エ トτ一吉田己 1 学位の種類博 士(医学) ! 学位記番号 第3 3 2 4 号 学院授与年月日 平 成 9年 3月3 1[j 学{立援与の要件 学位規則第 4条第lIJi設当者 学{立論文名 白血病細胞の分化誘導: レチノイン酸とジメチルスルホキシドによる分化誘導の相乗作用 論文審査委員 主査教授北川誠ー 副主査教授巽 典之 」 副主査教授大谷周造 論文内容の要旨 ( a l l l r a m ;r ' e t i n o i ca c i d . ATH .A ) を用いた分 単独では寛解維 化誘導撮法が臨床的に高い寛解率を与えることが明らかにされている。しかし. ATRA 持は極めて休│難であり,連続投与しでも ATRA 耐性となり必ず再発する。レチノイン酸に対する耐性化 【目的】急性前骨髄球性白血痛に対して, レチノイン酸 の機構に関しては不明な点が多く,また耐性化克服の手段に関しでも確立されたものはな L、 今 岡 ヒ ト 骨 髄性白血病細胞株I I L 6 0とそのレチノイン酸耐性亜株(lIL 6 0 ' ) を用いて ATRAとジメチルスルホキシ ( D ¥ ; l S 0 ) による分化誘導の相乗作用につき解析した。 【方法】 H L 6 0 ・ は ATRA 存丘下に親株 ( w i l dt y p eH L 6 0 ) を培養することにより樹す.した。これらの 細胞株に ATRAまたは DMSO を単独または併用して添加し細胞の増殖抑制および頼粒球系細胞への分 化誘導につき検索した。分化誘導は形態学的に検討するとともに,機能的な指標として. p h o r b o l f o r m y l m e t h i o n y l・l e u c y l p h e n y l a l a n i n e 刺激による活性酸素産生能を用い r n y r i s t a t ea c e t at eまたは N ド た 。 【結果】親株を用いた解析から低濃度の ATHA およびDMSO を併用することにより,増殖抑制および分 化の相乗作用が認められた。 HL・6 0 'は. ATRAに対してばかりでなく. DM80に対しても耐性を示した が.両者を併用することにより.相乗的に分化が誘導された。 【考察】 ATHA 耐性となった骨髄性白血病に対する分化誘導畷法の克服手段として ATRAと他の分化誘 導剤との併用が考えられた。 論 文 審 査 の 結 果 の 要 旨 現在, レチノイン酸 ( a l l t r a n sr c t i n o i ca c i d ;ATRA) による分化誘導療法は,急性前骨髄球性白血 病に対する有効な治療手段となっており,経は投与により極めて高い寛解率が得られている。 し カ か 為 し し' ATRAの巾 とな り tヲ必ず:再再発する。 ATR 八耐性化の機序の詳細はまだ不明であり. また. ATRA 耐性となった急性 前 汁髄球性白血病に対する分化誘導療法の克服手段も明らかにな「ていない。本研究においては.これらの ATHAiこより頼粒球系細胞に分化が誘導されるヒト骨髄性白血病細胞株l l L・6 0 と. ATHAによる分化誘導に耐性をがす止E 株H L 6 0・を用いて,これらの細胞の分仕誘導および増殖抑制 におよぼす ATR 八とジメチルスルホキシド ( di m c t h y l s u l f o xi d c:D ¥ ; 1 8 0 ) ω 併用効果につき解析した i ¥ ' ' 1H.;¥耐性亜株(11 1 .6 0 ) は腕株(川 I dl y p cI I L 6 0 ) をA T H A : ( . J.{t:下で培養することにより樹立した 点を明らかにする同的で, O 細胞株である c w i l dL y p CI I L 6 0に0.1μMATRAあるいは0.5%DM80を単独で添加すると,それぞれ軽度の HL6 0の増殖抑制が認められ,同時に.形態学的にも軽度の頼粒球系細胞への分化誘導が認められた。しかし, 両者を併用すると,極めて強く細胞増殖を抑制し,同時に,形態学的にも頼粒球系細胞への分化誘導が強 く認められた。ホルボールエステ Jレ ( p h o r b o lm y r i s t a t ea c c t a t c ) ま た は 走 化 性 閃 子 CN-form) ・ 1 - h e n y l a l a n i n c ) 刺激によるスーパーオキシド産生能を検索すると. 0.1μM ATHA m c t h i o n y l J e u c yトp と0 .5% DMSOの併用により分化を誘導した HL-60は,それぞれの薬剤単独で分化を誘導した細胞に比し, 極めて強いスーパーオキシド産生能を示した。さらに, DM80による HL-60の分化誘導は ATRAにより 濃度依存性に促進され,また, ATRAによる分化誘導は DMSOにより濃度依存性に促進された。一方, ATRA 耐性亜株は lμ MATRA を添加しでも分化の誘導は認められず,さらに, DMSOl こ対しでも耐性 ではスーパーオキシド産生能の昂進は認められず. w i l dt y p eHL-60 を示した。すなわち. 1% DMSO における分化誘導の至適濃度である 1 .25%DMSOを用いると.わずかにスーパーオキシド産生能の昂進 が認められた。しかし 昂進した。また, 1μ MATRAと 1% DMSOを併用すると,スーパーオキシド産生能は著しく 1μMATRAと様々な濃度の DMSOを併用すると. DMSOの濃度依存性に H L 6 0 'の TRAを併用すると. ATHAの濃度依存性に1-11 . 6 0'の分 分化が誘導され. 1% DM80と様々な濃度のi¥ 化が誘導された。これらの結果は. AT H .AとDMSOを併用することにより. w i l dt y p e HL-60ばかりで 耐性亜株 ( H L 6 0 ')の分化誘導も相乗的に促進されることを示している。 なく ATRA 本論文は,急性前骨髄球性白血病に対する分化誘導の機序並びに ATRA 耐性化の機序とその克服手段 を解明する上で貢献するところが大きいと考えられる。よって,著者は博士(医学)の学位を授与される に値するものと判定された。 1 3
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