B-17 Fa 超伝導ジ abrication o ジェットコー of a superc ースターの

B-17
超伝導ジ
ジェットコー
ースターの製作
Fa
abrication oof a supercconducting maglev coaaster
横山
山研究室
1. まえが
がき
クリーン
ンな環境を必
必要とする場所
所での非接触
触型浮上
ている。
搬送装置
置として、超伝
伝導技術の応用
用が検討されて
本研究は
は,磁気浮上装
装置の基礎技
技術の確立及
及びデモ
装置の展
展示を目的とし
して、超伝導バ
バルク体(以下
下、バル
ク体と略す
す)を用いたジ
ジェットコース
スターを製作す
する。今
年度は、ネオジウム永
永久磁石とボン
ンデ鋼板を使用
用して、
ループ化、ひ
ひねり走行を実
実現した新たな
なコース
コースのル
を製作し
し、バルク体を浮上させて、安定した浮上
上と走行
ができるか
かを確認する。
2. 原理
理
本研究
究で使用した超伝導体は、軽希土類と
とバリウ
ム の 銅 酸 化 物 ( REBa
R
2Cu3O7-x , RE: 軽 希 土 類
Dy 等)で、試料内部に超
超伝導部分と
と、歪み
(Y,Gd,D
や不純物
物などに起因する常伝導部
部分が混在し
している。
臨界温度
度は約 90 K であり、液体
で
体窒素温度 77 K で超
伝導状態
態となることが可能である
る。同超伝導
導体は第
二種超伝
伝導体に分類され,第一種
種超伝導体に
には無い
ピン止め
め効果がある。これは、超
超伝導体内部
部の常伝
導部に侵
侵入した磁束を捕捉する作
作用で、これ
れにより
安定した
た磁気浮上が可能となる。
E10027
7 榊原
稔
稔生
E10060
0 矢武
一
一輝
5. まとめ
ネオジウム
ム永久磁石お
および超伝導バ
バルク体を用
用い
て超伝導ジェ
ェットコース
スターを製作した。ネオジ
ジウ
ム磁石を組み
み合わせて曲
曲線・ひねり・ループ部分
分を
取り入れたコ
コースを製作
作し、バルク体
体による浮上
上走
行実験の結果
果、安定走行
行を確認できた。今回、コ
コー
スのループ化
化という高難
難易度な形をしたコースの
の考
案が出来、ま
またスムーズ
ズな走行も可能
能になった。
Table.1.Spec off a bulk supercoonductor and NdFeB
N
magnets..
Magneet
ssize(mm)
Max.flux
density(mT)
NdFeB mag..(single)
220×40×5
430
NdFeB mag.(double)
220×40×10
505
Bulk superco
onductor
(GdBa₂Cu₃
₃Ox₋₇)
φ30×5
―
Fig.1.Photograp
phs of NdFeB m
magnets and bu
ulk superconducctor.
3. 製作
作及び実験
超伝導
導ジェットコースターは、レールが永久
久磁石、
浮上物を
をバルク体として構成する
る。今回使用
用した材
料の写真
真と詳細を Fiig.1 及び Tablle.1 に示す。 今年度
は、特に
にループコースを実現する
ることを目標
標とし、
ネオジウ
ウム永久磁石の極性や配列
列、間隔を考
考慮した
コース製
製作を行った。さらに、バ
バルク体の冷
冷却時間
を延ばす
すために、材料をコットン
ンとアルミで
で包んで
断熱して
ている。(Fig.2)
4. 結果
果及び考察等
浮上走
走行実験を繰り返し行った
た結果、磁場
場分布を
均一にす
することが重要であり、そ
それによりバ
バルク体
が安定し
して走行することが可能に
になった。さ
さらに、
バルク体
体を包む梱包材
材を変え、磁
磁石を2段に
にするこ
とで発生
生する磁場を増強し、ルー
ープ及びひね
ねり走行
に耐えう
うるコースを実現できた。ループ部分
分とひね
り部分を
を組み合わせたコースの全
全景を Fig.3 に示す。
コースの
の全長は約 3.2 m で、バル
ルク体は、約
約 3 秒で
1 周し、これを何周も
も繰り返すこ
ことができた 。
Fig.2 Bulk sam
mple covered wiith a heat insulaator
Fig.3 Full view
w of a fabricatedd superconductiing maglev coaster.
