工事の安全対策について

工事の安全対策について
発注者
新庄河川事務所
施工者
株式会社 丸高
工事名
赤川流域岩菅沢第七砂防堰堤工事
発表者
○ 現場代理人 阿部 智
1、はじめに
本工事は、赤川流域の砂防事業の一環として、岩菅沢流域において上流域からの流出土砂の調整
を目的とした砂防堰堤を築造する工事です。施工箇所は、湯殿山スキー場ゲレンデ内の施工で、岩菅
沢第七砂防堰堤施工箇所の上流約100m付近には、すでに施工完了済みの岩菅沢第八砂防堰堤が
あります。
工事着手前、現場に乗り込んだ際に、岩菅沢第七砂防堰堤左岸側と、岩菅沢第八砂防堰堤右岸側
に法面崩落がみられ、現場にて施工する際の安全対策が必要であると考えました。
位置図
オートキャンプ場
施工箇所
多層民家
スキー場
湯殿山神社
七ツ滝
2、安全対策について
岩菅第七の施工が、法面崩落地帯の施工となる為、地山に異常が起きた際に、いち早く現場スタッ
フに知らせる装置が必要だと考えました。
また、上流域の岩菅第八での法面崩落が進み、河道閉塞となり、土石流として現場を飲み込む可能
性がありました。災害防止の為に、下記の事項を実施しました。
101
① 地すべり計の設置(岩菅第七左岸側)
岩菅第七左岸側の法面崩落箇所付近に地すべり計を設置し、法面に異常が無いか観測しました。
スキー場隣接部に地すべり観測センサーを設置し、時間2㎜の変動でサイレンとパトランプにて現場
に知らせる装置です。
7
3
12
柱
柱
標
4
1
6
1
柱
25
24
柱
標
-
L
2
H
0
-
5
97
.3
3
5
0
5
13
.
-
5
H
2
L
H
3
L
落
7
60
7.
4
崩
3
3
.
K
柱
2
7
I
0
4
4
L
.
H
K
L40
標
落
6
U字
崩
5
落
崩
型
240
300×
60
側溝
6.
29
6
柱
崩
柱
支
ト
フ
リ
59
2.
25
60
4.
21
U字型 側溝3
00×240
標
4
落
9
60
2.
39
5
99
.9
3
.5
4
T.8598.
28
59
9
崩
59
4.
50
.4
6
岩菅第七法面崩落個所全景
39
落
3
2
1
8.
28
1
落
崩
58
4
5
92
.3
60
7
.3
3
30
側溝
57
8
7
31
型
U字
3
58
5.
96
59
5
.7
8
91
0
60
6.
I
2
朝日
村
石
0
59
0
2
9.
1
石
58
5.
5
-
3
1
5
58
9
93
.3
59
4.
44
60
7
L
58
0.
14
0
58
.3
8
58
5
58
9.
56
T.1
5
57
落
7.
4
T.3
68
9
7.
60
58
0
.6
50
3
39
-
57
4.
57
4.
06
崩
57
.1
6
59
7.
44
9.
H
0
H
57
57
6.
68
94
59
1.
標
柱
26
60
0
.3
6
59
8.
12
73
柱
6
60
7.
59
57
0
4L
.82
8
.9
1
89
57
2.
81
58
2
6.
8.
52
標
60
-
56
7
標
3
.
K
-
57
9.
11
S
0
.
5
H=585.371m
58
6
09
5
58
I
8
1
L
-
H
L10
H
0
H
.0
0
.5
5
89
.1
6
2
6
-
L
8
H
.
-
7
7
0
60
7.
41
1
3
標
46
.
IK
5
.
M
T
-5
0
6
.
4
L
H
6.
06
59
3.
KBM.1
標
4
H
.
0
H
56
5
58
5
H
R
-
S
3
0
-
.
S
0
0
-
-4
.
S
1
S
S
0
3
5
.
-
5
S
L
S-
3
1
L
S
5
3
.
K
I
56
岩菅第八
59
0
59
4.
23
5
9
.
9
L
7
56
37
57
8.
88
.
3
-
0
H
1
R
H
7
-
.
H
6
R
-
0
0
0.0
59
8.
79
02
T.5
5
91
.5
2
-
2
2
.
K
.25
I
97
ST8
.6
2
56
5.
57
8.
25
H
0
3
2
.
-
3
S
3
2.
5
60
57
2
EP No
.15+15
.0 00
56
2
K
H
2
-
H
0
2
R
H
5
0
1
S
56
1.
