平成26年度電気関係学会北陸支部連合大会, Vol

平成 26 年度電気関係学会北陸支部連合大会
レール式非接触給電システムのインダクタンス設計
友和・日下 佳祐・折川
幸司・伊東
CS
V1
CP
3. 計算結果と測定結果の比較
1 次側巻線を 2lg=10 mm のコアに貫通させたときの L1
は,平行 2 線と矩形コイルを想定した場合でそれぞれ
2.25 H,3.10 H となる。これに対し,L1 の実測値は
2.94H となり,レールを矩形コイルと見なすことで誤
差率を 23%から 5.4%に低減できることを確認した。
図 3 に L2 と 2 次側巻き数 N2 の関係を示す。
図 3 より,
コア周辺部のパーミアンスを考慮することで N2=10 のと
き誤差率を 59%から 3.6%へ低減できることを確認した。
図 4 に N2=10 とし,lg を変化させたときの Pg と Pc の比
を示す。測定結果は,測定された自己インダクタンスと
コアのパーミアンス Pi より Pg を算出し,Pc との比を算
出した。測定に使用したコアは  =2 である。図 4 より,
lg が大きくなるにつれてギャップ周辺のパーミアンスの
影響が大きくなるが,それらを考慮することで,計算値
ls =1.0 m
lr =1.2 m
Inverter
Fig. 1. Wireless power transfer system with a rail.
P2
wa
Pi
P1
P3
P4
wa
Pc
2lg

Ae
d
Pi : Permeance of core
  A
Pi  0 r e
Le
Pg : Permeance of gap
Pg  Pc  P1  P2  P3  P4

Pc   0 wa P1  0.264  0  2 wa 1   



 
P2  2 0 wa 1   ln1  2 



 wa
4
P3  0.077 0  4wa  P4   0

d
wa

2l g
wa
4
 wa 
wh
2
Fig. 2. Calculation method of permeances by a gap.
Secondary self inductance [H]
(1)

PP
 4ab 
7
  2 a 2  b 2  a  b   N12 i g
 a  b ln
4
Pi  Pg

 1 
ここで a = wa+ww,b = lr である。
図 2 にギャップ周辺のパーミアンスの計算方法を示す。
ギャップ lg が十分に小さい場合,2 次側インダクタンス
L2 の計算はギャップ空間のパーミアンス Pc のみ考慮す
ればよい。しかし非接触給電では lg が大きく,ギャップ
周辺から回り込む磁束の割合が増加するため,パーミア
ンス P1~P4 を考慮しなければならない (2)。
ここで,= wh/2
wa である。したがって,L2 は次の式で計算できる。
2 Pi Pg
L2  N 2
(2)
Pi  Pg
R
Rectifier
Core
60
calculated result  measured result
 100 %
measured result
Measured result
Including the permeances
(Plot)
of surrounding gaps
Excluding the permeances
of surrounding gaps
Error rate:3.6%
Error rate 
40
20
Error rate:59%
Core gap length 2lg: 10mm
0
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
Numbers of turns N2
Fig. 3. Calculated and measured results of self inductances.
Ratio of permeance Pg/Pc
 
Characteristics of core
Core material : 6.5%Si-Fe
Relative permeability r : 3000
Saturation magnetic flux density
Bsat : 1.8 T
Magnetic path length Le : 530 mm
Effective core cross section area
Ae : 1829 mm2
d=55 mm
Turning line
Primary winding
Secondary winding
I1
Rectifier
図 1 にレール式非接触給電システムを示す。1 次側巻
線が長いことから,従来ではレールを無限長平行 2 線と
して自己インダクタンスを計算する。しかし実際の 1 次
側巻線では折り返しがあるため,終端では鎖交磁束が集
中して自己インダクタンスがさらに上昇する。そこで本
論文では 1 次側巻線を矩形コイルとして自己インダクタ
ンスを計算する。レールをコアに貫通した場合の自己イ
ンダクタンス L1 は,レール部の自己インダクタンスとコ
ア部の自己インダクタンスの和であるので,(1)式となる。
 
1
lg
2. インダクタンスの計算法

L1  0 N12  a ln a  a 2  b 2  b ln b  a 2  b 2

2
Step down converter
近年,盛んに研究されている非接触給電システム(1)で
は,巻線コイルのインダクタンス値がシステムの特性に
大きく影響する。しかし,レール式非接触給電では 1 次
側巻線が長いことやコアのギャップが大きいことから,
従来の無限長平行 2 線を想定した計算法ではインダクタ
ンス値を正確に計算できない。本研究では 1 次側巻線を
矩形コイルとみなし,ギャップ周辺から回り込む磁束を
考慮することで,インダクタンスを精度よく計算できる
ことを示す。
Cross section of core
w=215 mm
Secondary
winding
(N2 turns)
(2=3.5 mm)
Primary
winding
(N1 turns)
(1=3.5 mm)
wa=35 mm
ww=55 mm
wh/2=70 mm
h=210mm+lg
1. はじめに
淳一(長岡技術科学大学)
w
櫻庭
6.0
5.0
4.0
3.0
2.0
1.0
Number of turns N2=10
d/wa=1.57
=2
Measured result
0.01
0.1
Dimensionless gap length =2lg/wa
1
Fig. 4. Effect of gaps on the self inductances.
と実測値が良好に一致する。 = 2lg/wa が 0.01 のとき Pg/Pc
が 1.1 となることから,ギャップがコアの足幅に対して
0.01 以上では,ギャップ周辺のパーミアンスを考慮する
必要がある。
文 献
(1) 居村ほか:電学論 D,Vol.130,No.1,(2010)
(2) 大川:総合電子リサーチ出版,
「永久磁石磁気回路・
磁石回転機設計マニュアル」,p83-84(1989)