平成 25 年度
卒業研究
超伝導ジェットコースターの製作
指導教員
横山和哉
准教授
横山研究室
E10027 榊原稔生
E10060 矢武一輝
超伝導ジェットコースターの製作
目次
第1章
序論
1-1 背景
1
1-2 目的
1
第2章
原理
2-1 超伝導
2
2-2 超伝導体
3
2-2-1 第一種超伝導体
3
2-2-2 第二種超伝導体
4
a)超伝導線材
5
b)超伝導バルク体
5
2-3 超伝導現象
6
2-3-1 完全反磁性
6
2-3-2 ピン止め効果
7
2-4 着磁方法
第3章
磁気浮上搬送装置の製作
3-1 使用材料
a)超伝導バルク体
9
9
b)ネオジム永久磁石
10
c)ステンレス板
11
d)スペーサー
11
e)断熱材
12
f)液体窒素
12
3-2 製作方法
第4章
8
13
a)断熱材の製作
13
b)コースの製作
13
コース各部の製作及び走行実験
4-1 コース各部の製作
14
4-1-1 側面走行部(内側)の製作
14
4-1-2 ループ部の製作
15
4-1-3 ひねり部の製作
16
4-1-4 側面走行(外側)の製作
17
4-2 コースの全景
18
4-3 走行実験
19
第5章
総論
5-1 結果
20
5-2 今後の課題
21
謝辞
22
参考文献
23
第1章
序論
1-1 背景
従来、超伝導技術はコストが高く、安全面の研究や「超伝導」という現象自体が一般の人々にあまり
認知されていなかった。超伝導を示す物質として第一種超伝導体と第二種超伝導体が存在するが、第一
種超伝導体の超伝導状態は日常ではあまり扱われていない程の超低温でしか生じない現象である上に、
社会での利用は冷却に必要な液体ヘリウムが高価であるために、現在は一部の特殊な用途に限られてい
る。これらの事情により、産業分野での応用等の利用に対して問題になっている。一方、第二種超伝導
体のうち高温酸化物超伝導体は、90 K 以上の超伝導転移温度を持つため、安価な液体窒素で超伝導状
態への移行が可能である。我々は上記の第二種超伝導体に着目し、病院などの医療現場や精密部品を製
作している半導体工場、普段自分たちが口にしている食品や薬品工場等、クリーンな環境を必要とする
現場での磁気による浮上搬送装置としての応用を考える。従来の車輪等で走行する搬送装置では床との
接触による細かな塵や埃等が発生してしまうが、超伝導バルク体を用いた非接触型浮上搬送装置ではそ
のようなゴミが発生せず、また騒音が少ない等の利点がある。
1-2 目的
本研究は将来的な産業分野での応用を目指し、超伝導体と永久磁石を用いた非接触型磁気浮上搬送装
置を製作する。内容として、幅広い年代の人に超伝導を知ってもらい、また理科を楽しんでもらうこと
を考え、イメージしやすいものをモチーフとして、超伝導バルク体(以下、バルク体と略す)を用いた
ジェットコースターを製作する。今年度は、ネオジウム磁石とボンデ鋼板を使用して、コースのループ
化、ひねり走行を実現した新たなコースを制作し、バルク体を浮上させて、安定した浮上と走行ができ
るか確認する。
1
第2章
原理
理
2-1 超伝
伝導
超伝導は
は、1911年にオ
オランダのラ
ライデン大学
学Kamerlingh Onnes教授
授(図2-1)が
が、ヘリウム
ムの液化(絶
絶
対温度1度:1K)に成功
功し、観測し
した水銀や鉛
鉛やスズなど
どの電気抵抗が物質固有 の臨界温度T
Tcのまわり
い温度範囲の中で完全に消
消滅してしま
まうことを発
発見した。そ
そして、極低
低温で金属の
の電気抵抗の
の
にごく狭い
変化を調べ
べる研究で、水銀Hgが約4
4Kで電気抵抗
抗がゼロにな
なること(図
図2-2)を発
発見したこと
とから、研究
究
が盛んにな
なった。
超伝導とは、特定の金
金属が超低温
温に冷却され
れたときに電
電気抵抗が急
急激にゼロに
になる現象の
のことをいう。
分に冷却されたときに超伝
伝導を示す物
