急速冷凍食品の加工および取り扱いのための国際作業範囲(PDF:97K)

CAC/RCP 8
-1-
急速冷凍食品の加工および取り扱いのための
国際的作業規範
CAC/RCP 8-1976
CAC/RCP 8
-2-
目次
ページ
序文 ................................................................................................................................................................ 3
作業規範
急速冷凍食品の加工および取り扱いのための
国際的作業規範
CAC/RCP 8-1976 .................................................................................................................................. 4
製品温度の点検方法
CAC/RCP 8-1976 の付属文書 I-1978.................................................................................................. 8
急速冷凍食品の輸送中の取り扱いのための
国際的作業規範
CAC/RCP 8-1976 の付属文書 II-1983 .............................................................................................. 14
CAC/RCP 8
-3-
序文
1976 年 3 月/4 月に開催された 11 回目の会期において、委員会は急速冷凍食品の加工およ
び取り扱い作業規範を推奨作業規範として、加盟国および FAO または WHO の準加盟国へ
通知することを採択した。
規範を採択するにあたって、委員会は特定の問題、とりわけ急速冷凍食品の品質は製品の
温度や温度の変動のみに左右されるのではなく、保管期間の長さということを認め、当然
一層の調査がされた。それに応じて委員会は、さらなる情報を得るためにこれらの問題は、
ECE(欧州経済委員会)およびコーデックス委員会共同の急速冷凍食品規格化のための専
門家グループ(Joint ECE/Codex Alimentarius Group of Experts on Standardization of
Quick Frozen Foods)によって研究が続けられ、この作業規範は後日見直されるべきとい
うことに同意した。
1978 年 4 月に開催された 12 回目の会期において委員会は、製品温度の点検方法を付属文
書 I として急速冷凍食品の加工および取り扱い作業規範(CAC/RCP 8-1976)に含めること
を採択した。
1983 年 7 月に開催された 15 回目の会期において委員会は、急速冷凍食品の輸送中の取り
扱い作業規範を国際的推奨作業規範として採択し、CAC/RCP 8-1976 の付属文書 II として
発行されるべきと提案した。
すべての作業規範は本質的には勧告として捉えられるべきであり、本規範をどのように利
用するかは個々の政府の判断である。委員会は、食品の具体的なカテゴリーを扱っている
作業規範は、国内の施行当局にとっては便利な要求事項のチェックリストになる可能性が
あるとの見解を示している。
作業規範のように、製品温度の点検方法は、本質的には勧告として捉えられるべきである。
CAC/RCP 8-1976 の付属文書 I に含まれている方法を考慮すると同時に、本規範をどの
ように利用するかは個々の政府の判断である。
CAC/RCP 8
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急速冷凍食品の加工および取り扱いのための
国際的作業規範
CAC/RCP 8-1976
1.
セクションI‐適用範囲および目的
1.1
本規範は、特定の急速冷凍食品または製品群の作業規範、または規格を詳述する
ための指針となることを目的としている。1
1.2
本規範は、本規範のセクション 3 にて述べられている急速冷凍の加工方法に従い、
急速冷凍された状態で販売される、あらゆる種類の急速冷凍食品に適用されることを目的
としている。
1.3
本規範の条項は、推奨として解釈されるべきであり、急速冷凍食品が最終販売さ
れる時までその品質を保てるよう、その生産および取り扱いの際の指針となることを目的
としている。
2.
セクション II‐原材料および準備
2.1
急速冷凍加工には、傷みのない健全な原材料が使用されなければならない。急速
冷凍することによって、処理される食品の本来の品質を改善することはできないので、
新鮮味や成熟度が最適レベルな製品のみが急速冷凍されなければならない。
2.2
加工開始の際には、選択された原材料は最良の状態でなければならない。自然劣
化率を最小限にするためには、在庫保有のために加工前の保管が必要段階の場合、全ての
原材料は実際の売買で指示され、材料が必要とする期間、関係する原材料に適した温度帯
と湿度を維持できる状態で保管されなければならない。
2.3
微生物の活動を最小限に抑えるため、急速冷凍を目的とした調理済み食品は、
+10℃から 60℃の温度帯におかないようにしなければならない。食品は、衛生的加工の要
求事項に整合する、適切な事前冷却用の機器でできる限り速やかに冷却しなければならな
い。冷却と急速冷凍が即座に行われるのが望ましいが、それが不可能な場合、食品は冷却
とそれに続く急速冷凍ができるようになるまでは、60℃(140°F)以上に保っていなけれ
ばならない。
3.
