y x x U,h x

偏微分のイメージ
例:重力による位置エネルギーは U = mgh ( g = 10 m/s2 )
m = 0.1 kg とすると
U=h
つまり、100 g の物体が標高 h [m] にあるとき、
重力による位置エネルギーは、海面を基準点にすると h [J] である。
x軸、y軸を図のようにとると(2次元)
物体が地表にあるときの位置エネルギーU は x と y の関数であり U(x,y)とかける。
標高 h も場所によって変化するので、h(x,y)とかけ、
U(x,y) = h(x,y) である。(位置エネルギーの形状と地表面の形状は同じ)
y
点P(xp,yp)が 50 m の等高線上
にあるとすると、この点に
おける位置エネルギーは
U(xp,yp) = 50 である。
P
-∇
∇U(r)
← この点線上の地表面の
断面図は下の図のように
なっている。
x
点Pにおける-∇U(r)は
点Pにおける斜面の傾きで
ボールを置いた時に
転がっていく向きである。
地図の矢印の向き
U,h
∂U
点Pにおける偏微分 ∂x
とは図の接線の傾きである。
50
Fx = -
xp
第11回 (6/11)
1ページ
x
∂U
∂x
力はUの傾きに比例
向きはUの小さい方
m1m2
より万有引力 F(r) を求める。
r
問題:質量 m1 の質点が原点に固定されている。位置 r にある質量 m2 の質点に働く万有引力 F(r) を求
めよ。
F(r) = -∇U(r) を用いて万有引力による位置エネルギー U(r) = -G
m2
z
r
U(r) = -G
y
x
F(r) = -∇U(r) = ( -
(
∂U
∂x
m1m2
y2 + z2 )1/2
x2 +
,-
∂U
∂y
,-
∂U
)
∂z
m1
∂U
= -Gm1m2(-1/2)(2x)
∂x
各点に
1つの値
↓
各点に
3つの値
↓
スカラーである U(r) より、ベクトルである F(r) が求められるのは、情報量の点から少し不思議な気がしますね。
↑
完全に自由に
値を決めることができる。
↑
スカラーの勾配である
という制限がある。
自由に値を
決めることはできない。
第11回 (6/11)
2ページ
例題2 脱出速度 p66
地球表面にある大砲から砲弾を発射して地球の重力圏から脱出させて無限の遠方まで到達させたい。
(1)地球表面における砲弾(質量 m )の万有引力による位置エネルギーはいくらか?
ただし、地球の質量は ME,地球の半径は RE とし、地球の全質量は中心にあるとしてよい。
E はEarth の E
万有引力による
位置エネルギーの
基準点は無限遠
(2)地球表面における砲弾の万有引力による位置エネルギーを重力加速度 g を用いて表せ(MEを消去)。
上のままでもよいが、もっと身近な定数で表現
(3)砲弾の初速度を v0 とすると、発射直後の砲弾の力学的エネルギーはいくらか?
第2宇宙速度
(4)地球の重力圏から脱出して無限の遠方まで到達させるための初速 v0 の最小値(脱出速度)を
計算せよ。空気抵抗は無視し、力学的エネルギーは保存するとせよ。
自転,公転,太陽の重力は無視し、地球の半径は 6.4×103 km、重力加速度は 10 m/s2 とせよ。
ME を用いる表現では
-G
mME 1
+
mv02 > 0
2
RE
運動エネルギー
重力による
位置エネルギー
mME
1
mv02 > G
RE
2
v02 >
2GME
RE
√
脱出速度:
第2宇宙速度
第11回 (6/11) 3ページ
2GME
RE
問題:太陽表面からの脱出速度を計算せよ。太陽の質量 M は 2×1030 kg(地球の約30万倍)、
半径は 70万km(地球の約100倍)。G は 6.7×10-11 [m3/kg・s2]とせよ。
相対性理論によると光速 c = 3×108 m/s 以上の運動は不可能。
脱出速度が光速 c を超えるとブラックホールとなる。(M が大きく、R が小さいと脱出速度が大きくなる。)
例:中性子星は、質量は太陽程度、半径は10 km 程度、脱出速度は光速の1/3 程度、密度は約10億トン/cm3
(参考)第1宇宙速度:地表面すれすれの衛星の速度。問題:第1宇宙速度を求めよ。(空気抵抗は考えない)
g は9.8 m/s2 とせよ。
熱の実用単位(エネルギーの単位)
水 1 g の温度を1度上げるのに必要な熱量(エネルギー)が 1 cal (カロリー)
ちなみに水 1 g の体積は 1 cm3 です。(1 cc ともいう cubic centimeter )
ジュールの実験
おもりの降下によって回転する羽根車が
水をかき混ぜると水の温度が上昇する。
水 1 g の温度を 1 度上げるためには
約 4.2 J の仕事をしなければならない。
(おもりの位置エネルギーが 4.2 J 減少)
おもりの位置エネルギー
熱
熱もエネルギーの一つの形態
1 cal ≒ 4.2 J
物体の温度:原子・分子の運動の激しさ
熱は微視的には、原子・分子の運動エネルギー
問題:上の装置のタンクに 100 g (100 cm3 )の水が入っている。1 kg のおもりを 1 m 降下させたとき、