物質のことを
を「超伝導物
物質」、それ
れらが超伝導
導状態にある
また、十分
場合は「超
超伝導体」と言われる。超
超伝導状態に
になった物体
体は、同時に
に強い反磁性
性を示す。つ
つまり、磁場
場
を受けると反発するということである。超伝導
導は一定の臨
臨界温度と臨
臨界磁場以下
下でのみ見ら
られ、臨界温
温
磁場は物質ご
ごとに異なる。
。
度や臨界磁
第二種
種超伝導体は、1986 年に
に IBM チュー
ーリッヒ研究
究所のベドノ
ノルツとミュ
ューラーによ
より、銅酸化
化
物である L
LaBaCuO が 10K 以下で
で超伝導特性
性を示すことが発見された。1987 年
年にはヒュー
ーストン大学
学
のチューら
らによって、YBaCuO 系超伝導体が
系
が 90K 以上の
の転移温度を
を示すことが
が報告された。これによ
種超伝導体は液体窒素 77
7K で超伝導
導状態への移
移行が可能となった。
り、第二種
K
Onnes
図 2-1 Kamerlingh
抵抗
図 2-2 水銀(Hgg)の電気抵
2
2-2 超伝
伝導体
2-2-1 第
第一種超伝導
導体
第一種超
超伝導体は主
主に金属系材料
料から出来て
ており、常伝
伝導状態(電気抵抗が発生
生)から超伝
伝導状態(電
電
気抵抗がゼ
ゼロ)に転移
移する臨界温度
度 Tc は数 K である。第
第一種超伝導
導体は完全な
な超伝導体であり、「完
全反磁性」という性質
質を持つ。これ
れは「マイス
スナー効果」とも呼ばれ
れており、臨
臨界温度以下
下では「内部
部
てくる磁束を完全に排除す
する」とい う現象が起き
きる。また、与える磁場
場を強くして
ていくと超伝
伝
に侵入して
導状態を保
保てなくなる。この磁場を臨界磁場 Hc といい、臨界磁場を超えると超伝
伝導状態から常伝導状
態へ移行す
する(図 2-3
3 及び図 2-
-4)。
図 2-
-3 第一種
種超伝導体の磁場と温度の関係
図 2-
-4 第一種
種超伝導体における臨界磁
磁場
3
2-2-2 第
第二種超伝導
導体
第二種超
超伝導体は完
完全導電性と完
完全反磁性に
に加え、「ピ
ピン止め効果
果」という性
性質を持って
ている。これ
れ
は、常伝導
導部分と超伝導部分が共存
存しているた
ために起こる
る現象で、製
製造過程にお
おいて発生し
した歪みや不
不
純物層など
どの常伝導部に侵入した磁
磁束を捕捉す
する作用であ
ある。図 2-
-5 に第二種
種超伝導体の磁
磁場と温度
の関係を示
示す。
大電流に
に応用する場
場合、第一種超
超伝導体では
は臨界磁界が
が小さく、電
電流による磁
磁界で超伝導
導状態が保て
て
なくなる。そ
それに比べ、
、第二種超伝
伝導体は臨界
界磁場 Hc₂が大
大きく、大電
電流高磁界へ
への応用が考
考えられる。
図 2-6 では
は超伝導状態
態と超伝導と
と常伝導の共
共存状態との
の境目の磁場
場が下部臨界
界磁場 Hc₁、超
超伝導と常
伝導との共
共存状態と常
常伝導状態との境目の磁場
場が上部臨界
界磁場 Hc₂である。
で
図 2-
-5 第二種超
超伝導体の磁
磁場と温度の
の関係
図 2-6 第二種
種超伝導体に
における臨界
界磁場
4
第二種超伝
伝導体は使用形態として線
線材とバルク
ク体がある。以下に両形
形態と特徴を
を述べる。
線材
a)超伝導線
超伝導体
体を線状に成形し、それを
をコイル状に
にして通電し
し電磁石とし
して使用され
れている。これ
れらは現在、
超高感度の
の磁気測定装
装置(SQUID
D)やリニア
アモーターカー(図2-7
7)、病院等 に設置されて
ている医療
用核磁気共
共鳴画像撮影
影装置(MRI)
)(図2-8)
)など、測定
定用に超伝導
導電磁石を使
使用する用途
途で重要な応
応
用分野を持
持っている。
図2-7 リニアモーターカー
図2-8
図
MR
RI装置
