から実へ」。植物の花のつくりや 実のでき方などを学習させることを目的としており、 実物の観察およびITの活用により視覚に訴える授 業であった。参観した生徒たちは、小学校理科の授 業の様子や、小学生の興味・関心の持たせ方および 学習方法の実際について学んだ。 ウ 7月7日(日) 「学校祭一般公開日における理科実験講座」の実施。 昨年度より始めた、学校祭の一般公開日における 小学生・中学生対象の実験および科学体験を今年度 も実施した。実施場所は、化学室に加えて生徒玄関 前においても行った。内容は、「CO2 をしらべよ う」「ストロー笛をつくろう」「色のひみつ」、「シャ ボン玉の秘密」であった。 エ 9月8日(日) 「青少年のための科学の祭典室蘭大会2013」に参加。 室蘭市青少年科学館において開催された「科学の 祭典」に、課題研究で検討した実験をもとに、実験 ブースを出展した。実験内容は、「CO2 をしらべ よう」、「パズル感覚で原子を学ぶ」、「大気圧の不思 議」の3つである。多くの子どもたちに、楽しく科 学の体験をさせるための様々な工夫を行った。 今年度は、本校校長、化学部も出展し、全校的に 地域の小・中学生の科学的リテラシー向上に寄与し ている。 - 43 - オ 9月17日(火) 「小学校における授業体験(演示実験)<室蘭市 立海陽小学校6年生>」の実施。 5月に授業見学をした「小学生対象理科実験教材 開発チーム」の4名が同クラスを対象に、酸素や二 酸化炭素の性質等を題材にした「Science Show ~博士の実験室~」の劇を披露した。4 名全員が各役をこなし、子どもたちの興味関心を引 き出していた。 また、「色のひみつ」と題した演示実験を児童に 発問しながら行い、その後、グループごとにその実 験を体験させた。 カ 11月5日(火) 「JICA研修員理科大好き講座」サイエンスシ ョーの実施。 来日しているJICA研修員(アフガニスタン1 名、バングラデシュ3名、パキスタン3名、ネパー ル1名の計8名)を対象に、酸素や二酸化炭素の性 質等を題材にした「Science Show ~ 博士の実験室~」の劇を英語で披露した。9月に実 施した小学生対象の実験教室を改善するとともに、 JICA研修員の方々にわかりやすく理科実験の内 容を理解してもらうように、イングリッシュバージ ョンで行った。 (3)地域の火山に関する課題研究 〔仮 説〕 地域の身近な火山であり、世界的にも活動的な活火山である有珠山について調査研究を行い、 地域の自然や人間との関わりについて学び、研究成果を活用してガイドブックの作成や有珠山の 現地案内を行うとともに、学会で研究成果を発表することにより、論理的思考力、表現力、問題 解決能力が深化する。 ① 実施計画 ア 日時・場所 月 日 内容 月 日 内容 4 23 課題研究ガイダンス 11 5 課題研究⑩※ 5 7 課題研究① 12 課題研究のまとめ 14 課題研究② 19 課題研究のまとめ 6 11 課題研究③ 12 3 課題研究のまとめ 18 課題研究④ 10 課題研究発表リハーサル 25 課題研究⑤※ 17 課題研究発表会 7 16 中間発表会(全班学校) 24 課題研究優校内発表会 8 20 課題研究⑥ 1 21 課題研究の振り返り 27 課題研究⑦※ 上記火曜日の5・6校時 9 10 課題研究⑧※ 場所 地学教室及び、有珠山(⑤⑦⑧⑩) 17 課題研究⑨ - 44 - イ ウ ② 対 内 象 2学年理数科 ものづくりひとづくりサイエンスⅡc選択者3名 容 2000年噴火で生じたグラーベンの高さと走向を現地調査で測定し、データ化され た地形断面からマグマの動きを推定し、マグマ貫入システムを解明する。 主な活動 ア 6月25日(火)課題研究⑤での有珠山現地調査 北海道立教育研究所附属理科教育センター研究研修主事で、洞爺湖有珠山火山マイスターでもある 横山光氏に講師を依頼し、有珠山にて断層の現地調査を実施した。地形図を見ながら、断層の位置を 確認し、走向傾斜の測定を行った。また、噴火の際に破壊されたガードレールの様子から、力のかか り方、地盤の動きについて推定した。 イ 9月10日(火)課題研究⑧での有珠山現地調査 <大きな断層を測量中> <小さな断層を測量中> <断層全景> 課題研究⑤に引き続き、北海道立教育研究所附属理科教育センター横山光研究研修主事に講師を依 頼し、有珠山での現地調査を行った。断層の走向の測定をし、大きな断層の傾斜の測定では三角測量 を行った。また、断層の変位量についても調査を行った。その後、グラーベン(地溝帯)での観察、 調査を実施した。 ウ 11月5日(火)課題研究⑩でのJICA研修員への有珠山巡検ガイドを実施 <火口でガイド中> <断層の被害についてガイド中> - 45 - <全員で記念撮影> この日は、アフガニスタン、バングラデシュ、パキスタン、ネパールから日本に来ているJICA研 修員の方たちが本校に来校し、午前中に交流会を行った。午後からは、課題研究有珠山グループの3名 がガイドとなってJICA研修員の方たちを案内し、有珠山巡検を行った。自分たちで有珠山について 調べたことをガイドブックとしてまとめ、英語で説明した。また、自分たちが取り組んでいる研究内容 の説明も英語で行った。 (4)課題研究成果発表会 〔仮 説〕 課題研究の成果を、プレゼンテーションソフトを用いて口頭発表することにより、プレゼンテ ー ション(自己表現、情報伝達)の能力を育むと同時に、プレゼンテーション資料の作成を通して、情 報機器を用いた表現力を育むことができる。また、他のグループの発表を聞くことにより、理数に対 する興味・関心を喚起することができる。 ① 実施計画 日 時 平成25年12月17日(火)5、6、7校時 会 場 体育館(開・閉会式、分科会会場A)、武道場(分科会会場B)、多目的ホール(分科会 会場C) ウ 対象者 発表者 本校理数科2年生(78名) 参加者 本校理数科1年生(80名)、運営指導委員、道内大学関係者、 道内高校関係者、胆振管内小中学校関係者、保護者 エ 内 容 発 A分科会 B分科会 C分科会 表 体育館 武道場 多目的ホール ① 13:40 温スープが生体に及ぼす 分子サイズの孔を持つ酸 しょうゆのアミノ酸を調 ~13:55 影響 性物質の合成と環境・エ 査しよう!! ネルギー問題への応用 ② 13:55 太陽炉Ⅱ太陽の熱で焼き 小学生のための理科実験 メガクエイ~次の大地震 ~14:10 肉を食べる! 教室 に備えて~ ③ 14:10 平板の加振実験 人工社会をつくろう!~ 古川教授の世紀のワクワク大 ~14:25 栄高校購買移転計画~ 実験 ~ミドリゾウリム シを白くする魔法~ 休 14:25 休 憩 憩 ~14:30 ④ 14:30 続・パスカルの三角形に タンポポで環境測定でき イタンキ浜の砂 から鉄 ~14:45 ひそむ数理 るか? を取り出す! ⑤ 14:45 ミニピッチングマシーン 有 珠 研 究 熱電対で「クリーン」な ~15:00 をつくろう! 発電! ⑥ 15:00 色彩の心理物理学 ~15:15 ~いろのいろいろ~ <生徒の活動の様子> ア イ 満員のB分科会場 口頭発表する生徒 - 46 - 閉会式での講評 ② アンケートによる検証 ア 来校者によるアンケート Q1 生徒はこの課題研究に興味・関心をもって取り組んだと思いますか。 Q2 この課題研究は生徒の知的好奇心を喚起したと思いますか。 Q3 この課題研究で生徒は探究の方法を身につけたと思いますか。 Q4 この課題研究で生徒の論理的な思考力が増したと思いますか。 Q5 この課題研究で生徒の表現力、発表力が増したと思いますか。 0% 20% Q1 60% 80% 56.5 Q2 Q3 40% 41.3 43.5 37.8 54.3 60.0 100% 2.2 2.2 2.2 0.0 0.0 大変そう思う そう思う 0.0 あまりそう思わない Q4 Q5 30.4 34.8 65.2 60.9 4.4 0.0 4.3 0.0 そうは思わない イ 生徒アンケート 来校者によるアンケートのQ5の結果や生徒アンケートの自由記述欄の記述から、生徒はこの発 表会を通して、表現力や発表力を向上させることができたと考えられる。生徒アンケートより、プ レゼンテーション資料の作成を通して、情報機器を用いた表現力の向上が図られ、理科、数学に対 する興味関心を喚起することができた。 [自由記述欄抜粋] ・発表までの準備は大変で、当日は緊張したけれど、終わってプレゼンターションの自信がつ いた。 ・パソコンでのプレゼンテーション作成の技術を身に付けた。発表の仕方がわかった。 ・論理的にまとめる力、表現する力、大勢の前で発表する力が身についた。 ・考える力と考えたことを相手にわかりやすく説明できるようになった。 ・どのようにすれば観客を引きつけ、内容を理解してもらえるか、発表における表現力が身につ いた。 ・わかりやすく伝える努力をしたので、表現能力が上がった。 ・Power Point を使いこなせるようになった。 ・理科実験に興味がわき、好きになった。 ・数学的な思考力が増し、数学的創造性が養われた。 ③ 成果と課題 アンケートの検証により、当初のねらいは達成できたと考えられる。 情報処理基礎でプレゼンテーション作成実習を行ったおかげで効果的なプレゼン資料の作成が可 能となった。 ウ 見やすく、わかりやすいプレゼンテーションが多かった。 エ 発表時間がやや短く、研究方法等の説明がやや不足してしまった。次年度以降、発表時間の検討 が必要である。 オ 文章、アニメーションが多いプレゼン資料となっているが、数値、データを示して発表するよう に指導する必要があった。 ア イ - 47 - (5)課題研究の検証 ① 生徒アンケートによる検証 ※( )内は昨年度の値 Q1 課題研究時間について もっと増やすべきだ・・・21%(30%) もう少し減らすべきだ・・ 1%( 1%) もう少し増やすべきだ・・39%(44%) もっと減らすべきだ・・・ 0%( 0%) 7%(14%) もう少し減らすべきだ・・ 0%( 0%) もう少し増やすべきだ・・52%(48%) もっと減らすべきだ・・・ 1%( 0%) 適切だった・・・・・・・39%(25%) Q2 まとめの時間について もっと増やすべきだ・・・ 適切だった・・・・・・・41%(36%) Q3 課題研究に積極的に取り組んだ ①強くそう思う 27%(26%) Q4 30%(26%) 38%(34%) 30%(27%) 27%(21%) 0%(0%) ②そう思う 55%(49%) ③どちらでもない ④やや逆である ⑤全く逆である 13%(16%) 3%(8%) 0%(1%) ②そう思う 41%(39%) ③どちらでもない ④やや逆である ⑤全く逆である 17%(23%) 1%(4%) 3%(0%) ②そう思う 46%(29%) ③どちらでもない ④やや逆である ⑤全く逆である 15%(25%) 4%(19%) 4%(0%) ②そう思う 37%(31%) ③どちらでもない 25%(20%) ④やや逆である 10%(4%) ⑤全く逆である 1%(1%) 発表会では積極的に与えられた役割を果たした ①強くそう思う 34%(32%) Q9 0%(0%) プレゼンテーション資料作りに積極的に取り組んだ ①強くそう思う Q8 ⑤全く逆である 自分が取り組んだ課題研究の内容でよかった ①強くそう思う Q7 21%(16%) ④やや逆である 課題研究の内容に興味が持てた ①強くそう思う Q6 52%(58%) ③どちらでもない 課題研究の内容を理解できた ①強くそう思う Q5 ②そう思う ②そう思う 37%(14%) ③どちらでもない 24%(19%) ④やや逆である ⑤全く逆である 4%(4%) 0%(1%) ④やや逆である ⑤全く逆である まとめのレポート作りに積極的に取り組んだ ①強くそう思う 18%(21%) ②そう思う ③どちらでもない 27%(35%) 42%(27%) 11%(17%) 1%(0%) (自由記述欄抜粋) ・仮説、実験方法、考察などの熟考を通し、論理的思考力が豊かになった。 ・グループでの研究を通して、自分から積極的に発言したりする、積極性や主体性が身についた ・物理学、工学に対する関心が増した。