26Q-pm135

26Q-pm135
Nrf2KO マウスにおける薬物による HO-1 と P450 の誘導
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◯澤田 翔平 1 ,
芦野 隆 1 ,
山本 雅之 2 ,
沼澤 聡 1 ,
吉田 武美(
昭和大薬,
東北
大院)
【目的】ヘムオキシゲナーゼ(HO)は、ヘム分解の律速酵素で、さまざまなスト
レスに対する生体防御的役割を果たすことが明らかにされ、数多くの疾患、化学
物質でその発現上昇が認められている。HO-1 は Nrf2 などの転写因子による制御を
受けている。Nrf2 は酸化ストレス防御系の遺伝子や薬物動態の中心的な役割をし
ているシトクロム P450(P450)の CYP2A の発現調節に関与している。P450 はヘム蛋
白であり、ヘム分子とアポ分子から構成されている。一般に、HO-1 誘導が起きて
いる肝臓では P450 含量が減少することが知られている。しかし、HO-1 と P450 と
の相互関係は不明な点も少なくない。本研究は HO-1 誘導作用と P450 誘導作用を
もつトランススチルベンオキシド(TSO)と塩化カドミウム(CdCl2)を用いて HO-1 と
P450 の相互関係を明らかにすることを目的に、解毒や排泄系の酵素を調節してい
る転写因子 Nrf2 の欠損マウスを用いて検討を行った。
【結果・考察】TSO は WT マウス及び Nrf2KO マウスともに時間依存的、用量依存
的に HO-1 と CYP2B の発現誘導を引き起こした。Nrf2KO マウスにおける TSO による
CYP2B 誘導の程度は WT より低かった。一方、TSO による HO-1 誘導の程度は WT マ
ウスが Nrf2KO マウスより相対的に強かった。CYP2B 活性は WT マウスより Nrf2KO
マウスの方が低いにも関わらず相対的に高値を示す傾向にあった。CdCl2は WT マ
ウスでは HO-1 と CYP2A を用量依存的に誘導した。Nrf2KO マウスにおいて、CdCl2
は HO-1 を用量依存的に誘導したが、CYP2A は逆に用量依存的に減少した。P450 含
量も同様に用量依存的に減少した。以上の結果より、HO-1 の誘導に伴い P450 の活
性や発現量が下がることから、HO-1 が P450 を分解している可能性が示唆された。