救急外来研修方略 海南 ER Survival 術(救急救急センター委員会)

救急外来研修方略 海南 ER Survival 術(救急救急センター委員会) 目 次 1.診察開始
2.点滴・検体検査をしたいとき
3.画像検査をしたいとき
4.処方したいとき
5.診察終了!
6. 「点滴終わりました」と声をかけられたとき
7.救急車受け入れのルール
8 . 救 急 車 受 け 入 れ の PHS が 鳴 っ た ら
9.当直終了
1.診察開始 * 新 患 カ ル テ の 問 診 票 を ざ っ と み て 、重 症 度 が 高 そ う で あ れ ば す ぐ に 診 察 を す る 。
重 症 患 者 が い な さ そ う な ら 上 か ら 順 番 に 。 * 他院からの紹介状持参の場合は、診察後に A 直等担当科直に声をかける。 ① 診察室のマイクを使って呼び込む。 「受付番号○○番でお待ちの方、○番診察室にお入りください」など。 ② 自己紹介「 本 日 救 急 を 担 当 し ま す ○ ○ ○ ○ で す 。よ ろ し く お 願 い し ま す 」→○ 「研修医の○ ○ ○ ○ です」→×! ③ 電子カルテの指導医選択。 内科系疾患-内科 A1 直、外科系疾患-外科 A2 直、小児科-NICU 直、産婦人科-
産婦人科直 ④ バイタルサイン測定・問診・診察・コンサルト。まずバイタルサインを測定する! 時期によって 1 年次単独でできることが決まっています。 -1-
~9 月:問診、診察、カルテ記載が終わったところで、患者さんに「ま たお 声を かけ ます ので 、
外で お待ち くださ い」と伝え、上級医(S1/S2 直)にコンサルト。夏ぐらいに A 直に直接コンサル
トできるようになります。 9 月~11 月:帰す前にコンサルト 12 月~:自分の判断で帰宅させてよい *同じ患者のコンサルトは同じ上級医にする(方針が変わってしまうため) *入院が必要そうな患者(O2/点滴/モニター管理必要、悪化が予想される)は A 直に早めにコン
サルト 2.点滴・検体検査をしたいとき * 検体検査(採血・検尿・検便・血液培養・喀痰)・点滴 ① 患者さんの了承を得て、準備ができるまで待合室で待っていてもらう。結果が出
るまでの時間も伝えておく。採血で 40 分以上、検尿・検便で 20~30 分。血培・
喀痰は後日。インフルエンザは 30 分以上。(ロタ、ノロ、アデノ、RS、溶連菌の
迅速検査はできない) ② オーダー入力。“外来緊急発行”ボタンでバーコードを発行。 ●採血●
Ø
スピッツ:CBC(紫)
、生化(緑)、血糖(灰)、凝固(黒)、血型(黄)、抗体スクリ-ニング
(水)
、保存血(オレンジ)、アンモニア・BNP(紺)
Ø
分注する順番は別紙参照
Ø
凝固、アンモニアは線まで入れる!!
Ø
血ガスの紙には患者 氏名・ID のほか、一番下に酸素 条件 と実施者氏名、呼吸 数の記載を忘
れずに。カルテには呼吸数も。
Ø
小児の血糖はガスで代用することが多い
Ø
オペ採血:CBC、生化、血糖(必要に応じて HbA1c も)、凝固、血型×2、感染症4種(HIV
の同意書必要)
、抗体スクリーニング、ABG
Ø
緊急内視鏡:オペ採血と一緒。内視鏡&手術・検査同意書が必要。
Ø
輸血:血型×2(2003/4 以降のもの)、抗体スクリーニング(輸血前 1 週間以内のもの)、保存血
Ø
AMI のときはカテセット
Ø
血培:基本は 2 本×2 セット。酒精綿でごしごしこすって採血する。嫌気性が金色、好気性が
水色。嫌気性から入れる。8-10ml 入れること。小児はピンクで1本。
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③ 「採血/点滴/レントゲンお願いします。」と看護師さんに声をかけて、指示受けし
てもらう。点滴中の場所(ER 内の救急ゾーン/奥のベッド/待合)、モニター管理
の有無も指示。モニター管理や注意深い観察が必要な人は ER 内。小児なら待合室
のソファでも可。 ④ 患者さんが持っている透明のクリアファイルに入っている個人識別票と検体のバ
ーコードを認証。 *らくらく看護師さんの使い方 自分の名札のバーコードを読み込み→「チェック」→「検体」→患者さんの個人識別票のバーコー
ドを読み込み(ID 入力でも OK)→検体のバーコードを読み込み→「照合」 ⑤ バーコードを貼った検体を検査室に送る。看護師さんが忙しいときは自分でシュ
ーターを使って送り、検査室に電話する。(検査当直 4381) *スピッツ立てが入っていないものは清潔なので、検体をいれないように注意。 ⑥ 培養はシューターでは送れないので看護師さんかアシスターさんが持って行って
くださります。感謝しましょう。 ⑦ 結果をチェック。忘れないように注意。あまりに結果が遅いときは、検査技師に
確認する。 3.画像検査をしたいとき (ア)画像検査について患者さんの了承を得る (イ)腹部レントゲン・CT 撮影のときは、妊 娠 可 能 年 齢 の 女 性 に 対 し て は 、現 在 絶
対 妊 娠 し て い な い こ と を 確 認 。少 し で も 可 能 性 が あ る と き は テ ス ト パ ッ ク
(尿 検 査 )を ! *ただし、偽陰性の可能性(特に妊娠 4 週以内)があることを IC ② オーダー入力。CT・MRI ではオーダー画面で『オープン』→『至急』にするのを
忘れずに。 ③ 放射線技師に電話で連絡する。ICU や病棟に行っている時もあるので必ず確認し
