理事長所信 伊藤 靖

伊藤 靖
はじめに
穂の国青年会議所は創立以来、本年56年目を迎えます。
今、私達が活動することができるのは、数多くの先輩方が、明るい豊かな社会の実現の為、将来を
見据えて、懸命に活動して来られた長い歴史の積み重ねがあるからです。私達はその土壌の上に立
っている事を忘れてはなりません。
この歴史の重さを深く感じ、伝統と歴史をかみしめて活動しよう。
私達は、一つ一つの事業に対して多くの協議を重ねることで数々の困難を乗り越え、事業を実現し
て来ました。そして、最後まで志を高く持ち行動してきた者だけが得られる経験がそこにはあります。
その経験の中で私が最も大切だと考えるものは、「失敗を恐れない行動力」です。
目標に向かって活動した経験は必ず人間として多くの成長をもたらし、それは、魅力的なリーダーへ
と成長するための肥やしとなります。
目指すべき目標を明確に持ち失敗を恐れずに活動しよう。
昨今、NPO法人の活動が活発になり、JCしかない時代からJCもある時代へと推移しています。言い
換えれば、JCの存在価値を問われる時代になったとも言えます。
私達には、伝統的に将来を見据えて活動してきた歴史と実績があります。その土壌を最大限に活か
し10年、20年先を見据えた継続的な活動に今まで以上に力を注ぐ事が大切です。そして、個々が将
来に向かって夢と希望を持ち続け、地域住民の方々と一体となって共に活動する事がJCの存在価値
であり、それが将来の社会を理想に近づける大きな一歩となるのです。この地域で活動する私達の居
場所は、そこにあると確信しています。
さて、この豊川市を含めた東三河の地域は、北には鳳来寺山、南には豊橋港、南北を縦断する豊川
と自然豊かな郷土です。インフラに関しては、高速道路のインターチェンジは、豊川インター・音羽蒲郡
インターの2ヶ所、電車網も整い交通の便も良いです。ここで生まれ育った人は、この恵まれた環境が
当たり前だと思って生活していないでしょうか。
そうではなく、先人がこの地域の未来を見据えて活動してきた結果の上にこの環境があるのです。
豊川市で生まれた私達が将来を見据えて、今やるべき事を真剣に考える事こそが、当たり前なのでは
ないでしょうか。
私達は、今、この地域にとって必要な事を実現するため、より多くの人々と交流し、豊川市、更には
東三河全体を眺め長所短所を見つけた時、活動の軸足が見えてくるのではないでしょうか。そして
個々が持つ目的を共有しその輪が地域市民への架け橋となって大きな動きとなった時、地域住民と共
に考え行動する地域作りが実現するものと考えます。
【地域の未来を創造した活動】
我が国は、少子化社会を迎えております、それは将来に向かってなお進行し続けており、そしてこの
地域もまたその例に漏れません。その様な社会に生まれ、将来の主役になるべき子ども達に、私達は
何を残す事が出来るであろうか。
少子化により人口が減少すれば、地域が衰退し、地域が衰退すれば人々は故郷を捨て、都心部へ
出ていく人が増えて行きます。そしてそれは、人口の減少による更なる衰退を産むという悪循環に繋が
ります。
この問題は、地方の政治家と行政が考えるべき現実でしょうか。
地域に何かを残すことは、責任世代と言われ、また経済人として地域社会を支える私達が、人間的
に魅力のある強いリーダーシップを持って共に考え、共に活動すべき主要な課題であり、同時にそれ
は私達の責務であると考えます。
私達が、地域の宣伝マンとして、人の集まる地域の創造、住みよい地域の創造のために、将来像を
共有し、また明確な目的意識の下、その意味と存在を考えて活動しよう。
【将来の主役の育成】
近くて遠い未来のために、私達は1年1年活動しています。しかし、10年先、20年先の主役は今何
を考え、何に興味を持ち、生活しているのでしょうか。
私は、地域の御父兄の方々に真剣に怒られた事を今でも強く記憶しております。そしてその事は、自
分にとって大きな肥やしになったと認識し、深く感謝しております。
しかし、現在は町内、隣人、人と人とのコミュニティーが次第に希薄になって来ていると言わなけれ
ばなりません。昔が良かったと言うわけではなく、地域が変化していく中で、将来の主役を取り残して生
活してはいないでしょうか。過去への回帰ではなく、少子化社会の現実も踏まえ、地域ごとに行う教育
