学 校 教 育 情 報 ・ 堺

平成26年度 第15号
学 校 教 育 情 報 ・ 堺
平成26年9月17日 【企画・編集 学校教育部】
教職員のデートDVへの意識を高め、正しい知識を身に付けて、児童生徒、保護者等からの相談
に適切に対応できるよう、また、子どもたちをデートDVから守るため「デートDV防止研修」を
実施しました。
今回の研修では、管理職、養護教諭、体育科及び保健体育科の教員を対象として実施し、約 450
人の受講がありました。
研修では講師の久保先生から、まず、堺市での事例紹介があり、デートDVに関する「DVD」
の視聴を行ってから、DVとデートDVの違いなど基本的な内容について学びました。また、受講
者が実際に学校現場で「これがデートDVだったのかな?」と思われることについて、グループト
ークを行い、より具体的な学校現場での対応について理解を深めました。
なお、本市におきましては、在校時のつながりで卒業生から信頼を寄せている母校の教職員に相
談に来るという事例もありました。
各校においては、今回受講した内容について校内で伝達するとともに、様々な機会をとらえ子ど
もたちには「自ら考え、行動できる」ように、そして「自分の大切さとともに他の人の大切さを認
められる」意識や態度を育んでいくようにお願いします。また、人権教育をはじめ、道徳教育、保
健領域などの授業における組織的、計画的な指導についてもあわせてお願いします。
生徒指導課より
本年度から「デート DV」についての研修を実施しました。昨今、児童・生徒を巻
き込んだニュースに、「デート DV」が関連するものが数多くあります。その背景には
携帯・スマートフォンなどの普及によって、容易に男女が知り合うことが可能になって
いることもあげられます。
このような状況の中、人権教育を大切にし、子どもたちに対して、「対等でない関係
に違和感を持ち、声を上げることの大切さ」を示す必要があると考えています。本研修
によりデート DV がどのようなものであるかを理解し、デート DV の防止にむけて、日々どのように子どもた
ちに関わっていけばよいのかを考える第一歩としていただきたいと思います。
デート DV とは、交際相手に対するこころとからだへの暴力のことです!
参加者へのアンケート結果
1.研修内容について
とてもよくわかった 256
まあまあ 98
あまりわからなかった 0
2.DV を知っていた
はい 364
いいえ 1
3.デート DV を知っていた
はい
279
いいえ
4.児童・生徒にデート DV の疑いがある
はい
79
いいえ 268
86
~デート DV への理解と対応~
講師である「aware 認定 デート DV 防止プログラムファシリ
テーター」久保洋子先生より、デート DV の基本的な考え方、具
体的な事例、学校現場でのデート DV への対応などについて、お
話をしていただきました。
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DV(Domestic Violence)は、親しい関係のパートナーとの間
で起こるこころとからだへの暴力であり、デート DV は交際相手
に対するこころとからだへの暴力である。暴力は自分の思い通りに相手をコントロールしたいという
力の支配によって起こっている。
デート DV は DV 法の対象外ではあるが、ストーカー規制法・軽犯罪法・迷惑防止条例などを適用
し、一般的な犯罪と同様の刑罰が与えられることもある。最近では、東京都三鷹市で SNS を通じて
知り合った相手と別れた後、ストーカー行為を受け、未来ある命が失われるという事件があった。
SNS 自体が悪いのではなく、子どもたちが SNS の使い方を知らずに使ったり、簡単に自画撮りを送
ってしまったり、別れ方を知らなかったりすることで事件等が起こる。
子どもたちは、この社会に存在するジェンダー・バイアス(社会的・文化的につくられた性の偏っ
た見方)によって、
「男はこうあるべき、女はこうあるべき」という考えをもってしまう。そして、
被害に遭った子どもたちは、ジェンダーにとらわれない(人権意識の高い)指導を行っている、もし
くは、指導を行ってくれた教員のところに相談に行くこともある。その時には、
「相談者自身が悪い」
と責めるのではなく、寄り添い、傾聴し、支援してほしい。そして、危険が及ぶと判断される場合に
は、関係機関等と連携を取ってほしい。
また、加害者となった子どもたちにも、時間をかけてしっかり聴き、暴力・DV は本人が意識をし
て努力すれば止められるということ、自分のしたことを受けとめ、責任ある行動をとること、また加
害者が抱えている課題等についても援助してほしい。
そして、一番大きな課題は、保護者へのサポートである。被害者の保護者も加害者の保護者も、
「自
分の子どもにかぎって」とデート DV について理解できない状況が多く見うけられるため、関係機関
との連携が必要になってくる。対応した教職員が 1 人で抱え込まないよう、専門家や関係機関等と
の連携をお願いしたい。
~参加者の感想より~
・生徒に伝える前に、教職員全員がデート DV について理解しておくべきだと思いました。
・DV と言われてもピンとこない児童が多いと思いますが、SNS・インターネットの使い方とからめて
デート DV について指導すると入りやすいのではないかと思いました。
・性の学習として、中学
2 年生にデート DV を教えていますが、今回の話を聞いて、もっとしっかり子
また、教員が一人だけで指導するなど、体罰の起こりやすい状況をつくらないよう、チームで対応
どもたちに言っていかなければならないと思いました。
することが重要である。
・デート DV が起こる背景を伝えていくことも大切だが、自尊感情を高め他者を思いやれる心を育てて
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いきたい。
~参加者の感想より~
・体罰だけでなく、暴言についても客観的に考えることができた。体罰に
至らないための対応や連携方法も学ぶことができた。