時間的空間的特異的Scrapperノックア

平成 25 年度新潟大学脳研究所
「脳神経病理標本資源活用の先端的共同研究拠点」
共同利用・共同研究報告書
時間的空間的特異的 Scrapper ノックアウトマウスの作製と解析
育子 1)2)
伊藤 誠二 1)
片野 泰代 1)
矢尾
崎村
1)関西医科大学
建司 3)
2)浜松医科大学
3)新潟大学
研究��
SCRAPPER は神経シナプスに局在し、神経伝達物質放出の制御にかかわるユビキチン E3 リガーゼで
ある。Scrapper 遺伝子ノックアウト(SCR-KO)マウスが生後致死であるため、成体での SCRAPPER 分
子の機能を十分に解析できなかった。そこで部位特異的なコンディショナル KO(cKO)マウスを作製
し、その詳細な機能解析を行うことを計画した。平成 25 年度においてコンディショナルノックアウト
マウス作製のための floxed 型のベクターを構築し、ES 細胞に導入し、相同組み換え体を選別した。
これらの組換え ES 細胞株よりキメラマウスを作出し、生殖系列に ES 細胞が分化した個体より標的
floxed 型マウスを樹立し、現在 F1 世代のマウスが得られている。今後ドライバーマウスとの交配に
より部位手特異的 SCR-cKO マウスを作製するため、共同研究を継続していく予定である。
クターを新潟大学崎村研究室で開発された RENKA
A�研究�的
Scrapper 欠損マウス(SCR-KO マウス)は体が
株 ES 細胞に導入し、相同組み換え体を選別する。
小さい上に寿命が短く、恐怖記憶形成の異常、脳
これらの組換え ES 細胞株よりキメラマウスを作
の海綿状変性や神経細胞の萎縮といった老化現
出し、生殖系列に ES 細胞が分化した個体より標
象が見られる。SCR-KO マウス脳において変動して
的 floxed 型マウスを樹立する。さらに、脳部位
いる分子の同定が神経変性疾患病態解明の 1 つの
特異的な Cre 発現マウスを利用して、部位特異的
鍵になると考えられる。
なノックアウトマウスを作製して解析に供する。
SCR-KO マウスは、多くの個体が生後半年程度で
死亡する。また、産仔数もメンデルの法則に従わ
C�研究��
ず少ないことから、SCRAPPER が発生段階において
現在までに、コンディショナルノックアウトマ
も機能していることが予想される。本研究では、
ウス作製のための floxed 型のベクターを構築し、
致死の表現型を回避し脳に限定した機能を解析
このベクターを新潟大学崎村研究室で開発され
することができる、部位特異的なコンディショナ
た RENKA 株 ES 細胞に導入し、相同組み換え体を
ル KO マウスを作製し解析をおこなう。
選別した。これらの組換え ES 細胞株よりキメラ
マウスを作出し、生殖系列に ES 細胞が分化した
個体より標的 floxed 型マウスを樹立し、現在 F1
��研究�法
まず、floxed 型のベクターを構築する。このベ
世代のマウスを得ている。
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�.��
今後さらに、脳部位特異的な Cre 発現マウスを
利用して、部位特異的なノックアウトマウスを作
製して解析に供する計画であることから、今後、
交配を行いノックアウトマウスラインの樹立が
必要である。また、解析に適するドライバーマウ
スの選択および交配、その後の解析を行う必要が
ある。
�.��
SCR-cKO マウス作製のための floxed 型マウスを
樹立し、F1 世代のマウスが得られた。今後ドライ
バーマウスとの後輩により部位手特異的 SCR-cKO
マウスを作製する予定である。
F.研究発�
1.��発�
なし
2.学会発�
1)矢尾育子
「ユビキチンリガーゼ Scrapper ノックアウト
マウスの解析」
新潟脳神経研究会特別例会
2014/2/10 新潟
2) 矢尾育子
「先駆ける研究に至るまで」
第 3 回東北脳科学ウィンタースクール
2014/2/15 仙台
�.�的���の出願�登録���予定を���
1.特許取得
出願予定
2.実用新案登録
なし
3.その他
なし
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