日消外会誌 26(11):2707, 1993年 ヒ ト食道癌培養細胞 の i n t e r l e u k i n -生 6産 と 研究速報 interleukin_6 receptor発現 岡 正 朗 車 薙 洋 佐伯 俊 宏 飯塚 徳 男 林 弘 人 丹 黒 章 村上 卓 夫 鈴木 は じめ に : i n t e r l e u k i6n(‐ IL‐ 6 ) は 多彩 な生物活性 を 持 ち, 腫 瘍増殖 に も関与 してい る と報告 され1 ) , また, keratinocyteが IL‐ 6 を 産 生 す る こ とが報 告 され て い るり。 しか し食道癌 におけ る I L ‐ 6 の 産生 活 よび癌 細胞 6 r e c e p t o r ( I L6‐ 表面の IL‐ R ) に 関す る報 告 は みあた 倣 Fig. I Immunoperoxidase staining (ABC method) of IL-6 receptor in human esophageal cancer cell line (YES-3) (x1000). Control: IgG2b,IL-6: anti-IL-6R mAb. Control IL.6R らない。今回, 当 科 にて樹立 した ヒ ト食道癌培養細胞 ゆ を使 用 し, I L 6 の 産 生 お よび I L ‐ 6 R の 発 現 を検 討 し 亨t i . 材料 お よび方法 : 山 田大学第 2 外 科 にて樹立 した, 無血 清下 で培養可能 な, Y E S 、 1 , Y E S ‐2 , Y E S ‐3 お よ び 5 % F C S に て培養可能 な Y E S ‐4 , Y E S ‐5 , Y E S ‐6 の ヒ ト食道癌培 養細 胞 を用 いた。 3 ∼ 4 × 1 0 6 / m l の 培 養細胞 上澄 み 中 I L ‐ 6濃 度 を IL‐ 6 測 定 キ ッ ト ( 富士 レ ビオ) を 用 い, E L I S A 法 にて測定 した ( 測定 限界 : 4 6Rを ,anti‐ human p g / m L ) , ま た, 癌 細胞表 面 の I L ‐ IL‐ 6R monoclonal antibody(mAb)(MT18,mOuse ■│■■‐ ■十■!■■ 単■出 鵠ぷ│ユ■ l g G 2 b ) ( 中外 製 薬) を 使 用 し, A B C 法 に て 染 色 し, mouse lgG2bを controlと した。 結 果 i 無 血 清 培 養 で 培 養 可 能 な Y E S ‐1 , Y E S ‐2 , IL‐ 6 が a u t o c r i n e として 癌 細 胞 の 増 殖 に 関与 して い る Y E S ・3 の 上 清 中 I L ‐ 6 は Y E S ‐3 の み1 1 . 3 p g / m L と 測 定可能 で あ り, 他 は測定 限界以下 で あ った。 また, 血 瘍 増 殖 に 関与 して い る とす れ ば , 抗 I L ‐ 6抗 体や抗 IL‐ 清培養 した Y E S ‐4 , Y E S ‐5 , Y E S ‐6 で は Y E S ‐6 の 上澄 た。 み にて2 0 6 0 p g / m L と 高値 を示 したが, 他 は測定限 界以 可 能 性 が 示 唆 され た . 現在 , 進行 食 道癌 息 者 の うち7 0 % が IL‐ 6 測 定 可 能 で あ り検 討 中 で あ る. ま た I L ‐ 6が 腫 6 R 抗 体 が 治 療 に 応 用 され る可 能 性 が あ る と考 え られ L‐ 6 R m A b を 供与 していただ きました大阪 最後 に, a n t iI‐ 下 で あ った。 さらに I L ‐ 6 R の 染 色 にて, Y E S ‐ 3 に I L ‐ 6 R の 発現 を認 めたが ( F i g , 1 ) , 他の培 養細胞 で は認 め 大学医学部第 3 内 科教授岸本忠三先生 に陳謝 いた します 。 なか った。 human esophageal cancer cell lines 考 察 : 皮 膚 に存在 す る k e r a t i n o c y t e は IL‐ 6を 産生 してお り, I L ‐6 添 加 に よ りその増殖 が促進 され ること が報告 されてい る2 ) 。 また , 食 道癌細胞 は扁平上皮癌 で あ り, 皮 膚 と性 状 が類似 してい る と考 え られ る。今 回, 培養細胞 の うち, 2 株 に I L ‐ 6 の 産 生 を認め, 同 2 株 の うち 1 株 が I L ‐ 6 R が 陽性 で あ った。この こ とよ り, I L ‐ 6 が 食道癌 の局所免疫能 にP / / 響 を与 えてい る可能性や, Key word: interleukin‐ 6(IL‐6)and IL‐ 6 receptor in 文 献 !1)KishimotO T: The bi010gy Of interleukin‐ 6. Blood74:1-10, 1989 2)Yoshizaki K, NishirnotO,WiatsumOtO K et al: Interleukin 6 and expression of its receptOr on epidermal ker‐ a t i n o c y t e s C y t o k i n e 2 : 3 8 1上 - 3卓8 7 , 1 9 9 0 3 ) 夫,中村真之,草薙 洋 ほか :ヒ ト食道癌培養株 の樹立 とその性状一 とくに無血 清培養 の意義 につ いて一。 日 外会誌 92,1563-1570,1991 Interleukin'O Production and Interleukin-G Receptor Expressionin Human EsophagealCancer Cell Lines. Masaaki Oka, Hiroshi Kusanagi,Toshihiro Saeki,Norio lizuka, Hiroto Hayashi,Akira Tangoku, Takuo Murakami and Takashi Suzuki. Department of Surgery II, Yamaguchi University School of MIedicine <1993年 9月 8日 受理>別 刷請求先 :岡 正朗 〒 755宇 部市小串1144 山 口大学医学部第 2外 科
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