大学進学後に自分がやりたいことがはっきりした。 ・高校レベルを超えた実験を行うことができて嬉しかった。研究を通して問題解決能力が身につ いた。 ・実験結果について論理的に考察する力、周囲の人にわかりやすく説明する力が付いた。 - 48 - ・情報処理技術を身に付け、効果的な発表の仕方を学んだ。 ・大学に行って高度な機材を使用して研究ができたことはとても貴重な経験であった。 ・問題発見能力、課題解決能力、プレゼンテーション能力が身についた ・コンピュータシミュレーションについて学び、そのすごさがわかった。 ・仮説を立て、長期にわたる実験を通して、探究の方法を学んだ。 ・課題研究を通して、理科が好きになった。 ・オリジナリティーを大切にしながら研究を進めることで、創造性や独創性が養われた。 ・すぐに結果が出ないときでも、諦めずに努力を続けられる粘り強さが身についた。 ・自分達で未知の事柄を解き明かしていったり、発見するおもしろさを知った。 ・高校では学ばない、ゼーベック効果など大学レベルの内容に触れられて楽しかった。 Q1、Q2の結果から約6割の生徒が研究時間の不足、まとめる時間の不足を感じていることがわ かる。全体の計画の中で配当時間について検討する必要がある。Q3、Q4、Q5、Q6、Q7の結 果から課題研究に対する意欲、モチベーションは高いと考えられ、昨年度と比較して肯定的な解答が 増加傾向にある。Q9の結果からまとめのレポート作成やプレゼンテーション資料の作成について は、情報処理技術の高い生徒に負担が偏っていることが考えられる。情報処理に関するプログラムの 配当時間の増加や、パソコン、タブレット端末等の各班への割り当て台数の増加等の検討が必要と考 えられる。 ② 成 果 ア アンケートによる検証から課題研究のねらいは十分達成することができた。 イ 生徒が意欲的に課題研究に取り組み、主体性や問題解決能力が向上した。 ウ 口頭発表、その後の質疑応答によって表現力、論理的思考力が育成された。 エ 1年次の基礎課題研究に引き続いて課題研究を実施することで、探究の能力が深化した。 ③ 課 題 ア 研究テーマ数、一グループあたりの人数についての検討。 イ 課題研究のテーマ設定の方法についての検討。 ウ 個人研究についての検討。 エ 課題研究の計画的な推進、部活動など他の活動との両立させる方策の検討。 第3節 JICA研修員交流事業 [仮説] (1)JICA研修員との交流を通して、英語による表現力を育むことができる。 (2)JICA研修員との交流を通して、国際性を育むことができる。 ① 実施概要 ア 日 時 平成25年11月5日(火)3~6校時 イ 会 場 地学教室(SSHの説明、生徒研究報告、2年5組交流会) 物理教室(2年6組交流会) 洞爺湖有珠山ジオパーク(有珠巡検) - 49 - ウ 対 象 JICA研修員 8名 (アフガニスタン1・バングラデシュ3・ネパール1・パキスタン3) 理数科2年生 エ 内 a 容 78名 以下の活動における使用言語は、全て英語である。 3校時 SSH推進部長による、SSH事業の説明 課題研究『有珠山研究』グループによる、研究報告・巡検の予告 課題研究『小学校教材開発』グループによる、演示実験(サイエンスショー) b 4校時 交流会: 各クラスとも生徒は4グループに分かれる。 各グループに1名、JICA研修員が加わる。 各グループのコーディネータによる進行のもと、概ね以下の話題に沿って 交流。 c ① 自己紹介(全員) ② 「栄高のいいところ」発表 ③ 「室蘭/北海道/日本 ④ JICA研修員からの質問 ⑤ フリートーク 検 ア 発表 5~6校時 有珠巡検: ② のいいところ」 『有珠山研究』Gの案内による、洞爺湖有珠山ジオパークの見学 証 3校時にプレゼンテーションを行った2つの生徒グループのメンバーについては、「英語を用い てコミュニケーションをする」必然性のもと、聴衆も英語の非母語話者であることに留意しつつ 周到に準備を行い、サイエンス英語Ⅱ「サイエンスプレゼンテーション講習」で学んだスキルを 活用して、発表・報告を行った。有珠山研究グループについては、午後の巡検においても、過去 の実践の蓄積も活用しながらガイドを務めた。 イ 4校時の交流会に参加した理数科一般生徒については、英語の非英語話者による非標準的な発音 にとまどいながらも、積極的に本校・地域・我が国の情報の発信と、研修員出身国の情報の受信 をしようとする姿勢が見られた。一部のグループでは、(研修員の積極的な態度に多くを負うもの であるが)交流時間が足りないのではと思わせるほどの盛り上がりを呈した。 ③ まとめ 一昨年度までは一部生徒のみの参加であったが、昨年度より2学年理数科全員による交流会を取り 入れた。研究発表を行ったグループの生徒はもちろんのこと、交流会のみに参加した生徒も、「英語の 非母語話者同士の、英語によるリアルなコミュニケーション」という、通常の英語の授業等では経験し がたい機会を活かし、積極的にコミュニケーションを図ろうとする態度を養うことができた。生徒にと っては、平素の英語学習やサイエンス英語Ⅱで学んだスキルを実際に運用する機会として、非常に貴重 な経験であり、JICA運営サイドおよび研修員の皆さんからも、非常に有意義な研修であったという 声を戴いた。本校SSH事業の継続申請が成った場合は、実施の細案にさらに必要に応じて検討を加え つつ、このプログラムを継続していく。 - 50 - 第5章 研究発表・交流・普及活動 (1)HOKKAIDOサイエンスフェスティバル [仮 説] 北海道のSSH指定校が一堂に会した研究発表会に参加し、発表するとともに、他校の生徒の 発表を聞き、交流することなどを通して、探究活動に対する意欲が向上することができる。 ① 実施概要 ア 日 時 平成26年1月25日(土) イ 会 場 北海道大学大学院環境科学院 ウ 対 象 12月に校内で行われた2年生 課題研究発表会において3会場そ れぞれで優秀発表に選ばれた3グ ループ14名 エ 内 容 a開会式 b各校活動紹介 cポスター発表(3会場:33本の発表) 本校発表: 「タンポポで環境測定できるか」 「続・パスカルの三角形にひそむ原理」 d口頭発表(2会場:10本の発表) 本校発表: 「ミドリゾウリムシを白くする魔法」 e講評、閉会式 オ 参加校及び参加者 ・北海道地区SSH指定校 ・参加生徒 ② 10校 131名 ・参加引率教員 41名 ・指導助言講師 7名 成果と課題 参加した生徒は、意欲的に準備に取り組み、発表も校内での内容より、進歩がみられた。また、他 校の発表をきくことや、他校の生徒との交流によって、大いに刺激を受け、理数系の探究活動への意 欲を向上させることにつながった。 - 51 - (2)全国SSH指定校生徒研究発表会 〔仮 説〕 全国の SSH 指定校の生徒と交流し、自分たちの研究発表を行うことで、論理的思考力、表現力が 向上するとともに、先進校の生徒の研究発表を聞き、質疑応答することにより、自然科学に対する知 的好奇心や探求心がさらに喚起され、研究方法や発表方法についての理解を深めることができる。 ① 実施計画 ア 日 時 平成25年8月7日(水)、8日(木) イ 会 場 パシフィコ横浜、国立大ホール、展示ホールB ウ 対 象 理数科2年生1名 普通科2年生5名 理数科1年生2名 エ 内 容 初 合計8名 日:全体講演、ポスター発表、アピールタイム、 講評 2日目:代表校による口頭発表、ポスター発表、 全体講評 参加した生徒 a ポスター発表:本校化学部の生徒の研究「溶質が表面張力に及ぼす影響」をポスター発表した。 b アピールタイム:研究の経緯、ポスター発表の内容を紹介するプレゼンテーションを行った。 c 代表校による口頭発表:前日のポスター発表の中から選抜された代表校による口頭発表を全体 会の中で聞いた。 ② アンケートによる検証 (自由記述欄抜粋) ・全国の高いレベルを肌で感じて、自分たちの研究の未熟さを痛感した。 ・色々な学校の先生方からたくさんのご指摘を頂き、これからの実験をさらに飛躍させたいと 思った。 ・研究内容はもちろん、発表の仕方の工夫に驚いた。(さらに楽しくわかりやすくするための資 料や聴衆に興味を持たせるユーモアあふれる話し方などなど、感銘を受けた。) ・今回の発表会に参加して、科学の分野を超え人としての視野が広がったと思います。今回の経 験を今後の活動に活かすのはもちろんのこと、将来日本、世界で活躍できるように頑張りたい ・今回学んだことは今後の課題研究や化学部の研究に生かしていきたいと思います。 終了後のアンケートの記述から、全国の高校生の研究発表を見ることで、自然科学に対する知的好奇 心、探究心が大いに喚起されていることがわかる。また、他校の発表を見ることで研究方法や発表方法、 態度についての理解も深められたと考えられる。多くの来場者と質疑応答を交わし、やりとりする中で で論理的思考力や表現力、発表力の向上が見られた。 ③ ④ 成 果 ア アンケートの検証により、当初のねらいは十分達成できた。 イ 生徒の視野が広がり、研究へのモチベーションや進路意識が向上した。 ウ 次年度への継続性という観点から1年生を参加させたことはよかった。 課 題 校内における代表生徒の選考方法について検討する必要がある。 - 52 - (3)青少年のための科学の祭典室蘭大会 [仮 説] (1)地域の理数系の行事に参加することにより、2学年課題研究、理科系部活動の活性化および生 徒の研究活動に対する意欲を向上させることができる。 (2)地域の子どもたちに多くの理科実験・観察を体験させることにより、地域の理科教育力を高め、 理科好きの子どもを育てることができる。 ① 実施概要 ア 日 時 平成25年9月8日(日) 9:30~16:00 イ 会 場 室蘭市青少年科学館 ウ 対 象 一般市民(小中学生及び保護者等) エ 内 容 a 2年生課題研究「小学校教材開発グループ」による実験ブースの開設 b 化学部による3つの実験ブースの開設 「アルミニウム粉末による指紋の検出」 プラスチック板に指紋を付け、それにアルミニウム粉末をかけ指紋を検出する。 「手の熱でまわる風車」 折り紙でつくった風車をピンに乗せて、プラスチックコップを手で暖めることによる上昇気 流で風車をまわす。 「発砲入浴剤をつくろう」 重曹とクエン酸で発砲入浴剤をつくる。 ② 検 証 会場を訪れた地域の子どもたちに、大変好評で、ブースを運営した生徒には、大きな 刺激となり、 さらなる研究活動の励みになった。 ③ 成果と課題 SSH事業の成果の地域への還元は、生徒の研究活動をより深いものとするだけでなく、生徒の説 明する能力の向上や研究活動に対する意欲を向上させることにもつながった。今後は、本校が主体と なって研究成果を地域に発信していく工夫が必要である。 - 53 - (4)科学の甲子園 〔仮 説〕 科学の甲子園に参加することにより、理科・数学・情報への興味関心が高まり、科学的思考力を 向上させることができる。また、参加者の創造性や独創性、表現力やコミュニケーション能力を向上 させることができる。さらに、理数系部活動が活性化する。 ① 実施概要 ア 地区予選 a 日 時 平成25年10月6日(日) b 会 場 北海道室蘭栄高等学校 c 参加チーム イ 北海道室蘭栄高等学校より3チーム 北海道予選 a 日 時 平成25年12月14日(土) b 会 場 北海道札幌啓成高等学校 c 参加チーム 内 容 ② ③ ア 地区予選 イ 北海道予選 道内各地より、本校2チームを含む全12チーム 理科、数学、情報に関する知識、計算力、思考力を問うペーパーテスト 創造性、独創性、表現力を問う実験、観察、実技問題 生徒の活動の様子 地区予選会の様子 ④ 地学実験室 北海道予選の様子 作成したクリップモーターカー アンケートによる検証 (自由記述欄抜粋) ・自分の思ったとおりにいかない部分もあったが、様々な事象から考えることができた。 ・サイエンスコミュニケーションでは練習よりも本番のほうが上手く形を文章で伝えることがで きた。 ・大会本番まで何度も試行錯誤し、楽しく思考することができたので良かった。 ・今回の経験を通して、他のひとから刺激を受け、ますます理数系への意欲を向上させました。 ・チームメイトと仲良くなれた。絆が強まった。 