水の温度は何度上昇するか? 重力加速度 g は 10 m/s2 とし、1 cal は 4 J とせよ。
第11回 (6/11) 4ページ
化学的エネルギー
石油や石炭等の持つエネルギー。これらは燃焼等の化学反応で熱を発生する。
石油やガソリン、天然ガス等の持つエネルギーはおよそ 10 kcal/g (おおざっぱな値)
人間が消費するブドウ糖や脂肪の持つエネルギーも化学エネルギー
問題(復習):新入生合宿研修で、室堂(2430 m)からカルデラ展望台(2670 m)まで登った。Aさんの体重
を 50 kg とすると、Aさん位置エネルギーはどれだけ増加したか?ただし、重力加速度は g = 10 m/s2 とせ
よ。
問題: 上の問題でAさんの消費カロリーを求めよ。ただし、登山で体が消費したエネルギーは すべて位置
エネルギーに転化するわけではない。筋肉の効率も 100 % でないし、筋肉を動かすためには、心臓・肺を
動かすためのエネルギーも必要である。消費したカロリーの 20 % が位置エネルギーになったものとせよ。
1 cal は 4 J として計算せよ。
参考:成人1日約 2000 kcal 1 kcal = 1000 cal
答:
kcal
問題:体脂肪の化学エネルギーは 1 g あたり 9 kcal である。消費したエネルギーを体脂肪に換算するとど
れだけか?
答:
問題:位置エネルギーになったのは、20% とすると、後の 80% は何のエネルギーになったと思うか?
運動すると体が温まる・・・
エネルギー保存則 (復習)
エネルギーの形態はいろいろと変化し。存在場所も移動するが
その総量は常に一定で増加したり減少したりすることはない。
第11回 (6/11) 5ページ
g
6章 質点の角運動量と回転運動の法則
力 F のモーメント (p73)
力のモーメント:新しい物理量
← 重い人は、支点に近いところに座り、
軽い人は、支点から遠いところに座るとつり合う
F1l1 = F2l2
シーソーを回転させる能力: Fl に比例する
点Oのまわりの力の
モーメント
単位:N・m
(トルク) N = Fl :物体を支点(点O )のまわりに回転させる能力
反時計回りを正
回転の向きの違いは、 時計回りを負
として区別する。
問題: 左上のシーソーの図で、点Oのまわりの力 F1 と力 F2 のモーメントを求めよ。
力 F1 のモーメント:
力 F2 のモーメント:
力の向きが、回転の向きと平行でない場合
(左下の図でθ が 90°でない場合)
力のモーメント
「力の大きさ F 」×「支点Oから力の作用線までの距離 l 」
問題:左の図で、点Oのまわりの
力F1のモーメントと力F2のモーメントはいくらか?
力 F1 のモーメント: -F1l1 =-F1r1 sinθ
力 F2 のモーメント: F2l2
作用線
[問題] 上の図は、「てこ
てこ」の原理を示している。「てこ
てこ」とは、小さい力で大きな力を得るための道具である。
てこ
てこ
上の図で l2 = 10 cm、r1 = 1 m、θ = 60°の時、力 F2 の大きさは力F1の大きさの何倍か?てこの質量は
無視してよい。
ヒント:ゆっくり持ち上げるとき、F とF の力のモーメントはつり合っており N = 0 としてよい。
1
2
N = -F1r1 sinθ + F2l2 = 0
F2 =
F1 =
F1 ≒ 8.7 F1
「てこ」で、10倍の力を得たとしても、移動距離は1/10 しかないことに注意:仕事 W = F・s は同じ。問題:てこの応用例は?
第11回 (6/11) 6ページ
xy 平面に平行な力 F が xy 平面上の点P ( x, y ) に作用している場合 (成分で表現すると)
Fy
y
F
力 F は、Fx と Fy に分解できる。
分力 Fx の原点Oのまわりの力のモーメントは、
N = -yFx
(時計まわり:-、作用線までの距離:y、力の大きさ:Fx)
作用線
分力 Fy の原点Oのまわりの力のモーメントは、
N = xFy
物体
Fx
y
(反時計まわり:+、作用線までの距離:x、力の大きさ:Fy )
合計すると、力 F の原点Oのまわりの
x
x
O
点Pの位置ベクトル r と
点P におけるベクトル量 A
との外積(ベクトル積)r×A を、
点Oまわりの A のモーメントという
後でやります。
角運動量は、力のモーメントの力 F を
質点の運動量 p ( = mv ) で置き換えたもの
p
v
y
r
m
px
θ
x
O
N = xFy-yFx
角運動量
(運動量のモーメント)
py
y
力のモーメントは
x
点Oのまわりの
力のモーメント
点Oのまわりの
角運動量
N = Fl
L = pd = mvd
N = Fr sin θ
L = pr sin θ = mvr sin θ
N = xFy-yFx
L = xpy-ypx
L = m(xvy-yvx)
l,
d
問題:質量 m の物体が、点Oを中心とする半径 r の円周上を、角速度 ω で
等速円運動している場合、この物体の点Oのまわりの角運動量 L はいくらか?