セクションIII‐急速冷凍
3.1
準備後は、製品は早急に急速冷凍されなければならない。急速冷凍加工は、物理
的、生化学的、微生物学的な変化を最小限にするような方法で、適切な機器を使用して行
わなければならない。
3.2
上記を達成するためには、最大結晶化の温度帯(ほとんどの製品が-1℃から-5℃
(+30°Fから+23°F)をできるだけ早く過ぎるような方法で冷凍作業を行わなければなら
ない。
3.3
温度が安定してからの製品の中心温度が-18℃(0°F)になるまで、またはならな
い限り、加工が完了したとみなしてはならない。
1
技術的情報の詳細は、国際冷凍協会の出版物、「冷凍食品の加工および取り扱いに関する勧告」に
掲載されている。
CAC/RCP 8
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3.4
それぞれの要求事項が様々な食料品によって違うので、冷凍の時間や速度の具体
的な制限は述べられていない。必要な場合は各食品規格や作業規範で、具体的に指示しな
ければならない。
3.5
急速冷凍加工の後、または取り扱い中や冷凍保管庫への輸送中は、温度上昇を
最小限に抑えるため、効果的手段を取らなければならない。
3.6
急速冷凍製品の公認慣習の再包装は、管理された状況下でのみ行われなければ
ならない。
4.
セクション IV‐保管
4.1
冷凍保管庫は、製品の温度を-18℃(0°F)、またはそれ以下に維持し、変動が
最小限になるように機能しなければならない。
4.2
範囲や頻度のいずれかで、過度の製品温度の変動は望ましくない。それが影響を
受けやすい食品の深刻な乾燥や、その他別の形での品質の劣化に繋がることもある。一般
的に、保管温度が低い場合の温度変動は危害が少ないが、2℃(4°F)以上の気温変化は
できる限り避けるべきである。
4.3
できれば自記温度計や、その他継続的に保管庫の温度を監視できるような装置を
利用して、頻繁な温度点検を行わなければならない。
4.4
保管庫の内部の温度を十分に一定にするため、冷凍保管庫の気流速度は適度に、
必要以上に上げてはならない。
4.5
製品は、空気循環が損なわれないように積まれなければならない。ジャケット付
の部屋以外では、壁や天井、床に直接接触してはならない。保管製品と壁、天井、床の
距離は少なくとも 10cm(4 インチ)はなければならない。
4.6
ない。
冷凍保管庫では、管理された在庫ローテーションシステムを採用しなければなら
5.
セクション V‐輸送および流通
5.1
急速冷凍食品の冷凍保管倉庫間の輸送は、製品の温度を-18℃(0°F)、あるいは
それ以下に維持し、またそれが維持できるような機材を使用して行わなければならない。
車両は荷積みの前に、+10℃(50°F)まで事前冷却されていなければならず、輸送中、
温度を記録できる装置を装備していなければならない。
5.2
冷凍保管倉庫からこのように輸送している間に製品温度が-15℃まで上昇するのは
許容できるが、製品温度が-18℃を超えた場合は、輸送中、または配達直後のいずれかに、
できるだけ早く-18℃まで下げなければならない。
5.3
車両から車両への荷積み・荷降ろし、車両から保管庫への荷積み・荷降ろしは、で
きる限り素早く行い、その方法は製品の温度上昇を最小限にするものでなければならない。
5.4
5.1 に示唆されているように、冷凍保管倉庫間の輸送中は、車両の外から見える
積荷の温度記録方法を利用し、頻繁に温度点検を行わなければならない。
5.5
5.1 に示唆されているように、車両に積む前と冷凍保管庫に入れる前に、製品の
温度を点検しなければならない。
CAC/RCP 8
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5.6
現地流通を目的として急速冷凍食品を小売業者に輸送する場合、製品温度が-18℃
以上に上昇するのを最小限にし、いかなる場合でも、最も温まってしまった包みが-12℃
(10.4°F)を超えないような方法で行わなければならない。
5.7
5.6 に示唆されているように、現地流通を目的として輸送中の製品の温度が上昇し
た場合、配達後、できるだけ早く-18℃まで下げなければならない。これができない場合は、
製品はできるだけ早く販売用に提供されなければならない。
6.