b)超伝導バ
バルク体
本研究で
で使用する超
超伝導バルク体
体は第二種超
超伝導体であ
あり、材料は
はRe₁Ba₂Cu
u₃O7-x(Re:軽希土類)
の化合物で
である。線材に対して塊(バルク)で使
使用するため
め一般的にバ
バルク体と呼
呼ばれている
る。線材に比
比
べて加工し
しやすく、また小型で取り扱いやすい
いため新たな
な応用が注目
目されている
る。
超伝導バ
バルク体が常
常伝導状態から超伝導状態
態へ転移する
るための臨界
界温度は約9 0 K である。これに対
して、本研
研究で使用す
する液体窒素温
温度は77 K
Kであるため、
、超伝導状態
態となること
とが可能であ
ある。
5
2-3 超伝
伝導現象
2-3-1 完
完全反磁性
常伝導状
状態にあった試料が、臨界
界温度 Tc 以 下に冷却され
れたとき、その中の磁場
そ
場が外に押し
し出されてし
し
まう現象が
が現れる。つまり、図 2-
-9 のように
に超伝導体内
内部への外部
部磁場の侵入
入を完全に排除して内部
磁場をゼロにするのである。完全反
反磁性は「マ
マイスナー効
効果」とも言
言われ、超伝
伝導体が持つ
つ性質の1つ
つ
極どうしの磁
磁石が反発し
し合うのとは
は違い、磁場
場を一切出さずに外部か らの磁場を避
避けている。
である。同極
図 2-9
2
完全反
反磁性(マイ
イスナー効果
果)
6
2-3-2 ピン止め効果
ピン止め効果は第二種超伝導体にのみ現れる性質で、実用超伝導体において重要な現象である。製造
過程において発生した歪みや不純物層等の常伝導部分ができ、その中でも磁力線が通過しやすい箇所と
しにくい箇所が存在する。そのため、超伝導バルク体内部に外部から磁束が侵入することが妨げられ、
また逆に一度超伝導バルク体内部に侵入してきた磁束はこれらの層に捕らえられるため、ピンで止めた
ように動かなくなり、容易には逃がさない(図 2-10)。
磁場
常伝導部分
図 2-10 ピン止め効果
7
2-4 着磁
磁方法
超伝導バ
バルク体に外
外部磁場を印加
加するととも
もに冷却して
て臨界温度以
以下にすると
と、常伝導状
状態から超伝
伝
導状態へ移
移行し、磁束
束を捕捉する。
。これを「着
着磁」という
う。
着磁方法
法は、冷却と外部磁場の印加方法によ
よって主に 3 つに分ける
ることができ
きる。
・磁界中冷
冷却法
超伝導バ
バルク体に外
外部から磁界を印加した後
後に冷却し、
、外部磁界を
を取り去る。超伝導マグ
グネットなど
ど
が必要でシ
システムが大
大掛かりになるのが欠点だ
だが、超伝導
導バルク体の
の性能を最大
大限引き出せ
せる。
・ゼロ磁場
場中冷却法
超伝導バ
バルク体を冷
冷却して超伝導
導状態にした
た後に、外部
部磁界を印加
加して磁束を
を捕捉する。着磁時間が
が
長く、また
た超伝導体の半分程度の性
性能しか着磁
磁できないた
ためあまり用
用いられない
い。
・パルス磁
磁化法
ゼロ磁界
界中冷却による着磁法の一
一種とみなす
すこともでき
きる。超伝導
導バルク体を
を冷却した後
後に、外部磁
磁
界としてパ
パルス磁界を印加する方法である。着
着磁装置が簡
簡便で、かつ
つ短時間で着
着磁できる利
利点がある。
今まで捕捉
捉磁場は小さかったが、近
近年の研究で
で捕捉磁場が
が向上しつつ
つある。
本研究で
ではネオジム永久磁石の上
上に超伝導バ
バルク体の浮
浮上高さを決
決定するスペ
ペーサーを置
置き、超伝導
導
バルク体を
を臨界温度以下になるまで冷却する 「磁場中冷却
却法」を採用
用した(図 22-11)。ま
また、超伝導
導
バルク体を
を極低温に冷
冷却するため液
液体窒素を使
使用し、約 77 K(-19
96℃)まで冷
冷却した。
磁場
バルク体
バ
スペー
ーサー
ネオジム永
永久磁石
図 2-11
着磁方法
8
第3章
磁
磁気浮上搬送
送装置の製作
3-1 使用
