Title 試験管内におけるファージGA RNAの複製 Author(s) 青山, 明

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Author(s)
試験管内におけるファージGA RNAの複製
青山, 明
Citation
Issue Date
Text Version none
URL
http://hdl.handle.net/11094/32642
DOI
Rights
Osaka University
[3
1
氏名・(本籍)
青
山
学位の種類
理
字
学位記番号
第
4 7 20
学位授与の日付
昭和 54 年 9 月 29 日
学位授与の要件
理学研究科生理学専攻
明
博
士
干
Eゴ
3
学位規則第 5 条第 1 項該当
学位論文題目
試験管内におけるファージ GA RNA の複製
論文審査委員
教授倉橋
(主査)
潔
(副査)
教授松原謙一教授松代愛三助教授小川英行
論文内容の要旨
試験管内におけるバクテリオファージ GA RNA の複製は, RNA 依存 RNA 合成酵素活性をもっ GA
レプリカーゼに加え,宿主由来の因子が必要で、ある。この因子( GA-HF) を精製することによって,
その GA-RNA複製反応における役割を明らかにすることを目的とした。同時に, GA-HF の機能を解
析する手段として, GA フアージに相補的なマイナス鎖を GA ファージ感染菌から精製し,両鎖を鋳型
として,
①
RNA合成反応及び GA-HF の寄与を解析した。
GA-HF を大腸菌の抽出液から,熱処理, DEAEーセフアデックス, QAE- セフアデックス,ポリ
(U) セフアロース,
リン酸セルロースカラムクロマトグラフイーにより精製した。得られた最終標品
は,分子量約 13 , 000及び 6 , 000 の二種の蛋白を含む。②この最終標品を DEAEーセルロースカラムクロ
マトグラフィーによって,各々は GA-HF 活性を示さない二つの分画に分けることが出来,上記の二種
の蛋白も各々の分画に分離する。両分画を足し合わせることにより, GA-HF活性が回復することから,
GA-HF が,これら二種の成分からなることが示唆され, HFI 及びHF II と名付けた。③フo ラス鎖を鋳
型とした反応では, HF1 と HF II の両成分が必要で、あることは上に述べたが,マイナス鎖を鋳型とし
た RNA合成反応には, HF1 のみが必要であり,
この反応には HF II は関与しない事が明らかとなった。
HF1 存在下で合成された RNA は,ファージ RNA と同じ大きさのプラス鎖のみである。④ GA-HF は,
GA-RNA と直接,会合することが出来, RNAb
i
n
d
i
n
g protein の一種であることが示された。
以上の事から,試験管内におけるファージ GA-RNAの複製は,反応の第一段階であるプラス鎖を鋳
型としたマイナス鎖の合成に,二種の宿主因子, HF1 及び HF II が関与し,反応の第二段階である新
生マイナス鎖を鋳型とした,ファージ RNA鎖の合成には,一方の宿主因子 HF 1 のみが関与してなさ
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唱,
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れると考えられる。その際,
GA-HF は,鋳型 RNA に作用し,
を促進するように働くことも考えられ,
GA レプリカーゼと鋳型 RNA の相互作用
GA レプリカーゼによる鋳型 RNA の認識に,
GA-HF が重要な
役割をはたしていることも予想される。
論文の審査結果の要旨
遺伝情報をもっ RNA ファージの RNA複製の研究は 1965年に春名らによって Qβ ファージの RNA レプ
リカーゼが単離され始めて可能になった。その後の Qβ ファージ RNAの複製機構の研究は,
RNA複製
の際の鋳型特異性,新生 RNA は鋳型 RNA と二重鎖構造をとらないこと,又宿主因子 QβHF が, QβR
NA を鋳型としてそれに相補的な塩基配列を持つ RNA (マイナス鎖)の合成に関与していること等を
明かにした。しかしながら,それらの詳細な機構は Qβ ファージの系の研究のみでは未だに明かにされ
ず,他のグループに属する RNA ファージの RNA の試験管内複製系の確立が要請されてきた。
青山君は,米崎,春名によって精製されたグループ H に属する GA ファージのレプリカーゼを用いて
その RNA複製機構を詳細に検討して次の知見を得た。
1.GA レプリカーゼは,従来を Qβ レプリカーゼとは異なり,宿主因子なしでも GA ファージ RNA の
複製を行うことができると考えられてきたが,試験管内に於て十分な複製を行うためには,宿主因子
GA-HF が必要である。
2. GA-HF を大腸菌組抽出液より約 13 , 000倍迄精製した所,宿主因子は二つの蛋白画分に分離され,
一つは分子量約 13 , 000他は約 6.000 のポリペプチドよりなることが明かになった。
3. GA ファージ RNA複製の第一段階であるマイナス鎖合成には宿主因子 GA-HFI と GA-HFll の両
者が必要で、あるが,第二段階である新生マイナス鎖を鋳型としてプラス鎖を合成する反応には,宿主
因子 GA-HF 1 のみが関与している。
以上の青山君の研究結果は遺伝情報をもっファージ RNAの複製機構の解明に重要な知見を加えるも
ので,理学博士の学位論文として十分価値あるものと認める。
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