セクション VI‐小売り
6.1
急速冷凍食品は、その目的に沿って設計された冷凍キャビネットに入れて販売さ
れなければならない。
6.2
キャビネットは製品温度を-18℃(0°F)、あるいはそれ以下に維持し、またそれ
が維持できるよう機能しなければならず、温度計も備わっていなければならない。
6.3
製品温度の上昇は、短期間であれば許容できるが、最も温まってしまった包みの
温度製品が-12℃(10.4°F)を超えるようであってはならない。
6.4
外からの暖かい気流が直接、冷蔵場所に流れ込んではならない。キャビネットは、
開放陳列範囲が通常の放射熱を受けない(例:直射日光や強い人工光に当たらない、ヒー
ターと直接並んでいない)よう設置されていなければならない。キャビネットは夜間や週
末は覆いがかけられていなければならない。霜取りはなるべく通常の営業時間外に行われ
るよう、霜取りの周期をプログラムしておくべきである。
6.5
積載線を越えてキャビネットの中身をストックしてはならない。絶対に必要でな
い限り、在庫をキャビネットから取り出し、また戻してはならない。
6.6
包装をしていない製品は汚染や乾燥の危険性にさらされており、包装された急速
冷凍食品に利用しているのとは別の区画で、保管・陳列されなければならない。
6.7
急速冷凍されたものではない食品は、急速冷凍食品が入っているキャビネットに
入れてはならない。しかし、事前包装された食用可能な氷は急速冷凍食品が入っている
キャビネットで保管しても良い。
6.8
製品が確実に「先入れ・先出し」の原理で販売されるよう、在庫は慎重に回転
させなければならない。
7.
7.1
セクション VII‐包装およびラベル表示
包装は次を目的でデザインされなければならない。
(a)製品の官能やその他品質的特徴を保護する。
(b)製品を微生物学的およびその他の汚染から保護する。
(c)できる限り乾燥や放射熱による熱蓄積、該当する場合は、漏損から保護する。
(d)加工(該当する場合)や最終販売までの製品の流通を通して、製品に臭いや
味、色、その他無関係な特徴を移さないようにする。
CAC/RCP 8
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7.2
最終販売時まで、小売包装はそのまま保存されなければならない。
7.3
急速冷凍食品は常に、包装済み食品のラベル表示のための一般的基準(コーデッ
クス規格 1-1985(改訂 1-1991)、コーデックス委員会第 1 巻)の要求事項に適合
しなければならない。
さらに、急速冷凍食品の包装は、小売業者から購入してから使用するまで、その
保管方法を明確に表示していなければならない。
8.
セクション VIII‐衛生
8.1
準備、冷凍加工、輸送、最終販売も含んだそれまでの流通を通して、優れた衛生
状態を保つことは重要である。
8.2
急速冷凍食品は常に、食品衛生に関する一般的原則や、該当する場合は特定の
食品に関する衛生作業規範の条項に適合しなければならない。
CAC/RCP 8‐付属文書 I
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CAC/RCP 8-1976 の
付属文書 I-1978
製品温度の点検方法
1.
目的
1.1
ここで述べる手順は、急速冷凍食品の温度測定の方法である。温度測定には
2つの局面が関連している。
(a)適切な機器を使用し、測定時における正確な温度を得る。
(b)ロットの平均温度やロット内におけるばらつきについての情報を提供する
ために、測定をするための代表となる複数の場所を選択する。
1.2
温度測定には次の2つの方法が勧められる。
(a)製品の内部温度の測定
(b)表面包装の温度測定
他に同意しない限り、急速冷凍食品の加工および取り扱いのための国際的作業規範
(CAC/RCP 8-1976)で言及されている「製品温度」とは、本方法の 6 で示唆されているよ
うに製品の内部温度を指している。
2.
温度の定義
本文書のための「温度」とは、温度測定器具や装置の感知部分を置いた場所で
測定された温度である。
3.
温度測定器具の一般的仕様
次の要求事項を満たせる機器のみが、測定および管理目的で使用可能である。
(a)半減期1が 0.5 分を超えない。
(b)器具の精度は、−30℃から 30℃を超えて、±0.5℃以内でなければならない。
(c)器具は 0.5℃の変化を感知できなければならない。
(d)測定の精度は周囲の温度に影響されてはならない。
(e)目盛の表示は 1℃またはそれ以下に分けられていなければならず、また、0.5℃
まで読めなければならない。
1
半減期とは、温度計の示度数が、最初の温度から最終温度の中間までに変化していくのに必要と
する時間を分表示したものである。
CAC/RCP 8‐付属文書 I
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(f)ガラス製棒温度計以外の測定機器として、校正中に指針を調整するための
設定装置も提供されなければならない。
(g)測定装置の感知部分は、製品との熱的接触が確実に正しく行えるよう作られ
ていなければならない。
(h)電気機器は、水分の凝結による好ましくない影響を受けないよう保護されて
いなければならない。
4.