活動を構築すべきだと考えます。
責任世代である私達が、将来を見据え、地域にあった将来の主役を育てる教育等を共に考えて行
かなければなりません。
私達の背中を見せ、礼節、礼儀を大切に教え、未来の主役を育てよう。
【国民主権の意識の醸成】
世間では、集団的自衛権の容認等を含む憲法改正について多くの議論がなされておりますが、日
本国憲法は、国民主権・基本的人権の尊重・平和主義を三原則としており、その中の国民主権に視点
を向けた時、政治的に無関心な人の増加という問題があります。
日本国民たる地域住民が将来の我が国を考える為には、個々が十分な理解と考えを持った上で政
治に興味を持ち、活発な論議をしていく必要があります。
私達は率先して政治的理解を深め、地域のリーダーとして地域の住民の政治的関心度を向上させ
て行かなければなりません。
国民は、参政権という形で政治に参加する権利があります。
私達は、政策本位による政治選択を実現する為の手段であり、国民主権の植付けのひとつとして、
また国民と選挙を近くする手段として、地方議員立候補者の公開討論会を開催し続けてきました。
公開討論会が青年会議所の代名詞と成りつつある今、公開討論会の開催そのものが目的ではなく。
次のステップを考え地域の将来を考える地域住民を増やす活動をしよう。
【会員資質の育成・向上】
穂の国青年会議所は、本年56年目を迎え、一般のお店なら老舗であり、嬉しい評判を聞く事もあり
ます。
では、この地域で青年会議所の噂は聞きますか。
私達、青年会議所は、単年度制及び40歳までしか在籍できないという規則のため、継続事業を行う
事が難しくなっており、確立した評価を得られていないという現実があります。
私達自身が56年の歴史も踏まえて、事業の運営・趣旨を深く学び、個々の事業にただ参加するの
ではなく、興味を持ち参加する事で設営者と参加者が経験と記憶を共有でき、それは参加者全員の資
質向上に繋がります。
活動年数に限りがあるからこそ、私達の委員会活動に個々の居場所を作る事が委員会活動を支え、
また全員で活動する気持ちを育てます。そしてそれは私達の地域における居場所をも見つける一助に
なるのです。
活動記録を残す例会では無く、設営者・参加者が共に経験と記憶そして記録に残す事で資質の向
上に繋がる活動をしよう。
【継続的な会員の拡大】
20歳から40歳までの限られた時間軸の中での地域の未来を創造し活動する原動力は、私達若者
のエネルギーです。小さなエネルギーが集まれば色々な角度からの意見が飛交い、限りある力が動き
を伴う大きな力を産み出します。
10年先の活動を維持し続ける為には、会員の拡大は必要不可欠です。1年で多くのメンバーを集め
る事も必要ですが、継続的に集めていく為の方法を考えて進めて行く手法が必要である。また、興味を
持った市民をメンバーに募る事、将来の主役が青年会議所に入会したいと思う活動をする事、多年に
渡る戦略的な募集活動をする事、メンバー自身が誇りを持ち活動する事、日頃からの取組みへの意識
改革も会員を集める一助となるものと考えます。
この地域で青年会議所を支える人財を育成し、発掘し、共に歩み、輝く人財を地域に還元できるよう
に一人でも多く総合的に会員拡大をしよう。
むすびに
JC宣言:「日本の青年会議所は混沌という未知の可能性を切り拓き個人の自立性と社会の公共性が
生き生きと協和する確かな時代を築くために率先して行動することを宣言する」
綱
領:「われわれJAYCEEは社会的・国家的・国際的な責任を自覚し志を同じうする者、相集い、力
を合わせ青年としての英知と勇気と情熱をもって明るい豊かな社会を築き上げよう」
私達は、地域の未来を考え一つ一つの事業を行ってきました。必ず歴史は私達の活動を選んでくれ
ます。なぜなら地域の未来を考えて活動をしているからです。
失敗を恐れていては楽しい活動はできません。志を高く持ち「JC 宣言」・「綱領」を十分に理解し共に
明るい豊かな未来を考えて活動しよう。
基本理念
「未来地図」を掲げ郷土愛、誇りを持った活動をしよう
10年先、20年先の主役が大好きと言える地域の創造へ
基本方針
1. 地域の未来を創造した活動
2. 将来の主役の育成
3. 国民主権の意識の醸成
4. 会員資質の育成・向上
5. 継続的な会員の拡大