詳細を見る - 青少年のための科学の祭典

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宇宙線を音で聞こう!
∼宇宙線は高エネルギーの粒子。クリアケースGM管でキャッチ!∼
[団体出展]
公益財団法人 日本科学技術振興財団・科学技術館(東京都)
●どんな実験なの?
宇宙線は高エネルギーの粒子(素粒子や原子核)で、地上には、1分間に面積1㎝ 2あたり約1個が飛ん
できています。ここでは、クリアケースを利用した空気GM管で宇宙線をキャッチし、音で聞きます。で
も、身の回りには自然に存在する放射性物質があって、宇宙線と同じようにGM管にキャッチされま
す。どうすれば、宇宙線を聞き分けられるのでしょうか。
●実験のしかたとコツ
【工作のしかた】
⑴クリアケースのふたの中央の電極に、アノードを差し込みます。
⑵クリアケースに、カソードとなる黒画用紙を丸めて入れます。
⑶クリアケースの中にブタンガスを少量入れ、すぐふたをします。
⑷高圧電源の高圧端子に、クリアケースGM管のプラグをそれぞ
れ差し込みます。
⑸高圧電源のイヤホン端子にイヤホンプラグを差し込みます。
【実験のしかた】
⑴試しにテスト線源で音を聞いて見ます。
⑵テスト線源とクリアケースの間に厚さ6㎜のプラスチックを
入れてみます。
⑶テスト線源なしで音を聞きます。
●気をつけよう
・この実験では、高圧電源は5000Vです。電源スイッチが入
った状態で端子の金属部は危険なので、絶対に触れない
でください。
カスケードシャワーのイメージ図
●もっとくわしく知るために
※宇宙線には、太陽や宇宙空間から飛んでくる一次宇宙線と、一次宇宙線が地球の大気と衝突し、
ばらばらになって地上に降ってくる二次宇宙線があります。地上で観測されるのは、ほとんどが二
次宇宙線で、ミューオンが全体の約3/4、電子が約1/3とされています。ミューオンは素粒子で、電荷
を持った荷電粒子の一種です。
※宇宙線の観測には、自然界にある放射性物質からの放射線がノイズになりますが、γ線を検出しに
くいGM管を使用して、比較的エネルギーが小さい放射性物質からの放射線を遮へいすれば、より
エネルギーが大きい宇宙線との区別が可能になります。
※GM管は、円筒形のカソードと、その中心線上にあるアノードで構成され、荷電粒子による電離を担
う気体と引き続く電離をコントロールする消滅気体を封入することで、電離作用によって高エネルギ
ーの荷電粒子を検出する検出器です。今回は、放電によって形成される電気パルスを直接、音とし
て聞くことで存在を理解するものです。
・放射線教育支援サイト「らでぃ」 URL http://www.radi-edu.jp/
・空気GM管は、米村傳次郎:物理教育 第41巻 第2号(1993)p.192、三門正吾:物理教育 第41巻
第3号(1993)p.262など。
青少年のための科学の祭典 2014 全国大会
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