4.1
温度測定のための機器
ガラス製棒温度計
ガラス製棒温度計は、定期的に行う試験には勧められないが、使用する場合は、
食品の近くでは特に注意をして使用すべきである。ガラス製棒温度計には、次のような
特徴がなければならない。
(a)全体の長さがおおよそ 25cm である。
(b)製品を測定するための鋭くとがった円形の胴体部分と、表面を測定する
ための楕円形の胴体部分がある。
(c)水銀にはアルコールが充てんされているのが望ましい。
4.2
ダイヤル式温度計
この機器は液体膨張や蒸気圧の変化、スプリングの変形、金属膨張の原理に基づ
いて使用される。ダイヤル式温度計には次のような特徴がなければならない。
(a) 感知部分の全体の長さがおおよそ 15cm である。
(b) 製品を測定するための鋭くとがったステンレススチール製の胴体部分と、
表面を測定するための平たい胴体部分(厚さ 5mm 以下)がある。
(c) ガラスではなく、プラスチックで密閉されたダイヤルがある。
4.3
電子温度計
コンセントを使用した電圧源を利用する器具よりも、乾電池で動くポータブルな
器具の方が望ましく、勧められる。器具には、いつ交換や充電が必要かを表す、蓄電池電
圧が点検できるような装置が含まれていなければならない。センサーとして電気抵抗や熱
電対が利用されている。プローブやブレードの全体の長さはおおよそ 15cm でなければなら
ない。電子温度計の検出部分には次のような特徴がなければならない。
(a) 感知部分はステンレススチール製のプローブ、またはブレードである。
(b) 既知抵抗値のリード、もしくは、可能であれば、ビルトインされた補正
抵抗を持つリードがついている。
4.4
製品に穴を開けるための器具
CAC/RCP 8‐付属文書 I
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容易に洗浄できる、アイスピックやハンドドリルのような、先がとがった金属製
の器具を使用しなければならない。包装や製品の穴は、使用したセンサーの感知部分の直
径よりわずかに大きいだけのものでなければならない。
5.
温度計の校正
5.1
常にどの程度正確かによって、温度計は定期的に点検しなければならない。積荷
から積荷と取り扱われる器具は、毎週点検されなければならない。輸送中に使用された器
具は、新しい積荷が運ばれる前に点検されなければならない。
5.2
テストは温度計の検出部分を、氷水を入れた容器につけて行える。リッター容器
(真空フラスコ)を砕いた氷で満たし、そこに氷水をいっぱいに入れなければならない。
混合物の中心に検出部分を差し込む前に、最低 2 分間はかき回さなければならない。検出
部分は容器に触れてはならない。温度が安定するまで最低 3 分間おいた後、温度計に表示
された温度を観測しなければならない。浸された温度計は、0℃から±0.5℃を示さなければ
ならない。ガラス製棒温度計の目盛の 0℃の位置は、フラスコの先端部のすぐ上に現れなけ
ればならない。その他の種類の検出部分は、完全に氷水に浸かっていなければならない。
5.3
−18℃から−20℃の範囲の温度で温度計を点検する場合、1 部分は食卓塩の重さ
で成り、3 部分は砕いた氷の重さで成り立っている塩水混合物(brine mixture)を使用し
なければならない。テストされる温度計の表示は、正確とわかっている温度計の表示と比
べなければならない。両方の温度検出器は、胴体部分を並べて、容器に触れないように塩
水化合物の中に差し込まれなければならない。温度が安定するまで最低 3 分間おいた後、
温度計に表示された温度を観測しなければならない。
5.4
温度計は、正確とわかっている温度計に合わせてテストされた温度計の表示と比
較することでもテストできる。両方を、同じ周囲環境のもとで並べて持ち、表示を比べる。
5.5
参照できる温度計がない場合、分析等級(analytical grade)の塩化ナトリウムと
氷の共融混合物が−21.4℃の温度になる。
5.6
0.5℃(1°F)以上の誤差が表示された場合、標準調整手段を用いて、温度計の
校正を正さなければならない。調整後、温度計はその精度を再点検されなければならない。
5.7
0.5℃(1°F)以上の誤差があるガラス温度計は、製品の温度を点検するのには
使用してはならない。
6.