用材料
a)超伝導バ
バルク体(図
図 3-1)
大きさ:φ30[mm]×
×5[mm]
重量:30g
材料:Gd₁Ba₂Cu₃O₆.₉
9wt%(超伝
伝導相)
70.9
Gd₂Ba₁Cu₁O₅.₀
19.2
2wt%(常伝
伝導相)
Pt
%
0.5wt%
Ag
9.4wt%
%
元:新日本製
製鐵株式曾社
製作元
1 超伝導バ
図 3-1
バルク体
9
b)ネオジム
ム永久磁石(図 3-2)
二段にすることにより、磁石のズレを軽減する
ることができ
きた。
形状:角型
40[mm]×5[m
mm]
大きさ:20[mm]×4
Neomag 製
実測値)
発生磁場:422[mT](実
素)
材料:Nd₂Fe₁₄B(ネオジム・鉄・ホウ素
度が高く、非
非常に強い磁
磁力を持つ。
性質:軽希土類の磁石の 1 つで、磁束密度
図 3-2
ネオジム永
永久磁石
10
c)電気亜鉛
鉛メッキ鋼板
板(ボンデ鋼板
板)(図 3-3
3)
大きさ:1000[mm]×
×40[mm]×1.0[mm]
2200[mm] ×40[mm]×
×1.0[mm]
材料:SUS430
優れたフェライト系ステ ンレス板。ヨーク(磁気
気回路を構成
成)とするこ
ことにより、
腐食性に優
磁石の磁場
場を強くすることができる
る。
図 3-3
電気亜鉛メ
メッキ鋼板
d)スペーサ
サー(図 3-
-4)
厚さ 2.0[mm]の木の板
板を使用した。
ーサー
図 3 -4 スペー
11
e)断熱材(図 3-5)
×7[mm]
大きさ:φ35[mm]×
の冷却及び断
断熱のために
に使用。)
材質:コットン及びアルミ箔(バルク体の
図 3-5 断熱
熱材
素
f)液体窒素
沸点:77
7K(-196℃
℃)
バルク体
体の冷却のために使用。
12
3-2 製作
作方法
a)断熱材の
の製作(図 3-6)
3
昨年度は
は、バルク体の
の断熱及び冷
冷却に緩衝材
材を使用して
ていたが、今年
年度のコース
スは、試行錯
錯誤の結果、
緩衝材が無
無くても、走
走行に支障がなかったため
めアルミ箔を
を使用した。
まず、バ
バルク体をアルミ箔とコットンで包み
み、それをさ
さらにアルミ
ミ箔で覆う。 さらに上部
部には、液体
体
窒素で冷却
却するための注ぎ口を空ける。
アルミ箔
箔を使用したことで、断熱
熱材が軽量化
化され、走行
行がスムーズ
ズになった。
注
注ぎ口
コットン
ン
バ
バルク体
体
ア
アルミ
ミ
ア
アルミ
ミ
図 3-
-6 浮上物の
の構成
の製作
b)コースの
ボンデ鋼
鋼板とネオジ
ジム磁石で製作
作を行う。ボ
ボンデ鋼板の
の上にネオジ
ジム磁石を配
配列する。ボ
ボンデ鋼板を
を
使用するの
のは、素材が柔らかいため、ループや
やひねりを作
作りやすいこ
ことや、磁石
石同士を一定
定の間隔に保
保
つことがで
できることがある。
13
第4章
コース
ス各部の製作
作及び走行実
実験
4-1 コー
ース各部の製
製作
今年度は
は、側面走行、ループ、ひ
ひねりを製作
作し、コース
スを安定して
て走行できる
ることが可能
能かを実験し
し
た。
側面走行部((内側)の製作
作
4-1-1 側
バルク体
体がピン止め効果によって磁石との一
一定の距離を
を保っている
る事を確認し
しやすいため
め取り付け
た。
分は、コースのズレが顕著
著にあったが
が、結束バン
ンドとタコ紐
紐で固定し、 コースの磁
磁石を二段に
に
側面部分
することに
によってズレを軽減することができた
た。また、次
次はループ走
走行なので、 側面部分で
で勢いをつけ
け
るためにス
スタート時点から動かす際の運動エネ
ネルギーを大
大きくした。
図 4-1
1 側面走行部(内側)
14
4-1-2 ル
ループ部の製
製作
コースの
の大型化を目的として取り付けた。ル
ループ部分で
でスピードが
が落ちるため
め、次のひね
ねり部分で安
安
定して走行
行出来るようになった。
