63 宇宙線を音で聞こう! ∼宇宙線は高エネルギーの粒子。クリアケースGM管でキャッチ!∼ [団体出展] 公益財団法人 日本科学技術振興財団・科学技術館(東京都) ●どんな実験なの? 宇宙線は高エネルギーの粒子(素粒子や原子核)で、地上には、1分間に面積1㎝ 2あたり約1個が飛ん できています。ここでは、クリアケースを利用した空気GM管で宇宙線をキャッチし、音で聞きます。で も、身の回りには自然に存在する放射性物質があって、宇宙線と同じようにGM管にキャッチされま す。どうすれば、宇宙線を聞き分けられるのでしょうか。 ●実験のしかたとコツ 【工作のしかた】 ⑴クリアケースのふたの中央の電極に、アノードを差し込みます。 ⑵クリアケースに、カソードとなる黒画用紙を丸めて入れます。 ⑶クリアケースの中にブタンガスを少量入れ、すぐふたをします。 ⑷高圧電源の高圧端子に、クリアケースGM管のプラグをそれぞ れ差し込みます。 ⑸高圧電源のイヤホン端子にイヤホンプラグを差し込みます。 【実験のしかた】 ⑴試しにテスト線源で音を聞いて見ます。 ⑵テスト線源とクリアケースの間に厚さ6㎜のプラスチックを 入れてみます。 ⑶テスト線源なしで音を聞きます。 ●気をつけよう ・この実験では、高圧電源は5000Vです。電源スイッチが入 った状態で端子の金属部は危険なので、絶対に触れない でください。 カスケードシャワーのイメージ図 ●もっとくわしく知るために ※宇宙線には、太陽や宇宙空間から飛んでくる一次宇宙線と、一次宇宙線が地球の大気と衝突し、 ばらばらになって地上に降ってくる二次宇宙線があります。地上で観測されるのは、ほとんどが二 次宇宙線で、ミューオンが全体の約3/4、電子が約1/3とされています。ミューオンは素粒子で、電荷 を持った荷電粒子の一種です。 ※宇宙線の観測には、自然界にある放射性物質からの放射線がノイズになりますが、γ線を検出しに くいGM管を使用して、比較的エネルギーが小さい放射性物質からの放射線を遮へいすれば、より エネルギーが大きい宇宙線との区別が可能になります。 ※GM管は、円筒形のカソードと、その中心線上にあるアノードで構成され、荷電粒子による電離を担 う気体と引き続く電離をコントロールする消滅気体を封入することで、電離作用によって高エネルギ ーの荷電粒子を検出する検出器です。今回は、放電によって形成される電気パルスを直接、音とし て聞くことで存在を理解するものです。 ・放射線教育支援サイト「らでぃ」 URL http://www.radi-edu.jp/ ・空気GM管は、米村傳次郎:物理教育 第41巻 第2号(1993)p.192、三門正吾:物理教育 第41巻 第3号(1993)p.262など。 青少年のための科学の祭典 2014 全国大会 72
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