製品の内部温度の測定方法
6.1
製品の内部温度についての信頼性のあるデータを得るには、製品内の温度を測定
するしかない。
6.2
製品の内部温度は、製品の最大表面の中心から深さ 2.5cm の部分で測定する。
製品(または包装された製品)のひとつの寸法が 5cm 以下の場合、測定部分はその寸法の
中間でなければならない。
6.3
穴を開ける場合
一般的に、検出部分は構造上、冷凍食品を貫通できるようには設計されていない。
事前に冷却されたプローブまたはハンドドリルを用いて、関係する製品(包装)に穴を
CAC/RCP 8‐付属文書 I
開けておくべきである。穴は少なくとも 5cm の深さでなければならない。
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CAC/RCP 8‐付属文書 I
6.4
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事前冷却
(a) プローブやハンドドリル、検出部分を事前冷却するために使用する包みは、
ランダムに選択されなければならない。以降、この包みを「事前冷却用包
装物」と称する。テスト用の包みには絶対、暖かいプローブやハンドドリ
ル、検出部分を入れてはならない。
(b) 検出部分は「事前冷却用包装物」の中心に差し込まれなければならず、そ
こに最低 3 分間は留めておかなければならない。テスト用の包みに入れる
準備ができるまでは、検出部分は「事前冷却用包装物」から抜いてはなら
ない。
(c) 検出部分を冷凍食品の間に差し込むことで、事前冷却を行うこともできる。
ただし、条件として優れた熱的接触が得られるかがある。冷凍保管施設で
測定値の読み取りを行うのであれば、機器を冷凍保管庫の周辺温度と均一
にすることで、事前冷却を遂行できる。
6.5
製品の内部温度の測定
正確な温度測定のためには、穴の形成とそれに続く検出部分による製品の温度の
読み取りが、製品が選ばれた際におかれていたような冷蔵の環境で行われた、または、
次にあげる環境にできるだけ近いような周辺環境で行われるのが必須である。
(a) 検出部分は「事前冷却用包装物」から抜かれ、測定位置が製品の表面から
おおよそ 2.5cm の深さになるよう、直ちにテスト用の包みに差し込まれな
ければならない。
(b) できる限り多くの部分が製品に入るよう、検出部分を差し込むことで上記
の位置に届くのが望ましい。
(c) 包みのひとつの寸法が 5cm 以下の場合、包みの中間部分に届くように検出
部分を差し込む。
(d) 温度が一定値になったら記録する。
(e) テスト用の包みの温度を記録した後、次の包みの読み取りの準備ができる
まで、検出器具をそのまま包みの中に留めておく。こうすることによって、
器具を再度事前冷却する必要性を省ける。
7.
包みの表面温度の測定方法
7.1
包みの表面温度は非破壊方法で得ることができ、包みと包みの間、またはケース
間で検出器具がきちんと接触でき、適切な圧力が与えられたら、定期的な温度点検には十
分正確である。包みの表面温度を測定することで、妥当な内部温度の近似値が得られる。
7.2
包みの表面温度の測定
(a) 6.4 項で特定されているように、検出器具の事前冷却を行う。
(b) 製品が出荷用ケースに入っている場合、尖ったナイフでケースの側壁を
切り、切った部分を外側に折り曲げる。
CAC/RCP 8‐付属文書 I
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(c) 全体が包みでできた壁にしっかり接触するように、検出部分を包みの層の
1 段目と 2 段目の間に差し込む。
(d) 検出部分にきちんとした熱的接触を確実に与えるため、全般的に同じ場所
から持ってきた冷凍食品のケースを、テスト用ケースの上に積み上げる。
(e) 温度が一定値になったら記録する。
(f)
いくつかのテスト用ケースが点検される場合、次のケースがテスト準備
できるまでは、検出器具をテスト用ケースから抜かない。
(g) 小売用キャビネットなど、製品がケースに収まっていない場合は、工程(a)
から(f)までは同じように行う。きちんとした熱的接触を得るために、
テスト用の包みの上に十分な量の包みを積む。
8.