終了後のアンケートの記述から、このプログラムに参加することで理科・数学・情報への興味関心を 高め、科学的思考力を向上させたと考えられる。また、課題解決に向けて試行錯誤を繰り返す中で創造 性や独創性が育まれた。チームで参加することで、表現力、コミュニケーション能力の向上にも効果が あったと考えられる。 ⑤ 成果と課題 ア アンケートによる検証から、当初のねらいは十分達成できた。 イ 本校参加者の約半数が化学部の生徒であり、理科系部活動の活性化につながった。 ウ 本番当日までの準備体制、指導体制を検討する必要がある。 - 54 - (5)青少年サイエンスミーティング 〔仮 説〕 先端科学に関する講演や実験・講義等を体験することにより、科学への興味関心が高まるととも に、科学を探究する心や態度を養い、科学技術人材の育成を図ることができる。 ① 実施概要 ア 日 時 平成25年11月13日(水) イ 会 場 北海道札幌東高等学校 ウ 対 象 理数科1年生5名(4名は、基礎課題研究におけるテーマ「生命(いのち)のあり方」 のメンバー。1名は医学部医学科志望生徒) エ 内 a 容 先端科学に触れる実験・講義 ・主題: 「iPS細胞を知る」 ・講師:清野 研一郎 氏(北海道大学遺伝子病制御研究所教授) ・「iPS細胞」や「ES細胞」とは何なのか。そして、 どのような活用が今後期待されているのか、などを知 るために実際に「iPS細胞」を観察した。iPS細胞 の名前の由来やノーベル受賞者の山中伸弥教授の研究お よび山中教授とノーベル生理学・医学賞を共同受賞したジ ョン・ガードン教授の研究についてなど、生徒の興味関 心を喚起する話題豊富な内容であった。 b 講演 ・主題: 「iPS細胞から考える生命(いのち)へのまなざし」 ・講師:星野 利彦 氏(京都大学iPS細胞研究所教授) ・iPS細胞から生命倫理を考える内容であり、まさしく基礎課題研究で研究しているテーマ に沿った講演であった。iPS細胞に関する10年間での活動目標として、○基盤技術の確 立、知財確保、○再生医療用iPS細胞ストックの構築、○前臨床試験から臨床研究を行う こと、○患者由来のiPS細胞による治療や薬の開発の4つがあげられた。また、東日本大 震災の原発事故等による科学者に対する信頼度の低下 からiPS細胞の研究に関しても不安の声があったり、 2012年に出された「科学技術白書」の中に、“新し い技術を社会が受け入れるかどうかは、科学者だけで はなく、社会全体で決める”ということになったこと などの話がなされた。 ② 成 果 「生命(いのち)のあり方」をテーマにした基礎課題研究の1グループ4名が参加したが、「医 療倫理」を再度見直し、理解を深める良い機会となった。また、基礎課題研究の研究発表をする上で も大変参考になった。その他、1名医学部医学科志望の生徒も同行したが、医学科への興味関心が高 まり、将来医療に携わる意志がさらに強固なものになった。 - 55 - (6)HOKKAIDOサイエンスキャンプ 〔仮 説〕 道内 SSH 指定校と北海道立教育研究所附属理科教育センターが連携し、発展的なテーマを設定 した実験や参加者同士の交流を行うことにより、創造性や独創性、思考力、表現力、コミュニケ ーション能力等の向上させることができる。 ① 実施計画 ア 日 時 平成25年度9月14日(土)、15日(日) イ 会 場 北海道立教育研究所附属理科教育センター ウ 参加校および参加人数 a 北海道室蘭栄高等学校(理数科2年生2名、1年生6名、普通科2年生1名、引率教諭2名) b 北海道旭川西高等学校(生徒8名、引率教諭2名) c 北海道札幌啓成高等学校(生徒12名、引率教諭2名) d 北海道札幌西高等学校(生徒3名、引率教諭1名) e 札幌日本大学高等学校(生徒1名、引率教諭1名) f 北海道滝川高等学校(生徒1名、引率教諭1名) エ ② 内 合計生徒34名、引率教諭9名 容 a 9月14日 開会式、生徒交流実験屋台、生徒交流型チャレンジ実習 b 9月15日 実験実習①(物理/生物)、実験実習②(化学/地学)、サイエンスバトル、閉会式 生徒の活動の様子 互いに実験しあう実験屋台 ③ 1泊2日 落下時間最長構造物の作成 吸虫管を使ってアリの行動観察 アンケートによる効果の検証 Q1 サイエンスキャンプは自然科学や理科実験への興味関心を高めましたか。 Q2 サイエンスキャンプは思考力を高めましたか。 Q3 サイエンスキャンプは創造性や独創性を高めましたか。 Q4 サイエンスキャンプは表現力を高めましたか。 Q5 サイエンスキャンプはコミュニケーション能力を高めましたか。 Q6 サイエンスキャンプは今後の SSH 活動、理系研究活動への意欲を高めましたか。 - 56 - 0% 20% 40% Q1 60% 80% 88.9 Q2 44.4 44.4 Q4 55.6 33.3 Q5 66.7 44.4 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 11.1 5 5.6 Q3 100% 55.6 Q6 77.8 Q7 サイエンスキャンプの感想(自由記述欄抜粋) 22.2 大変高めた 高めた あまり高めなかった 高めなかった ・知らなかった他校の生徒とも交流できて、大きな刺激になりました ・他校との交流で新鮮な気持ちになれた。今後も積極的にSSHの活動に参加していきたい。 ・発表を見たり考えたり話したり色んな場面で思考力、表現力、コミュニケーション能力 が高まった。 ・実験屋台は各学校のオリジナリティーがあって楽しかった。 ・チャレンジ実習は班ごとに課題解決に向けて独創的な構造物を作成することができた。 ・学校ではやらないような実験ばかりで、どれも楽しくて面白かった ・特にサイエンスバトルは自分が知らない事も、みんなで話し合いながら協力して課題を 解決するので、科学的思考力が鍛えられた。 アンケート結果Q1、Q6から、ほとんどの生徒が自然科学や理科実験への興味関心を大いに高め、 今後のSSH活動、理系研究活動に前向きに取り組もうとしていることがわかる。Q2、Q3、Q7の 記述内容からこのプログラムを通して、創造性や独創性、思考力を高めたことがわかる。また、他校の 生徒と協力して実験実習を行うことで、表現力、コミュニケーション能力の向上が見られた。 ④ 成 果 ア アンケートの検証により当初のねらいは達成できた。 イ SSH校どうしの生徒が交流することで、お互いに刺激となり、SSH活動や研究活動に対する 意識の向上が図られた。 ウ 生徒がお互いに実験を見せ合うことで、自分自身の知識理解が深まると同時に、表現力、コミュ ニケーション能力の向上が見られた。 エ 理科教育センターの協力により、普段学校ではできない発展的な実験をすることができた。 オ 人材育成重点枠(地域の中核拠点形成)指定を受けている北海道旭川西高等学校と連携して準備、 運営をスムーズに行うことができた。 - 57 - (7)化学グランプリ・数学コンテスト [仮 説] 理数系のコンテストに参加することにより、科学的な思考力や応用力を高めたり、理数系科目に対 する意欲を向上させることができる。 ① 実施概要 ア 実施日 平成25年7月15日(月) 北海道高等学校数学コンテスト 平成26年1月9日(木) イ 化学グランプリ 会 化学グランプリ 室蘭工業大学 北海道高等学校数学コンテスト 本校会議室 ウ ② 場 参加者 13名(1年生 数学コンテスト 4名(2年生 成 化学グランプリ 2名、2年生 6名、3年生 5名) 4名) 果 化学グランプリは、化学部の生徒を中心に、多くの生徒が参加した。参加した生徒は、刺激を受け、 学習意欲を高める一助となった。 ③ 課 題 他のコンテストには参加希望者がおらず、生徒に対する宣伝や、コンテストへの対策に課題を残し ている。 - 58 - (8)日本地球惑星科学連合2013年大会 〔仮 説〕 自分達の研究成果を専門家が集う学会で発表することにより、知的好奇心や探究心がさらに喚 起 される。また、最先端の研究者達の研究発表を聞き、質疑応答することで論理的思考力、表現力が向 上するとともに、研究方法や発表方法についての理解を深めることができる。 ① 実施概要 ア 日 時 平成25年5月19日(日) イ 会 場 幕張メッセ国際会議場(千葉県) ウ 対 象 理数科3年生(4名)、理数科2年生(3名) エ 内 容 a SSH課題研究「有珠研究」発表 理数科3年生(4名) 平成24年度課題研究で取り組んだ、有珠山の断層調査とマグマの活動に関する研究につい てポスター発表を行った。 b SSH基礎課題研究「津波ハザードマップに挑戦」発表 理数科2年生(3名) 平成24年度基礎課題研究で取り組んだ、本校通学区域における津波ハザードマップ作成に関 する研究についてポスター発表を行った。 ② 生徒の活動の様子 ポスター発表風景 ③ 専門家への説明 入口で記念撮影 アンケートによる検証 (自由記述欄抜粋) ・大学の研究員、設計士や気象庁の方など各分野の専門家から鋭いご指摘やご意見をいただいて 今後の課題研究に向けて一層意欲が高まった。 ・日本大震災の被災地である福島県の高校生が熱心に聞いてくれて、意見交換し交流が深まった。 ・質疑応答で意見を交わして様々な考え方を得られたため、論理的思考力にプラスになった。 ・最先端の研究を知って、科学を学ぶ意欲が高まりました。本当にいい経験になりました。 終了後のアンケートの記述から高校生が学会で発表を行うことで知的好奇心や探究心が刺激されると 同時に、専門家と議論を交わすことで論理的思考力が向上したと考えられる。また、専門家からアドバ イスをもらい、研究方法についての理解が深まり、モチベーションアップに効果があったと考えられる。 ④ ⑤ 成 果 ア アンケートの検証により当初のねらいは十分達成できた。 イ 学会での発表経験が、その後の研究活動のレベルアップにつながった。 ウ 発表の機会が増えたことで、表現力、コミュニケーション能力が向上した。 課 題 他の分野における学会での発表についても検討する。 - 59 - (9)工学フォーラム2013 〔仮 説〕 自分達の研究成果を専門家が集うフォーラムで発表することにより、知的好奇心や探究心がさ らに喚起される。また、最先端の研究者達と質疑応答することで論理的思考力、表現力が向上す るとともに、研究に対する意欲、モチベーションを高めることができる。 ① 実施概要 ア 日 時 平成25年10月19日(土) イ 会 場 石川県文教会館(金沢市) ウ 対 象 理数科2年生(2名) エ 内 容 SSH基礎課題研究「津波ハザードマップに挑戦」 平成24年度基礎課題研究で取り組んだ、本校通学 区域における津波ハザードマップ作成に関する研究 についてポスター発表を行った。 ポスター発表会場にて ② アンケートによる検証 (自由記述欄抜粋) ・実際に津波ハザードマップの研究をしている大学教授から的確なアドバイスを受けることが できた。 ・中学校の先生が「自校の生徒にもハザードマップを作らせたい。」と興味を持ってくれた。 ・今回の工学フォーラムでは講演やパネルディスカッション、ポスターセッションが行われ、 それぞれ貴重な経験が得られた。 ・全国の高校生の発表を聞いてとても刺激になりました。 ・最先端の研究を知って、科学を学ぶ意欲が高まりました。本当にいい経験になりました。 終了後のアンケートの記述から工学フォーラムで研究発表を行うことで知的好奇心や探究心が刺激さ れると同時に、専門家と議論を交わすことで論理的思考力が向上した考えられる。また、専門家からア ドバイスをもらい、研究に対する意欲、モチベーションアップに効果があったと考えられる。 ③ ④ 成 果 ア アンケートの検証により当初のねらいは十分達成できた。 イ 工学フォーラムでの発表経験が、その後の研究活動のレベルアップにつながった。 ウ 発表の機会が増えたことで、表現力、コミュニケーション能力が向上した。 課 題 発表会での指摘を受けての、追加実験や研究の修正を行う時間の確保を検討する。 - 60 - (10) [仮 全校講演会 説] 最先端の研究者とふれあい、講演を聴くことによって自然科学に対する興味関心を喚起し、科学 的思考力の向上、理工系の研究活動についての理解を深めるとともに、生徒の進路意識の高揚を図る。 ① 実施概要 ア 日 時 平成25年6月21日(金) イ 場 所 室蘭栄高校体育館 ウ 対 象 全校生徒および保護者、近隣校教職員 エ 講 師 東京大学大気海洋研究所 国際沿岸海洋研究センター准教授 佐藤克文 氏 国際沿岸海洋研究センター博士研究員 楢崎友子 氏 中村乙水 氏 東京大学大学院農学生命科学研究科博士課程3年 オ 内 容 「バイオロギング研究」 「ウミガメの旋回行動に関す る研究」「マンボウの生態 に関する研究」について3 氏より講演をいただき、放 課後には希望者による座談 会も実施した。 ② アンケート結果 Q1理解しやすかったか Q2自然科学への興味関心を高めたか Q3理系研究活動への理解を深めたか 講演会で質問する3年生 Q4進路意識を刺激したか Q5自分の考えが広がったか 0% 20% Q1 ③ 59.4 20.4 9.1 80% 100% 3.5 64.0 25.8 Q3 Q5 60% 32.3 Q2 Q4 40% 14.0 61.6 36.7 22.5 17.1 45.8 62.5 0.2 0.8 0.9 非常にそうである ややそうである ややそうではない 全くそうではない 8.4 14.5 回答総数648名 0.5 成果と課題 最先端の研究者の話を聞くことにより、理数科の生徒にとってはSSHの活動意欲のさらなる高ま りに向けての良い刺激となった。また、普段SSHに関わらない普通科の生徒にとっても、自然や理 系に関する興味関心を呼び起こすきっかけとなった。また、座談会を実施することにより、生徒にと ってより身近に感じることができた。今後も、より多くの生徒が興味を持つようなテーマで講演会を 設定することが大切である。 - 61 - (11)SSHカナダアルバータ州北方林研修 [仮 説] 森林をテーマにして、地球規模での環境や自然科学に対する見識を深めるとともに、環境保全や 持続可能な社会について提言ができるよう、英語によるプレゼンテーション能力を養い、将来の国 際的に通用する自然科学分野のリーダー育成を目指す。 ① 実施概要 ア 日 程 平成25年8月6日(火)~13日(火)6泊8日 イ 会 場 アルバータ州立大学、カナダ国立北方森林研究所など ウ 対 象 1年1組 エ 内 容 アルバータ州立大学等の研究者から講義や実習の指導を受けながら、カナダの中高生 上杉 春香 1年5組 鈴木 智景 と北方林の調査を行い、森林保全の実際に触れ、北方林問題点を理解する。森林の環 境に係る交流やホストファミリーとの交流により、英語でのコミュニケーションの重 要性を理解する。 オ ② 付随する研修 a 事前研修 札幌啓成高校での森林研修および e-Learning による英語学習 b 事後研修 国際森林環境フォーラムでの発表およびその事前準備 参加生徒の報告 ア 今回の研修ではカナダの人たちの自然に対する意識 の高さと、人と野生動物の関わり、つまり共存共栄と いう考え方を学びました。外から日本を見ると普段見 えない事が見えてきて、自分の視野が確実に広がった と感じました。 アルバータ州立大学 イ 研修を通して、毎木調査の方法や専門的な自然科学 の知識を学ぶことができました。研修では科学的な要 素も多く最初は理解できないものばかりでした。しか し、研修をしていくと今までわからなかったことがわ かるようになり、知識の幅が広がりました。外国での 研修であったので英語を使う機会が多く、これまでの 英語の学習の確認をすることができました。 Elk Island で見たバイソン ③ 成果と課題 このプログラムは、本校にはない「海外研修」のプログラムである。利用可能な他校のプログラム を利用することによって、生徒の興味関心の幅を広げることができた。また、本校より生徒を派遣す るにあたって、学校としてどのようにフォローしていくかが課題として残った。 - 62 - (12)3年生理系希望者対象理科発展実験講座 〔仮 説〕 3年生理系生徒に対して、授業時間内で行うことができなかった実験や、発展的な内容を含む 実験を行うことによって、自然科学に対する興味・関心を高め、理系進学や研究者としての素養 づくりの手助けとすることができる。 ① 実施計画 ア 日 時 平成25年 7月17日(水)7校時 第1回 平成25年 8月21日(水)7校時 第2回 平成25年10月 9日(水)7校時 第3回 平成25年10月23日(水)7校時 第4回 イ 場 所 物理実験室、化学実験室、生物実験室 ウ 対 象 3年生理系生徒 エ 内 容 物 第1回 理 金属の比熱の測定 化 学 ステアリン酸単分子膜による 生物 参加人数 光合成色素の分離 3講座合計 アボガドロ数の測定 第2回 向心力の測定 ヘスの法則に関する 23名 ウニの受精 実験 第3回 等電位面の測定 33名 酸化還元滴定 豚眼球解剖 コンデンサー実験 第4回 LEDのV-I特性 3講座合計 27名 電気分解の量的関係 2講座合計 (ファラデーの法則) 7名 延べ人数 ② 3講座合計 90名 生徒の活動の様子 回路を自分で組む生徒 ステアリン酸単分子膜作成 - 63 - ウニの受精を観察 ③ アンケートによる検証 Q1 今回の実験は理解しやすいものでしたか。 Q2 今回の実験は理科、自然科学に対する興味・関心を高めましたか。 Q3 今回の実験は授業で習ったことの復習、応用に役立ちましたか。 Q4 今回の実験は理系進学、理系研究に役立つと思いましたか。 0% 20% Q1 40% 60% 80% 58.3 38.3 100% 3.4 0.0 大変良い 1.6 66.7 Q2 31.7 0.0 3.3 Q3 50.0 46.7 0.0 44.1 Q5 54.2 あまり良くない 良くない 1.7 Q4 良い 0.0 このプログラムに対する感想(自由記述欄抜粋) ・ペーパークロマトグラフィーの実験はあまりよくわかっていなかったので、この実験で理解 することができた。 ・教科書に載ってないことを自分の目で見ることができてとても勉強になりました。 ・図説や教科書でしか見たことない実験を実際に体験できたのはとてもよかった。ウニの生殖 について理解が深まった。 ・将来生物系の学科に行こうと思っているのでとても良い経験となりました。教科書などで学 ぶより、実際に見てみた方が勉強になったと思います。 ・等電位面のイメージがよくつかめていなかったけど、実践で理解できたと。LED の実験はも う少しやりたかったです。 アンケートのQ1、Q2の結果から参加した多くの生徒が実験内容を十分理解し、理科、自然科学に 対する興味関心を高めることができたと言える。Q3、Q4の結果とQ5の自由記述の内容から、この プログラムが授業内容の復習とその応用に役立ち、将来理系研究者の素養作りに効果があったと考えら れる。 ④ 成果と課題 ア アンケートによる検証によって当初のねらいが十分達成できた。 イ 理数科、普通科合わせて、延べ90人の生徒が参加し、SSH事業を普通科生徒にも大いに 還元することができた。 ウ 学年団と協議しながら、多くの生徒が参加しやすい時期、実施回数等を検討する必要がある。 - 64 - (13)分野別講演会 〔仮 説〕 研究者の講演を聞き、最先端の科学技術を学ぶことにより生徒の科学的思考力や探究心の向上を 図るとともに、研究者や理系研究活動に対する理解を深めることができる。 ① 実施計画 ア 日 時 平成25年10月29日(火) 15:40~17:10 第1回 平成25年12月 3日(火) 15:40~17:10 第2回 平成25年12月 5日(木) 15:40~17:10 第3回 イ 会 場 化学実験室、視聴覚教室 ウ 対 象 1,2年生希望者 エ 内 容 a 第1回 テーマ ゼオライトの触媒化学 講 師 北海道教育大学函館校 概 要 ゼオライトに関する基本事項の説明、触媒化学分野の基礎的事項の説明、陽 松橋博美 教授 イオン交換反応と蛍光色素合成に関する生徒実験 b 第2回 参加者 15名 テーマ 暮らしを支えるクロスカップリング反応 講 師 北見工業大学工学部マテリアル工学科 概 要 有機合成化学の基本的事項の説明、クロスカップリング反応の原理説明、ク 村田 美樹 教授 ロスカップリング反応に関する生徒実験 c 第3回 参加者 13名 テーマ 聴診器を持たないRadiologistと画像をめぐる冒険 講 師 旭川医科大学放射線医学講座助教 概 要 放射線医学の歴史、MRI、CTの基本原理、臨床応用例に関する講義、A 渡邊 尚史 医師 Iについての講義 参加者 ② 30名 生徒の活動の様子 蛍光色素合成実験 クロスカップリング反応を体験 - 65 - MRIについて質問する生徒 ③ アンケートによる検証 Q1 今回の講演(実験)は理解しやすいものでしたか。 Q2 今回の講演(実験)は自然科学に対する興味、関心を高めましたか。 Q3 今回の講演(実験)は科学的思考力や探求心を高めましたか。 Q4 今回の講演(実験)は研究者や理系研究活動についての理解を深めましたか。 Q5 今回の講演(実験)は進路意識、進学意識を向上させましたか。 0% Q1 20% 40.4 Q2 52.6 Q4 49.1 Q5 60% 80% 56.1 100% 3.5 56.1 47.4 Q3 Q6 40% 47.4 45.6 5 0.9 35.1 0.0 5.2 0.0 1.8 0.0 8.8 大変良い 良い 0.0 0.0 あまり良くない 良くない 0.0 今回のプログラムの感想(自由記述欄抜粋) ・電子の軌道のモデルのお話をしていただけて、もっと詳しく知りたいと思いました。 ・ゼオライトを中心に触媒化学を学んだが、化学の奥深さを感じることができて良かった。 ・この機会を通して化学を学ぶ気持ちが高まりました。大変参考になりました。 ・ノーベル化学賞の鈴木さんは実際どのようなことを行ったのかを知ることができて、とても良 い経験となりました。 ・クロスカップリングを体験できる貴重な経験ができて良かったです。 ・進路についてまだ決まっていることがないので、良い参考になりよかったです。 ・AIや遠隔画像診断といった最新の放射線医療の事情、これからの放射線医療(モリキュラー イメージング)等のお話が聞けて、放射線分野に興味がある自分にはとても新鮮だった。 アンケートQ1、Q2、Q3の結果から多くの生徒が最先端の研究者の講演を聞き、実験の指導を受 けることで、自然科学への興味関心を高め、科学的思考力や探求心が向上したことがわかる。アンケー トQ4,Q5、Q6の自由記述欄の記述より、研究者や理系研究活動への理解を深め、進路意識を高揚 させたと考えられる。 ④ 成果と課題 ア アンケートによる検証から、当初のねらいは達成できたと考えられる。 イ 内容が化学分野に偏ってしまった。 ウ 開催時期についても偏りがあったため、適切な時期の検討が必要である。 - 66 - 第6章 1節 今年度の取組の成果とその評価 生徒はSSHをどう捉えたか 理数科生徒154名中の(%) ① Q1 いた・あった ② いない・なかった 理科・数学の面白そうな取組に参加で きる(できた)という利点を意識して いましたか Q5 ② 36% 理科・数学の面白そうな取組に参加で きる(できた)という効果はありました か ② 9% Q6 ③ 5% ② 35% 理科・数学に関する能力やセンス向上 に役立つ(役立った)という利点を意識 していましたか Q7 ③ 10% 大学進学後の志望分野探しに役立つ (役立った)という利点を意識してい ましたか ③ 17% ② 18% ① 40% ② 43% ① 72% Q4 理系学部への進学に役立つ(役立った) という効果はありましたか ③ ① 29% 36% ① 86% Q3 理系学部への進学に役立つ(役立った) という利点を意識していましたか ① 45% ① 88% Q2 わからない ③ 19% ③ 3% ② 9% ③ 理科・数学に関する能力やセンス向上 に役立つ(役立った)という効果はあり ましたか ③ 22% ② ① 16% 62% Q8 大学進学後の志望分野探しに役立つ (役立った)という効果はありました か ③ ① 30% 35% ② 35% -67- Q9 将来の志望職種探しに役立つ(役立っ た)という利点を意識していましたか Q11 国際性の向上に役立つ(役立った)と いう利点を意識していましたか ③ 12% ③ 17% ① 40% ② 48% ② 42% Q10 将来の志望職種探しに役立つ(役立っ た)という効果はありましたか Q12 国際性の向上に役立つ(役立った)と いう効果はありましたか ③ ① 24% 34% ③ 25% ② やや増した ③ 効果がなかった Q13 科学技術に対する興味・関心・意欲が 増しましたか ③ ④ 5% 6% ① 46% ② 29% ② 42% ① 大変増した ⑤ 分からない ① 41% ④ もともと高かった Q14 科学技術に関する学習に対する意欲が 増しましたか ④ ③ 5% 8% ⑤ 1% ① 40% ② 48% ⑤ 4% ① 35% ② 48% 下記のそれぞれの項目について、学習全般や理科・数学に対する興味、姿勢、能力に向上がありました か Q15 未知の事柄への興味(好奇心) ③ 5% ④ 5% Q16 理科・数学の理論・原理への興味 ⑤ 1% ② 39% ④ 4% ⑤ 2% ① 42% ③ 10% ① 50% ② 42% -68- Q17 理科実験への興味 ④ ③ 5% 13% Q22 周囲と協力して取り組む姿勢(リーダ ーシップ、協調性、 ) ⑤ 1% ③ ④ 6% 3% ① 51% ② 30% Q23 粘り強く取り組む姿勢 ⑤ 3% ③ ④ 6% 2% ① 48% Q19 学んだ事を応用することへの興味 ③ 10% ④ 3% ① 50% Q25 発見する力(問題発見力、気づく力) ④ ③ 3% 10% ① 38% Q21 自分から取り組む姿勢(自主性、やる 気、挑戦心) ③ 6% ② 36% ⑤ 3% ① 49% ② 35% ② 32% ④ 2% ① 42% ② 35% ⑤ 8% ③ 19% ⑤ 4% ③ 16% Q20 社会で科学技術を正しく用いる姿勢 ④ 3% ① 56% Q24 独自なものを作り出そうとする姿勢 (独創性) ⑤ 1% ② 36% ⑤ 4% ② 32% ② 32% ④ 3% ① 52% ② 36% Q18 観測や観察への興味 ④ ③ 3% 14% ⑤ 3% Q26 問題を解決する力 ⑤ 2% ④ 2% ⑤ 3% ① 43% ③ 10% ① 54% ② 42% -69- Q27 真実を探って明らかにしたい気持ち (探究心) ④ ③ 5% 11% ⑤ 2% Q29 成果を発表し伝える力(プレゼンテー ション、レポート作成、 ) ③ ④ 8% 1% ① 49% ② 31% ② 33% Q28 考える力(洞察力、発想力、論理力) ③ 8% ④ 2% ① 50% ① 56% Q30 国際性(英語による表現力、国際感覚) ⑤ 12% ④ 0% ⑤ 2% ② 38% ⑤ 4% ③ 30% ① 30% ② 28% <分析> Q1~Q12の設問に対する回答においては、「面白そう」という設問に対しての肯定的な回答が多 く、また、 「理数系の能力向上やセンスの向上」にも役立つと考えている生徒が多い。そのことから、 SSHに強い期待感を持ち、SSHの活動に満足感を得ている生徒が大半であると言える。また、 「国 際性の向上に役立つ(役だった)という利点を意識していたか」より「国際性の向上に役立つ(役だっ た)という効果はあったか」という設問に対する回答の方が、肯定的な生徒の割合が高く、サイエンス 英語等を実践した中で、生徒自身が、国際感覚を身に付けた実感を得た割合が多かったと考えられる。 しかし、 「理系学部への進学に役立つか」 、 「大学進学後の志望分野探しに役立つか」、「将来の志望職種 探しに役立つか」という生徒の進路決定への影響という点では、肯定的意見が4割に満たない。SSH の効果は即効性のある場合とそうでない場合があるが、それを生徒に理解させることに加えて、生徒へ の指導や関わり方の工夫をなお一層考える必要性がある。また、SSHの活動が将来大学進学後や就職 後の研究等に必ず役立つことを伝えるとともに、 「将来役立つSSH活動」の実践を常日頃より、意識 しなければならない。 Q13~Q25の設問に対する回答においては、①大変増した、もしくは②やや増したと回答した生 徒が8割を超す設問がほとんどであった。①と②を合わせた割合がほぼ9割である設問は、「科学技術 に対する興味・関心・意欲」 、 「未知の事柄への興味」、 「学んだことを応用することへの興味」、 「自分か ら取り組む姿勢(自主性、やる気、挑戦心)」 、「周囲と協力して取り組む姿勢(リーダーシップ、協調 性) 」 、 「粘り強く取り組む姿勢」、 「考える力」、そして「成果を発表し伝える力(プレゼンテーション、 レポート作成) 」であった。特に、 「①大変増した」が5割を超えた項目が、 「理科実験への興味」、 「自 分から取り組む姿勢」 、 「周囲と協力して取り組む姿勢」、 「粘り強く取り組む姿勢」、 「成果を発表し伝え る力」であり、今学習指導要領等で強く叫ばれている「自ら思考する力」や「コミュニケーション能力」 、 そしていつの時代も育成すべきである「協調性」や「忍耐力」が身についた、と自分で意識している生 徒が多いことが読み取れる。しかし、 「国際性の向上」については、Q12では効果を感じた生徒の割 合が多かったことに対して、Q30では、回答の肯定的な意見が他の設問より少ない。これは、サイエ ンス英語等に対する評価は高いが、実際に英語による発表等に取り組めた生徒が少なかったことが理由 と考えられる。 -70- 2節 教員の視点から見た生徒の変化とこれからの課題 教職員40名中の(%) ① 大変増した ⑤ ② やや増した ③ 効果がなかった ④ もともと高かった 分からない Q1 SSH によって、生徒の科学技術に対する Q2 SSH によって、生徒の科学技術に関する 興味・関心・意欲は増したと思いますか 学習に対して意欲は増したと思いますか ⑤ ③ 10% 0% ④ 5% Ⅰ ⑤ 20% ① 40% ① 17% ④ 8% ② 45% ③ 0% ② 55% SSH によって、下記のそれぞれの項目において生徒の学習全般や理科・数学に対する興味、姿 勢、能力に向上があったと感じますか Q3 未知の事柄への興味(好奇心) ④ 3% 観測や観察への興味 ① 12% ⑤ 25% ① 20% ⑤ 25% ④ 5% ② 60% ③ 0% Q4 Q6 理科・数学の理論・原理への興味 Q7 ② 50% ③ 0% 学んだ事を応用することへの興味 ① 10% ① 10% ⑤ 33% ④ 2% ③ 0% Q5 ⑤ 43% ② 45% ② 55% ④ 2% 理科実験への興味 Q8 ③ 0% 社会で科学技術を正しく用いる姿勢 ① 5% ⑤ ① 23% 22% ④ 8% ③ 0% ⑤ 50% ② 47% ④ 0% -71- ② 35% ③ 10% Q9 自分から取り組む姿勢(自主性、やる Q13 発見する力(問題発見力、気づく力) 気、挑戦心) ⑤ 20% ① 10% ① 27% ④ 5% ③ 5% ⑤ 38% ② 45% ② 43% ④③ 0% 7% Q10 周囲と協力して取り組む姿勢(リーダ Q14 問題を解決する力 ーシップ、協調性) ① 12% ⑤ 13% ④ 5% ③ 0% ⑤ 33% ① 25% ② 57% Q11 粘り強く取り組む姿勢 Q15 真実を探って明らかにしたい気持ち (探究心) ① 20% ⑤ 25% ④ 15% ① 17% ⑤ 33% ② 37% ③ 3% ② 50% ④ 3% ③ 2% ④ 5% Q12 独自なものを創り出そうとする姿勢 ③ 3% ② 42% Q16 考える力(洞察力、発想力、論理力) (独創性) ① 7% ⑤ 38% ④ 0% ⑤ ④ 20% 3% ③ 5% ② 45% ③ 10% -72- ① 20% ② 52% Q17 成果を発表し伝える力(プレゼンテ Q18 国際性(英語による表現力、国際感 ーション、レポート作成、 ) ⑤ 13% ④ 5% 覚) ① 2% ③ 0% ① 40% ⑤ 48% ② 42% ④ 0% ① まったくその通り ② ⑤ まったく異なる Ⅱ ② 37% ややその通り ③ 13% ③ どちらでもない ④ やや異なる ⑥わからない SSH によって、下記のそれぞれの項目において影響を与えると思いますか Q19 生徒の理系学部への進学意欲によい 影響を与える Q22 教員間の協力関係の構築や新しい取 組の実施など学校運営の改善・強化に ⑤ 3% 役立つ ⑥ 8% ④ 2% ③ 10% ① 30% ⑥ 23% ② 47% ⑤ 10% ④ 7% Q20 新しい理数のカリキュラムや教育方 法を開発する上で役立つ だ ⑥ 13% ⑤ 5% ③ 18% ⑤ 3% ④ 2% ③ 12% ④ 0% ③ 10% Q21 教員の指導力の向上に役立つ ⑥ 18% ③ 25% 携による教育活動を進める上で有効 ② 32% ⑤ 10% ④ 0% ② 30% Q23 学校外の機関との連携関係を築き、連 ① 10% ⑥ 30% ① 5% ① 15% ② 50% -73- ① 30% ② 42% Q24 地域の人々に学校の教育方針や取組を 理解してもらう上で良い影響を与える ⑤ ④ 5% ③ 5% 0% ⑥ 3% Q25 将来の科学技術関係人材の育成に役立 つ ⑥ 18% ① 32% ① 15% ⑤ 3% ② 55% ④ 2% ③ 7% ② 55% <分析> Q1「SSHによって、生徒の科学技術に対する興味・関心・意欲は増したと思いますか」、Q2「S SHによって、生徒の科学技術に関する学習に対して、意欲は増したと思いますか」の設問に関しては、 肯定的な回答が多かった。特に、Q1に対しては、①大変増した、②やや増したと回答した教員を合わ せると、85%になることに加え、③効果がなかったと回答した教員は1人もいないことから、 「生徒 の科学技術に関する興味・関心」についての向上は、本校教員の一致した見解と言える。 また、Q3~Q18はそれぞれの項目に関する「向上」についての問いだが、 「向上が見られた」と いう回答が最も高い割合の項目は、 「周囲と協力して取り組む姿勢(リーダーシップ、協調性) 」と「成 果を発表し伝える力(プレゼンテーション、レポート作成) 」で、ともに、①大変増した②やや増した の合計が82%と評価が高い。さらに、 「未知への好奇心」 、「観測や観察への興味」 、「自分から取り組 む姿勢」 、 「考える力」の4項目に関して、7割以上の教員が肯定的である。しかし、Q18の「国際性 (英語による表現力、国際感覚) 」については、①大変増した、との回答は2%のみで、⑤分からない、 と回答した教員が約半数いた。これは、国際性の育成に関する教員の意識を高めるとともに、英語によ るプレゼンテーション等、国際感覚や言語力向上を図ることが今後の課題であると考えられる。 SSHがそれぞれの項目に影響を与えるか、という設問のQ19~Q25だが、「生徒の理系学部へ の進学意欲」 「学校外の機関との連携関係を築き、連携による教育活動の推進」の2項目について、と もに肯定的な評価が7割を超え、高い評価を得ている。特に、「地域の人々に学校の教育方針や取組を 理解してもらう」ことに、SSHが影響を与えると回答した教員は、87%と非常に多く、SSHの地 域へのアピール効果を肯定している。しかし、Q22の「教員間の協力関係の構築や新しい取組の実施 など学校運営の改善・強化に役立つ」という設問に対しては、肯定的な回答は40%であり、否定的な 意見も17%、 「わからない」との回答も23%もあり、 「学校全体として取り組む」体制づくりが今後 も大きな課題となる。 -74- 3節 保護者の視点から見た生徒の変化とこれからの課題 保護者128名中の(%) ① Q1 いた・あった ②いない・なかった 理科・数学の面白そうな取組に参加で きる(できた)という利点を意識してい ましたか Q5 理系学部への進学に役立つ(役立った) という利点を意識していましたか ③ ② 13% 5% ③ 24% ② 16% ① 82% Q2 理科・数学の面白そうな取組に参加で きる(できた)という効果がありました か Q6 Q4 ② 14% 理科・数学に関する能力やセンス向上 に役立つ(役立った)という利点を意識 していましたか ② 7% ① 40% ③ 46% ① 66% ② 3% Q7 大学進学後の志望分野探しに役立つ (役立った)という利点を意識してい ましたか ③ 21% ③ 23% ② 19% ① 70% 理科・数学に関する能力やセンス向上 に役立つ(役立った)という効果があり ましたか ③ 37% ① 60% 理系学部への進学に役立つ(役立った) という効果がありましたか ③ 31% Q3 ③ わからない Q8 大学進学後の志望分野探しに役立つ (役立った)という効果がありました か ③ 38% ① 54% ② 20% ② 9% -75- ① 60% ① 42% Q9 将来の志望職種探しに役立つ(役立っ た)という利点を意識していましたか ③ 30% Q11 国際性の向上に役立つ(役立った)と いう利点を意識していましたか ③ 42% ① 54% ① 31% ② 27% ② 16% Q10 将来の志望職種探しに役立つ(役立っ た)という効果はありましたか ③ 47% Q12 国際性の向上に役立つ(役立った)と いう効果はありましたか ① 35% ① 21% ③ 60% ② 19% ② 18% ①大変増した ②やや増した ③効果がなかった ④もともと高かった ⑤わからない Q13 科学技術に対する興味・関心・意欲が 増しましたか ④ 4% ⑤ 11% ④ 2% ① 43% ③ 13% Q14 科学技術に関する学習に対する意欲が 増しましたか ⑤ 9% ① 38% ③ 18% ② 29% ② 33% 下記のそれぞれの項目について、学習全般や理科・数学に対する興味、姿勢、能力にどれくらいの向上 があったと感じますか Q15 未知の事柄への興味(好奇心) ⑤ ④ 11% 1% ③ 15% Q16 理科・数学の理論・原理への興味 ④ 1% ① 48% ② 25% ⑤ 10% ③ 17% ② 29% -76- ① 43% Q17 理科実験への興味 ③ ④ 9% 3% Q22 周囲と協力して取り組む姿勢(協調性、 リーダーシップ) ⑤ 7% ① 48% ② 33% Q23 粘り強く取り組む姿勢 ⑤ 7% ④ 2% ⑤ ④ 8% 5% ③ 10% ① 41% ② 37% Q19 学んだ事を応用することへの興味 ④ 1% ① 34% ③ 22% ② 24% Q25 発見する力(問題発見力、気づく力) ⑤ ④ 12% 1% ⑤ ① 22% 30% ③ 20% ② 25% ① 36% ② 31% Q21 自分から取り組む姿勢(自主性、やる 気、挑戦心) ⑤ 8% ④ 3% ③ 11% ① 38% ③ 20% 社会で科学技術を正しく用いる姿勢 ④ 1% ② 29% ⑤ ④ 16% 2% ② 34% Q20 ① 48% Q24 独自なものを作り出そうとする姿勢 (独創性) ⑤ 12% ③ 19% ① 49% ② 28% Q18 観測や観察への興味 ③ 13% ⑤ 6% ④ 4% ③ 13% Q26 問題を解決する力 ④ 1% ① 44% ⑤ 11% ① 40% ③ 20% ② 28% ② 34% -77- Q27 真実を探って明らかにしたい気持ち (探究心) ⑤ ④ 11% 1% ③ 15% Q29 成果を発表し伝える力(プレゼンテー ション、レポート作成、 ) ① 44% 13% ② 24% ② 29% Q28 考える力(洞察力、発想力、論理力) ④ 1% ⑤ 9% ③ 14% ⑤ 9% ④ 2% ③ Q30 国際性(英語による表現力、国際感覚) ⑤ 19% ① 44% ① 27% ④ 1% ③ 34% ② 32% ① 52% ② 19% <分析> この保護者アンケートは、生徒アンケートと同様の設問であるが、どの設問も、 「わからない」と答 える保護者の割合が生徒よりも多かった。実際に活動・体験しているのは生徒であり、保護者は生徒か ら情報を得たりするなどして回答いただいているので、不自然ではないとも考えられるが、学校として は今まで以上に、HPや通信等、保護者への情報提供に尽力する必要性を感じる。 Q1~Q12の設問は、奇数番号が「~という利点を意識しましたか」であり、次の設問の偶数番号 では~箇所が同じ文言で、 「~という効果がありましたか」である。これらの設問において、保護者の 回答の特徴としては、 「~という利点を意識しましたか」から「~という効果がありましたか」 (~箇所 は同様)の肯定的な回答の割合が生徒と比較して下がり幅が大きい。期待の大きい保護者の方々にSS Hの効果を幅広く伝えるととともに、生徒および保護者が満足感を得られる取組を今後も実践していく ことが肝要である。 Q13「科学技術に対する興味・関心・意欲が増したか」とQ14「科学技術に関する学習に対する 意欲が増しましたか」については、共に70%を超える肯定的意見を受け、高い評価を得ている。 Q15~Q30に関しては、高い評価を得た項目が多かったが、特に高い評価を受けた項目は、 「理 科実験への興味」、 「観測や観察への興味」 、「自分から取り組む姿勢(自主性、やる気、挑戦心)」、 「周 囲と協力して取り組む姿勢(協調性、リーダーシップ)」 、「粘り強く取り組む姿勢」 、「考える力(洞察 力、発想力、論理力) 」、 「成果を発表し伝える力(プレゼンテーション、レポート作成) 」である。その 中でも、 「成果を発表し伝える力」に対する回答で、①大変増した、の割合が52%と非常に高評価を 得ている。 しかし、Q30の「国際性(英語による表現力、国際感覚) 」の設問に対しては、 「大変増した」と「や や増した」を合わせても50%に満たず、③効果がなかったと答える保護者は34%いた。生徒アンケ ートにおいても、Q30「国際性(英語による表現力、国際感覚)」の評価は、他の設問に比べて評価 は低かったが、英語によるプレゼンテーションや国際感覚を養う取組の実践が今後の課題であることは 確かである。 最後に、先にも述べたが保護者へのSSH事業の取組や効果の積極的な発信、そして地域との連携お よび地域へのSSH事業のアピールを効果的に実施していく必要がある。 -78- 第7章 5年間の取組の成果とその評価 本校のSSH研究開発課題である次の3点に基づいて、生徒アンケート、教職員アンケート、運営 指導委員会における意見等により、5年間の取組の成果と評価を考える。 (1)挑戦意欲を育成する大学・研究機関・民間企業等との連携の推進 (2)創造性・独創性を育成する学習指導の推進 (3)地球的課題に主体的に行動できる資質や能力を育成する学習プログラム開発の推進 (1)挑戦意欲を育成する大学・研究機関・民間企業等との連携の推進 ○ 北海道大学工学部の巡検においては、5年間実施した結果の生徒アンケートで「巡検に興味 を持ち、科学系の学習に取り組む意欲を増加させたか」という問に、毎年85%を超える生徒 が肯定的な意見であり、科学に対する興味・関心を喚起し、学習意欲の向上に資していると言 える。 ○ ものづくり巡検においては、生徒アンケートの自由記述欄から日本の技術の高さを実感し、 「ものづくり」に興味関心を示した生徒が多いことがわかった。 ○ 火山防災講演会においては、生徒アンケート結果で毎年ほぼ全ての項目において、95%前 後の生徒が肯定的な意見であり、満足度は非常に高く、有珠山ジオパーク巡検への取り組む意 欲や自然災害・防災への意識が高揚したと言える。 ○ SSH全校講演会においては、生徒アンケートによると、生徒にとって研究者をより身近に 感じることができ、自然科学の研究に関心を持った生徒が多かったことが分かる。 ○ 地域巡検においては、生徒アンケートで毎年どの設問に対しても満足度は高く、肯定的意見 が95%を超える。特に、地域巡検を取り組んだ結果、学習前と学習後では「自然(火山噴火) と人間(災害)との関係についての考えが変わった」という生徒が多く、自然現象と人間生活を 関連づけて考察する意欲や態度の育成に繋がったと考えられる。 ○ サイエンスキャンプにおいて、生徒たちは生き生きとすべてのプログラムに取り組み、科学 的探究心やコミュニケーション能力の向上に繋がり、生徒の評価も極めて高い。 (2)創造性・独創性を育成する学習指導の推進 ○ 研究基礎Ⅰ・Ⅱにおいては、生徒の実態に即したオリジナルの教材開発により実施したそれ ぞれのプログラムのアンケート結果から、論理的な思考や科学への興味・関心は高まり、主体 的に取り組む姿勢も身についたと述べる生徒が90%を超えている。 ○ 基礎課題研究においては、アンケート結果から毎年生徒の満足度は高いが、生徒の自由記述 欄や発表に参加した運営指導委員そして本校教員の声から、年度を重ねるごとにレベルが向上 し、充実した内容になっていることが認められる。原因としては、先輩の研究方法や内容を観 察すると同時に先輩からのアドバイスがあること、教員の指導力の向上、基礎課題研究前の学 習の充実などが上げられる。 ○ 課題研究においては、アンケート結果から毎年肯定的な意見が多く満足度は高いと言える。 ○ 分野別講演会においては、対象が希望者で自分の興味・関心や進路希望に即した講演会・講 座であることから、肯定的な意見が多く、目的は達成されたと言える。 ○ ものづくり講座においては、生徒のアンケートで「予想以上に興味関心を持って取り組め た」という感想が多く、8割以上が肯定的評価を述べている。 (3)地球的課題に主体的に行動できる資質や能力を育成する学習プログラム開発の推進 ○ サイエンス英語Ⅰ・Ⅱにおいては、アンケート結果から、それぞれの取組に対する生徒の評 価は高く、特にプレゼンテーション実習は自らの「成果を発表し伝える力」を高めたと感じて いる生徒は多い。 ○ JICA研修員対象の「理科大好き講座」においては、生徒アンケートによると、国際性や - 79 - 英語でのプレゼンテーション能力が向上したことを自覚している生徒が多い。 ○ 英語による課題研究の発表においては、英語で発表した生徒の感想から、大きな充実感を得 ていることがわかる。 (4)総評 ①生徒アンケート結果から 科学技術に関する興味関心は増したと思 いますか。 理科・数学について、面白そうな取り組み に参加できたと思いますか。 100% 100% わからない・無回 答 80% 60% 80% 60% 否定的な回答 40% 20% 否定的な回答 40% 20% 肯定的な回答 0% わからない・無回 答 肯定的な回答 0% H21 H22 H23 H24 H25 H21 H22 H23 H24 H25 平成21年度に指定を受けた当初は、計画性を持ちながらも、本校教員の生徒への指導等が、手探 りの状況であったことは否めなく、多くの課題があった。運営指導委員や本校教員、PTA等からの 本校SSHに対する評価として、「年々、生徒のやらされ感が無くなっている」という声がある。 上記の「理科・数学について、面白そうな取り組みに参加できたと思いますか」についての回答結 果からわかるように、H22年度から年を追うごとに、肯定的な回答が増加している。H21年度に ついては、生徒も手探りの状況があり、まだ取組の全容が分からない状態での回答出会ったと考えら れる。生徒は、先輩のSSHの取組状況を観察したり、先輩が後輩へ引き継ぎをするなどして、SS H事業に慣れるに従って、自ら自然科学や科学技術に興味関心を示し、それを楽しみかつ吸収してい ると考えられる。その分析は、「科学技術に関する興味関心は増したと思いますか」の回答が年々肯定 的意見が増えていることからも読み取れる。 ② 教員アンケートから 生徒の科学技術に関する興味関心は増し たと思いますか。 100% アンケートの結果からは、指定を受けた当初は、 指導する教員がSSH事業を、「いかに生徒に効果 的に指導するか」、「事業をいかに推進していくか」 等に大変苦慮していた様子がうかがえる。 80% しかし、事業を年々推進していくとともに、生徒 60% わからない・無回答 40% 否定的な回答 の自ら学ぶ意欲や研究方法等の向上に加え、生徒の 肯定的な回答 科学技術に対する興味関心の高揚(左図参照)や論 20% 理的思考力・コミュニケーション能力等の向上のた 0% H21 H22 H23 H24 H25 めに、SSHがいかに効果的であるか、を認識する 教員が増加していることが、アンケート結果から読み取れる。 運営指導委員からは、本校SSHがこの5年間に著しく発展したのは、「教員の指導力の向上が一番 の起因である」と評価されている。今後もSSHのなお一層の推進を図るため、教員のさらなる意識 の高揚と指導力の向上を目指していく。 - 80 - 第8章 研究開発実施上の課題及び今後の研究開発の方向と成果の普及 (1)現状の分析 本校が存する街室蘭は、火山や海洋などの自然科学の学習に適した自然環境に非常に恵まれて いる。また、市内に科学技術人材を多数輩出している室蘭工業大学があり、本校に対する協力体 制も他に類を見ないほど整備されている。このような恵まれた環境のもと、5年間、SSH指定 校として様々な取組を推進してきており、その成果と課題は次のとおりである。 ① 成 ア 果 有珠山ジオパーク巡検など、自然環境を活かした取組により、生徒の自然環境や防災対策へ の興味・関心を高めることができた。 イ 室蘭工業大学や地元企業等、地域との連携により、体験的な学習や探究活動を通して生徒の 知的好奇心の高揚や問題解決能力の向上を図ることができた。 ウ グループによる課題研究を通して、生徒の論理的思考力、コミュニケーション能力やディス カッション能力を育成することができた。 ② 課 題 ア 理数科の生徒に比べ、普通科の生徒への取組が十分とはいえない状況である。 イ 「サイエンス英語」や「JICA研修員との交流」などの取組を通して、国際性の醸成に努 めたが、国際感覚を育むための取組をより一層充実させる必要がある。 ウ 多数の教科との連携により内容のある効果的な取組とするため、全校あげての連携・協力体 制を構築する必要がある。 (2)今後の研究開発の方向 上記にあげた成果と課題を踏まえ、グローバルな視点を持った将来の日本を担う科学技術人材 を、ものづくりの街室蘭から多数輩出させるため、下記の3つの人材育成を柱としたSSH活動 の方向性を学校全体で共有し、それを実現するための研究開発に取り組む。 ① 課題研究を軸とした創造性豊かな人材の育成 過去5年間に実施した様々な取組のうち、特に、「課題研究」が、生徒の論理的思考力の向上や 科学的探究心の高揚、コミュニケーション能力やディスカッション能力の育成に大いに役立った と考えている。また、運営指導委員や本校教員、そして5年間にわたって本校のSSHに携わっ た多くの方々が、年度を重ねるごとに課題研究の内容、生徒の自主性や積極性、そして生徒のコ ミュニケーション能力・ディスカッション力が向上したことを認めている。 そこで、2年生で実施する「課題研究」の質をより一層高めるため、1年生では必要な研究基 礎能力の養成を目指したオリジナルのプログラムを充実させる。また、連携先の研究機関や企業 等を拡充するとともに、校内では担当する教科の幅を拡大し、地域全体・学校全体で取り組む。 さらに、普通科の生徒への取組が不十分であったため、講演会や部活動以外に、普通科の教育 課程に新たな学校設定科目を設置し、全生徒を対象にSSHに取り組む。 ② 地域との連携による科学的素養を身に付けた人材の育成 室蘭工業大学との緊密な連携による講義・実験実習等の実施、洞爺湖有珠山ジオパーク巡検や 地域の自然等を活用した課題研究、地域の小学校との連携による活動など、この5年間の成果を 評価・検証し、地域の教育資源を活用した取組の質をさらに高めることで、生徒の科学に対する 関心や意欲を向上させるとともに、科学的素養を身に付けさせる。 また、室蘭工業大学との高大連携を一層進める中で、大学との接続も視野に入れ、学び方や考 え方を育成するカリキュラムの研究開発を推進する。 ③ 国際感覚にあふれる人材の育成 優秀な科学技術人材を育成するためには、「国際性」の醸成が不可欠である。本校では、「サイ - 81 - エンス英語」や「JICA研修員との交流」、「英語版理科実験の資料作成」などの取組を通して、 生徒の国際感覚の育成に努めてきたが、生徒、教員および保護者のアンケート結果から、国際性 を身に付けさせることが、不十分であったと考えられる。 そこで、グローバルな視点を育成する「海外研修」を実施するとともに、「サイエンス英語」や 「JICA研修員との交流活動」を引き続き実施し、英語運用能力の向上や国際性の涵養を図る。 また、理科や数学等の授業で活用する資料を英語で作成することや課題研究発表会で英語による 発表、室蘭工業大学等の海外留学生やJICA研修員及び地域のALTとの交流活動を推進する ことにより、生徒の外国語リテラシーの向上に努めるとともに、国際感覚やコミュニケーション 能力の育成を図る。 (3)成果の普及 本校は、地域の伝統校・進学校として、地元室蘭市および近隣の登別市、伊達市等の地域から の大きな期待を背負っている。SSH事業に関しても、地域の興味関心は高く、小中学校の児童 生徒・保護者からも本校で「SSHの体験をしたい、体験させたい」という声を学校説明会等を 通して、しばしば耳にする。また、本校を志望する小中学生の中には、SSHで様々な経験をし た後、科学技術系の進路先を目指している児童生徒も少なくはない。 このような状況の中で、地域にSSHの成果の普及をすることは、本校の使命である。そこで、 以下の方策を持って、道南地域への成果の普及を推進する。 ①青少年のための科学の祭典等に出展したり、地域の小学生を対象としたサタディーサイエンスや 小学生対象実験の開発を課題研究の中で実施するなど、地域の子どもたちの科学に対する興味関 心の高揚を図り、地域全体の科学的リテラシーの向上を図る。 ②5年間の課題研究の中で開発した、本校生徒通学区域(東西約60キロメートル、南北約30キ ロメートル)の津波ハザードマップに加え、津波シミュレーションソフトウェアの活用を全国に 先駆けて行っている。その研究により、津波の挙動を予測し、津波ハザードマップの改良を推進 し、それらの成果を地域の防災に寄与する。 ③有珠山ジオパークでの研究・研修活動において、火山の変容等の研究を赤色立体地図の活用によ って行っているが、地域関係機関との連携により防災のみならず、火山と地域社会のあり方の研 究を推進し、地域発展に繋げる。 現在、北海道内に10校のSSH指定校があるが、本校はその中で先駆けとしての使命感を持 ってSSH事業に取り組んでいる。このことからも、本校のSSHの成果を、北海道全体のSS H事業並びに理数教育に還元していくことが肝要である。具体的方策は次の通りである。 ①北海道立教育研究所附属理科教育センター等との連携により、他の道内SSH指定校とともに科 学の発展的なテーマを設定した探究活動等を、本校が主幹校として行い、道内高校生の科学的探 究心の高揚やコミュニケーション能力の向上を図る。 ②道内SSH校と連携し、課題研究に関する合同ポスター発表会を札幌市中心部の地下歩行空間等 で実施し、道内高校生の表現力・発表力の向上を図るとともに、道民の科学的リテラシーの向上 に寄与する。 最後に、全道・全国規模で本校のSSHの成果を普及するため、積極的な情報発信を推進する。 ①北海道高等学校理科研究会等、各研究会への情報発信をするとともに、小中学生や保護者対象の 学校説明会において成果の発信を推進する。また、新聞社やテレビ局等のマスコミとの連携を図 り、SSHによる成果やSSH事業全般についての情報発信を推進し、広くSSHの成果の普及 を図る。さらに、SSH通信等、地域や道内高等学校に広く提供する。 ②HPによるリアルタイムな活動や成果等の発信を推進する。 - 82 - <資料1> 第9章 関係資料編 平成25年度第1回SSH運営指導委員会議事録 1 開会 (1)校長挨拶 (2)運営指導委員長挨拶 2 概要説明 (1)平成25年度実施計画について (2)現在までの取組状況報告 (3)再指定の申請について 3 研究協議(今年度の事業・再指定申請・課題研究中間発表会についての意見交換) ・学校全体のものとするために、SSH運営委員会を機能させるという話があったが順調に進んで いるか→少しずつであるが、浸透しつつある ・3年生の理科実験の内容は、どのように選定したか→各科目(物理・化学・生物・地学)で、授 業で取り上げられなかった内容やできれば受験に関わる内容を実施してもらうように、依頼した ・3年生で行われている理科実験については、室蘭栄高校らしいスペシャルな取り組みである。 ・札幌北高校→帯広柏葉高校から数年空いて室蘭栄高校が指定を受け、SSHに関しての北海道の パイオニア的存在となっている。再指定の申請をすることにおいても、北海道のパイオニアの役 割を果たしていただきたい。 ・SSH指定校の千葉県立船橋高校、東京都立日比谷高校に視察にいったが、両校共に、「生徒募 集」の観点からもSSHが入らないと困る、という話をしていた ・3年生の理科実験講座の取り組みや今年度の重点事項の内容などを見て、栄高校の「足どり」を 感じる。文科省へのPRも十分出来ると思うので、是非頑張っていただきたい。 ・継続指定に関しては、今までよりかなり難しいと言える。現在201校が指定を受け、それ以外 の初めて申請をする学校を指定していきたい、という方針もあるやに聞く。ただし、はっきりし た内容を全面的に出して、そのまま直球勝負をするべき、と考える ・室蘭栄の売りは何か→今の売りは、ものづくり・防災・自然・課題研究等と考えている。再指定 に向けて、「売り」になるものを考えていかなければならない ・再指定に向けて、少しずつ裾野を広げている感じを受ける。これからは「目標型」の考え方も大 切である。例えば、有珠の研究もこれから起こる有珠の噴火に対してのことなど ・PDCAサイクルを大切にして、課題をみつけてどう発展させるか。今までの経験を取り入れて、 再指定の申請をすべきである。室蘭工業大学のみならず、地域の工場見学なども取り入れてはど うか ・地域との連携が大切だが、室蘭工業大学ほど協力してくれている大学はない。このように協力体 - 83 - 制のある大学が近くにあり、栄高校は希少価値の高いSSHを実施できている ・エンジニアリング、自然(有珠など)の両方が入っているのが、良い ・どこの学校も工学系が弱いので、そこを構築すると周りの学校のパイオニアになれるのではない か ・自然とものづくりのバランスをとると良い。しかし、「何でもかんでも」になると、文科省・JS T側もチョイスしづらくなるので、「ここだけははずせない」といったアピールが必要ではないか ・他のSSH校は「サイエンス」がメインだが、室蘭栄高校のSSHは「役立つ」、すなわち人類に 貢献できるかが目玉であり、大きな特徴と言えると思う <課題研究中間発表に関しての感想> ・上手な班もあったが、プレゼンテーションが拙いチームもあった。「伝え方」を勉強させるべきか と思った。しかし、自分の高校時代と比較するとレベルが高いと感じる ・意図を伝え切れていなく、質疑応答が今ひとつの班があった。一生懸命聴く、伝える姿勢があっ たので、繰り返すことが上達させると考える ・昨年より、自分たちがやっていることを理解している。自分たちが行っていることがおもしろい のだ、という表現をしてほしい ・簡単なレジュメをつくり、周りにメモさせるとよいのではないか。それが、課題研究にも使える のでは。「太陽炉Ⅱ」は1年生から2年生へ繋がっているのが非常に良い。条件整理を入れると、 今後に繋がると思う ・「やらされている感」がない。本番はしっかりやれる集団なので、今の段階でまちまちなのは仕方 がない。例えば、説明の字数などを制限するのも一つかと思う(何を目的に、何をやっていて、 どういう段階を踏んでいるかなどを明確にして)。 ・文系の生徒は、SSH事業に関しての意識はどうですか?→最初の導入の段階等で、SSHの事 業が、直接進路に関わるわけではない、ということを生徒に伝えているので、文系・理系問わず しっかりと取り組んでいる 4 閉会 (1)校長挨拶 (2)運営指導委員長挨拶(室蘭工業大学 空閑 良壽理事) - 84 - <資料2> 平成25年度第2回SSH運営指導委員会議事録 1 開会 (1)校長挨拶 (2)運営指導委員長挨拶 2 概要説明 (1)平成25年度実施内容中間報告について (2)再指定の申請について 3 研究協議(今年度の事業・再指定申請・課題研究発表会についての意見交換) ・トップの子どもたちの育成を図る取組をするべきではないか。→日本地球惑星科学連合大会や工 学フォーラム等各種学会・研究会への参加・発表や各種オリンピックへの参加をしている。