年金数理人によるミニセミナーの資料

企業年金の最新動向
年金・信託営業本部
年金数理人 佐野 邦明
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企業年金制度を取り巻く環境
少子高齢化に伴う公的年金のスリム化
● 2004年に公的年金制度運営の基本的枠組みを大きく改正
● 保険料負担の上限を固定と財源の範囲内で給付水準を調整
(抑制)
企業年金制度による所得保障の重要性
退職給付会計の改正による
即時認識の導入
●金利・株価・為替等の市場変動が企業の自己資本を直撃
事業主負担の増大
企業年金制度が企業経営の重荷に…
● 年金資産運用戦略の見直し(=掛金増加)
● 給付削減等による負担軽減
● 中小企業では企業年金制度の廃止も増加(100人未満の企業の実施率 37%(2009年)→26%(2013年))
事業主の負担・運用リスクを軽減する方策とは?(世界的な課題)
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企業年金制度のトレンド 1/3
運用リスクの移転
確定拠出年金(DC)への移行
事業主は掛金を従業員の口座へ拠出
⇒
⇒
従業員は事業主が拠出した掛金を運用
60歳以降に元利合計を受け取る
※ 老後の給付額は従業員の運用能力(市場環境)によって決まる
⇒
退職後の給付額の変動リスクを負うのは従業員
※ 事業主は確定給付企業年金のような掛金の追加負担リスクを負わない
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2
企業年金制度のトレンド 2/3
運用リスクのシェア
キャッシュバランス(CB)への移行
給付額は国債金利等の指標に連動して変動
⇒ 確定給付企業年金とは異なり市場環境の変化が給付額に反映
⇒ 金利変動に対して退職給付債務はDBよりも安定化
老後の給付額は市場の金利水準によって決まる
⇒ 従業員は退職後の給付額変動リスクを負う(DCよりは安定的)
事業主の拠出する掛金は市場環境(運用結果)により変動
⇒ 事業主も掛金変動リスクを負う
2014年からCBの選択肢が拡大された(次のスライド)
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3
企業年金制度のトレンド 3/3
【ご参考】キャッシュバランス(CB)制度について
拠出クレジット(元本)と指標に基づく利息(再評価)の元利合計を退職時の給付額とする
・拠出クレジット:定額・給与比例額・ポイント比例額などを付与
・指標に基づく利息:一定率・国債利率・年金資産の運用実績(2014年度から追加)等に応じて付与
拠出クレジット累積額
+利息クレジット累積額
(一時金ベース)
指標に基づく利息
(再評価)
退職時の給付額
拠出クレジット
(元本)
※退職時の給付原資が拠出クレジットの累計額を下回る場合は拠出クレジットの累計額を給付(最低保証)
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4
企業年金の方向性『協働運用型DC』1/3
確定拠出年金(DC)の基本的な仕組み
事業主は従業員の口座へ掛金を拠出
従業員は複数の商品の中から選択して
自ら年金資産を運用
適切な運用商品の選択が困難
事業主は従業員が効果的な商品選択を
行うことが可能になるよう「投資教育」を実施
投資教育が事業主・従業員の双方に負担
上記のDC制度を課題を解決するために
『協働運用型DC』の導入を提案 (by企業年金連絡協議会)
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5
企業年金の方向性『協働運用型DC』2/3
協働運用型DCのポイント
運用は「労使合意に基づく単一の資産構成」で行う
個人の運用選択肢なし
従来型の投資教育ではなく「ライフプラン教育」を重視
低コストの運用商品の活用
適切な商品選択
「投資教育」の負担軽減
有効な「投資教育」
運用コストの削減
※従業員が運用商品を選択できない代わりに元本保証を行うことも検討課題
(注)現時点では協働運用型DCは「提案段階」であり、実現するか否かは不透明です
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企業年金の方向性『協働運用型DC』3/3
(出所)企業年金連絡協議会ホームページ「社会保障審議会企業年金部会
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企年協プレゼン資料」
7
海外の事例1【オランダ CDC(Collective DC)】
DB制度の枠組みを維持しつつ、一定期間掛金を固定(法令上はDB)
【制度例】
① 給付算定式;年金額=最終給与×1.75%×加入月数(DCのような個人勘定は存在しない)
② DBと同様に財務規制(FTK)の対象
③ 以下の内容の労働協約を締結
・一定期間(通常は5年~7年)掛金水準を固定
・当該期間中にFTKに抵触した場合は労使協議を経ずに「給付額の調整・引き下げ」を行う
・事業主はCollective DC 移行時に給付額の調整・引き下げリスク軽減のために一時掛金を拠出
・一定期間経過後はあらためて制度運営方法等について労使で協議
一定期間掛金が固定されるため会計上はDC扱いと整理
通常のDBとの相違点は財務規制(FTK) に抵触した場合の対応
・通常のDB
⇒ 「掛金引上げ」or「給付額の調整・引き下げ」のいずれの対策を採用するかに
ついて都度協議する
・Collective DC ⇒ 「給付額の調整・引き下げ」を労働協約に基づいて(労使協議を経ずに)実施し、
掛金は引上げない
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海外の事例2【イギリス DA(Defined Ambition)】
DB制度の事業主負担の重さから、制度の閉鎖・凍結が急激に増加
⇒凍結後の加入期間についてはDCを導入することにより、給付額が不安定化
⇒DBとDCの中間であるDA制度の導入に向けて検討中
リスクの種類
投資リスク
Pure DB
最終給与比例年金制度
事業主
年金化リスク
昇給リスク
(長寿化リスク)
(インフレリスク)
事業主
事業主
DBを出発点とした制度例
DA制度
Pure DC
個人運用型確定拠出年金制度
①
②
③
不足金(積立比率)に応じて給付額を調整 ※オランダのCDCに類似
退職時点で給付義務を事業主から切り離す
平均寿命の伸長に伴い年金支給開始年齢を自動調整
DCを出発点とした制度例
①
②
③
元本+一定の収益を保証
老後所得保障保険による補填
年金保険購入と市場(集団)運用の組み合わせ
従業員
従業員
従業員
(出所)イギリス雇用年金省「Public consultation:Reshaping
workplace pensions for future generations」からプレゼンターが作成
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