8.1
サンプリング
テスト用の包みの選択
温度測定のためのテスト用の包みを取り出す場所の選択を正確に特定するのは難
しく、積荷の過去や検査されるロット、サンプリングが進むにつれ得られる結果などを考
慮した判断の問題である。かなりの場合、結果の正確な解釈は詳細なサンプリングにかか
っている。テスト用の包みは、それらの温度が検査される在庫の典型となるような手段お
よび方法で選択されなければならない。
8.2
冷凍保管
ケースが密接に積み重ねられている場合(例:パレットの上や山積み状態で)、温
度の測定値は外側のケースの外層にある包みと、ロットの中心にあるケースの包みから得
なければならない。これらの温度はそれぞれ「外層温度」と「中心温度」として知られて
いる。2つの測定値の著しい違いはロット内の温度の変化度を示し、製品の温度条件につ
いてより信頼性のおけるデータを確立するには、さらなる温度測定値を得なければならな
いことを指摘している。
8.3
車両または輸送用のコンテナユニット
製品の温度は、次の箇所で測定されなければならない。
(a) 輸送中に必要な場合:
‐各ドアの開口部先端、または両ドアに隣接した積荷の最上部と最下部。
(b) 荷降ろしの時:
‐各ドアの開口部先端、または両ドアに隣接した積荷の最上部と最下部。
‐後方角(該当するならば、冷蔵ユニットから最も遠方)の最上部の積荷。
CAC/RCP 8‐付属文書 I
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‐積荷の中心。
‐積荷の正面の中心(該当するならば、冷蔵ユニットの最も近く)。
‐積荷の正面の最上部角(該当するならば、冷蔵ユニットの最も近く)。
検査係官の判断によって、その他の温度測定箇所が選ばれることもある。
8.4
小売りのディスプレイキャビネット
すべての場合において、少なくとも表の最上層、キャビネットの中心部分、
キャビネットの底の部分の点検は行う。キャビネットの霜取り周期だった場合は、
その旨を報告書に注記する。
CAC/RCP 8‐付属文書 II
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CAC/RCP 8-1976 の
付属文書 II-1983
急速冷凍食品の輸送中の取り扱いのための
国際的作業規範
1.
適用範囲
1.1
本規範は、小売り2以外の目的の急速冷凍食品の荷積み、輸送1、荷降ろしのための
指針となることを意図している。
1.2
本作業規範は、急速冷凍食品の加工および取り扱いのための国際的作業規範(Ref.
No. CAC/RCP 8-1976)のセクション 3 で記述された急速冷凍食品の加工方法の対象となり、
急速冷凍された状態で販売される、あらゆる種類の急速冷凍食品に適用されることを意図
している。
1.3
本作業規範は、荷送り人3が提供する許容範囲にある品質の製品は、その状態をほ
とんど変えることなく、最終目的地の受取人まで運送業者によって運ばれなければならな
いという知識に基づいている。輸送を遂行するには運送業者は、輸送地から受取り地まで推
奨温度を保持できるような、適切な輸送設備を用意しなければならない。
1.4
本作業規範の条項は勧告として解釈されるべきで、条項は最終販売時まで急速冷
凍食品の品質を保持できるよう、その取り扱いと輸送の指針となることを意図している。
1.5
本規範は、急速冷凍食品のどのような種類の輸送にも関連する。従って、目的に
適った容器に入れられた急速冷凍食品の輸送にも適用される。
2.
製品の品質
2.1
輸送される急速冷凍食品の品質は、原材料の品質や冷凍前の加工、急速冷凍加工
そのもの、包装や包装資材、保管温度や時間、その時までの取り扱いから確定される。
2.2
推奨温度条件が保持されていれば、荷積み、輸送、荷降ろし作業によって、品質
に重大な変化はでない。しかし、品質は温度以外にも様々な要因に左右されるので(2.1 を
参照)、本規範に従って温度を保持していても、輸送の道のりの終わりに製品の品質が許容
範囲内の品質であることは保証できない。
1
本規範が意味する輸送とは、ひとつの冷凍保管倉庫から別の冷凍保管倉庫へ急速冷凍食品を運搬
することである。輸送工程は製品を最初の冷凍保管倉庫から運び出し、目的の冷凍保管庫に製品を保管し
て終了となる。
UN/ATP 協定を承認した国々へ冷凍食料品を陸送する場合、協定で定められた条件に従い、
協定が認可した機材によって運搬されなければならない。
2
技術的情報の詳細は、国際冷凍協会の出版物、(i)「冷凍食品の加工および取り扱いに関する
勧告」、(ii)「傷みやすい食料品の陸送に関する推奨条件」に掲載されている。
3
本文書では、荷送り人、運送業者、受取人は、それぞれの積荷の運送や受け入れをする、または
その責任下で働く人に対しての責任者と同等とみなされている。
CAC/RCP 8‐付属文書 II
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2.3
到着時の製品温度が推奨温度よりも高い場合、受け取りを拒否してはならず、
代わりに製品をできるだけ早く希望のレベルの温度に下げるような状態に置かなければな
らない。そのような製品は品質が悪いとは限らないが、製品の寿命が短くなった可能性は
ある。影響を受けた製品の以後の取り扱いは、該当する管理当局と相談して決定すべきで
ある。
3.