超伝導ジ
ジェットコースターでは、バルク体が
が浮上して走
走行するため
め、走行時に
における抵抗
抗は空気抵抗
抗
のみである。今回製作
作したものは、
、手動でコー
ースを動かす
すものなので
で、動かすタ
タイミング、それによる
ルギーが重要
要となった。エ
エネルギーが
が小さすぎる
ると、バルク
ク体の速度が
が足りず、ル
ループ部分で
で
位置エネル
回りきらな
ないという影
影響がでてしまうので、エ
エネルギーを
を大きくし、バルク体の
の速度を落と
とさないよう
に走行できるようにした。
図4
4-2 ループ
プ部
15
4-1-3 ひ
ひねり部の製
製作
超伝導ジ
ジェットコースターの新たなアクシ ョンとして考
考案した。今
今回使用した
たボンデ鋼板
板は素材が柔
柔
らかく、ひ
ひねり部分のコースの製作
作に適してい
いた。
走行時は
は、ループ部分から来ることにより、
、スピードダ
ダウンしてい
いるため、横
横回転するこ
ことに耐えら
れるように
になった。この部分は特に問題なく、
、スムーズに
に走行できた
た。
図4
4-3 ひねり部
16
4-1-4 側
側面走行(外
外側)の製作
この部分
分の前にひね
ねり部分があるために、外
外側の側面走
走行が可能に
になった。内
内側の側面走
走行に比べ、
バルク体の
の速度が速いため、着磁が弱いと脱線
線してしまう
う事が多かっ
った。
そのため
め、走行実験を繰り返し、
、液体窒素で
で冷却する時
時間を増やす
すことにより
り、この側面
面部分だけで
で
はなく、全
全体的に走行
行がスムーズになり、安定
定した浮上と
と走行ができ
きるようにな
なった。
図 4- 4 側面走行
行(外側)
17
4-2 コー
ースの全景
図 4-5 に
に完成したコ
コースの全景
景を示す。昨
昨年に比べ、コースを小
小型化にし、 持続することを目的と
した新たな
な超伝導ジェットコースターを製作 した。コース
ス全長は 3.2[m]、磁石の
の総使用数は 760 個であ
あ
る。コース
スは、スタート時点から側
側面走行(内
内側)、1 ルー
ープ、ひねり、側面走行((外側)を通過
過して、1 周
で走行する。これを何周も繰り返す ことができた
た。
を約 3 秒で
-5 コースの
の全景
図 4-
18
4-3 走行
行実験
超伝導バ
バルク体は着
着磁された時の磁場分布に
に従い、内部
部に電流が誘
誘起されてピ
ピン止めされる。よって、
レールに用
用いる磁石を同じ極性と配
配列で配置 し、磁場分布
布を均一にす
することで、安定した走
走行が可能と
なる。しか
かし、磁力の強い場所で着
着磁を行うと
と磁場分布が
が多いために
にピン止め力
力も強くなり、隣の磁石
石
に移動させ
せることが困難になる。そ
そのために、
、高さを考え
えて着磁を行
行う必要があ
ある。適切な
な高さで着磁
磁
させれば、磁場分布を
を均一にしたレール上で バルク体をスムーズに移
移動させるこ
ことができる
る。ただし、
の絶対値は小さくなってい
いるため、ピ
ピン止め力が
が弱くなって
ていることか
から、脱線に
に気を付けな
な
磁束密度の
ければなら
らない。磁石を
を配置する際
際に磁石の間
間隔を詰める
ることによっ
って、発生磁場
場を大きくす
すると共に、
をより均一化
化することができ、より安
安定した走行
行が可能とな
なった。
磁場分布を
磁石のレ
レールの上にスペーサーを置き、その
の上に断熱材
材に入ってい
いるバルク体
体を載せて液
液体窒素で冷
冷
却する。この時、スペー
ーサーと断熱
熱材の厚みに
により、磁石
石と超伝導バ
バルク体との
の距離は約 4[[mm]である
(図 4-6)。
断熱材、バル
断
ルク体
スペーサ
サー
ネオジム永久
ネ
久磁石
図 4-6 着磁
磁風景
19
第
第5章
5-1
結
総論
論
果
本研究に
において、超伝導バルク体