56
1.
-L
8.
96
57
1.
65
59
5.
5
87
.1
9
5
84
.2
3
T.4
08
S
55
I
6
3
.
K
6
.
M
T
5
4
1
-
.
1
2
H-
R
T.7
5
64
.8
8
-
.
8
R
S
56
2.
37
56
0.
35
2+3
M
I
0
3
R
H
0
.
2
1
S
-
R
8
2
.
K
I
1
.2
K
I
EP
4
.8
1
56
NO.
.6
0
0
.0
NO
IP
.4
.
56
6
.8
0
NO.3
N O.
T
R10
0
5
95
56
57
7
.2
8
R
.3
NO
56
6
56
0.
05
67
55
8
56
6.
3.
4
5
55
6.
3
57
2+2
5.
3
56
5
T.6
I P.
55
7.
ST7
55
4
3
55
8.
87
1
06
57
0
5.
5
N O.
6.
7.
7
57
0.
.3
55
57
5
.8
8
57
2.
37
R20
0.7
No .
15+
R=5
1 3.
0
500
L= 2
0.2
01
56
6.
00
56
3.
1
58
0.
91
NO
56
0
59
1
.9
1
57
9.
42
8.
82
6
27
58
57
73
.0
5
.
IP
57
2.
.0
4
5
IP.7
58
0
57
7.
57
.5
5
NO.4
岩菅第七
57
0
60
1.
02
3
I
1
2
.6
0
58
2
8
59
3.
68
.
K
9
.2
K
1
0
5
R3
8
58
1.
05
57
9.
41
56
9.
76
5
83
.6
4
1
.9
3
標
4
01
.6
58
8
.0
4
柱
0
3
.
K
5
86
.
20
柱
I
0.
2
6
平常時堆砂線 i=1/10.0
16
.9
58
1.
10
58
580
7
8
計画堆砂線 i=1/7.5
I
-
R
4
0
R40
H
57
9
81
.0
9
計画高水位
58
3.
76
.2
7
9
+1
.4
NO
58
2
6
05
.1
6
8
左岸側崩落個所、
地すべり計設置
スキー場ゲレンデ
② 変位観測計の設置(岩菅第八右岸側)
工事着手前に、岩菅第七施工箇所の上流域を調査したところ、上流約100m付近にある、岩菅沢第八
砂防堰堤の垂直壁右岸袖部が水通し側に約15㎝ほどスライドしていました。
上流域において地山や砂防堰堤に異常があり、下流にて作業を行う際には、上流で大きな変位が発
生した場合に、現場に知らせる装置が必要であると考えました。
102
右岸側の法面崩落により
垂直壁右岸袖部が水通し
側に15㎝スライド
そこで、岩菅第八の垂直壁の変位を観測する装置を垂直壁と側壁の間に設置しました。
垂直壁右岸袖部に時間2㎜の変動があった場合、下流約100m先の現場に、サイレン・パトランプによ
り危険を知らせる装置です。
岩菅沢第八砂防堰堤
側 壁
岩菅沢第八砂防堰堤
垂直壁
この区間の相対距離変動を計測しています
(時間2㎜の変位を観測すると警報装置作動)
架台
変位計
マグネットスタンド
③ 施工箇所周辺の地山観測(岩菅第七)
今回の施工箇所である岩菅第七周辺は左岸側の法面崩落個所以外にも湧水が多く、地山崩落の
危険性があったために、広範囲の地山の変動を測定する装置を考えました。
施工箇所周辺に、反射ターゲットを設置し、光波測量機を定点に据え、各反射ターゲットを観測し、
地山の変動が無いか、確認します。
103
1
ブ
: 光波距離測定器を据付
: 反射ターゲットを観測
コンパネに反射プリズムを貼付、各箇所に設置し、
週1回の観測を行った。
以上の結果、工事期間中に地山の変動等は観測されなかったが、実際に法面崩落地帯で作業した
現場スタッフは安心して作業を行うことができたと思います。
4、おわりに
今回、現場に設置した各装置で安全がすべて保たれるわけではありません。予想をはるかに超える
地山崩落はいつ襲ってくるかはわかりません。最も重要なのは、現場で作業を行う作業者一人一人が
地山崩落地帯での作業の危険性を十分に理解したうえで緊急時、いかにその場から安全に避難でき
るかではないでしょうか。
今回のような地山の観測を行う装置が、地山崩落の危険性のある現場で参考になればと思います。
104