てから行く。待てる人は放射線科受付の前で待っていてもらう。 ④ 自分で行けそうな患者さんには案内表の裏にある地図を見せて、場所を説明。検
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査案内の用紙を渡して自分で行ってもらい、待合に戻ってきてもらう。 ⑤ 自分で行けなさそうな患者さん、押さえが必要な子供の場合は、看護師さんかア
シスターさんに声をかける。検査案内の紙を渡し、オーダー内容も伝える。移動
方法も指示。(ストレッチャー>車椅子>歩きの順。車椅子以下ならアシスター
さんだけでも可。) ●医師の付き添いが必要な時●
*バイタルサインが不安定、モニターが必要な患者。
(医師+モニター付>医師のみ>看護師さんのみ)
*造影検査
*MRI(平日の昼間は、バイタルサインが安定している人に関しては、救急医の許可があれば付き
添い不要。日当直帯に関しては検討中・・・) 4.処方したいとき ①救急外来なので、基本的に 1 日分(休日は次の営業日まで)の処方しかできないこと
と、内容・用法について患者に説明する。 ②オーダー入力 処方→黄色のところに薬剤名を入力→量・単位を入力→用法・コメントを選択 ※一般的な処方は、1 セット=1 日量 PC(ピーシー)21 セット/3×N ※ 頓用は 1 回量 例)ロキソニン 1T 4 回 ※ 外用は総処方量 例)ボルタレン坐薬 10 本 1 回 1 本 ※ 用法が同じ薬はまとめて処方する ※ ER での処方は院内処方 5.診察終了! ①
患者に必ず伝えること 2 点 ⅰ.救急外来で診察した患者は次の営業日の一般外来/近医を受診してもらうこ
とになっていることを説明し、診療科を案内する。 理由:専門医が診ているわけではない、病気は経過を追うことが大切 ⅱ.急変時には必ずすぐに救急外来へ来ること ②
検査・コンサルト・アセスメント・本人家族の反応など、診察の流れがわかるよ
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うにカルテに記載しておく。自分を守る意味でもしっかりと。 ③
もう一度、実施した検査、点滴、処置(縫合・シーネ・モニター管理など)、処
方が、すべてオーダーされているか、実施されているか確認。 ④
病名登録。検査や処方のコストをとるために必要。診療科ごとに病名登録。表を
参照する。 ⑤
最終的な診察記事を上級医にチェックしてもらう。 ⑥
「次回受診案内」の“本日の受診科”と“次回の受診科”をチェック。 ⑦
看護師さんやアシスターさんに診察終了を告げて、カルテを事務にまわしてもら
う。忙しいときは自分で事務に持っていったほうが早くて確実。 6.「点滴終わりました」と声をかけられたとき ① 看護師さんの手が空いていれば声をかけてお願いする。自分の手が空いている
ときは自分で。 ② ルートは輸液袋から抜いてそのまま針入れ BOX へ。残っている点滴があれば、は
さみで穴をあけて水道に捨てる。 使用した針類は必ず自分で責任を持って処分!!針刺しのもとになりま
す 。 7.救急車受け入れのルール 基本的に来る物拒まず。救急車は受け入れます。具体的には救急のマニュアルを参照。 *ER 満床のとき 退室できそうな患者もなく、物理的に不可能な場合は、断腸の思いでお断り。お断り一
覧用紙に記載(お断りした消防隊、時間をメモ用紙に記載、かかりつけの患者の場合は
ID も)。 8. 救急車受け入れ PHS が鳴ったら… ① 必要事項を簡潔に聞いて、救急車受け入れのメモ用紙に記載。 必要事項:年齢、性別、名前、生年月日、受診歴があれば ID、既往歴、簡単な現病歴、
意識状態、バイタルサイン、お薬手帳、家族同乗の有無、到着時間、子供なら体重 -5-
② 電話を切ったら ER のマイクで救急車がくること、到着時間、年齢・性別・既往・主
訴・バイタル等を告げる。名前など個人が特定できる情報は言わないこと。 ③ 受け入れの場所を確保し、紙に検査、ルートの指示を記入して、準備を看護師さんに
お願いする。 大きな声で「準備お願いしまーす!」 ④ 事務当直に電話して救急車がくることを伝える。カルテで患者情報を確認。必要なカ
ルテ・画像の取り寄せ。 ⑤ 救急車が到着すると事務が来てくれるが、来ない場合は自分で電話を。 ⑥ まずは ABC の確認、患者の診察。検査のオーダー。 ⑦ 患者の状態が落ち着いていれば救急隊から話を聞く。 ⑧ “汎用”→“SpO2 測定”“モニター管理”(必要なら“酸素吸入”)を選択。開始時
間は、そのまま開始時間を、終了時間は 23:55 と一旦入力。
(実際の終了時間は、後
で看護師さんが入力してくれます。) ⑨ 入院が必要そうな患者は A 直へ、専門科対応が必要な場合は担当科当直医にコンサル
ト。 帰宅可能な患者は S1 直でも OK。「お忙しいところ/夜分遅くに 大変申し訳ありませ
ん。」の言葉を忘れずに。 9.当直終了!! 朝 8 時から ER カンファレンスがあります。基本、1 年次から 1 症例プレゼンを行います。 それが終わったら、診察 BOX の確認、診察室の整理整頓、クーパーチェック。 ★ す べ て は コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン ! ! * 現場でのすべての患者・仕事の流れを、お互い把握できるように心がけよう。 * 待合中の患者さんと家族にはこまめに声をかけよう。経過中の変化を把握するために
も、患者サービスの点でも。 * 待合室での IC はプライバーシーに十分注意!! * 共に働く人への感謝を忘れずに -6-