荷積み、荷降ろしおよび輸送
3.1
製品温度よりも高い気温での急速冷凍食品の取り扱いは、製品の温度を上げ、
さらには製品の水分凝縮につながる。従って、そのような気温での取り扱いは、最小限に
する、またはできることなら避けなければならない。すべての状況において、輸送用機材
への荷積み、または荷降ろし中の急速冷凍食品は、できる限り素早く取り扱わなければな
らない。荷積みの段階においては、輸送用機材内の送風機は止めなければならない。
3.2
積荷を管理できない環境条件に時間的、温度的、表面的にさらすのを最小限にす
るために、荷積み・荷降ろしの機械的設備はもとより、標準荷積みユニットの利用を強く
勧める。
3.3
い。
急速冷凍食品は、それよりも温かい温度環境に必要以上に長く置かれてはならな
3.4
様々な目的地に向けての急速冷凍食品の選択や分類は、冷凍保管庫から出される
前に余裕をもって行われなければならない。輸送用機材が一箇所の目的地で全ての荷を降
ろさない場合は、十分前もって荷積みの順番を計算しておかなければならない。
3.5
急速冷凍食品は、積荷の正面、後方、上部、下部、両側面に冷気が自由に循環で
きるよう輸送用機材に積まれなければならない。ただし、冷気や冷媒がその壁面内で循環
するような輸送用機材の場合はその限りではない。
4.
製品温度
4.1
ほとんどの場合、積荷の中心温度を妥当な時間内に下げるには装備されている冷
蔵・冷凍能力では十分でないので、一般的に輸送用機材は積荷の温度を積まれた時と同じ
ように維持するよう設計され、食品が荷積みの時に得た熱を下げるようにはされ設計され
ていない。しかし、外部熱が極端ではなく、冷蔵・冷凍出力や空気の循環に制限がなく、
冷気が適切に流れているのであれば、表面的な温度上層は妥当な時間内に改善可能である。
4.2
急速冷凍食品の取り扱いが製品の温度を上げると思われる時は(特に 3.1 項と 3.3
項を参照)、荷積みの完了時に、製品温度が推奨運搬温度より暖かい荷積み箇所がないこと
を確実にするため、荷積み前に製品の温度を下げておくことを勧める。
4.3
荷送り人と運送業者は、冷凍保管倉庫から輸送機材へ運搬するために積荷を用意
している時の製品の安定温度や荷積みの時間や方法について合意しなければならない。
その際には製品の推奨温度や荷積み工程に必要とされる時間、荷積み中の周辺気温、冷蔵・
冷凍輸送用機材の特徴、輸送に必要とされる時間を考慮しなければならない。
CAC/RCP 8‐付属文書 II
- 17 -
4.4
運送業者と受取人は、積荷を冷凍保管倉庫の入り口で受け入れた時の製品温度と、
荷降ろしの時間と方法について合意しなければならない。その際には製品の推奨温度と
荷降ろし中の周辺気温、荷降ろしに必要とされる時間を考慮しなければならない。
4.5
最終目的地に到着したらすぐに、製品は冷凍保管倉庫にて推奨温度で保管されな
ければならない。
4.6
荷積みと荷降ろしの際の温度は、CAC/RCP 8-1976 の付属文書 I の 8.3 項と本規範
の 5.2 項で記されている勧告を考慮し、おおよそ同じ相対的位置に置かれている積荷の包み
で測定されるのが望ましい。
4.7
受取人のために、測定された温度は積荷に添付された輸送文書に記入されなけれ
ばならない。控えはすべての関連団体に渡す。この中に保険機関も含める場合がある。
5.
製品温度の測定
5.1
製品温度は、急速冷凍食品の加工および取り扱いのための国際的作業規範
(CAC/RCP 8-1976)の付属文書 I に記述されている勧告に従って点検されなければならな
い。
5.2
関連団体から同意を得られれば、製品温度の代わりに包みの表面温度が測定され
るべきだが、異議がある場合は製品温度のみが有効となる。
5.3
4.6 で挙げられた状況での温度点検は常に、同時に同じ製品で、製品が保管される、
または保管されていた冷凍保管倉庫の環境的条件で、荷送り人と運送業者、あるいは運送
業者と受取人によって行われる。(Ref. No. CAC/RCP 8-1976 5.4 項)
5.4
製品温度の測定が理由で荷積みや荷降ろし工程を遅らせてはならない。異議が
ある場合は、製品の温度測定手順は上記 5.3 に提起されている指示に従わなければならず、
その間は輸送用機材を閉じておかなければならない。
6.