再指 定に向けての計画においても、各種学会・研究会への積極的参加、及び各種オリンピック上位入 賞を目指した取組等を考えている。 ・普通科にも還元するという計画はよい、と思う。課題研究もすばらしい。普通科の生徒も発表で きないものか。→平成25年度の全国SSH指定校生徒研究発表会は、化学部所属の普通科生徒 が発表した。課題研究に関しては、今のところ難しい。 ・校内にSSHを感じさせるポスター等掲示物などが見当たらなく、SSHの色を出す必要性があ るのではないか →2階・3階の実験室等の前には掲示物等あるが、1階のフロアにはほとんど ないので、気を配っていきたい。 ・国際化の重視と言われている中で、大学では「TOEIC」を入れているが、高校では可能なも のか →GTECを今年度より取り入れている。 ・「サタディーサイエンス」は良い取組と感じている。工大の学生も利用してほしい。工大の学生が やっているイベント(ビブリオバトル 本の紹介)に参加しても良いのではないか ・SVEプロジェクトの軸である「防災」と「工学」の関連性が感じられない。「防災」と「工学」 の接点を見つけ、生徒にどんな力を身に付けていくのか(探究的思考)を考えるべきではないか ・「地学」がないのでハワイに行く前に「防災」の基礎を身に付けさせるべきである。 ・火山と津波は地震と比べて、前兆のわかる災害で、災害を軽減できる内容であるので、防災教育 には適している。 ・ハワイには、太平洋津波博物館もあり、防災教育・英語教育ができる。また、外国人の火山マイ スターの利用もするとよいのではないか ・サイエンス英語Ⅰ・Ⅱは、系統的に行っており、海外研修に繋がる取り組みである。 ・課題研究の流れは、アブストラクトを英語で作成し、プレゼンを英語もしくは日本語で実施する 時代になってきている。関西では、英語でプレゼンをし、質疑応答も英語でキャッチボールをし ている学校もある。英語や理科の先生の負担が大きいのは間違いないので、英語によるプレゼン を工学系の留学生による指導を行うと良いのではないか。また、課題研究の内容を要約した1ペ ージのペーパーがあると良い。どのような人材を育成したいのか→どのようなカリキュラムを編 成すべきなのか→どのように実施すべきなのか、などの流れがあると良い。また、各取組の目的 と繋がりを明確にすることが大切である。 ・サイエンスキャンプが生徒中心の取組になっており、今後も実施方法などより良い方策を模索し、 推進していくことが大切である。 ・プレゼンテーションのスキルを高めるために、大学で学生が卒論の発表会等でプレゼンをしてい る状況を、高校生が見る機会があっても良いのではないか 4 閉会 (1)校長挨拶 (2)運営指導委員長挨拶 - 85 - <資料3> 平成25年度SSH事業成果報告会および第3回運営指導委員会議事録 1 SSH事業成果報告会 (1)今年度の事業成果報告 (2)質疑応答 ・生徒自身が自分のものとして、発表できている。 ・先生方の指導が行き届いており、その先生方の苦労などが表に出てきていないのが、素晴らし い。生徒が主役を担っているが、それは先生方の苦労や努力の賜と感じる。 ・5年間の成果が表れている。 ・科学の甲子園や科学オリンピックのための勉強会などは開いているか →全道の生徒たちを集めて行う方法もあるのではないだろうか ・当初、「何のためにSSHを行うのか」ということを、生徒へ周知できなく、計画だけに追われ てしまっていた。 ・生徒をどう動かすかに力を入れることができなかったが、ここまで作りあげていただいた先生 方に感謝したい。 ・SSHが地域との連携など、拡がりのあるものになってきている。 ・英語は1つのツールである。室蘭工業大学の留学生との交流なども良いのでは。 また、登別の自然(地獄谷や倶多楽湖)など、この地域には材料がいっぱいある。 ・卒業するとき、「どうであったか」「どのようなものを得られたか」を確認できると良いと思う。 ・職業高校では、SSH活動とはあまり関わりがないが、勉強のために参加した。 ・今後の「伸びしろ」を生徒に感じた。2年生になったら、一層素晴らししい発表になると思う。 (3)校長より これまでの5年間の先生方の努力や生徒の頑張りなどの積み重ねがあって、ここまで来られた。 継続の申請をしているが、これからの5年間、ますます進化させていきたい、と考える。 生徒は先輩方の姿を見て進化しているし、先生方の取組や指導の進化も強く感じている。 2 第3回運営指導委員会 (1)質応答 ・大学入学後、コミュニケーション力は必要不可欠な能力であり、このSSH事業により、研究 心を養成するとともに、コミュニケーション能力を高校生の頭の柔軟な時期に養ってもらいた いと考える。 ・生徒たちは、すらすらとエネルギッシュに堂々と伝えることができている。レベルが上がり、 成長を感じさせる。 ・理科だけでなく、他の分野においても、しっかりデータをとっていて、纏められていることは 素晴らしく、外部に対しても自慢が出来る。 ・先生方の努力と指導力の向上を感じさせられた。 ・「5年間やりきった」という感じを持ち、報告書を纏めるのも苦労するだろう、と思った。文章 にすると、なおさら5年間の重みが出るのではないだろうか。 ・5年間の風格を感じ、今までの先生方の苦労を考えると、涙が出そうになった。 - 86 - ・5年間でレベルが上がり、文科省は「レベルが上がった」ことをわかっているだろう。また、 教育的効果が目に見えて表れており、大変良かった。その効果をもたらしたのは、教員の指導 の成長・苦労に尽きると考える。 ・外国と対等に語り合える力をつける大切な取組である。まさしく、今回の発表会もコミュニケ ーション力向上に繋がる。「受け答え」が当初の頃と全然違い、非常に良くなっている。次年度 以降もさらに発展させてほしい。 ・次の5年間で、大学の授業や行事とリンクさせてほしい。 ・物怖じしない発表の仕方に感心した。専門的な質問に対しても、答えることができ、鍛えられ ていると感じた。 ・先輩の2年生の質問も的確・端的で素晴らしい。1年生の時の下積みの成果を感じる。 ・先生方の指導に乗って、纏まったものになっている。 ・研究基礎Ⅰ・Ⅱがうまくいっており、改善が加わって、学校全体のものになってきている。 ・目に見えないSSHの成果も言われている。 ・大学も5年間の予定であっても、10年間やるという約束のもと、限られた予算の中で研究活 動を行っている。予算のない中でも、頑張ってやってほしい。 ・室工大と栄高校の繋がりがパイプを太くしてきた。この関係を維持していきたい。 ・室工大の留学生は東南アジア系が多い。マレーシアの留学生の影響で、学生たちの英語による コミュニケーション能力の向上が見受けられる。 ・データ・実験の取扱いやデータのばらつきの程度(標準偏差)等に気を配ると、データの活用 度や確からしさなどがわかる。 ・5年間での進化を感じる。実験観察がよく、サイエンス英語や研究基礎Ⅰ等の取組が影響して いるのではないか、と考える。 ・火山・防災が本校の目玉の一つならば、地学基礎で学習した方がよいのではないか。 ・東北のSSH校を視察して、先生方と話しをしたが、非常に前向きであった。国際化に関して は、同年代の生徒たちといかに交流をさせるかという観点を持って、国際性の育成を図ってい る。 ・アメリカの動画テキスト(USGS)で非常に良いものがある。 ・壮瞥町のALTの活用をすると良いのでは ・研究には、オリジナリティーが大切であるが、無駄であっては意味が無い。オリジナリティー にプラス「役に立つ」といった観点が必要である。 (2)校長より 今のSSHがあるのも、5年間支えていただいている立ち上げの時の先生方、継続して協力頂 いている先生方、今一生懸命関わっていただいている先生方のおかげ、と考えている。今後の 益々の発展のため、運営指導委員の先生には、今まで以上にご指導・ご協力ををお願いしたい。 - 87 - 平成25年度 教科 科目・標準単位数 国 語 総 合 国 国 語 表 現 現 代 文 A 現 代 文 B 古 典 A 典 B 語 古 地 理 歴 史 公 民 世 世 日 日 地 地 現 倫 政 界 界 本 本 史 史 史 史 理 理 代 治 社 ・ 経 A B A B A B 会 理 済 学 類 型 4 3 2 4 2 4 1 年 4 2 2 4 2 4 2 4 2 2 2 体 保 音 芸 音 音 美 術 美 美 育 7~8 健 2 楽 Ⅰ 2 楽 Ⅱ 2 楽 Ⅲ 2 術 Ⅰ 2 術 Ⅱ 2 術 Ⅲ 2 コミュニケーション英語基礎 2 外 コ ミ ュ ニ ケー ショ ン 英 語 Ⅰ 3 コ ミ ュ ニ ケー ショ ン 英 語 Ⅱ 4 国 コ ミ ュ ニ ケー ショ ン 英 語 Ⅲ 4 語 英 語 表 現 Ⅰ 2 英 語 表 現 Ⅱ 4 英 語 会 話 2 ○英語ベーシック 2 庭 基 礎 2 家 家 家 庭 総 合 4 庭 生 活 デ ザ イ ン 4 理 数 数 学 Ⅰ 5~8 理 数 数 学 Ⅱ 7~ 10 理 数 物 理 3~7 理 理 数 化 学 3~7 数 理 数 生 物 3~7 理 数 地 学 3~7 課 題 研 究 1~6 SSH サ イ エ ン ス 基 礎 2 総 合 的 な 学 習 の 時 間 3~6 合 計 特別活動 ホームルーム活動 学年別教育課程表(理数科) 3 1 保 健 体 育 2 2 2 科目・標準単位数 国 語 表 現 Ⅰ 国 語 表 現 Ⅱ 国 語 総 合 現 代 文 古 典 古 典 講 読 ○ 古 典 研 究 世 界 史 A 世 界 史 B 日 本 史 A 日 本 史 B 地 理 A 地 理 B 現 代 社 会 倫 理 政 治 ・ 経 済 ○時 事 問 題 研 体 育 保 健 音 楽 Ⅰ 音 楽 Ⅱ 音 楽 Ⅲ 美 術 Ⅰ 美 術 Ⅱ 美 術 Ⅲ オーラル・コミュニケーションⅠ 3 オーラル・コミュニケーションⅡ 英 語 Ⅰ 英 語 Ⅱ リ ー デ ィ ン グ ラ イ テ ィ ン グ 2 1 4 2 4 2 1 31 1 ○ 応 用 英 家 庭 基 家 庭 総 生 活 技 理 数 数 学 理 数 数 学 理 数 物 理 数 化 理 数 生 理 数 地 課 題 研 サイエンス探 語 礎 合 術 Ⅰ Ⅱ 理 学 物 学 究 究 2 年 学 類 型 2 2 4 2 4 2 4 2 3 2 4 2 2 4 2 2 2 4 2 2 2 2 1~2 2 7~8 1 2 2 2 2 2 2 2 2 4 3 3 4 4 2 4 共通 選択Ⅰ 総 合 的 な 学 習 の 時 3~6 合 計 ホームルーム活動 選択Ⅳ 2 2 2 2 2 2 2 2 2 2 2 3 2 2 3 2 4 4 5~8 7~ 10 3~7 3~7 3~7 3~7 1~6 2 <資料4> 3 年 選 択 選択Ⅲ Ⅱ 6 4 2 4 2※ 1 31 1 6※ 2 2 2 5※ 2 4※ 5 5 1 21~30 1 ・1年 家庭基礎は後期集中の2単位とする。 前期30単位 後期32単位 ・ 第1学年の世界史Bは、減単届を提出済み。(H14) ・ SSHの特例として、学校設定教科SSHの設置に伴い、情報Aを実施せず、家庭基礎・理数物理・理数生物の一部の単位を減ずる。 備 考 ・ 1年次の英語ベーシック・サイエンス基礎、2年次の理数物理・サイエンス探究、3年次の選択Ⅱの理数数学、 及び選択Ⅳの理数物理・理数化学は、医進類型選択者を含めた少人数指導を行う。(※の科目) ・ 1年次の家庭科は前期で、理数物理は後期で行う。 ・3年次教科選択に関する留意事項 1)地理歴史の選択は、2年次に選択した科目と同じ科目を選択する。 2)選択Ⅰから選択Ⅳの選択については、①選択Ⅰ+Ⅲ ②選択Ⅰ+Ⅳ ③選択Ⅱ+Ⅲ ④選択Ⅱ+Ⅳ の4通りのなかから科目選択を行う。 3)選択Ⅰの理数数学Ⅱまたは選択Ⅱの理数数学Ⅱのどちらかを必ず選択する。 4)選択Ⅲの理数化学または選択Ⅳの理数化学を必ず選択する。 5)選択Ⅰの履修方法は、①理数数学Ⅱを必ず履修する。 ②古典研究は必要に応じて履修する。 6)選択Ⅲの履修方法は、①理数化学を必ず履修する。 ②応用英語は必要に応じて履修する。 7)選択Ⅳの履修方法は、①理数化学を必ず履修する。 ②理数物理、理数生物については必要に応じて1科目選択し履修する。 -88-
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