トヨタ自動車株式会社

トヨタ自動車株式会社
住所
〒471-8571 愛知県豊田市トヨタ町1番地
ホームページ URL
http://toyota-saiyo.com/
1. 会社概要
創立
1937 年
業績
売上高
資本金
3,970 億 5 千万円(2013 年 3 月末現在)
:【単体】9 兆 7,559 億円(2013 年 3 月期)
, 【連結】22 兆 641 億円(2013 年 3 月期)
営業利益:1 兆 3,208 億円(平成 25 年 3 月期)
従業員数
【単体】68,978 人(2013 年 3 月末現在)
, 【連結】333,498 人(2013 年 3 月末現在)
事業内容
自動車の開発・生産・販売・アフターサービス
2. 会社の特色
自動車は約 3 万点もの部品からつくられており,多くの人,あらゆる領域が関わりあっている.また,クルマを開発し
世界中に提供するというビジネスは,数千人規模の人々が関わるプロジェクトになるため,社員一人ひとり自らあるべき
姿を考え周囲を巻き込み行動することが求められる.多くのメーカーが海外展開をしているため,仕事のフィールドもグ
ローバルである.世界 27 ヶ国/地域に 52 の海外製造事業体があり,トヨタ車は 160 ヶ国/地域以上で販売されている.全
ての領域の仕事で,常に「世界」という視点を持つことが求められており,自分達が携わったクルマは,世界中のお客様
の生活を支え,ひいてはその国の産業や経済にも影響をあたえる.
3. FR 2.5L 用新型ハイブリッドトランスミッションの開発
近年,自動車の CO2 排出量削減・燃費向上の必要性はますます高まっており,低
排出ガス・低燃費車の普及・拡大が進んでいる.1997 年に世界初の量産ハイブリッ
ドシステムを搭載したプリウスを開発して以来,システムに多くの改良を加えなが
ら SUV 用からサブコンパクト車用まで幅広いラインナップのハイブリッドトランス
アクスルを開発してきた.FR 車両用としては 2006 年に 2 段変速式リダクション機
構を持つ FR 3.5L 用ハイブリッドトランスミッション(L110)を開発している.今回,
加速性能を確保しつつ燃費性能を確保できるよう,軽量・コンパクトで低損失な FR
2.5L 用新型ハイブリッドトランスミッション(L210)を開発した.
(JC08 モ−ド走行
燃費でクラストップの 23.2km/L を達成)
3.1
Fig.1 L210 equipped vehicles
開発の狙い
3.1.1
低燃費化
クラストップレベルの低燃費を達成するために 2.5L クラスの車両に求められる動力性能や最高車速などを考慮し,ギ
ヤ比固定のモータリダクション機構を採用し
Wet friction brakes
た(Fig.2).これにより,湿式摩擦材の引き摺
Electrical oil pump
かつモータリダクションギヤの簡素化によっ
て噛合い損失を低減した.また,エンジント
Generator
Power split
size
device size
reduction
reduction
Motor
Motor speed
reduction
device
Motor speed reduction gear
Transmission losses
り損失と電動オイルポンプ損失が無くなり,
Power split device, oil pump,
and others
Generator
Motor
▲40%
ルクに最適化した動力分割機構の採用,およ
びメカオイルポンプの小型化により,トラン
Original
Fig.3 Transmission losses
in JC08 mode
スミッション損失を JC08 モード燃費におい
て約 40%低減した(Fig.3).
Fig.2 FR 2.5L HV Transmission
冷却性能向上
ギヤ比固定のモータリダクション機構の採
To generator
To motor
Intermediate shaft
Rotor shaft
Elimination of 2-stage motor
speed reduction device
るため,オイルクーラで冷却された ATF をモ
Motor temperature[℃]
用によって高トルク登坂のモータ発熱が増え
Cooled oil
ータへ直接かけるのと同時にモータ軸心から
の強制冷却により,冷却性能を確保した
(Fig.4).ギヤ比固定のモータリダクション機
30℃低減させ,登坂時のモータ性能を確保した
(Fig.5).
3.1.3
Criteria
▲30
+8
Stator coil-ends
構の採用によってモータコイルエンド温度が
約 38℃上昇するが,冷却性能向上によって約
Improvement in
motor cooling
+38
Straine
Lubricating oil for gears
Original
L210
Fig.5 Effect of improvement
in motor cooling
Oil pan
Fig.4 Improvement in motor
cooling
静粛性確保
FR 乗用車としての静粛性を確保するため,
トランスミッション内部から外周面への振動
伝達経路に着目して構造と形状を最適化した.
Case surface
Vibration pathway
Case surface
Improved dumping
performance
Ring gear
Ring gear
モータリダクション機構のリングギヤをフラ
ンジとピンを介してケースに固定することで,
(a)Ring gear fixed by splines
▲7dB
L210
Pin
ギヤの噛合い振動がケース内壁経由で減衰さ
れて外周面に伝わる(Fig.6).リングギヤをケ
Sound pressure level
3.1.2
L210
Flange
(a)Ring gear fixed by splines
Reduced level
(b)Ring gear fixed by a flange and six pins
0
500 1000
(b)Ring gear fixed by a flange
and six pins in L210
1500 2000 2500 3000 3500
Output speed
Fig.6 Vibration pathway from ring Fig.7 Sound pressure level
ース内径にスプライン勘合した場合と比較し,gear to case surface in motor speed comparison of structures in fig.6
reduction device
ギヤノイズレベルが約 7dB 低減した(Fig.7).
3.2
まとめ
FR 2.5L 用 新型ハイブリッドトランスミッション(L210)を開発し,開発の狙いである「低燃費化」
「冷却性能向上」
「静
粛性確保」を達成した.L210 を初めとする新型ハイブリッドシステムとエンジンの採用,その他の車両の低燃費化対応
を合わせ,JC08 モード燃費において 3.5L ハイブリッド車から約 60%の低燃費化を実現した.
問合せ先:
人材開発部
採用・計画室
E-mail: (技術系)[email protected]