輸送用機材
6.1
荷積みや荷降ろしの状況、輸送中の周辺気温、移動時間を考慮し、輸送用機材は
輸送される急速冷凍食品の要求事項に準拠したものでなければならない。輸送用機材は断
熱され、輸送時間中、推奨温度が保てるような装備がなければならない。
6.2
輸送用機材は異臭がなく、優れた衛生状態でなければならない。
6.3
輸送用機材は、時間やエネルギー消費についてだけでなく、荷積み区域における
温度や湿度に関しても、荷積み前にできるだけ適切に事前冷却されていなければならない。
荷積み前には、霜取りの周期を観測しなければならない。車両内に蓄積された霜は、事前
冷却前に除去しなければならない。
6.4
冷蔵・冷凍場所に人が入った場合、その健康に影響が出るような冷蔵・冷凍システ
ムが備えられている場合、作業員を保護するために警告サインや安全手順、または装置が
用意されていなければならない。そのような機材を使用していない場合は、製造業者の指
示を厳重に守らなければならない。
CAC/RCP 8‐付属文書 II
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6.5
輸送中に、積荷が 3℃微上昇するのは許容可能だが(CAC/RCP 8-1976 の 5.2 項参
照)、輸送中、または配達直後のいずれかに、できる限り早く推奨温度まで下げなければな
らない(2.3 項を参照)。
6.6
輸送用車両には、車両内の気温を測定するための適切な温度測定装置が備えられ
ていることを勧める。装置のダイヤルまたは読み取り部は、車両外の見やすい位置に取り
付けられていなければならない。
6.7
運送業者は、次の記録を維持しなければならない。
‐(輸送中の冷蔵・冷凍が機械設備でなされている場合)、戻ってくる気流の温度
‐(サーモグラフが装備してある場合)、機材のボディに取り付けられている
ダイヤルが表示する機材内の気温
‐(輸送中の冷蔵・冷凍が機械設備でなされている場合)、冷蔵・冷凍ユニットの
稼動時間
‐品物の荷積みや荷降ろし中にドアを開けていた時間の長さ
6.8
急速冷凍食品の輸送はできるだけ短時間で行わなければならない。
7.
荷積みおよび荷降ろし場所における設備
7.1
機材と輸送される積荷への熱負荷が最小限になり、製品温度の上昇ができるだけ
制限されるよう、冷凍保管倉庫には冷蔵・冷凍輸送用機材への適切な連結(例:ポート・
ドアやドック・シェルター、その他)が用意されていなければならない。
7.2
荷積みや荷降ろしのためのポート・ドアやドック・シェルターが用意されていな
い場合、暖かく湿った空気(外気)の進入を防ぐために、ビニール製の帯カーテンや似た
ような保護物の使用を勧める。
7.3
不要な遅延を回避するために、荷送り人や運送業者、受取人、検査機関は、荷積
みや荷降ろしの進行を早めるのに協力しなければならない。
7.4
何らかの理由で荷積みや荷降ろしが中断された場合、輸送用機材のドアは常に
閉められていなければならない。
8.
検査
8.1
CAC/RCP 8-1976(5.4 項)に規定されているように、車両の外にある記録器具の
読み取り以外の方法で、荷積みから荷降ろしの間に輸送用機材を開けて製品温度の検査を
するのには強く反対し、上記 5.3 で勧告しているように行うべきである。
CAC/RCP 8‐付属文書 II
8.2
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荷積みや荷降ろしの時に、その他の目的のための政府当局による検査を計画する
ことを強く勧める。検査は環境的に管理された状況下で行わなければならない。
8.3
輸送中、輸送機材の主要部分に不慮の損傷ができた場合、できるだけ早く、でき
れば車両から荷降ろしをする前に、積荷と輸送用機材の損傷鑑定の手配をすることが重要
である。数時間以内に損傷鑑定の手配が不可能な場合は、周辺気温によっては積荷の荷降
ろしを行い、適切な状況に置かなければならない。荷降ろしの最中は、上記 4.6 項に従って、
温度測定を行わなければならない。