体を用いたジ
ジェットコー
ースターを完
完成させるこ
ことができた
た。スタート
時の位置エ
エネルギーを調整するため、コースの
の土台に取り
り付けられて
ている板を動
動かす事によ
よって、超伝
伝
導バルク体
体の速度を変える事が出来
来るようにな
なった。配置
置する磁石の
の間隔を詰め
めることによ
よって、磁場
場
分布が均一
一になりスムーズに走行す
することがで
でき、側面走
走行やループ
プ部分は内側
側に曲げ角度
度をつけ、遠
遠
心力による脱線を少なくすることが出来た。こ
これにより、安定かつ高速
速での走行が
が可能となっ
った。また、
の浮上走行時
時間の延長や断熱材を薄型
型化させるこ
ことによって
て、今までで
できなかった
たコースのル
ル
バルク体の
ープ化とい
いう高難易度な形をしたコースを実現
現でき、また
たスムーズな
な走行も可能
能になった。
もう1つ
つの目的であ
ある超伝導ジ
ジェットコー
ースターの展
展示や実演に
により一般の
の人に理科を
を楽しんでも
らう事に関
関して、大学のオープンキャンパスに
に加え、私達
達の指導教員
員である横山
山和哉准教授
授が高校生や
や
小学生を対
対象に行った模擬授業で見
見学しても らう機会があ
あった。実際
際に模擬授業
業で超伝導現
現象を見た高
高
校生や小学
学生は、とても興味深そうな反応を示
示してくれた
た。また、オ
オープンキャ
ャンパスでは
は高校生以外
外
に親子連れ
れや大人のグループの方々も見学して
てもらい、特
特に小さな子
子供達には超
超伝導現象や
やジェットコ
ースターを
を楽しんでもらう事ができた。
業の様子 1
図 5-1 模擬授業
図 5-
-2 模擬授
授業の様子 2
20
5-2
今後の課題
今回、バルク体の浮上走行時間を延長させ、さらにコースのループ化に成功したが、コースを何周も
回すためには手動で土台を動かす必要がある。今回行う事が出来なかった永久磁石の一部を電磁石に置
き換え、始動・停止・進行方向の切り替え等、超伝導体の動きを制御することができるアクティブ型の
システムを導入すれば、さらに実用的なシステムになると考える。
また、バルク体の浮上走行時間を延長させたが、昨年に比べれば浮上時間は短くなっている。これは、
断熱材を薄く、軽量化したためだと思われる。しかし、軽量化かつ薄型化しなければ今回のコースは完
走することが困難だった。これからのことから、ピン止め力が強く、浮上時間も長くなるように検討し
ていく必要がある。
21
謝辞
卒業研究を行うにあたり、協力と助言をしていただいた昭和理化学器械株式会社の方、大学院生の
方々に感謝いたします。また、ご指導及び助言をいただきました横山和哉准教授に深く感謝すると共に、
今後の更なるご活躍を御祈り致します。
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参考文献
(1)NNDB:http://www.nndb.com/people/521/000099224/
(2)東京大学:http://www.crc.u-tokyo.ac.jp/other/Kamerlingh-Onnes.htm
(3)住友電工:http://www.sei.co.jp/super/about/feature.html
(4)TDK:http://www.tdk.co.jp/techmag/ninja/daa00582.htm
(5)JPN::http://www.47news.jp/CN/201008/CN2010080801000255.html
(6)THE UNIVERSITY OBSERVER:
http://www.universityobserver.ie/2011/10/21/doctor-doctor-3/mri/
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