O
第11回 (6/11) 7ページ
回転運動の法則
L = m(xvy-yvx) の両辺を t で微分すると、
dL
= m d (xvy-yvx) = m(vxvy + xay-vyvx-yax)
dt
dt
= m(xay-yax) = x(may)-y(max) = xFy-yFx = N
(前頁の式参照)
dL
dt = N
(
回転運動の法則
)
質点の角運動量の時間変化率は、その物体に働く力のモーメントに等しい
対応させて理解する
運動の法則:
dp
= F に対応
dt
(p37, 3.14式参照)
質点の運動量の時間変化率は、その物体に働く力に等しい
対応関係
回転運動 直線運動
L
N
p
F
中心力
ある物体に作用する力の作用線がつねに一定の点Oを通り、
その強さが点Oと物体の距離 r だけで決まる場合、この力を
地球 m
O
太陽M
中心力
といい、点Oを力の中心という
例: 惑星に作用する万有引力(すぐ後で勉強する)
F = G Mm
r2
角運動量保存則
物体が中心力だけの作用を受けて運動する場合には、
力の中心のまわりの角運動量は一定である。
[証明] ある物体が点Oを中心とする中心力だけの作用を受けて運動する場合は、
点Oのまわりの力のモーメントN は 0、なぜなら、N = Fl で l = 0 (作用線が点Oを通る)
dL
= N = 0 なので L = 一定
dt
第11回 (6/11) 8ページ
面積速度
v∆t
P
d
∆S
点Oと物体を結ぶ線分が単位時間に通過する面積を
この物体の点Oに対する
面積速度
F
O
問題:左上の図のように、点Pにある質量 m の質点が ,速度 v で運動している。
この質点の点Oに対する角運動量 L と面積速度はいくらか?
また、角運動量 L と面積速度の関係式を書け。図にある記号は用いてもよい。
面積速度一定の法則
上の解答より、面積速度は角運動量に比例
↓
角運動量が保存するなら、面積速度も保存する
↓
中心力の作用だけを受けて運動する物体の
力の中心に対する面積速度は一定である。
今日の復習問題
教科書p70 A11,A12
第11回 (6/11) 9 ページ
という。
偏光板で遊ぼう
光(電磁波)は、電場と磁場の波です。(後期の物理学IIで勉強します。)
自然光
偏光板
電場の垂直方向成分
だけが透過する
電場の振動方向は様々
偏光板が電場の
水平方向成分を吸収
① 偏光板を液晶(ノートパソコンやスマホのディスプレー)通して見てみよう。
そして偏光板を回転させてみよう。
② 二枚の偏光板を重ねて一方を回転させてみよう。
③ プロジェクターの光に偏光板をかざし、スクリーンにできた影を見てみよう。
そして偏光板を回転させてみよう。問題:解説せよ。ヒント:光源は赤・青・緑の3色(光の3原色)
中央は液晶プロジェクタ(3管式?)、サイドは、DLP方式
④ 床・机・ガラス・水面等での反射光を偏光板を通してみてみよう。そして偏光板を回転させてみよう。
⑤ 2枚の偏光板を重ね光が透過しない状態にした後
その間に別の偏光板を差し込んでみよう。そして差し込んだ偏光板を回転させてみよう。
⑥ パソコンの画面の上に透明のプラスチック等の板を載せ、偏光板を通して見てみよう。
そして偏光板を回転させてみよう。(複屈折:屈折率が方向によって異なる 偏光の方向が回転)
例:高分子が一定方法に並んでいる
⑦セロテープ・・・⑧応用3Dメガネ⑨偏光メガネ(釣り用)
水面での反射率
θ I = 60度では、
P方向に偏光している光は反射しない。
(完全に偏光)
空気
水
第11回 (6/11)
10 ページ
完全に偏光
学科
学生番号:
氏名:
この講義に関して何か意見や要望、感想等があったら何でも自由に書いて下さい。
面白い物理の情報や、取り上げてほしい話題、不思議に思っていること等あったら書いて下さい。
この紙で今日の出席を確認します。
第11回 6月11日
学科
学生番号:
氏名:
この講義に関して何か意見や要望、感想等があったら何でも自由に書いて下さい。
面白い物理の情報や、取り上げてほしい話題、不思議に思っていること等あったら書いて下さい。
この紙で今日の出席を確認します。
第11回 6月11日